前作エイリアンでからくも生き残ったリプリーを主役として作られた続編。
前作は緊迫感の高い密閉型ホラーの色合いが濃かったが、今作は一転、スケールのでっかいSFバトル・アクション・ホラー超大作となった。
リプリーと孤児の娘ニュートの心の交流が素晴らしい。
前作ラストでなんとかひとり生き残ったリプリー(シガニー・ウィーバー)が地球の近くで救助されるが、なんと57年もの月日が経っていた。エイリアンの卵を発見したあの恐ろしい惑星は、すでに社によって100名以上の開拓ファミリーが送り込まれており、着々と開発が進められていた。そのコロニーがある日音信を絶つ。それを受け、特別アドバイザーとしてリプリーが加えられた宇宙海兵隊が、コロニー救出、エイリアン撃退に出撃する。彼らがその惑星で見たのは恐るべき惨状、そして驚くべきエイリアンの生態であった。
息苦しいようなハラハラドキドキの密閉型ホラーだった前作とは打って変わって、今回は豪快に戦争モノとなっている。
味方は最強の宇宙海兵隊で、最新鋭の装備で武装し、核兵器まで持ってきているという念の入りようで心強いことこの上ない。
しかしその分、敵のエイリアンも物凄い数になっていて、コロニーにいた人間と同数、つまり100匹以上登場するというサービスっぷりなのだ。
この、撃っても撃ってもどんどん出てくるゴキブリのような恐ろしいエイリアンっていうのが今回の恐怖。
最新鋭の兵器も人海戦術にはかなわない。次々と海兵隊は倒されていくのだ。
豪快で爽快で実に面白い。
万全の体制で臨んだエイリアン駆除作戦が、新任の上官の判断ミスから崩壊し、不注意から離着陸艇まで失って脱出不能となる過程がおみごと。
さらには惑星に設置した巨大な大気成分変更システムが暴走し、核爆発が起こるまで数時間という念のいりよう。
怒涛のようにたたみかけてリプリーらをどん底に叩き落してしまう。
この孤立無援の窮地で、いかにして無数のエイリアンの襲撃をくぐりぬけ、生き残るのか。
手に汗握る緊張感とわくわくの展開だ。
そして今作の目玉というか魅力となっているのが、新たなエイリアンの生態系描写。
前作でディレクターズカットとしてしか収録されなかった人間を粘液で固めて「繭」にする描写や、彼らのおぞましい「巣」の描写が正式に登場する。
これはギーガーのデザインをもとに、新監督ジェームズ・キャメロンらが作り出したものなのだが、初代のギーガー世界をよく継承している。
さらに終局「エイリアン・クイーン」の迫力の登場で劇はいやおうなしに盛り上がる。
怒涛のアクションのさなか、心をなごませるのはリプリーと孤児の少女ニュート(キャリー・ヘン)の交流だ。
リプリーは前作の事件後、57年も宇宙を冷凍睡眠でさまよっており、その間に一人娘は地球で普通に暮らし、他界してしまっている。
ニュートは全滅したコロニーの唯一の生き残りで、家族を失っている。
この二人は完全に補完関係にあり、心の痛みを分かち合い、失った心の部分を補い合う最良のパートナーなのだ。
リプリーは大切なニュートのためならば敵中ひとりでも乗り込んでゆく。
こういう、大切な人のため、あえて危地に乗り込んでゆくというシーンに私はめっぽう弱いのだ。
本作は正統派ホラーとは言えないだろうが、その分エンターテインメントとして非常に大衆受けのする良質な娯楽作品となっている。
前作のような「異質なものへの恐怖」のような静かなイメージへの訴えかけは影を潜めた形となったが、本作のアクション大作の娯楽性や、リプリーとニュートという素晴らしいコンビのドラマ性はまた違った多くの人をひきつけるものだろう。
私はどちらも大好きですがね。
そして衝撃のエイリアン3へと続く……。