2008年05月22日

コミック感想 GANTZ 23

 でましたGANTZ最新刊!
 阿鼻叫喚の「大阪編」もそろそろクライマックス
 延々と続く地獄絵図にしばし呆然の23巻です。

過去感想→1〜3 , 4〜6 , 7〜9 , 10〜12 , 13〜15 , 16〜18 , 19 , 20 , 21 , 22

ネタバレ注意!



 ひたすら猛威を振るう妖怪軍団
 最初は景気の良かった大阪GANTZチームも徐々に旗色を悪くし、次々とメンバーを欠いてゆく。
 果てを知らない殺戮劇に、だんだん読んでいるこちらまで戦意喪失しそうになる、そんなつらく容赦のない23巻。
 凄惨無残でヘヴィーな一冊ですが、そんななかで奥先生の筆致は冴えまくり。
 縦横無尽な表現力に舌を巻きます。


 主人公不在の冒頭部分ですが、大阪の新キャラ、メガネのヘタレっぽい少年がいい味だしてるじゃないですか。
 鼻水たらしながら、最後は勇気をふりしぼって「ぬらりひょん光線」を武器に牛鬼に立ち向かう!
 まぁかなわかなったけど、それでもカッコよかったじゃないですか。
 なんとなく、昔の玄野とかぶさりましたよ。
 案外、こういうヘタレ君のほうが最後まで生き残ったりするのかもしれませんね。
 今後レギュラーでしょうか。
 がんばれメガネ君!

 しかし、メガネ君ってば口の中とか鼻の中とか、虫に入られまくりですな(笑)。
 このあたり、既に妖怪百鬼夜行というよりベルセルクの魑魅魍魎渦巻く「蝕」って感じですね。
 オゾオゾッとしたモンスターデザインがすばらしい。


 大阪チームのポイントゲッター岡八郎と思われる巨大な姿が牛鬼を圧倒。
 これは巨大化したバトルスーツ!?
 いや、というより、シルエットのメカメカしさからすると、むしろモビルスーツでしょうか!?
 さすがは7回クリアというべきか。
 武器のスケールが違います。
 ちゅーか、いったいGANTZどこまでいくんだ! って感じで、このスケールの違いには東京チーム唖然とするしかないでしょうね。
 大阪編に来て、つきつけられてきた命題がここへきて真正面からぶつかってきた感じです。
 無力感。
 東京チームの、今までの戦いはいったいなんだったのか。
 玄野たちと一緒に頑張って、壮絶な戦いを生き残ってきた結束とか、あの涙の別れとか。
 大切だと信じてこれまでやってきたことは、まったく価値のないものだったのか。
 もしかして自分達のやってきたことって、子供のお遊びみたいなものだったのかって、そんな疑問が湧いてきちゃってもおかしくないでしょう。
 まさにカルチャー・ショック。
 あの19巻の感動に、「大切なものを持つものこそ強い」「仲間を思うことこそ大事」というのがGANTZの大原則だと信じた私としても、この事態には戸惑わざるを得ません。
 結束や、愛があったところで、これだけのスケール差には敵わない、何の役にも立たないのではないのか?
 今までの認識が足元から崩れてゆきそうな感じです。
 このあたり、奥先生のてのひらで踊らされているって感じがして、実に楽しいのですけどね(笑)。


 そしてついに自衛隊介入
 よく見ると戦車まで投入しています。
 しかし残念、まったく役に立っていません。
 この程度の自衛隊戦力では、それこそ仏像星人編くらいまでならなんとか役に立ったでしょうけれども、今となっては箸にも棒にもひっかかりませんね。
 それこそ爆撃機でも出して、大阪ごと焼き払うくらいの覚悟でないとね〜。
 もう警察も自衛隊も頼れない。頼れるのはGANTZだけということでしょうね。
 あとは、やっぱり最終手段「核兵器」ドーン!(爆)
 B級ホラー映画じゃないんだから、そんなラストだけはご勘弁を!


 忘れられてた主人公登場!

「公安直属の部隊だ!!
 部隊名はGANTZ!!」


 かっこえーーッ!!
 しかもそのハッタリがまったく通用してないところがまた(笑)。
 そんな加藤にまた惚れます(笑)。

 自衛隊にかこまれた加藤らを救う形になったのは、「天狗」「犬神」
 次々と屠られてゆく自衛隊員。
 そして加藤の「捕縛銃」が破られる!
 なんと捕縛銃の光のワイヤーを力で破るとは。天狗恐るべし。
 星人であろうと、殺すことにためらいをおぼえる加藤にとっての、捕縛銃はアイデンティティーだったわけですよね。
 凄惨な戦いのなかでも己を見失わない加藤にとってのポリシーだったはずです。
 その銃の敗北と、追い詰められた絶望が同時に来る。
 天狗と犬神に挟まれて、ただただ無力に立ち尽くすだけの加藤が哀れ。
 ホント、らしくないくらいに呆然。玄野だったら最後まであがいたはずです。
 この瞬間、加藤の中でポリシーとか色んなものが敗北したのかもしれませんね。
 ここを生き残ったら、加藤はどこか変わっているのかもしれません。
 いきなり大型の武器に走ったりしたら幻滅かもしれませんが、それでも今までどおりとはいかないのじゃないですかね。
 それでもあくまで捕縛銃にこだわるようだったら、さすがは加藤ってところですが(笑)。
 加藤の今後に期待。


 さて、大阪のターン。
 最強メンバーの大活躍!……かと思いきや、あれれ―――ッ!?
 ノブヤン死亡ッ!?
 いや、まだ息はあるのか?
 なんとか天狗も犬神も倒しましたが、旗色悪すぎ。
 これには加藤、

