前回長い長い旅を終え、ついにパロに到着したグイン一行。
今回はパロでどんな事件が待っているのでしょうか。
ネタバレ注意!
過去感想→115 , 116 , 117 , 118
外伝感想→21
前回グインへの気持ちに目覚めてしまったリンダでしたが、今回は特に進展なし。
ちょっと残念ですが、それとなく積極的になっているようなムードがあるのが面白いですね。
しかしまぁ、それこそ禁断の愛ですからねぇ。
頑張ったところでこれ以上こじれようのないグインとシルヴィアとの関係が、さらにこじれてしまう、なんてことにもなりかねませんw
一方マリウス。
事ここにいたっても未だにグジグジと言うのをやめません。
結局のところマリウスは王太子になるのもイヤだし、相談役としてクリスタルに逗留するのもイヤだと、心を決めているわけじゃないですか。
彼は迷ってなんかいないんです。
ならばグインに相談するもしないもない。とっとと脱出してしまえばいい。
それをしないのはどうせヴァレリウスに止められるからと、最初から無理だとマリウスもわかっているんですよね。
ならばハラを括るか、またはなんとしてでもヴァレリウスらを説得するか、あるいはグインにヴァレリウスらを説得してもらうかするしかない。
それが出来なければいよいよ心を入れ替え、ハラをくくるしかないんですけどね〜。
そうやって実際的に考えることが出来ないのがまぁマリウスのマリウスたるところなんですけれども。
いやぁそれは分かってはいるんですけれどもね。どうもここのところマリウスのいい面がなかなか見えず、身勝手な悪い面ばっかりが表に出てきてしまうのがイライラしちゃいますね。
ええい、シャキッとせんかい!ってねw
また今回ちょっと残念だったのがフロリーとスーティの出番がまったくなかったことですね。
前回の私的目玉が「けっこんしゅる? おねたん、しゅーたんとけっこんしゅるか?」だっただけに、ほほえましいスーティと大人の面々というのは見てみたかった。
とくにハゾスやトールらとの対面は今後ありそうなのでそれが楽しみですね。
そしてあっという間にケイロニア軍団到着。
いやぁさすがはケイロニア、やることが早い。
そしてハゾスのなんと有能なことか。
打てば響くようなハゾスの反応が見ていてなんとも心地いい。
超大国のなるべくしてなった宰相ってのはやっぱりこうでないといけないんでしょう。
登場以来あまり活躍のなかったハゾスですけど、こいつにまかせておけば安心っていうこの状況は、もしかするとカッコいい初の活躍場面ですかね。
記憶を失ったグインと彼らのやりとりを見ていると、今までの苦悩がバカらしくなってくるほど安心できます。
ああ、こいつらとグインならきっとうまくやっていける。どんなことがあってもケイロニアを束ねていけるっていう安堵感が大きいです。
案ずるより産むがヤスシ君です。
ところで111ページの挿絵がちょっとショック。
トールは天野喜孝さんの絵のイメージが強くて、骨格はしっかりしているんだけど、背の高いスラッと痩せた悪党面という印象があったんですよね。なんかちょっとメタボっぽくなってしまった(爆)。
しかしそれ以上に意外だったのがゼノン!
すっかりドズル閣下じゃないですか(爆)(爆)。
もしかすると私の勝手な印象だったんですけど、ゼノンは筋骨隆々でデカブツだけど、ベビーフェイスでちょっと愛嬌があるって、ずっと思い込んでいたんですけど!
いやぁ崩された崩された!
私の中ではもうすっかりドズル閣下です。
安彦版ガンダムオリジンじゃドズル閣下涙もろいですしね。ピッタリ嵌りそうですw
ヨナの口から今明かされる、アルド・ナリスの悪行・・・・・・じゃなかった、古代機械研究の暗黒部分。
近距離の転送は成功したが、遠距離転送したものは肉塊になりはてたり、はたまた転送前に焼き殺されたり。
まぁ囚人や志願者を使って人体実験の一つもしているくらいのほのめかしはありましたけど、まさか遠距離転送が実質不可能なものだったとは。
ちょっと驚きですね。
『ザ・フライ』どころじゃないですよ。
じゃぁ逆になんで遠距離転送をやったグインやリンダ、レムスは安全だったんだということになりますが、それは血筋ってことですかね。
青い血っていうのは王家の純粋な血筋という比喩的なものではなく、実は本当に宇宙からきた一族の血筋だったとか。
とすると、古代機械を奪い合っての陰謀合戦、実はほとんど意味を持たない空しいものだった、なんてなことになりかねませんよね。
ヤンダル・ゾッグに使わせたら、一発で死亡していた、なんてことにもなりかねない。
いや、ヤツは少なくともこの星出身じゃないから大丈夫なのかもしれないけど。
グラチウスあたりが使ったら死亡確定じゃないのかなw
いやまぁ魔道師連中が古代機械を欲しがるのはそれを使いたいからじゃなくって、謎を解明し、パワーの源にしたり、宇宙の根源に迫りたいからってことなんでしょうから、依然として古代機械はそういった連中の羨望の眼差しの的なんでしょう。
そしてついに、グインの記憶蘇る!!
