政治や歴史にはあまり詳しくない私なりに感じたことを記してみます。
北京オリンピックを目前に控え、世界の注目が中国に集まる今、チベットの人々にとってはまさに千載一遇の機会をとらえての暴動のはずです。
彼らが世界に対して独立を主張したり、人権侵害を正式に主張したわけではありませんが、そう見て間違いなさそうです。
長年の中国の政策により、チベット仏教の信仰は抑圧され、混血政策によってチベット人の中に漢民族の血が流れ込み、都市部の経済主要地域は漢民族によって牛耳られる現状があると聞きます。
2006年に、中国西部の青海省西寧とチベット自治区首府ラサ間を繋いだ青蔵鉄道が運んできた観光ブームも、恩恵を受けたその多くは流入してきた漢民族だったということで、あからさまな支配体制にチベット人たちの不満は爆発寸前だったと言います。
私は勉強不足でこういったことも暴動発生後に知ったものですから、暴動が起こったと聞いたときには驚いてしまいました。
チベット人といえば、温厚な仏教徒というイメージだったものですから、なんでそんなチベット人たちが過激なことをしたんだと、イメージのギャップに驚いたのです。
この一連の暴動に対し中国政府は、報道官制をしき、外国人の立ち入りを禁じて制圧に踏み切りました。
中国政府の発表では、軍隊は実質的には動かず、警察が主となって、殺傷力の高い武器の使用も極力抑えてデモ隊を制圧したと言います。
しかし実際はかなり違った様相だったのではないかと、そう思わせる証言が無事帰国した日本人旅行者の口などから漏れ出ていますね。
戦車が走り、銃撃音が鳴り響き、数十人の死者と100名以上の怪我人、そして数百から1000以上の逮捕者、行方不明者が出たといいます。
さらには衛星からの映像を見る限り、路上には700以上の死体が転がっていたとの話もあります。
衛星写真では Google Eearth よりもさらに精密度の高い、それこそそこに転がっている人が生きているのか死んでいるのかも判別できるくらいのモノが撮れてしまうのだとか。
それもしかし凄い話ですが。
このへん、実際チベットがどうなっているのかは、中国が外国の報道機関を完全にシャットアウトした現状ではわかりようがありません。
各国の旅行者から写真やケータイ動画が流出し始めましたが、そういったものを集めても全体像は想像するしかないのです。
今後のチベットがどうなってしまうのか、実に懸念される事態ですが、では、当事者達はいったい「どうしたい」のでしょうか。
まずはチベットの今暴動をしている人々ですが、彼らが求めているのは「独立」。
不満をぶちまけて世界に理解を求め、世界が中国に圧力をかけてくれる事を願っているのでしょう。
ほぼ同様に、インド側ダラムサラに亡命した亡命チベット人組織も同じ意見のはずです。
今をおいて、彼らは世界に叫ぶ機会はないと考えているのでしょう。
ただ、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は、以上二つの勢力とは切り離して考えたほうがよいでしょう。
終始一貫して「高度な自治」を求め、中国とは平和裏に話し合いで解決を求めようとしているダライ・ラマは、「独立」は現実的には不可能であると考えているようです。
今ダライ・ラマは、中国政府とチベット人の間で辛い板ばさみ状態になっているのではないでしょうか。
中国政府はというと、オリンピックを前に大々的な武力制圧をしてしまうと国際的な波紋が大きすぎてできないものの、チベットという地理的に孤立した場所であることをいいことに、報道官制をしいて秘密裏にこれを制圧しようとしています。
このエントリーをしているちょうど今、「人民解放軍2万を投入」という情報が入ってきました。
中国と言う国の物凄い強硬姿勢が伝わってくるニュースです。
またこれと同時に、ダライ・ラマをしてチベット人を裏で扇動していると名指しで非難しています。
少々強引に聞こえてしまうこの非難は、あくまで暴動をテロと同列の非道な破壊活動として否定し、あくまで中国を文化の擁護者であると主張するものでしょう。
しかし、あくまで私の穿った見方なのですが、この非難の裏側には中国政府のもうひとつの意思があるのではないかと思うのです。
中国の真意は、ダライ・ラマにチベット代表としてチベット人の意思をまとめさせ、何らかの交渉に引きずり出す所にあるのではないでしょうか。
実際には交渉を行う必要は、中国側にはまったくないでしょう。
また、ダライ・ラマが実際にチベットの意思をまとめられなかったとしても問題なしでしょう。
重要なのは、オリンピックを控え、「中国政府が平和的に交渉をしようとした」という事実だけがあればよいのです。
それだけで、中国は「オリンピック開催国として相応しい文化的な大国」という銘柄を手に入れることができます。
