なんかこのブログ始まって以来、読書感想といえばほとんどグインって形になってるのが悲しいなw
どれだけ活字離れした人間なんだって感じですが、いや〜、活字はしょっちゅう読んでるんですがね〜。
新作の小説を1冊単位で読むという機会が少なくなっているのかもしれません。
読んでいるのが、TRPGの資料の再読だったり、『剣客商売』の短編集をポツポツ思い出したように読んだり、といった感じで感想にアップするものじゃないんですよねw
まぁいいや、そのうち小説まとめて読む事だってあるさ!
カッコ悪いけど気にしな〜〜いw
ではグイン感想いきましょーー。
ネタバレ注意!
グインvsガンダル!
ついに実現しましたね〜。
いやぁこんなしっかりした形で対戦することになるとは、実は思ってませんでした。
決戦の寸前に誰もが闘技場にあつまり、警備も薄くなったところをついてグイン一行華麗に逃亡!とか、そんなスジをずっと予想していたものですから、嬉しい予想の外れ方でした。
いやぁ面白いのなんの!
この巻は近年稀に見る最高の盛り上がりを見せた巻ですね〜。
冒頭からどんどん盛り上がるタイス。
熱狂を通り越して狂騒というか暴走しかねないほどのヒートアップをした群集の熱気が強烈。
なんだか「日韓サッカー・ワールドカップ」の熱狂の渦を思い出しますね。
それを考えると、本当に暴れだして破壊活動とか始めちゃわないタイスの人たちのなんと礼儀正しいことかww
ちょっとハメをはずしたオバカさんたちがケンカくらいおっぱじめそうなもんですけどね。
やっぱり時代が違うんですねw
全編血なまぐさい、男臭い話の中で、リギアの準決勝が笑えましたね〜。
なんですかあのいきなり「薔薇が咲き乱れそうな世界」はw
栗本先生のサービス精神が花開いちゃいました。
グインの「変態世界」にあらたな名前を刻んだルアンナさんですが、再登場はしかし厳しそうですね〜。
さらにはリギア、まさか優勝しちゃうとは思わなかった!
どっかでうまく敗退するかと思いきや、勢い優勝ですもんね〜。
彼女の戦いは、圧倒的な強さを持っているわけじゃないおかげで非常にスリリングで楽しく読めました。
そしてガンダル戦ですが、いやいや、私は待ってましたよ、こんな「文句なしの強敵」を!
グインは少々強すぎて戦闘でのハラハラ感がないんですよ普段は。
相手が人間だと、どんな敵でも相手にならない。
こと剣をとっての一騎打ちでは、負けるわけがないじゃないかって思っちゃう。
言ってみれば緊張感がまったくないんですね。
むしろ戦いの趨勢への緊張感ではなく、ああ、ついに彼と彼が戦っちゃうのか〜っていう「劇的な展開」のほうにワクワクするわけですが、バトルそのものはあまり興味がわかないんですね。緊張感がないんです。いや、それは「描写すべき重心」が違うんですがね。いつもは。
それでも今までグインが苦しむ戦いが、こと対人間戦でなかったのはちょっと寂しい点でした。
そりゃもう主人公なんだし負けるわけがないのは重々承知なんですが、それだってケガくらいするかもしれないんだし、追い詰められたりしたらそれをどうやって跳ね返すのか、そういうスジが面白いっていうものじゃないですか。
それがグインに限ってはそういう楽しみがなかったのは、これまでやっぱりちょっと不満だったんですよね〜。
そりゃバケモノ相手なら何度もピンチになってきましたが、人間相手では鎧袖一触ですから。
よく栗本先生の使う「一合とはもたずに」ってヤツで、あっという間に粉砕ですもんね。
それが今度はついにやってくれた!
グインと実力伯仲した「最強の剣士」ですね!
