16〜18巻の感想いきまっす!
ネタバレ注意!
過去感想はこちら→1〜3 , 4〜6 , 7〜9 , 10〜12 , 13〜15
なんと切ない話か!!
ガンツの厳格冷酷なルールによって、タエちゃんが殺された。
それも、仲間の手にかかって。
なんていうひどい仕打ちだ!
ストーリー上玄野たちはガンツによって強制的に戦わされているが、戦う相手は人類の敵。
たとえ理解のできない戦いでも、宇宙人を倒すためだという納得の仕方はあった。
だが今回は例え秘密保持のためとはいえ、タエちゃんのような何も知らない少女を抹殺させるとは。
なんともガンツが憎い。
玄野たちを強制的に戦わせることに恐ろしさは感じていたが、憎さを感じたのは今回が初めてだ。
そして最後の最後まで玄野の身を案じ、息絶える寸前まで玄野の事を思うタエちゃん。
なんっていい娘なんだろう。
この娘のことを思うと、今でもこの文章を書きながら目頭が熱い。
ガンツの採点で100点溜めるとなにかがあるとは言われていたが、ここで判明。
1 記憶を消されて解放される
2 より強力な武器を与えられる
3 メモリーの中から人間を再生できる
玄野は100点ためてタエちゃんを生き返らせることを決意。
死んだ加藤や岸本も含め、何度でも100点をとってみんなを生き返らせることを心に誓う。
100点を取ればガンツの戦いから開放されるというのに、それを捨て、あえて皆を復活させようという決意。
熱い!
鬼だ! 玄野は涙の鬼と化した!
狂気に走る鬼ではなく、友のため、恋人のために死地に吼える鬼と化したのだ!
ひとつ間違えば自分が死ぬ、恐ろしい戦いが繰り広げられるガンツの世界に、他者のため、おのずから飛び込もうとする玄野。
これは最高のヒーローだ。
1巻から続き、ずっと描かれてきた加藤と玄野の勇気の物語は、この展開のためのものだったのだ。
一方、玄野に心を寄せる仲間たちも、次第次第に変質してきた。
自分をいじめる者たちを、手に入れた超能力で殺したチェリー。
誰よりも戦うことしか頭になかった風。
ふたりとも、徐々にだが「誰かのために」戦うように変質してきたようだ。
面白いのが、どちらのきっかけも「誰かとの出会い」がきっかけなのだ。
ワンパターンと処理されてしまえばそれまでだが、このガンツのテーマはそこにこそあるのかもしれない。
また、戦いはさらに激烈化。敵の数は圧倒的に。
中にはあの強力だった「吸血鬼」にすら一目おかれる化け物すらいる。
面白いのは、これまで宇宙人側はどこか異質な精神をしており、理解に苦しむ存在であったが、このオニ星人は、非常に強力で凶暴ではあっても、言うことと精神面は人間とたいして変わらないのだ。
坂田&チェリーと炎のオニ星人の対決。
風と岩のオニ星人の対決。
どちらの戦いも超人的な戦いではあるが、どこか人間同士が戦っているような高揚感がある。
ヒートアップした限界の戦いを楽しんでいるような雰囲気が、坂田、チェリー以外には感じられてしまう。
風と岩のオニなど、下手をすると奇妙な戦うもの同士の共感すら生まれかねない。
非常に人間的な「吸血鬼」の参入もそうだが、異星人側の描写が少々変わってきたと言えるだろう。
「吸血鬼」は人間をベースに作られている可能性があるから例外かと受け止めていたが、今回のオニ星人は決定的だ。
この描写の変化は、折りにふれ語られる「カタストロフィ」という事態の到来に関連しているのかもしれない。
そして最後の親玉、雷のオニ星人。
スピード、破壊力ともに今まで出てきた異星人のなかで最強クラス。
迫力充分スリル満点。
限界ギリギリの、どう見てもかないそうにない相手に、勝てると信じて立ち向かってゆく玄野たち。
玄野のこの勇気と力の源泉はタエちゃんへの想いであり、それを仲間たちもわかっている者はちゃんとわかっている。
これだけでもバトルモノとしては最高に熱い戦いだ。
さらに加えて今回は一般人の応援つき。
皆殺しの恐怖に震えていた何も知らない人々が、現れた玄野たちに希望をたくし、声援を送り、息を詰めて応援する。
これは燃える。
今まで人知れず戦ってきた玄野たちが、はじめて世の人々の面前で戦うことになったわけだが、ストーリー上の意味合いとしてはこれによって正体がばれたりしてかなりピンチっぽくはあるが、それでもこの状況は無性に燃えてくる。
タエちゃんの死は、非常にショッキングで耐え難い悲壮なエピソードではあったが、それによって玄野は皮肉にもガンツの戦いの精神面での最強のリーダーとなった。
バトル面もヒートアップしているが、ストーリー面も燃え尽きるほどヒートだ!
初期の頃の玄野、正直嫌いだったけどゴメン!
今は心から応援しているぜ!!
タエちゃん、復活できるといいな!!