終電を過ぎたロンドン地下鉄が悪夢の地下迷宮へと変貌する。
『ラン・ローラ・ラン』で一躍有名になったフランカ・ポテンテがヒロイン。
イギリスで大ヒットし、地下鉄乗客数を激減させたという話題のホラー。
パーティーからの帰り、地下鉄に乗ろうとしたケイト(フランカ・ポテンテ)は、酒も入っていたせいかホームで居眠りをし、終電をやり過ごしてしまった。ついてないことに、無人となった地下鉄の出口はすでにシャッターを閉じられており、外に出ることもできない。途方にくれるケイトの前に、無人の地下鉄車両が到着する。それに飛び乗るケイトだったが、それがあの恐ろしい夜の始まりだった……。
始めから言ってしまうと、この映画は少々カルト的。
ホラー映画として、多くの観客が喝采するほどの完成度を持った映画じゃないという印象だったりします。
イギリスでは大ヒットを飛ばしたということですが、日本人の間では、おそらく受けない人はあまりいい反応をせず、好きな人からは猛烈な支持を受ける、そういうタイプかと思われます。
恐怖の演出も、ストーリーも少々荒削り。
しかし随所に出てくるイメージがなかなかよいものだったりします。
見慣れていたはずの地下鉄の光景が、薄ら寒い冷徹な巨大迷宮と化すイメージはなかなか。
ロンドンの地下鉄乗客数を激減させたという話は、まぁ話半分としてもちょっと分かる気がします。
私はこの地下鉄の世界が、深夜誰もいなくなると別の世界に変わるという、こういう魅力的な設定に弱いんですね〜。
そういった意味では、地下世界の様々な側面を披露してくれたこの作品は正解。
またほかにもなかなかいいイメージがいくつも。
いたるところに群れているおぞましいネズミ。
地下の黒くにごった恐ろしい水牢。
なぜあんなところにあるのかわからない、謎めいたあの施設。
闇の中に吼える殺人鬼のあの怪鳥のような奇妙な雄叫び。
そういったイメージのよりあわせとして、この作品はなかなかおもしろい恐怖世界を演出してくれています。