これは驚きました。
古代機械に触れたらなんか起こるかな?くらいには思っていましたが、まさかここで一気に蘇るとは!
それもパロ内戦以降の記憶と引き換えとは!!
つまりは1巻〜7、80巻の記憶は戻ってきたけど、逆にそれ以後、40巻分以上の記憶を失ったということに。
いやぁなんというか、正直脱力というか落胆というか、なんとも悲しいことです。
グインのあまりの不幸さが憐れでなりません。
それもグイン自身がまた記憶を失っただけに、失った痛みを感じられてないというのが憐れを誘います。
ヨナの感慨ももっとも。
この仕打ちがアウラによるものだとするならば、まさにいつかはグインはアウラを倒しに行かなければ。
しかしまぁ、ルードの森以降の記憶が帰ってきたというのにはひとまず安心。
これでケイロニアでの王としての政務には支障ないですし、まわりの人たちとの関係も円満・・・・・・ごく一人を除けばですが。
だいたいこれで上手く行きそうです。
悲しいのはスーティ、フロリー、そしてブランのことですね。
彼らの記憶を失ってしまったのがとても悲しい。
フロリーはまだしも、スーティですね。
スーティじゃ、まだまだグインが記憶を失ってしまったなんてこと理解できないでしょうし・・・いや、あの聡明な子だけに理解しちゃうのか? いやいやそれも怖いなぁw
また、ブランとの友情も忘れてしまったのかとこれまた残念。
スーティのことをこよなく愛していたということは、誰の目にも明らかですから、周りがグインにそれを告げることも出来ますが、ブランとの友情に関しては、誰もそれをグインに教えてあげることすら敵わないと思うんですよ。
ブランとグインの会話って、だいたい誰も聞いていないところで行われてましたからね。
斬りかかろうとするブランにあえてグインが背を向けた場面も、剣の誓いも、誰も目にしていないわけです。
魔法で監視していたヴァレリウスがそれを話すいわれもないわけですし。逆に話したくもないでしょう。
それから、グインとあれだけの死闘を繰り広げたガンダルとのことも忘れてしまったのかと思うと、なんだかハラワタが煮えくり返る思いがします。
ガンダルの真の生き様を心に刻んだグイン。また心に刻んでもらうことで「よい生であった」と満足して死んだガンダルのためにも、この記憶喪失はあまりに痛い。
そもそも作者がこよなく愛したアルド・ナリスの死をみとったあのシーンすら忘却のかなたというのがあなた、凄いじゃありませんか!
そして、イシュトヴァーンとのあれこれや、スカールや風の騎士、マーロール、青のドーカスとのあれこれについてもすべてスッポ抜けてしまったのかと思うと唖然とせざるを得ません。
あまりにあまりな仕打ちと言わざるを得ません。
改めて、記憶というものの大切さを思い知った気分です。
記憶とはその人自身の大きな一部であると同時に、触れ合った人間の存在のひとつの証でもあったりする。
それをなんの都合だか知りませんが、勝手な都合で操作されてしまうことのなんという腹立たしさか。
これほどに人間として蹂躙された屈辱を感じることもそうはないかもしれません。
物理的な虐待を受けても、心は自由でいられます。
しかし記憶を好き勝手にいじられては、その心が何が自由で何が不自由なのかも感じられません。
これはグイン当人の代わりに読者が怒るべき場面だと思うのです。
なんというか、身も蓋もない言い方をするならば、「オレの40巻分読んだ労力を返せ!」ってヤツですな(爆)。
それは冗談として、しかしまぁ、グインを「修正」した機械の言葉は、謎を解いたようでまたまた謎だらけでしたね。
記憶喪失はやはり「でーたばんくノめもりノ破損」だったようで、転送事故が原因のようです。
ただ気になるのが「《らんどっく》母星ヨリ、第五次ノ修正ノ命令ニ該当スルでーた・こんとろーるヲ(後略)」というところ。
「第五次」というのがランドックからの「指令の種類」を言うものなのか、それとも少なくとも「5回の修正」が行われたということなのか、ここが気になります。
もし「永遠への飛翔」における障害を「第五次」の修正と言うならば、順番に考えてルードの森に現れたときが「第四次」。
つまりはグインはルードの森以前に3回はどこかに転送された過去があるということになってしまいます。
謎は深まるばかりです。
そして私が注目したのは、グインの脳のことを「ふぁいふぁ・ぶれーん」と言っているところ。
「ファイファ・ブレーン」というのは見覚えがありませんが、「ファイファ・システム」というのが、星船に搭載されたコンピュータの名称として出てきていましたね。
また、「新・魔界水滸伝」にも同じものが登場します。
共通して、超科学文明が作り出した擬似的な自我を持ったコンピュータという印象を受けます。
つまり、これは、グインってロボット!?
