戦争や紛争の裏側に跋扈する、死の商人と呼ばれる武器商人の物語。
複雑で掴みづらい人物像をニコラス・ケイジが好演。
ウクライナからの移民ユーリ・オルノフ(ニコラス・ケイジ)は、無気力な生活から一転、マフィアの抗争に巻き込まれたことをきっかけに武器の違法売買にのめりこんでゆく。
意外な天賦の才を発揮し、紛争や戦争の起きている世界各国を飛び回り、のし上がってゆくユーリだったが、彼を捕まえようとインターポールのジャック・バレンタイン(イーサン・ホーク)が着実に迫りつつあった。
実際の武器商人への取材を元に作られた、ノンフィクションに根ざしたフィクションということ。
それもあってか観客としてはピントが絞りきれなくなるような結末かもしれないが、なにより戦争や紛争というものが当事者だけでは成り立たないことがよくわかる一本。
こうやってビジネスとして武器弾薬を供給するものがいなければ、戦争の当事者たちは一日として戦うことはできないのかもしれない。
冒頭の一発の弾丸が製造されてから発射されるまでを描いたショートムービーが面白く、ブラックユーモアが効いていてしょっぱなから映画に引き込まれます。
同様に機関銃から弾丸が発射されるたびにレジの音がチーン♪チーン♪と鳴るくだりなど、シュール極まりないセンス。
この映画、ニコラス・ケイジでなければもしかすると主人公のユーリ・オルノフは憎らしいだけのキャラクターになっていたかもしれません。
あるいは、ただのダメオヤジ。
ところが彼が演じることで、なんとも哀愁というか、弱さというか、死の商人という無慈悲な男の裏側に何かモロい部分を垣間見える気がして、感情移入を誘われてしまうんですね。
このニコラス・ケイジはいいなぁ〜。