今回のテーマは夢魔の悪夢についてのおさらいでっす。
夢魔がどっからきた何者なのかは、現状いまだに解明されておりません。
それはまぁおいおいってことにしておくとして、大体どんな性質なのかはわかっています。
まず夢魔が必要なのはトラウマをもった人。
なんでもいいんです。
軽いものから重いものまで、なんでも心に傷を持った人がいれば、夢魔はとりつけます。
夢魔はそういった人のトラウマに取り憑いて、その人の夢を悪夢で塗りつぶします。
夢魔のパワーの大きさや、性質にもよりますが、ここで大体被害者は眠ったまま起きられなくなります。
夢魔は現実ではほとんど力を持ちませんが、悪夢の中では好き放題です。
トラウマの原因となった場面を何度も何度も繰り返し被害者に見せ続け、トラウマをさらに深刻化させ、精神エネルギーを吸い取って行きます。
多くの場合、夢魔が被害者の精神エネルギーを全部吸い取
ると、被害者は発狂か、植物人間、あるいは死ということになります。
そうすると夢魔は立ち去りますが、その後どこへ行くのかわかっていません。
より強力な夢魔に成長して、また別の被害者に取り憑くのかもしれません。
トラウマから夢魔が生まれるというよりは、夢魔がトラウマを発見して取り憑く、といったイメージのほうが正しいようです。
が、けっしてそれだけではなく、トラウマから夢魔が自然発生するケースというのも、ごく稀にあるようです。
夢魔に取り憑かれた悪夢と普通の人が見る普通の夢というのは明確に異なります。
普通の人はレム睡眠とノンレム睡眠とを交互に繰り返し、夢を見ている時間というのはけっこう短く、個人差はありますが睡眠時間のうちの約20%。それもまとめてではなく切れ切れに現れるものだといいます。
普通の夢はかなりとりとめがなく、バラバラで曖昧、支離滅裂な連想ゲームのように展開します。
そのような不安定な夢は、サイコ・ダイブも非常に難しいとされており、危険ですらあります。
もしなんとかサイコ・ダイブしたとしても、有意義な情報は得られにくいというのが一般です。
逆に夢魔にとりつかれた被害者の見る悪夢というのは、まざまざと明瞭で、まるで映画のようにくっきりとしています。
それもそのはず、夢魔が被害者の潜在意識を動かし、恣意的にそう見せているからです。
そのためサイコ・ダイブも非常に安定して行え、そこで情報収集を行うことができるというわけです。
ただし、悪夢の世界で手に入る情報がちゃんと信用のおける情報とは限りません。
悪夢の被害者が知りえなかった情報は、その夢のなかではなかったことにされますし、気づかなかったことも、夢では再現されません。
たとえば殺人事件を目撃していたとして、犯人の顔を悪夢を見る人が目撃していなければ、悪夢のなかでどう目をこらして見ようとしても、犯人の顔はぼやけて見えません。
数少ないケースですが、さらに、先入観や勘違い、あるいは夢魔の意地の悪い作為によって情報が捻じ曲げられることもあるかもしれません。
先の例でゆくと、犯人の顔がわざと別人として描かれるケースがあるかもしれないのです。
また、人間の記憶力というのは面白いもので、本人が意識していない部分も意外ときっちりと憶えていたりもします。
本人がすっかり忘れていることでも、夢の中では憶えていたりもします。
なにげなく見ただけの車のナンバーを、きっちりと憶えていたりすることもあります。
人間の記憶、精神というのは実に奇怪な構造をしているのでしょう。
また、NMH3では、さらに新しい夢魔の姿というのを提案していこうと思っています。
それについてはまた改めて。