「もしかして……俺らが……
 東京チームが来た意味……」


 と、何かに気づき始めますが、そんなことは読者は最初から気づいていたぞ!
 敵が強すぎるからに決まっておろーが!!
 なぜにそれを今まで誰も言い出さない!!
 大阪チームの居丈高な物言いと態度、玄野・和泉を失った東京チームが尻込みしていたというのが大きいとは思いますが、それにしても今頃まで気づけないのかと、それがもどかしいじゃないですか。
 このスケールのあまりに違う戦いに、もうちょっと早くその辺を勘付いて欲しかった。
 さすがに大阪チームは無理でも、東京チームの誰かは気づいて欲しかった。

 また、敵が強すぎるから応援として派遣された、という意味以外にも、お互いに刺激を受けて欲しかったというGANTZの意図もあるかもしれませんね。

 東京チームは、あきらかに戦力不足
 いかに結束が強かろうと、今回のようなそれを上回る敵が出てきてしまえばあっけなく潰される。
 ならばその大切な人たちを守るためにも、強力な武器は手に入れていなければならない。
 ベテラン達の強力な武器を見せて刺激を与えるために、今回の大阪派遣があったのかもしれません。

 また、大阪チームにとっては、あきらかにチームワーク不足
 俺が俺がと、個人の戦果だけにこだわって、連携プレーしていればあきらかに簡単に倒せたはずの天狗と犬神に大苦戦。
 たとえば、二人が「圧殺銃」で敵2匹の足を止め、その間に一人が「Xガン」「刀」で頭部を破壊するなりすれば、いともたやすく倒せたはずです。
 犠牲者を出したのは一にも二にも結束不足。
 これではいかに一人一人は強くなっても、チームとしては成長してゆきません。
 個対個の戦いには強くても、格上には絶対勝てないチームになってしまいます。

 このお互いに片手落ちのチームを、お互いに見せ合うことで刺激を与え合って、よりよいチームとしたかったというのが、「GANTZの意思」なのではないでしょうか。
 「GANTZ」と呼ばれる存在は、ここまでは非人間的で無機質で、意思などないように見えてきましたが、今回のこの措置にはそういった「意図」が見え隠れしているように思えます。
 いつかこの「GANTZ」という存在に近づける日は来るのでしょうか。


 そしてようやっと動き出すぬらりひょん御大。
 天狗も犬神も、頭部を破壊されたことで動きを止めたというのに、ぬらりひょんは切断された頚部を修復することから始まっている。
 この光景はまさに絶望。
 格が違いすぎる。
 そこに一瞬で気づく島木と桑原もさすが。

 大阪チームもここではじめて「ふたりがかり」
 なんだ、やれるじゃん!
 天狗や犬神では、結局ナメ切って戦ってるわけね。
 そのナメて戦うのがよくないのだよ。
 しかし、即席タッグも息が揃わず。
 桑原がヤル気なしで、かたや島木は桑原の呼吸をまったく見ていない。
 これはダメだ。
 いや、そもそもぬらりひょんにはこの二人では敵いそうにないわけだけども。
 そして最後は島木が「おっぱい山」にうずもれる!!(爆)
 しあわせそー! じゃなかったオソロシーーッ!!
 島木もこれで死にそうですね〜。


 しかしどうなるんだGANTZ。
 どうやったらこんな敵倒せるんだ。
 変幻自在で斬っても爆破してもダメ。
 もしかしてこれ、本体じゃなくて「幻影」だったりするんじゃないでしょうか。
 どこか別にぬらりひょん本体がいて、そこから操っているのでは?
 あ、いや、スカウターで100ポイントって出ていたから本体でいいのか。
 うーん、あまりに強すぎて途方もないですな〜。
 しかし、このぬらりを倒したとしても、次のGANTZのゲームではこれより強い敵がまた出てくるんでしょうしね〜。
 恐ろしい。
 次の敵は150ポイントとか、そんなんなっちゃうんでしょうか!
 そのうちザコ敵まで100超えてきちゃったらどんなんなっちゃうんだか。
 恐ろしいったらありゃしない。


 オマケの妖怪解説がちょっと面白かった。
 かまいたちだとばっかり思っていたヤツが「網剪(あみきり)」とか、知らなんだ。
 天狗とコンビ組んでる中ボスは、安倍晴明かと思ってたんですが、犬神様でしたか太陽編ね!
 清明はお母さんが狐っていう話があるくらいなんで、てっきりそう信じてて、「術」でも使ってくるんではないかと信じてました(笑)。清明さんを妖怪にしたら怒られるか(笑)。


 いやいやヘヴィーな一冊でした。
 あまりにヘヴィーで、そろそろ読者としても耐久力がもたなくなってきそう。
 奥先生、次あたりで大阪編に決着つけてください!
 あまりに地獄絵図で息がもたないッス!
 でもそんな読者の反応を見て、奥先生ニヘラって笑ってそうなんだけど(笑)。
 阿鼻叫喚のGANTZの、明日はどっちだ!?



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posted by BOSS at 21:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
凄い!

オマケは妖怪の解説と新しい術ですか?

バイ
Posted by ガンダム at 2008年05月25日 03:14
 外人さんかな?
 こんにちは。

 オマケは5ページ。
 妖怪の解説です。

 術はありません。
Posted by BOSS at 2008年05月25日 18:51
はい!

ペルー人です

どうもありがとうございます!
Posted by ガンダム at 2008年05月25日 21:58
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