2019年06月19日

週刊少年ジャンプ2019年29号 感想<後編>

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 そんなわけで後半戦〜♪

■前編の感想はこちら

 後編の感想は、

・呪術廻戦
・ふたりの太星
・ヒロアカ
・【最終回】食戟のソーマ
・Dr.STONE
・ビーストチルドレン
・【特別読切】キン肉マン
・ぼくたちは勉強ができない
・火ノ丸相撲
・ゆらぎ荘
・最後の西遊記
・神緒ゆいは髪を結い

 の 12 本でお送りいたします。



【センターカラー】 呪術廻戦

 戦い終わって虎杖たち。
 呪霊を払ったのではなく、「命あるもの」を殺したことを噛み締めなおす虎杖と釘崎さんがすっごくよかった。
 ぶっちゃけなんともないと言っている釘崎さんの、

「私の…人生の席…っていうか

 そこに座ってない人間に

 私の心をどうこうされたくないのよね」


 という述懐、とても釘崎さんらしくていいポエムだなーと。
 そして

「ま アンタみたいに

 自分で椅子持ってきて

 座っている奴もいるけどね」


 って見上げてほほ笑む釘崎さんもすっごく素敵だわーと。
 釘崎さんの強さと仲間への深い愛情がとってもよく伝わってきます。

 虎杖の噛み締め方もいいんですよねー。
 後悔したりするのではなく、

「俺が殺した命の中に

 涙はあったんだなって……それだけ」


 と、正面から受け止める覚悟、姿勢の話なのでしょう。
 つらそうだけれども立ち止まらないってことなのだろうなと。
 正しい死と正しくない死を考え続ける虎杖にとって、これもまたひとつの大きな経験となったんだろうなと思います。

 そして、そんな虎杖を励ますのでも誤魔化すのでも擁護するのでもなく、

「……そっか

 じゃあ

 共犯ね 私達」


 と、一緒に背負うと言ってくれたこのセリフ!この表情!
 釘崎さんという存在の心強さ!あたたかさ!
 いやー、今週はもう冒頭からシンミリと、そして暖かくなりつつ、彼らの覚悟に熱くなれちゃう一場面でした。

 映画のフィルムのような特徴的なコマ割りと構図も効果的。
 互いの主観視点になっていて、ふたりの距離感が伝わってきます。
 連なるコマで淡々と胸の内を語る二人の描写が続き、最後いきなりぐっとカメラが寄っていくことで二人の決意が強調される。
 そんなふうに感じられました。

 伏黒と合流し、一転してギャグになるのも最高でしたが、まさか宿儺、指を勝手に食っちゃいましたかー!(笑)
 いやー、油断も隙もありゃしませんね!
 今後指は絶対虎杖に近寄せちゃダメって思いますわ(笑)。

 二日後、五条先生は歌姫先生と電話で飲み会の打ち合わせ……ではなくて、これって傍点がついてるところが本当の会話になってて、もちろん内通者の炙り出しの件なんでしょう。
 なるほど、内通者がいるならこういう配慮もしなけりゃならんのかと、こいうインテリジェンス謀略合戦も面白いです。
 さー、実際誰が裏切者なのか。

 一方、伏黒と虎杖は、虎杖の宿儺の受肉が引き金となって方々の宿儺の指が活性化してしまったことについて、互いに互いを気遣い「あいつには言うなよ」と。
 いや〜、自分が傷つくことなど眼中になく、仲間の事だけを心配するこいつらの優しさがたまりませんですわ。
 つーかそれを虎杖に言ったのが当の宿儺さんって、あいかわらずあなたゲスですねーと(笑)。

 そしてラストは、ここで意外な新展開。
 東堂さんと冥冥さんの推薦により、なんと虎杖たち三人組+真希先輩、パンダ先輩の五人が 1 級術師に推薦ですか!
 おおー!なるほどこの流れのための、これまでの各人パワーアップ展開でもあったんですねー。
 昇格試験とかなにかあったりするんでしょうか。
 いやー、これは楽しみになります!

