巧妙な手口で完全犯罪の銀行強盗をたくらむ男と、それを阻止しようと銀行を包囲する警察側交渉人のかけひき。
その裏で、銀行設立者は貸し金庫に秘められたあるものが明るみに出ないよう、やり手の女弁護士を派遣する。
知能犯ダルトン・ラッセル(クライブ・オーウェン)率いる強盗グループが、突如マンハッタン信託銀行を襲撃。50人の人質に自分達とまったく同じ服装をさせ、行内に立てこもる。このダルトン・ラッセルと警察側交渉役のキース・フレイジャー捜査官(デンゼル・ワシントン)を軸に物語は進むのだが、その裏に、銀行設立者の秘密が絡んでくるのがこの作品の特徴。貸し金庫内のあるものを隠蔽するために、銀行の代表取締役会長(クリストファー・プラマー)が女弁護士マデリーン・ホワイト(ジョディー・フォスター)を派遣。謎を秘めたこのマデリーンが、捜査官、強盗側に独自に交渉をもちかけ、事件はただの強盗事件ではない様相を呈してくる。
作中かなり早い頃から、ちょこちょこと事情聴取のシーンが挟まれる。このシーンは事件終了後の、救出された人質たちを捜査官が聴取しているもので、時間軸では未来。観客は最終的には事件が強盗側の勝利に終わる事を最初から知らされる。
なのでどちらが勝つのか?ではなく強盗がどうやって警察を出し抜くのか?に観客は集中して観てゆくことになる。
なかなか挑戦的な作品だ。
私はかなりいいところまで推理できたものの、それでも最後の最後は見抜けなかった。
また、知能犯ダルトン・ラッセルのキャラクターが圧倒的で魅力。
ただ頭がいいだけの知能犯に終わらず、強烈な個性を感じさせる。
オープニングシーンはこの男の自己紹介から始まる。
強引で高圧的なこの男の語り口に、ぐいぐいと引き込まれるのだが、これは最後までこの調子。
クライブ・オーウェンって言えばこないだ観たトゥモロー・ワールドで主役のセオやってましたが、まったく違うキャラクターでびっくり。
芸幅広いなぁ〜。
またこの犯行グループが人質達を自由自在に手玉に取るその手口が実に鮮やかで面白い。
冷静に熱くなって見せたり、50人を分割して管理したり、ぐるぐる入れ替えたりする手法は、すべてある計算のもとになされており、人質全員をわけがわからない状態にさせるためだったりする。
なんだかコレ真似する犯行が出て気やしないだろうかと妙な心配してしまうほどだw
こういう犯罪もののパターンで、やっぱり刑事と犯人側のかけひき、お互いを出し抜こうとする知恵比べが面白いんだけれども、そこに一石を投じる銀行側の秘密というアイデアが面白かった。
またこれを秘密裏に処理しようとする女弁護士マデリーン・ホワイトを演じるジョディー・フォスターもベテランの貫禄か、政界財界のトップ相手に堂々と渡り合う、にくったらしいながらも魅力的な女性ってオーラが出ていてなかなか。
気が効いていてオシャレで最後にガツンとカッコよく決める。
そんな高級なゲーム感覚の映画が好みの方におすすめします。