2007年11月23日

コミック感想 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 16

 安彦良和先生によるガンダム・コミック化もついに中盤戦の終わり。
 哀・戦士編クライマックスのオデッサ作戦です。
 ジャブローについちゃったころは、「あれまぁオデッサはカットかいな〜。ミハルもこりゃ絶望的だなぁ」と思ってましたがね。
 ところがどっこい今回のオデッサ編はオリジナルの解釈も加えられ、なかなか読み応えのあるエピソードに!
 それでは感想いってみましょう。

 ネタバレ注意!



 いきなりのシャアの登場!
 まさかのオリジナル・エピソードに原作世代はびっくりです。
 しかしシャア専用機が出てくるたびに思うのは、やっぱり安彦先生の漫画はカラーで読みたい!ってこと。
 緑のザクのなかで一機だけ赤がいるのはカラーでないとね〜。
 しかし愛蔵版は高い!w
 う〜ん、一冊ずつマメに買っていくかなぁ〜。


 SECTION VIII冒頭、ドム8連星!!
 これははかっちょいい!!

「いよいよ来たぞ この日が!!」
「今日こそは木馬も あの白いヤツも」

 叩き潰してやる!!!


 これは惚れ惚れするシーンですね〜。

 ここまでの戦力レベルでいったら、このドム8連星は最強なわけですよね。
 乗っているのはガイアとオルテガで、機体も最高クラス。
 こりゃもうホワイトベースなんていちころさー!って思えるわけです。
 彼らのこの行軍シーンは、いわばジオン軍が到達した最高の境地。
 彼らにしてみれば万全を期して最強の布陣をしいて負ける要素これっぽっちもなし。
 さぁ一気にもみくちゃにしてくれるぞぉって鼻息なんですね。

 ところがやってみればあれよあれよと打ち崩される。
 ガイアもオルテガも理解できなかったことでしょう。
 なんで自分達が負けているのか。
 常識がまったく通用しないガンダムの強さ。
 理解できないうちに死んでいったんじゃないでしょうか。
 これは哀しい。

 ガイアさんたちがついてなかったのは、ついにアムロが覚醒しちゃったっつーただ一点。
 MS戦の常識も、人間としての常識も一切通用しないレベルに変貌しちゃいました。
 なんというか哀れですなぁ。
 まさに「哀・戦士」
 思えば中南米での彼らの登場は貫禄充分、迫力があってかっこよかった。
 回想編でちょっと頭が悪そうな役回りで格を落とした感もいなめませんでしたが、そのぶん私は、幾多の戦いをくぐりぬけてここまでのし上がったんだなぁ〜的な感慨を持ってましたよ。
 それが、ニュータイプにかかっては赤子をひねるようにあっけないありさま。
 オールドタイプの哀しさですよね。

 彼らの死はひとつ最高の兵士の死というだけでなく、ここまでのガンダムのストーリーの骨子であった「君は、生き延びることができるか?」というサバイバルな要素の終焉ですね。
 ここからは違うよと。
 もうアムロ最強だからね。
 「ニュータイプの物語」に変わっちゃうよ〜っていう、宣言ですね。
 いや、それでも彼らの有終の美はかっこよかった。
 ドムの散り様はあっぱれでありました!


 オデッサ作戦時のエルラン中将裏切りエピソードは、それ自体面白いのと同時に、レビル将軍とマ・クベの明暗を大きく描き分けた形ですね。
 どちらもなかなか只者ではない。
 ふだん茫洋とした感じのつかみ所のないレビルも、実はキレものっぽく的確な洞察力を持っている。
 このレビルならば、将兵がついていくなと納得します。