それこそが、今の中国の狙いなのではないかと思うのです。
交渉に入ったりすれば、結果はどうあれ各国はそれこそ拍手喝さいすら送ることでしょう。
あとはオリンピックが終わるまで交渉を長引かせるなり、日程をのびのびにさせるなりすればよいのです。
オリンピックが終わってしまえば、中国はどのような強行手段も取ることができます。
それこそ世界の関心は中東やアメリカ大統領選挙など、まったく別のところに移っているはずですから、あっというまに人民解放軍を導入してチベット人を沈黙させてしまうでしょう。
たとえ周辺国がそれを非難したところで中国は痛くも痒くもありません。
現状でも、中国を指弾するカードは唯一「オリンピック」しかないのです。
オリンピックのボイコットという脅しがなくなったオリンピック後は、中国と言う国に対して強い意見を言える国はなくなっているのです。
あるいは現在でもそんな国はないのかもしれませんが。
オリンピック終了後は、逆に中国は「中国はオリンピックを開催した国である」という印籠を持つことになり、より強気に内外に当たれると考えているのではないでしょうか。
オリンピック終了後、はたして日本も含め各国がチベット問題に関心を持ち続けているかどうか、そしてどうそれにあたっていけるのか、ちょっと見物なんじゃないだろうかと思うのです。
チベットの未来は非常に暗いように思えてなりません。
それにしても中国は強気ですね。
スーダンで恐ろしい大虐殺が繰り広げられたダルフール問題にしても、つっこまれても平気の平左。
スーダンに武器を輸出しているのは中国だけではないし、最も武器を提供している国は中国ではないと堂々と言ってのけます。
確かに言っていることは正しいのでしょうが、最も兵士達の主要武器となる小銃に限れば、その90%を提供しているのが中国なのだとか。
スーダンの石油欲しさに相手構わず支援したと見られても仕方のないことです。
こういったところからもわかるように、中国は国際社会での「評判」や「人気」などに、これっぽっちも関心がないのです。
関心どころか、意味も価値もないと考えているのではないでしょうか。
中国政府が関心を持ち、もっともその力を信用しているのは短絡的には「金」です。
飛躍的に経済力を伸ばし、中東やアフリカの石油利権に新たな波紋を呼び起こし、国家ファンドが各国の経済に食いいっている中国は、極論を言ってみれば金と資源の力で「戦争」を仕掛けているのです。
その目的は、欧米各国を蹴落として世界のトップに君臨すること。
いわば世界支配です。
夢物語ではなく、中国はそのために必死に努力し、なりふり構わず見えない「戦争」を仕掛けているのです。
そうやって周辺国の弱みを掴み、巨大な利権を掌握して、世界にぐうの音もださせないほど確固たる地位を手に入れてしまえば、「評判」や「人気」などは何の意味もないのです。
日本が毒餃子事件に怒り、ちょっとした不買運動がはじまったところで、中国は痛くも痒くもありません。
むしろ中国食品がなければ、餓死するのは日本という覆せない現状があるからです。
我々が知らないうちに、日本の食事事情は中国に占領されていたようなものなのです。
中国は決しておとなしい隣人ではありません。
おっとりした日本人が、平和的な隣人と外交しているつもりで中国という国に当たれば、覚悟と胆力の差で粉砕されるのは必然というものです。
一応、チャチながらも私の意見を述べさせていただきます。
代案なき批判は私はあまり好きではないからです。
私は、日本も「戦争」するような強気の姿勢で中国に当たれと言っているのではありません。
逆に、戦争しないためにこそ、資源や金融などを戦略的に考えた着眼点で、なおかつ「評判」と「人気」も大事に中国と付き合ってゆく姿勢が必要なのだと思うのです。
戦略的観点をしっかり持ち、「評判」と「人気」を兼ね備える事ができるのは日本であるはずです。
今ズタボロで経済も政治も3流以下の日本では不可能ですが。
なにより必要不可欠なのは、周辺国との協力です。
アジア、オセアニア、中東はじめ、日本が資源や食品を頼るこれらの国々なくして日本は一日としてなりたたないのですから。
中国という巨大な力に対抗するには、小さな力でも結集して一致団結する力が必要です。
アメリカ主導の外交路線から離れ、日本独自のしっかりとした周辺国との連携路線こそが、今もっとも日本がやらなければならない戦略なのではないでしょうか。
そのための「戦略眼」と「評判」、「人気」であり、それらに根ざした「信頼」の構築こそが必要だと思うのです。
いやぁしかし、長々と書いておきながらチャチな意見で申し訳ない。
もっと勉強して気の効いたこと言えるようにならんとダメですな。
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