英仏共同制作のサスペンス。
なんだか小学生の夏休みの話か?ってタイトルですがさにあらず。
美女がたったひとり、フルヌードで泳いでるプールだったりする!
オッパイばかりに見惚れていると、サスペンスであることを忘てしまいそうに。
しかし気を抜いていると突然やってくる殺人事件。
予想の斜め上を行く展開に、観終わってから頭がグルングルン!
ベテランで売れっ子の女性推理小説家サラ(シャーロット・ランプリング)はちょっと苛立っていた。出版社の社長はサラに自分の別荘へ行ってリフレッシュするように言われ、休暇をとることに。そこは南仏の片田舎の美しい別荘地。サラは一日でそこを気に入り、静かな一人きりの生活に心を癒され、創作意欲を取り戻す。
ところが、その生活を邪魔するものが突如あらわれる。社長の娘ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が仕事を捨てて遊びに来たのだ。彼女は若く美しく、奔放な性格で、毎夜男を連れ込んでは好き勝手し放題。はじめはジュリーを嫌い、迷惑がっていたサラだったが、次第に彼女の奔放さに惹かれて行く。ここに、覗き覗かれる不思議な関係が生まれ、そして突如殺人事件が発生する。
最初はサスペンスらしからぬのんびりした展開に、思わずサスペンスということも忘れてしまいそうになる。
というのもジュリー役のリュディヴィーヌ・サニエが実に魅力的で、ふんだんにオッパイを披露しているものだからついつい頭はそっちへ行ってしまう。
サラと一緒になって思わずジュリーを覗き見る心地なわけだ(笑)。
始めは嫌悪感まるだしだったサラが、徐々にジュリーに興味を持ち、ストーカーみたいにその生活を覗き見るのは面白い。
嫉妬か? 好奇心か?
だがそれがだんだんと不穏な空気をはらみ始めて、殺人事件が発生する。
ここではじめて観客は「ああ俺、今サスペンス観てるんだった!」とハタと気付かされる。
これは確信犯的かく乱作戦なのだろうか。
序盤すっかりサスペンス脳を使わずにエロ脳ばかりで観ていた観客はびっくりして脳を切り替えるのに必死になるはずです。
観終わってからも、今まで観たものを頭の中で整理しなおさずにはいられません。
非常にパズル性が高く、頭脳の迷宮に迷い込んでいくような心地です。
また、この作品のふたりの女性は英仏それぞれを代表しているようで、そんなところも面白い。
イギリス人のサラは知性と気品を大切にする大人の女性であり、堅い常識人だが、それを鼻にかけていると言われる面もある。
フランス人のジュリーは恋愛に奔放でなにごとにもとらわれず、人との間に垣根を作ろうとしない自由人。だが多感で傷つきやすい一面も持っている。
こんな二人が互いに嫌ったり意識したり、覗いたり覗かれたりしつつ見せる複雑な関係は、英仏の象徴的な存在のようでいて、それが見せてゆく展開もまた面白い。
国際的なメッセージは皆無なんでしょうが、典型的なそういう二人を対立させることで、普遍的な共感を呼ぶことに成功した作品なのかもしれないですね。
最初はエロティシズムばかりに目を奪われがちですが、実は非常に知的な観客への挑戦状というわけですね。
ただこういったタイプは自分で補完して解釈しないと面白みも半減でしょう。
わたしは非常に面白かったですよ。