あまりによくできていて自身でもそうわからないし、あまりに人間的だけど、実は人工生命体だった!?
いやぁ今までの展開考えると、充分にありそうなんですよねぇ〜。
必要になるとその知識がどこからか降って沸いてきたりするところは、いかにもデータをダウンロードしてきたような感じですし。
むー、グイン・ロボか〜。
そのうち目からビームとか出ないとも限りませんな(爆)。
さて次の120巻では、グインついにケイロニアへの帰還を果たすのでしょうか。
天狼星通信では、タイトルは「旅立つマリニア」。
大帝アキレウスの容態は?とか、マリニアちゃんのはどうして旅立っちゃうの?とかまぁ色々ありますが、まず何より気になる事は、ハゾスが思わせぶりにほのめかして口を濁すシルヴィア!
さぁ彼女がいったいどんなんなっちゃってるのか、それが何より気になるところです。
それこそグインがフロリーとスーティを連れ帰ったのを見たりしたら、シルヴィアがどんな反応をするのか恐ろしくてしょうがない。
そもそもそのフロリーとスーティの記憶を失っているというのがまたタチが悪すぎる!
シルヴィアが「こんな女と浮気してたのね!」なんて言ってきたりしたら言い逃れようったってその記憶がないからどうしょうもない。
「いや、俺はそんなことはせぬ」と言ったところで、記憶を失ってるわけだからシルヴィアだって信用できるわけがない。
これはグインとんでもないピンチに陥りましたねぇ〜。
グインには気の毒ですが、不謹慎ながらもこれはかなり楽しみです(爆)。
しかし心配なのは栗本薫先生の御身体ですね。
前回のあとがきでは知りませんでしたが、その後いろいろなところで「栗本先生、大手術したらしいぞ?」という情報を耳にして、かなりビックリしたものです。
神楽坂倶楽部の経過報告によると、術後の経過も順調のようですが、くれぐれも無理をならさらいようお願いしたいものです。
あとがきじゃ、「スーティが大きくなるまでは、どうあってももたないかなあ」なんて弱気なコトをおっしゃってますが、早く元気で強気な栗本先生に戻って欲しいものです。
術後五年生存率が40%というのもかなりドキドキさせられますね。
しかし、同じ手術をした人のなかでもかなり悪運が強く、元気なほうというお医者様の話ですので、大丈夫だと信じていますよ。
なにせ全国数十万のファンが続きを待ち望んでいるのですから。
その祈りはとてつもないパワーだと思うのですよ。
とりあえずホント、人間無理はいかんです。
そう思います。
しばらくはくれぐれもお大事に、ですね。
本当に最終巻、豹頭の花嫁が読めるのか気になる所ですが、まずは少しでも元気を取り戻してもらわねば。(年長グインファンの方が多いですが地底離宮さんでなごんでいます)
いきなりあやまられてしまって恐縮です(笑)。
なかなか身の回りにグイン・ファンっていないもんですよね。
一昔前は10冊くらい古本屋で買ってきて友人にプレゼントして布教、なんて荒業もやってたんですが、今の冊数ではそれも気が引けてしまって布教活動もとどこおっております。
栗本先生はそんじょそこらにはない強運の持ち主ですから、きっと大丈夫だと信じてますよ。
また闘病生活もお辛いでしょうけど、頑張ってほしいですね。
地底離宮さん今ちょっと覗いてきました。面白そうな所ですね〜。いやぁ知りませんでした。
あとで楽しませていただきますね。