 それにしても、バトルに決着がついてちょっと一休み〜な展開になるのかと思っていたら、いやいやどっこい、すごい濃密な情報量の回でした!(笑)



ふたりの太星

 うおっと、今度は太が夜勤担当に!?
 太が復活してくれたのは嬉しいですが、いったいなにがどうなるのやら先が読めない展開が続きます。
 今度は星が前半を戦って、太が後半戦を担当する、そんな勝負が見られるんでしょうか。



僕のヒーローアカデミア

 異能解放軍のボス、リ・デストロ、その個性は身体部位の巨大化でしたかー。
 思ったよりもパワー系。
 まぁ新入社員をヘッドロックで殺しちゃってたりしましたからパワー系であることは仄めかされてましたが、個性自体はなにか搦め手系を勝手に想像してました。
 もちろんまだまだ秘密はあるかもですが、腕の一振りでコピー人間を一掃しちゃったり、ボスらしい豪快な強さでここからが楽しみになります。

 しかしリ・デストロ、言ってることはわからないでもないんですが、真の自由とか、国への反発とか、歴史や重みがどうとやらとか、言ってることがちょっと子供っぽく聞こえてくるなーと。
 もっとなんか虐げられてる個性持ちのための独立国を作り日本国と交渉する……みたいな、具体性のある人なのかと思ったら、ちょっとフワフワしている印象が勝ちぎみでした。
 もちろん具体性と実行力があるからこそここまで来れてるんでしょうけども、なんか話し方が地に足ついてない夢想家っぽい臭いが強くないかなーと。

 つーか歴史とか重みとか、ヴィラン連合に何か関係ある?って気もしますし(笑)。
 そもそも歴史で言ったらオール・フォー・ワンに由来するヴィラン連合だってすごい歴史じゃんっていうのもありますしね。
 ちょっとこのやりとりからすると、異能解放軍とヴィラン連合は永遠に噛み合わないなって気がしてきました。

 さあ、コピー死柄木とメイン死柄木の機転によって、いよいよ実現しそうなボス対決。
 触れればアウトな死柄木が、さらに触れてなくてもアウトにできている事を考えると死柄木が有利なんじゃないか?と思うのですが、さーて、どうなりますか。



【最終回】 食戟のソーマ

 ということで 6 年半にわたる連載がついに完結した食戟のソーマ。
 最後はえりなが「美味しい」と言って終わるのかと思いきや、最後の最後で「不味いわよっ」と来ましたか!(笑)
 最後まで意表を突かれまくりでしたが、しかしその直前に城の壁面が崩壊するほどのおさずけパルスを見せたことから、誰がどう見てもえりなが美味しいと思ったことは明らかなんですよねー(笑)。
 また、不味いと言っても絶対的に不味いと言ったわけではなく、自分がこれから出す品に比べたら遥かにと言う、あくまで相対的な比較のニュアンスになってるのも見落とせません。
 たとえ美味しいと思い、イメージで全裸を晒したとしても真に屈服したわけではないぞと。
 気概と勝負を捨ててない勝負師の気構えの話なんですよねー。
 たしかにそれでこそえりなです。

 薙切えりながどこまでも気概を持って高みを目指し、そんなえりなを目指して幸平創真が挑んでゆく。
 こうやってどこまでもどこまでも突き進んでゆくのがこの二人のありかたなんだろうなと、未来を想像させてくれる素敵なエンディングでありました。
 なるほど、このラストを目指しての最初の出会いであったわけですねー。

 ラストの展開はやや駆け足感がありましたが、なにはともあれ長年追い続けてきた作品の最後の着地がちゃんと見られたこと、嬉しく思います。
 最後の方はどうやら人気に陰りが見えたか、掲載位置も危ういところがずっとつづいていましたが、へんなところでブッツリ斬られることがなくってよかったな〜と。

 続きはジャンプGIGAで描かれるんですね〜。
 ただしそちらはあくまで 3 回のみのエピローグ的な意味合いのものの様子。
 本編はこれにて終了ってことなのでしょう。

