ネタバレ注意
過去感想はこちら→1〜3 , 4〜6 , 7〜9
今まで好きになれなかった玄野をやっと好きになれそうな展開。
本当にいとおしいと思える女性ができて、やっと生きていることを実感し、懸命に戦い、生き残ろうと決意できましたね。
今までも生き残ろうとしてたし頑張って戦っていましたが、それは現実からの逃避として戦っていたフシがあります。
加藤のほうばかり向いてこっちを見てくれない岸本へのアテツケとか、ヤケで戦っているようでした。
ここへきてやっと、私の中で玄野が主人公となれたように思えました。
今までむしろ加藤のほうを主人公的に描き、玄野を嫌われ役っぽく描いていたのはやっぱり確信的犯行でしょう。
これからも玄野はさまざまな試練を経て変わっていくのでしょうが、この変化っぷりは観ていて非常に楽しいものがありますので今後も楽しみです。
これまで戦闘やシチュエーションのデッドリーなスリル感が売りだったようなガンツですが、序盤を抜けていよいよキャラクタードラマが動き始めたようですね。ここからが本番なのでしょう。
もちろん、デッドリーなバトルもこれからも期待なんですが。
そしてそのデッドリー方面が期待通り大進化。
前回は教室〜学校レベルの事件でしたが、一気に規模を拡大。
新宿で大虐殺を繰り広げてしまいました。
もう物凄いの一言。
この見慣れた風景がどんどん血みどろに変わっていく感覚はなかなか味わえないですね。
現実が幻想に上書きされていく快感というのでしょうか。
こういう、現実の街をファンタジーに塗り替えるのって、作家にとってもかなりのエネルギーを必要とされると思うのですが、なかなかのパワーで描ききっています。
この力強さはすごい。
TRPGでも現実の街を舞台にすることの多い私なので、このパワフルさには憧れます。
タエちゃんがまたいい娘だ。
この凄惨な虐殺の中、震えて座り込んでしまっていたのに、放り出されたベビーカーの赤ん坊を見たとたんキモがすっかり座っているんですね。
あんなに子供みたいな外見なのに、赤子を抱き上げ走り出すと、目はしっかり母の目なんです。
ここちょっと胸にグッと来ますね。
こんな娘が死んではいけません。ぜひこの娘には、この残酷なストーリーの中で生き残って欲しいものです。
そして、12巻はこれだけの巨大な大風呂敷を広げてのはじめてのガンツのゲーム。
登場シーンだけでもそれぞれ数話使った新キャラクター達と、玄野がどう絡んでいくのか期待です。