今は先を読みたくてしょうがないんですが、とりあえず3巻ごとに感想は書いておかないとね。
書き終わったら即座に続きを・・・。
ネタバレ注意
過去感想はこちら→1〜3 , 4〜6 , 7〜9 , 10〜12
生まれ変わった玄野の魅力が発揮される13〜15巻。
死んだ加藤の面影を浮かべながら、「加藤だったらどうしただろう」と考え、その通りに行動してゆく玄野。
元は弱くて貧弱な少年が、なけなしの勇気をふりしぼって無理に雄々しく振舞います。
ちょっと間違えると「え?なんであの玄野がこんなに? 変わりすぎじゃない?」って思われそうですが、中身は同じ玄野なんです。
そこがまた面白い。
この玄野、これってまさしくあの加藤と同じなんですよね。
加藤は弱いものは見捨てることができず、友人を大切にし、外見は大柄でケンカやらせると強かったわけですが、実際はいつもブルブルガタガタ震えていたのでした。
本当は怖くてしょうがなかったんです。
推測ですが、加藤ももとは弱いダメなやつだったんです。
でも、加藤は「計ちゃんみたいになりたい」「計ちゃんだったらどうしただろう」って無理に雄々しく振舞い敵に立ち向かっていた。
でもそう振舞うことが無理な演技でも、無理にでも演技することが加藤の加藤たるゆえんとなっていた。
つまり加藤は既に雄々しいヒーローとしての資格を充分手に入れていたんですね。
ブルブル震えながらでも、彼の言動はつねに勇気となって仲間をつないできました。
仲間を絶対見捨てず、弱者の安全を常に考える。
全員で生き残ることを最善とし、そしてなにより生きて帰って弟を守ることを使命として必死となって生き残ろうとしていた。
内面に弱さを持っているけれども、それを押し殺して歯を食いしばって勇気を出してゆく。
恐怖を知るからこそ勇気を振り絞れる。
なかなかに力強いヒーロー像じゃないですか。
玄野は綺麗にその加藤の生き方を生き写しにしたようになぞっているんですね。
加藤にとっての弟が、玄野にとってのタエちゃん。
無理にでも勇気を振り絞り、絶対に生きて帰ってタエちゃんを守ることを使命としているわけですね。
大切な誰かを守ろうとするから自然と人の命の大切さにも気づくようになり、仲間を守り、弱者に手を差し伸べようとする。
今はまだ加藤の面影をたどりながら、加藤の背中を思い出しながらたどっているヒーローの道ですが、これで充分なんでしょう。
加藤の勇気と、皆を助けようとする姿勢が自然とメンバーを集めたように、玄野も自然とメンバーの中心となり、リーダーとして頼られるようになりましたね。
今までの玄野とは見違えるばかりです。
特に通称「おっちゃん」と玄野の信頼関係が人間味を玄野にとりもどさせていっているようで、実に温かく素晴らしい。
ついでながら岸本の位置あいとしてアイドルのレイカが玄野に惚れこんでしまっているのも楽しい。
またこれも余談ですが、新宿の暴走野郎・和泉。
彼はまちがっていたらそうなっていかかもしれない玄野なのかもしれません。
和泉のガンツの戦いへの渇望、現実の生活の実感のなさ、人の命をかけらも大切に思わないところは、反対側に転がってしまった玄野の未来像としか見えません。
としたら和泉の最後はどうなるのか、ちょっとそういった意味でも興味深いものがあります。
このストーリーは、人は「こうありたい」と思って「こうなろう」と頑張ったら、それは充分立派な自分なんだよっていう勇気の物語なのかもしれません。
今、自分の事をダメだと思って投げ出している人も、「こうなってみたいな」って思ったらやってごらんよ!やろうとする事自体が、もう立派にそうなることなんだよ!って言っているのかもしれません。
なかなか熱い物語です。
本編はまだまだ先に進みますが、今回のエピソードで1巻からきた加藤と玄野の勇気の物語は一旦の完結という気がします。
しかし面白いのが次なるエピソードの開始の早いこと早いこと。無駄がありません。
なんだかまだ正体不明ですが、「吸血鬼」のようなあやしげな黒服勢力が登場。
あらたなる脅威として普段の生活でも襲撃してきてます。
さらにはその黒服に、玄野の弟までもが参入するという事態。
これはなんともワクワクする展開ですね〜。
今まで受けて立つばかりで組織的に反抗してこなかった異星人グループが組織したエージェントなのでしょうか。
それとも、これもまたひとつの、一段他とは違う異星人グループなのでしょうか。
まだまだ何もわかりませんが面白そうです。
この漫画こういう展開の速さに技術を感じます。
ちょっとこういうのが遅れるとつまらなくなるし、早すぎると読者がついてこれない。
この間のうまさが魅力のひとつですね。
ところで玄野、今回の突然の開眼ですが、きっかけは加藤とタエちゃんなんですね。
加藤の死と、タエちゃんとの出会いがなければ、玄野はずっとあのダメな玄野のままだったでしょう。
なんと数奇な運命か。
これは面白い。
しかしその数奇な運命の運び手であるタエちゃんに絶体絶命の危機が。
偶然タエちゃんがガンツのゲームをカメラに収めてしまったためか、口封じのためにガンツは次なるターゲットにタエちゃんを指名。
これは参りました。
タエちゃんには私としても絶対に死んで欲しくないのですが、ガンツに使命されては生き残る術がない。
いかに玄野ががんばったところで無理ではないでしょうか。
また、玄野を信じるグループと、和泉に煽動されるグループに分かれての同士討ちになってしまったのも面白い。
玄野の仲間には1人として死んで欲しくないのですが、はたしてどうなるでしょう。
なんともはやメチャメチャ心配で先の気になるところで15巻が終了してしまいました。
今現在この部分がGANTZという漫画のなかで最も盛り上がっているパートなんじゃないですかね。
今ノリにノッているっていう感じがします。
早く先が読みたくてしょうがありません。
つーか感想書き終わったから16巻読み始めるぞ〜〜!!