サミュエル・L・ジャクソン主演。
こわ〜いパニック映画の代表的な二つの要素を一つにしたらめちゃめちゃ面白いパニック・アクション映画ができるんじゃない?
そんな単純な発想で飛行機墜落モノと蛇パニックをかけあわせちゃったこの映画。
こう聞くと、いかにもB級の臭いがプンプンしてくる企画ですが、作り手はかなり真面目に作ってくれました。
これが意外な面白さ!
ストーリーはいとも単純。
殺人現場の目撃者が乗るジャンボジェットに、殺人を犯したギャングが無数の毒蛇を忍び込ませた。はたして乗客は生き残ることができるのか!
どうせB級のチープな作品だろうとタカをくくって見始めたんですが、意外や意外。これが面白い。
製作側はこういうパニックものの常套手段をよく心得ているようで、いくつかの場所でお約束をやって観客をドッと笑わせ、さらにいくつかの場所でお約束をわざとはずして観客の予想を裏切ったりする。
機内に入ってくる乗客をひとりひとり簡単に描写していき、さぁこの中で誰が生き残るでしょう、とクイズのように観ているこっちに予想させます。
好感の持てるヤツ、いかにもイヤなヤツ。子供。年配。若いの。いろいろです。
で、飛び始めて早々トイレでセックスを始める若いカップルが最初の犠牲者になるんですが、ここなどはそれこそ何千何万回と繰り返されてきた恐怖映画のコテッコテのパターンで、思わずゲラゲラ笑ってしまいます。
ここで「可哀想〜」と言うタイプの人は、この映画半分も面白いとは思えないかもしれないですね。そういうタイプの映画です。
徐々に蛇の侵攻が始まり、犠牲者がドッと出始めるのかというとそうでもない。
バッグの中に蛇が忍び込んだとも知らない女性が隣と笑い話をしながらごそごそバッグを探って、目的の物を取り出して寸でのところで噛まれずにすむんだけど、本人それにまったく気付いていない、とか。
最初のうちはラッキーで蛇の攻撃を回避していたりしてここもニヤリとさせられる。
まぁそんな幸運は長くは続かず、一気に機内は蛇パニックになります。
誰が死に、誰が生き残るのか、そういうところでちょっとパターンをはずしたりして、観客の予想は裏切られるのだけれども意外と悪い気がしなかったり。
ああ、そういう手もあるなと。
映画好きな観客を向こうに回してちゃんと勝負している感じがしました。
蛇の映像は本物とCGとを場面によってうまく使い分けているんでしょうけど、CGの出来は当然として、動きの実に蛇らしいこと。
独特のうねうねくねくねした動きからシャーーッッ!っと弾けた様に飛び掛る様子がよくできていました。
蛇嫌いな人はこれ、見ないほうがいいかもですね。
登場人物はいっぱいいますが、何人かもうちょっと活躍させてあげたかった人がちらほら。
特にキックボクサーのあの人はもうちょっと見せ場が欲しかった。
B級映画に間違いないんですが、しかし最初から最高のB級映画を作ろうとしてそれを真面目にやっちゃった作品ですね。
観終わって心に残るとか、感動するとか、そういうものはこれっぽっちもないと言っていい映画ですが、何も考えずに観て「あ〜面白かった」と言って一年後には記憶にも残っていない。
そんな映画もけっこういいものですよ。
ちなみにエンドロールはテーマソングを歌うCobra StarshipのPV。彼らがテーマソング"Snakes on A Plane (Bring It)"を歌いながらジャンボに蛇を巧妙に持ち込むちょっとオバカなノリのショートムービーとなっているんですが、これが意外なカッコよさなのでいつも「エンドロールは観ずに終わり」な人はご注意を。