ガザとエジプト境界の壁爆破、住民数万人が流入
【エルアリシュ(エジプト東部)=福島利之】パレスチナ自治区ガザ南部ラファで23日未明、武装集団がエジプトとの境界に設置された壁を爆破、破壊し、イスラエルによるガザ封鎖で困窮生活を強いられている住民数万人がエジプト側に流入した。
ガザ住民の大半は不足している食料品や燃料などを購入した後、ガザに戻っており、大きな混乱は起きていない。
AP通信によると、少なくとも17回の爆発があり、全長約12キロにわたる金属製の壁のうち、3分の2が破壊された。目撃者の話では、爆発の後、ブルドーザーが壁をなぎ倒したという。複数のパレスチナ武装組織が実行したとみられる。
ロイター通信によると、ガザを実効支配しているイスラム原理主義組織ハマスのサミ・アブズフリ幹部は直接の関与を否定したが、ハマスは「爆破は、ガザのパレスチナ人が置かれている悲惨な状況を反映している」との声明を出した。エジプト治安当局は、不測の事態に備え、境界周辺に部隊を増派した。
イスラエルは、ガザからのロケット弾攻撃への報復措置として、検問所を閉鎖し、物資・燃料の搬入を制限。国際社会の非難などを受けて22日に燃料などの一部供給を再開したが、パレスチナ側は「不十分」と反発、ラファなどでは市民による抗議デモなどが行われていた。
(2008年1月24日01時12分 読売新聞)
ガザ地区はヨルダン川西岸地区とあわせてパレスチナ自治区と呼ばれる地域でしたが、2007年6月にイスラム原理主義組織「ハマス」によって支配され、イスラエルを認めない独自路線を進みはじめました。
そのため欧米はハマスを認めず、支援活動をストップさせ、ガザ地区の住民達は困窮を極めてきたための今回のこの流れのようです。
ハマスはこれを自分達は関与いないことだと言っていますが、ちょっとどうだかわかりませんね。
欧米諸国に自分達の窮状を訴えて同情を煽るためのパフォーマンスかもしれませんしね。
住民、ハマス、どちらが先かということではなく、住民達の熱気と、ハマスの利益がタイミングよく合致したということかもしれません。
しかしガザ住民達のなんというパワーでしょう!
数万人が爆煙とともにエジプトに流入していく光景を想像するだけで途方もないエネルギーを感じます。
テロや戦争、ましてや暴動ですらなく、壁を爆破してエジプト流入、そして買い物ですよ。
たいした混乱も起きていないというところが凄い。
もしかするとエジプト側には最初から手引きがあったのかもしれませんね。
そんな穿った考えが浮かんでしまうくらい、突拍子もない事件です。
また、エジプト側で物資を購入したのち、彼らはまたガザ地区へ帰っていったといいますからさらに驚きです。
彼らは困窮するガザを捨ててエジプトに逃げたわけじゃないんですね。
ガザで生きるためにエジプトにちょっと買出しに行っただけなんですね。凄いです。なんてド派手な買出しでしょう。
まぁ中にはそのままエジプト側に入っていった人たちもいるでしょうけども。
血なまぐさく凄惨な事件ばかりが聞こえてくる中東ニュースですが、これはなんだかエネルギッシュな住民パワーを感じて、あっけにとられつつも妙に嬉しくなっちゃうニュースでした。
また、この一件がイスラエルはじめ周辺にどのような影響を与えるのか、今後の動向がとても気になる事件です。