2008年01月17日

コミック感想 PLUTO 005

 浦沢直樹が漫画の神様手塚治虫鉄腕アトム『地上最大のロボット』を元にして描く、サスペンスSF大作プルートゥ第5巻
 物語は進み、いよいよ謎は深まるばかりです。

ネタバレ注意!



 ゲジヒト、失っていた記憶が蘇りましたね。
 なんと怒りに身を任せて人間を殺していたとは。

 ロボットという通常の概念を超えて、すでに彼らはほとんど人間といってもいい「心」を手に入れているんですね。
 人を愛したり、喜びもするが、だからこそ悲しみもするし、苦しみもする。
 彼らの苦悩は、我々人間となんら変わりありません。
 他者よりもどこか「性能が劣っている」「部品が足りない」と心を痛め、また「差別」に苦しむのはまさしく人間です。
 それは誰もが持っている苦悩ではないでしょうか。
 手塚漫画としてアトムは読んだことがありませんが、このテーマはおそらく同じでしょう。
 ロボットの心に戯画化して、人間をこそ描いていると受け取ることができます。
 天馬博士の口から語られた「完全なロボット」というワードはそのまま「完全な人間」の比喩なのかもしれませんね。
 そう思うと、この作品がいったいどのような結末を迎えるのか、とても興味深く思えてきます。


 自分を兄の仇と憎むアドルフを、身を挺してゲジヒトは守り、そして自分がもっとも恐れていたのは「憎しみを持ってしまった、自分自身なんです」と告白。
 人間とロボットが違うのは、人間は忘れることができるが、ロボットはメモリーを削除しないかぎり忘れることができないというところ。
 たとえ削除したとしても、ゲジヒトのように高性能だと、なにかのはずみでメモリーが復活することすらある。
 以前の憎しみを知らなかった自分には二度と戻れないことの恐ろしさなんでしょう。
 ゲジヒトに共感することで、アドルフは自分の憎しみを捨てることができたのかもしれませんね。
 ロボットの献身と苦悩が、人の心を救ったということになります。
 いつもながら、浦沢直樹一流の感動エピソードです。


 ところで、たびたび登場するテディベアは、いったい何者なんでしょうか。
 トラキア合衆国大統領アレクサンダーを後ろから操っているという、頭脳だけのロボット・Mr.ルーズベルトと言われていますが、どうもなんでもかんでも知っている様子。
 彼が真犯人だとすると、プルートゥを作ったと思われるダリウス14世やアブラー博士、謎のゴジ博士、とはいったどんな関係があるんでしょうか?
 もしかして、第39次中央アジア紛争そのものが、このMr.ルーズベルトの策略だったとか?
 ダリウス14世らは、このMr.ルーズベルトに知らず知らず操られていたとか?
 ユーロ連邦にくらべ、ロボット技術が立ち遅れたトラキア合衆国が巻き返しをはかるための陰謀だったのでしょうか?
 だとすると、プルートゥとゲジヒトたちをぶつけ合うよう差し向けて、最後に笑う作戦なのかもしれませんね。
 このあたり、原作を読んでいる人には周知の事実なのでしょうけどねぇ。

 どうしよう、原作読もうかなあ。
 でもそうするとこの漫画の楽しみが半減するような気もするんですよね。
 浦沢先生がせっかく今の世に再生させようとしているんですから、原作にはわざと目を通さず、この作品のみで堪能してみたいかもです。
 でも、う〜ん。先が気になるw


 ヘラクレスとプルートゥの対決は、プルートゥの圧勝。
 ヘラクレスもプルートゥにダメージを与えたようですが、そのころにはヘラクレスは戦闘ボディを失い、生活用のボディで奮戦。
 角が弱点らしいことと、その正体が手を洗い続けていたロボットではないかということを掴みますが、その角によって死亡。
 ぐにゃぐにゃと触手のように自在に曲がり、刺し貫く角ですか。
 実際弱点なのかもしれませんが、それが強力な武器でもあるわけですね。
 なかなか厄介そうです。


 これで、7人いた最高のロボットのうち、モンブラン、ノース2号、ブランド、アトム、ヘラクレスの5人が倒されたことになり、残りはたったの二人。
 ゲジヒトとエプシロンだけです。
 いよいよ物語の終盤が近づいている感じです。

 と、そんなとき、突然あらわれた天馬博士がアトムの修理を開始!
 なるほど!
 ここでアトムがスーパーサイヤ人にパワーアップですか!(違ッ!)

 ところがそれもたやすくはいかない模様ですね。
 機能にまったく障害がないのに目覚めないアトムの症状は、60億の人格をいれられ、無限にシミュレートし続ける「完全なロボット」と同じだと天馬博士はいいます。
 この状態からアトムを目覚めさせるには、「偏った感情」をインプットするしかない。
 しかしその瞬間、アトムは「とんでもない何かに生まれ変わってしまうかもしれない」「怪物が生まれてしまうかもしれない」と。
 偏った感情が、60億倍に増幅されて、とんでもないことになるかもしれないということでしょう。
 たとえその偏った感情が「正義の心」「優しさ」だとしても、60億倍に膨れ上がったそれは、はたして人の知るそれと同じなのか。
 天馬博士とお茶の水博士は、恐ろしい選択肢の前に立っているわけですね。
 いったい、アトムはどんな存在に生まれ変わってしまうんでしょう。
 これもまた、とても興味深い展開です。


 ゲジヒトが、ダリウス14世との面会から得た情報はなにを意味しているのか。
 「花畑」とはいったいなんなのか。
 ダリウス14世が「おまえなら・・・・・・知っているだろ?」とカメラに向かっていったその相手「おまえ」とは何者なのか。
 そして「花畑」に立つ男の正体は?

 謎は深まり増えて行くばかりです。
 やっぱり先が気になる気になる!
 ぬーん早く6巻が読みたい!
posted by BOSS at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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