生まれ変わり〜輪廻転生〜をテーマにした和製ホラー。「呪怨」で話題の清水崇監督作品。
最初から最後までなかなかのテンション。
優香の恐怖の表情が魅せてくれます。
最後のどんでん返しもただのホラーで終わらないものを秘めており好感がもてる。
とある山奥のホテルで、宿泊客や従業員11人が次々と殺されるという無差別大量殺人事件が起きた。それから35年後の現代、映画監督松村(椎名桔平)は、事件をそのまま忠実に映画化しようとしていた。オーディションで主役に大抜擢された新人の渚(優香)はしかし、その前後から得体の知れない気配に怯え始めていた。渚の夢の中に、行った事がないはずの殺人現場のホテルや、見たことのない少女が出てくるのだ。自分はその事件を知っているかもしれない?
やがて撮影が始まるとともに、次々と襲い掛かる怪奇現象。渚の運命はいかに?
冒頭の畳み掛けるような恐怖シーンがなかなか。
それぞれ別の場所で、まったく関係のない3人の男女が遭遇する恐怖というシーンで、最初から観客を一気に引き込んでくれます。
特にトラック運転手が出会う森の中のアレはなかなか怖い。
筆者は恐怖映画は好きでもなかなか「怖い」と思うことはないんですが、このシーンは正直怖かった。
恐怖センサーのピントがちょうど合ったせいかもしれませんがね。
まぁストーリーとしては終盤まで伏せられているのですが、観客としてはタイトルがタイトルですし、最初から「35年前の事件の被害者が転生したのでは?」という想像は冒頭からつくわけです。
いかに当事者たちがそれに気づくのか、あるいは映画の製作関係者などはすでに知っているのか?
監督らが意味ありげな表情をするのはどういう意味だ?
とまぁそのあたりで引き込まれて見る形になるわけですね。
ホラーでありながら、推理モノの楽しみも混じっていて面白い。
私などは終盤コロッと騙されたわけですが、なかなかいい脚本しています。
転生ということで、前に殺されたあの人は、今回の生ではどの人物になっているんだろうと推理するわけです。
ヒントはかなり序盤から正々堂々とふんだんに出されますが、うまい具合に観客の心理的盲点をついてきます。
騙される人は多いんじゃないでしょうか。
ただ意外な真相というだけではなく、心にズシンと響くなにかがあるのがまたいい。
観た後でちょっといろいろと考えさせられるかもしれませんよ。
ショッキングなシーンを露骨に演出するよりは、それに恐怖する優香の表情を撮ることに、清水監督は情熱をそそいだようです。
優香の演技力には、この作品を見るまでは疑問を抱いていたのですが、それが意外といい拾い物をした感じ。
最初はまだ仕事のまわってこない新人女優ということで、どこか田舎くさい雰囲気がちゃんと出てます。このへんは髪型やファッション、化粧なんかもあるでしょうけど。
大抜擢を受ける前後から徐々に夢に悩まされて、精神的にナーバスになっていく流れもよくでています。
恐怖にさらされ、よろめきながら逃げまどい、ひきつった悲鳴を上げるシーンは、体当たりの演技で迫力あり。
ラストのアレも必見です。
優香ファンはかえって見るとショックかもしれませんが。
なんというか、ちょっとSっぽい気質の人にオススメの映画かもしれませんね。
主人公と同じ視点で恐怖体験を楽しむホラーというより、ヒーヒー言わされている女優の表情を見て楽しむタイプのホラーかもしれません。
こういうタイプに、どことなくついいじめちゃいたくなるオーラを背負った優香という女優はピッタリです。
かく言う私はというと、大変楽しませていただきました!(爆)
ホラーとミステリーを形よく融合させた監督の手腕はなかなか。
この清水崇監督が、今度ハリウッドで寄生獣を実写映画化する企画が進行中だといいますが、この監督さんならなかなかいいものを作ってくれそうですね。
期待しちゃいます。