 6 年半の連載、ここでひとまずおつかれさまでした!
 少年漫画らしい勝負ものと料理もの、そこにエッチなイメージ映像を重ねることで美味感を絵的に伝えるという大発明。
 ジャンプ史に残るであろう素晴らしい個性的な作品でありました。
 次はいったいどんな漫画でジャンプ本誌に帰ってきてくれるのか、すっごい楽しみにしておりますわ〜。



Dr.STONE

 扉絵がアラレちゃんパロ!?なんで!?って思ったらそういうことかーー!(爆)
 まさかの発明!
 それはウンコ!!(爆)
 前半の銀狼のちょっといい話風の印象が完全にふっとぶ衝撃でした(爆)。
 しかもこれ、稲垣先生のご家庭で奥様がキッチンでちゃーんと実験済みだっていうんだから笑っちゃいます。
 稲垣先生宅のその日のお夕食が心配ですよ(笑)。



ビーストチルドレン

 うわー、鯨井心さんいいひとだー!
 一見まわりを巻き込みまくるゴリゴリのマイペース人間と見せかけて、今日会ったばかりの桜のためにここまでしてくれるって。
 この至れり尽くせりのあたたかさ、思わずホロリと来てしまいましたわ。

 また、そんな二人の様子を眺めながら滝のごとく涙を流している親友空くんもホントいいヤツだなーと。
 この作品、キャラドラマがなかなかに暖かくって素敵です。



【特別読切】 キン肉マン

 連載 40 周年記念で特別出張読切。
 なんと、ジャンプ本誌でキン肉マンがキン肉ドライバーを!さらにキン肉バスターを!!
 いやー、時代も令和となったというのに、これをいまジャンプ本誌で読めるというすさまじさ!(笑)
 なんかもう今と言う時代はいつなのかという、えも言われぬ感動がありました。

 それにしても引退を表明したキン肉マンを止めに来るのが他ならぬロビンマスクとは、いやー、素晴らしい配役でした。
 ロビンスペシャルやタワーブリッジといった、まさにレジェンドな必殺技がこちらも飛び出す飛び出す。
 (今週放送されたアニメ『進撃の巨人』で巨人がタワーブリッジを決めてたのに、まさにジャストタイミングでこちらも不思議な感動がw)

 そしていかにもキン肉マンらしい、王道の友情ドラマが真正面から堂々フルパワーで描かれるこの感じ。
 これよこれ!こういう感じがキン肉マンだよなー!っていう感慨がどっと押し寄せてきましたよ。
 いやー、やっぱりキン肉マン、面白いですわー。
 現在連載されているキン肉マンシリーズは未読なんですが、これは読んでみたくなりました。

 40 年たってもいまだ衰えぬどころか、なお冴えわたりまくるゆでたまご先生のキン肉マン節。
 これからもきっと、もっともっと私たちを楽しませてくれそうです。
 やー、最高の読切でした!



ぼくたちは勉強ができない

 おー!
 理珠りん、感情大爆発!
 まさかこんなふうに感情を激しくさせる理珠りんが見られるとは。
 憧れや後悔、劣等感や恋心などがごっちゃになって爆発しちゃったように見えますが、やー、この問題を成幸がうまーく解きほぐすことができるんですかねー。
 なかなかにハイレベルな難問そうです。



火ノ丸相撲

 ぬあー!大包平瞬殺かーー!!
 一話の半分も持ちませんでした!
 無道を解放した刃皇の強さはここまでだったのかと、その圧倒的なレベルが凄すぎです。

 一方、鬼丸は兄弟子冴ノ山と対決に。
 それぞれがいろんな事情もありつつも、そんなことは互いに重々知りつつ全力全開でぶつかり合うことの美しさ。
 それこそが礼儀であり、感謝の表れであり、相撲人としての正しい生き方だと言わんばかりに。
 リアル相撲で批判のあった張り差しを冴ノ山が使ってきたのが、まるで全力を尽くすとはこういうことだと言わんばかりに強烈でした。