こういう最強と最強の戦いを待っていたんですよ〜。
おそらく、グイン・サーガという長い長い小説のなかで、ここまで「剣劇」を重視したエピソードが語られるのは、これが最初にして最後のことになるでしょうが、いやぁそれでもこれはよかった。
実に面白く、最高に興奮して読めました。
突進するガンダル。
折れた剣を持ち、待ち構えるグイン。
一瞬、交錯する二人。
もうもうと立ち込める土煙。
息を呑む観衆。
静寂。
土煙が晴れると、そこに背中合わせに立つ二人。
勝者は、はたしていずれか……。
いやぁベタベタだけれども素晴らしい名シーンでした。
そして、その一瞬で繰り広げられた「かけひき」も壮絶。
面白かった〜。
そして最後、ちょっとホロリとさせるくだりもよかったですね。
ガンダルも、心から好きで剣闘士世界一をやっていたんじゃないよと。
心の中ではいろいろ鬱屈したものもあったんだけど、それでも最後にグインと戦えたのなら心残りはないと。
実にグイン・サーガらしい、グイン自身が出会う人々の《運命》の運び手となる展開ですね。
今までは怪物として読者にはどこか軽んじて覚えられていたであろうガンダルが、ここへきて最後に人間として、ぼくらの記憶に残る、味のある人物に生まれ変わったという感じですね。
いやいや、最後までいい巻だ。
まさに、これまで長いことかかって描き、盛り上げてきたタイス編の最高潮のクライマックスを飾るにふさわしい巻でした。
さて、今後の展開の予想ですが、次巻からはいよいよタイス脱出編、そしてクム脱出編でしょう。
ガンダル戦も最高の有終の美を見せ、タイスにはこれ以上思い残すことはありません。
あとはもう三十六計逃げるにしかずです。
既にスーティはマーロールの「もうひとつの王国」に保護されており、そこにフロリーも一緒であることは、グインとブランの会話から推測されます。
残るはグイン、ブラン、リギア、マリウスが抜けること。
今までの懸案事項は、どうやってマリウスを抜けさせるかだったのですが、またここで新たな心配事が増えたように思われます。
つまりは、グイン、リギアが「意外な深手」を負ってしまったことです。
これは逃亡に相当支障がでると思ってよいのではないでしょうか。
逃亡の行程の大半は、地下水脈の踏破+船での航路ですから問題はあまりないでしょう。
しかし、かなりの部分を、マーロールやドーカスに任せなければならないかもしれないというところがちょっと気にかかります。
ここで気になってくるのは、市中でドーカスとブランが会話中などにブランが感じていた「謎の視線」。
これは最初「意外と、ガンダルが汚い手を使ってくる伏線なんじゃないのか?」とか読んでいたんですが、それはなくなりました。
あとはブランを監視する可能性があるのは、「タイス側」、「マーロール」、「カメロン側」、「意外とパロ側」くらいのものと思いますが、ブラン自身が「自分が逃げないように監視する目ではなさそう」のようなことを言っているところから、まぁ彼の感覚は正しいと見ていいでしょうから「タイス側」はなさそうですね。
今の段階で「カメロン側」がここで接触してくるとは思いませんが、もししてくるとしたら監視するとかじゃなくて直接連絡を入れてくるのではないかと思います。ので、「カメロン側」もないでしょう。
あとは無理くり考えたのですが「パロ側」というのもあるでしょうか。
まぁグインの行方不明というのはパロのリンダらもとても心配しているでしょう。
ヴィアレリウスらによる捜索隊を送ったのも彼らです。
タイスで今話題の「グインの偽者グンド」の話題が聞こえれば、当然調査の手を差し向けるでしょう。
ただ、その場合にはやはりグインの身辺に現れるはずで、ブランのほうではない。
ブランに目をつけて「グイン陛下と思われるグンドのそばにいるこやつは何者だ?ちと調査せねば」と監視することはあるでしょうが、その場合にはグインがまったく気づいていないというのがおかしいですよね。
ということで、残ったのはまぁ順当に「マーロール説」。
彼がいったい何を考えているのか、まだちょっと計り知れないものがありますよね。
今回望楼の上にたって何事かをじっと眺めているという、なんとも意味深なシーンもありました。
グインと、リギアのふたりが手負いとなった今、仮にマーロールが何か悪いコトをたくらんでいた場合には、それを止めるのはちょっと難しそうです。
次の巻は、ただ単に脱出するだけじゃすまないんじゃないかな〜っていう気がしてきましたね。
あと、破廉恥極まりない後夜祭の情報で、「そのとき全ての灯りが消される」というものがありましたね。
これはもう脱出の絶好のチャンス以外のなにものでもありませんね。
後夜祭のバカ騒ぎを背に、暗闇のなかを華麗に脱出。
綺麗な〆かたじゃないですか。
さて、そしてグインとリギアの負傷がもう一つ響いてきそうなのが、「スーティの今後」ですね。
うまくタイスを脱出できた暁には、ブランはグインへの一時的な協力の姿勢をやめ、スーティ争奪戦を再開するでしょう。
そのとき、ブランを止められるのかどうか。
今まではまぁこのままグインがパロへ連れて行くことになんの疑いもありませんでしたが、いやいや、急に危うくなってきましたね。
私個人としては、スーティがパロ入りしたら波乱要素なしで面白くないんじゃないのか?って思うようになってきたので、ゴーラ入りして欲しいほうに傾いてきたんですが、まぁそうすれば不幸になる確率が非常に高いのはわかってますがね。
スーティのためには、パロ入りし、その後なんだかんだで結局グインと同行。グインの保護下、養子縁組…というのがもっともよいでしょう。
まぁ国際的な問題もろもろはおいといて、ですが。
ですがまぁ幸せな道だけを歩めないのが小説の面白さってヤツじゃないですか。
不幸になって欲しいわけじゃないですが、波乱な道を歩んでいただきたいw
それにイシュトもだいぶ変わってきましたし、イシュトの元にいったからって不幸になるとは決まったわけじゃないじゃないですかw
いやまぁ大分決まってるんでしょうけどね〜。
親に愛されない正妻との子と、親に愛される(かもしれない)側室との子。
まさに内乱必定のシチュエーションです。
三国志も、日本の戦国時代も、そんな二人の子供を擁立する勢力争いが発端となりましたね。
同様の例は枚挙にいとまがないでしょう。
はたしてどうなってしまうのか。
実にワクワクしてきます。
まぁ何はともあれ、今回はグインvsガンダル戦に尽きましたね。
非常に興奮する最高のエピソードでした。
ガンダルのご冥福を祈りましょう。
…って、正式にはまだ死んでないかw