 また、マ・クベというキャラクターの再解釈もなかなか。
 南極条約などかなぐりすてて水爆を使い、勝利をもぎ取ろうとしたかと思えば、ギレンの命令を聞かずに主要都市爆撃命令を無視。
 最後はグフ部隊を率いてギャンに乗り込み切り込み隊長を演じ、連邦艦隊に突っ込んでの自爆!
 なんでしょうこの個性丸出しっぷりは!
 この漫画でもまれにみるやりたい放題っぷりです。
 原作アニメではいまひとつ彼のアイデンティティーは掴みにくい、なかなかにとらえどころのない人でしたが、このオリジン版マ・クベには強烈な個性を感じますね。
 大きく感じるのは、彼はどこまでも個人を意識していたというところで、彼はジオン軍人であることを重視していない。
 ジオンのためになんてこれっぽっちも考えている感じがしない。
 また、自分の価値観を理解できる者はジオンにはおらず、むしろ地球側なんじゃなかろうかと思っていたフシすらある。
 その彼が地球に拒否された形となった今回、その自分に決着をつけるかのごとき自爆。
 形の上ではあくまで水爆を使いながらも敗北した責を負っての自爆でしょうけど、彼自身の本音としては、なんだか寂しさに堪えきれずに自爆したような、どことなくそんな哀しさを感じますねぇ。
 彼もまた「哀・戦士」


 しかしまぁグフ部隊を率いてのギャン特攻は熱いなぁオイ!
 超近接格闘部隊かよ!!
 ラストはグフ部隊全滅して単騎港に立つギャン!!
 どこまで熱いんだマ・クベ!!

「ジオンはあと10年は戦える」

 という名言が出なかったのはちょっと肩透かしな感じもしましたが、これは再解釈によってセリフが合わなくなったからでしょうね。
 あの時流の見えていない高慢なマ・クベとは、今回ちょっと違うわけですし。


 しかし今回の巻のアムロの変貌はかなり衝撃的に突然でしたよね〜。
 今までもたしかにガンダムの活躍は秀でたものでしたが、それにはガンダム自体の性能もありますし、勝って来たのもアムロが幸運や機転をなんとか掴んで必死にやってきたという印象がつよくあります。
 ところがどうでしょう今回のアムロの大活躍は。
 すでに常軌を逸してしまっている感じがあります。
 ニュータイプ描写も強く押し出されてきています。
 少々怖いくらいの、戦闘マシーンぶりですよね。

 アニメ版では、この変貌の過程はゆるやかなものだったと記憶しています。
 きっかけをあえて探すなら、マチルダさんの死と、リュウさんが死ぬエピソードでマチルダさんの声を聞くシーンあたりでしょうか。
 さまざまなドラマを経て、いつのまにか強くなってきて、常軌を逸した強さを発揮するのは「3分で、12機のリック・ドムを全滅!?」のところですね。
 そこまでの間に、いつのまにやらアムロはスペシャリストになっていたという印象だったんですね。

 今回オリジンでは安彦先生はそこを明確に描き分けたかったのではないでしょうか。
 そのための変貌のきっかけとして、新たなエピソードとして追加されたのが、今回冒頭のシャアとの邂逅。
 シャアとの戦いのなかで、シャアの声を聞くことが、大きくアムロの素養を開花させるキッカケとなったのではないかと感じます。


 しかしまぁそれはそれとして、ド・ダイに飛び降りるシャアはすげーな!!
 なんというか、いつ自分は死んだっていいんだよ的なムチャクチャさを感じますよ。
 捨て身もいいところです。
 この型破りなところが、シャアの強さなんでしょうなぁ。
 この頃の強さにくらべ、クワトロ以降の彼が天才ではあっても今ひとつ強く感じないのはこの「捨て身」がなくなっちゃったからなんじゃないかなぁ。
 それだけこの頃のシャアは何も持たない状態だったっつーことでもあるんでしょう。


 劇場版ではカットされ、テレビ版でもあまり印象の残らないオデッサ作戦編ですが、なかなか印象深いエピソードになりました。
 激闘シーンでは「哀・戦士」が流れて一気にこちらも血液沸騰!
 水爆の信管を切断しながらビッグトレーに突っ込み大破するガンダムには震えがきました。
 しかしまぁザクレロは水爆搭載機になっちゃいましたか!
 既にモビルアーマーですらない!
 これも「哀・戦士」ww
 ザクレロの魂に哀悼の意を表し、敬礼ッ!!ww

posted by BOSS at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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