ジャッキー・チェンが赤ちゃんを守って大暴れ!
めまぐるしいアクションを楽しみ、ジョークに笑ったあとは赤ちゃんの素敵なスマイルに思わず感動。
アクション、駄洒落、涙とてんこもりですが、なにより最強なのは赤ちゃんの笑顔なのです!
サンダル(ジャッキー・チェン)とフリーパス(ルイス・クー)は凄腕の泥棒。しかしサンダルは賭博好きで借金、フリーパスは女好きで金を使い果たし、どちらも金に困っていた。そんなところに、二人の泥棒の師匠であるアパートの大家(マイケル・ホイ)が大きな仕事を持ってくる。仕事の内容も聞かずに二つ返事でOKするふたり。ところが、3人そろって盗みに入った大豪邸で、大家は赤ん坊を誘拐してきてしまう。誘拐した赤ん坊を、依頼人であるギャングのボスに引き渡すのが今回の仕事だったのだ。
ところが、その途中大家はスピード違反で警察に捕まってしまう。からくも逃げ出したサンダルとフリーパスは、かかえた赤ん坊をどうすることもできずオタオタするしかなかった。ここにダメ男ふたりと赤ん坊の奇妙な生活が始まる。
「プロジェクトBB」のBBとは「Baby」のこと。
「プロジェクトA」を連想させますが内容は関係はなし。
「赤ちゃん大作戦」くらいの意でしょう。
まずはアクション面はさすがのひとこと。
あいかわらずアイデア、工夫満載で、椅子や小物をつかったアクション、狭い空間内でのめまぐるしいアクションに目を見張るばかり。
「これぞジャッキー」というアクションを楽しめます。
圧巻はアパートの側面を10数階から飛び降りる場面。
エアコン室外機をつたってぴょんぴょんと一階ずつ飛び降りてゆくのですが、これはさすがにCGかと思いきや、NG集を見るとこれ本当にやってるんですね!
さすがはジャッキー、とんでもないことをやってのけます。
この場面、身軽にぴょんぴょんと飛び降りてきて1階に到達するとユン・ピョウが出てきてちょこっと会話するんだけど、ユン・ピョウがセリフをとちってジャッキーが怒るんですね。
「降りてくるの怖いんだぞ!セリフ間違えるなよな〜!」
いや、そもそもそんなシーンを、セリフのミスも当然計算に入れつつやってしまったジャッキーが凄いですって。
配役も面白い。
ルイス・クーは知らなかったですが、いい男のわりにちょっと三枚目が良く似合います。
マイケル・ホイはご存知「Mr.Boo!」。
刑事役はユン・ピョウ。
ありそうでなかなかかないんじゃないでしょうかこんな豪華な顔ぶれ。
で、この映画、素でも充分面白いんですが、日本人なら是非吹き替え版で楽しんでいただきたいのです。
ジャッキーの石丸博也さんは当たり前。というより今となっては本人より本人らしい声とすら思えます。
ユン・ピョウの古谷徹さんも、ゴツイ顔に似合わぬ声ですが、役柄的によく似合う。
しかしなによりマイケル・ホイの広川太一郎さんがすごいのです。
Mr.Boo!がそもそもそういう作品だったのですが、駄洒落、アドリブ満載で次々笑わせてくれます。
たとえマイケル・ホイの口が動いてなくても広川さん怒涛のように喋りまくり。よくもまぁそんなに駄洒落がでてくるなぁと感心してしまうくらい。
オヤジギャグの連発に、最初はオイオイと思っていても、しまいにはそれがクセになって笑ってるのです。
吹き替え、字幕と観比べてみましたが、私は圧倒的に吹き替えのほうが面白かったですよ。
ダメ人間たちが限りなく純粋無垢な赤ちゃんと触れ合うことで徐々に更正してゆくというお話ですが、とにかくこの赤ちゃんがかわいくて説得力満点。
高いところから落ちても猛スピードの車にベビーカーごと引きずりまわされてもとにかく満点スマイル。
なんでこう赤ちゃんの笑顔って破壊力があるんでしょう。
赤ちゃんがまた悲しい顔をすると、まるでこの世の終わりのようで、こちらのほうも悲しくなってしまう。
赤ちゃんを見て触れ合っているだけで、なぜだか自然と自分の深いところと向き合わされる気分になってしまうのです。
次第にサンダルとフリーパスが、それぞれの家族と向き合うように心を入れ替えてゆくというのが、実に「わかる話」なのですね。
アクション娯楽でありますが、ベースが泣けるいいお話なのです。
セリフの随所にジャッキーの映画や関連作を連想させるような言葉が隠されているところもポイント。
「とんだラッシュアワーだな」とか、「ロケットパーンチ!」(声の石丸さん主演・マジンガーZの武器の掛け声)とか、そんなところにちょっとニヤリとさせられるのも小粋なところですね。
ジャッキー映画らしいトンデモシーンとしてラスト、人力電気ショックとかもありますが、それこそジャッキー映画らしい味わいです。
どんなに世界的スターになっても自分らしさを忘れず、こういうトンデモを捨てないジャッキーこそが凄いんだと、私なんかは思うんです。
気楽に笑って泣いてワクワクして、もちろんアクションもハラハラドキドキ。これはジャッキー映画の中でもかなり完成度の高い「気持ちのよい映画」です。