2008年02月21日

コミック感想 金剛番長 VOLUME 1

 鈴木央先生の最新作。
 ゴルフのライジングインパクト、フィギュアスケートのブリザードアクセルときて、今度は何かと思いきや、なんと「番長バトルもの」!!
 その破天荒な内容がネットでかなり話題になっていたので、単行本化を待ちに待っておりました!



 「番長」などという言葉もギャグにしかならない現在の東京に、突如現れた雲つく巨漢・金剛晄(あきら)
 彼の時代錯誤な格好と何者をも恐れぬ大物っぷりに、周囲のものは慌てたり、驚愕したり、または我知らず惹かれるものを感じたり。
 転校初日から騒動に巻き込まれまくる金剛だったが、持ち前の人間離れしたタフさと破壊力で歯牙にもかけぬ勢い。
 そんな金剛はある男を捜していた。
 その男は今、東京23区を舞台とした、ある「計画」にかかわっているらしく、金剛はそれを阻止しようとしていたのだ。
 今、東京23区の覇権をかけ、ひいては日本の未来をかけた番長大戦争時代が始まろうとしていた。


 まぁこのあらすじをひと目見て分かるとおり、笑っちゃうくらい馬鹿馬鹿しくも荒唐無稽な作品です。
 まずもう見た目から何から何まで、いい意味で馬鹿らしくて最高。
 ビルの上から落ちてきた無数の鉄骨を生身で受け止めて無傷とか、ヤクザにドス10本以上刺されても筋肉だけで折り取っちゃうとか、もうギャグとしか思えない。
 しかしこれがカッコイイ!
 下らないと頭では分かっていても、カッコイイといわずにおられない!
 全編素晴らしくハッタリと誇張が効いています。

 「Ultra Red」で快感なくらい見せてくれた、鈴木央先生お得意の「トンデモバトル」がこれから始まるなと、しょっぱなからワクワクゲージがガンガン上がります。
 ばっちょ先生はアクションやら表情やら、激しい誇張がとても魅力的ですからね〜。
 これはいい題材を得たのではないでしょうか。


 金剛のキャラクターがまた古臭くていい。
 ひと昔前の漫画からそのまんま飛び出てきたような、時代ハズレの「漢」っぷり。
 多くは語らず、最後の最後で一言で〆る語り口。
 どんな敵にもひるまず、どんな権力にも屈っしない破格の器。
 女子供に優しく、スジを通さないものに我慢がならない心意気。
 かといって悪人にも一片の救いを見出せば、情けを見せる深い度量。
 あまりに凶悪な面相と硬派なオーラに男はビクビクですが、ひとたびその優しさに触れれば女はメロメロ。
 なんというか気持ちいいくらいのド直球なキャラクターです。
 それこそ「魁!!男塾」にでも出てきたらそのまんま馴染んでしまいそうな「漢」なんですが、まわりのキャラクターが普通の現代人なもんだから素晴らしいギャップと爽快感がありますね。

 おそらく「男塾」との作品としての相似性がかなり指摘されることでしょう。
 これからの作品の方向性が「番長同士の異種格闘技戦」になっていくようですからなおさらです。
 しかし、そこはそれ、ばっちょ先生の得意技が炸裂すると思うのですよ。

 いわゆるラブコメ&純愛路線
 数々のヒロインを投入し、こっぱずかしいくらい初々しい恋愛模様が展開されたあのライパクが、私は大好きだったのですよ(爆)。
 その点では初登場からして金剛第一の目撃者となったヒロイン、桜陽菜子(さくら ひなこ)がかなり有望視。
 金剛も陽菜子のことを、さして言うほど変でもないのに「変な女」呼ばわりしたりして、これは潜在的な恋愛フラグでしょうか?w
 ケータイ好きのイマドキ女子高生と古風なバンカラ番長、なかなかいい組み合わせじゃないですか。


 敵キャラクターも型破りで素晴らしい。
 「居合番長」こと桐雨刀也の、必殺技を繰り出すたびに背景に出る毛筆の短歌がたまらない。
 で、その短歌をもういちどわかりやすく口で解説する桐雨も丁寧でかわいいしw
 負けて千代田区の番長の座を金剛に明け渡しましたが、引き際があっさりだったのでちょっと意外。
 ライパクのランスロットにそっくりだし、終生のライバル的存在になるのかと思ってましたわ。
 思い込み思い込み。
 いやでも、なんだかこれっきりではもったいないくらいのいいキャラですよね。

 次なる舞台、墨田区の敵「念仏番長」がまた最高に馬鹿キャラで素晴らしい!
 校長が朝礼台に立つと、なんか生徒がみんなブツブツ言っている。
 校長、やる気なく下を向いていた顔を正面に向ける。
 しかしそれはブツブツではなく・・・・・・

「仏仏仏仏仏仏仏仏仏仏」

 全員ことごとく頭を丸めて念仏を唱えている!!
 どこから出てきた発想なんだそれ!!
 なんかもう、この破壊力だけで2巻購入は決定されたわけですが(爆)。


 また、必殺技、

「打舞流叛魔(ダブルハンマ)――ッ!!!」

 は笑うしかない!
 馬鹿馬鹿しくって笑っちゃうんだけど、しかしどっかでマジに爽快感を感じてしまうわけでw
 この作品通して貫かれる馬鹿馬鹿しい爽快感、しょっぱなから最高潮に常識をブチ破ってくれましたが、はたしてこれからどんな漫画になってゆくのか、とっても楽しみになっちゃいました。
 これはなんだか凄い漫画が始まっちゃったな〜という予感がヒシヒシと!


posted by BOSS at 23:05| Comment(0) | TrackBack(1) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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