 さー、鬼気迫る表情でぶつかり合う兄弟弟子。
 その決着はいったいどうつけられるんでしょうか。



ゆらぎ荘の幽奈さん

 子供化を解除するキーが、まさか狭霧さんの雨滴穿石(あめのしたたりいわをもうがつ)だったとは!
 やー、意外なポジションのヒロインに、すっごいでっかい役割が与えられてたんですねー!
 正直驚きでした。

 しかも単に技を使うだけで突破するのではなく、そのために自ら命を捨てるような裏技を。
 なんたる思い切りの良さと驚かされました。
 信じあう絆の深さを見せつけた幽奈さんと狭霧さんに、もしかしてこの二人の様子こそが敵・リリアをキュン死させるのでは?リリア百合族!?とかまで思ってしまいましたよ(笑)。
 いやー、早合点(笑)。

 ともあれ、ハーレム状態に割って入ろうとする一人の女の子の切なさがウィークポイントだったとは。
 これはゆらぎ荘ヒロインズには相性悪すぎ(笑)。
 勝てるわけもなかったですね〜。
 そして「その切ないキモチ わかっちゃう…っ」と全裸で悶える敵・リリア。
 これは今週最終回を迎えた食戟のソーマへのリスペクトだったりするのかも!?と、そんな風に見えてしまいました。



最後の西遊記

 エステル、ついに立ち上がる!

 だったら私がリンリンに

 なれない理由は一つも無い!!


 と堂々宣言し立ち上がったリンリンのカッコよさよ!
 ここまでじっくり丁寧に描いてきただけに、この覚醒はゾクゾクくるものがありました。
 弱さを抱える人間だからこそ、勇気を振り絞った時のカッコよさはひとしおです。


神緒ゆいは髪を結い

 竜二!? 竜二なのかッ!?
 髪を結いにぬらりひょんの孫のキャラクター花開院竜二そっくりの、それも同じような陰陽師っぽいあやしげな男性が登場。
 やー、ただのそっくりさんなのかもしれませんが、思わずうおーっと熱くなってしまいました(笑)。
 クロスオーバーとかスターシステムとか無性にテンション上がっちゃうんですよねー。

 しかし、和風ホラー描写がほんっとキレッキレだなぁー。
 カードから這い出る無数のウネウネに、思わずウオッとなってしまいました(笑)。
 扉絵のカットも美しかったですし、椎橋先生のこういう表現力、ほんっとすごいですわ。




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posted by BOSS at 22:26| Comment(2) | ジャンプ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ヒロアカ>少しだけワンピースのギア3を思い出させる良いリスペクトを感じました。(元々ワンピースのファンとして投稿とかしてたらしいので)
まあ話し合いで解決しない事だからこそ戦いとも言えますね。
そしてヴィラン連合も本当は歴史が深いのを忘れていました。
まあ個性を全員解放とか、個性無い現実でもそれなりに抑制されてるんだからそこに正義とか付け加えるのは諦めろとしか言い様がないですね。
シガラキ達みたいにヴィランとして振る舞うならともかく。

ソーマ>BLUE編の始まりからえりなを意識させていた意味が存分に出た最高の最終回でした。
作品のテーマである大切な1人の女に食わせる料理、読み切り時代からのテーマである満点を超える料理、それを作ってもまだ無限に広がる料理の荒野、それらがえりなの意地っ張り、それに対するソーマに全て集約されていました。
朝陽も、えりなが絶望をして決勝に登ってなおこの形を持ってくる為に必要な駒だったわけですね。
惜しむらくは、朝陽の強さに尺を取らずあっさり終わらせたり、他の勝負をしたりして強者の説得力を無くしてしまっていた点。
そのせいで最終回前からの流れは非常に良かったんですが、BLUE編全体としては高評価を下していいか迷うところ。
最終回への流れからは間違いなく高評価なんですが。
ただここに来るまでネットで(的外れというかただのアンチも多分にありますが)かなり悪く言われているのを見かけたりして、ここでソーマの感想を見るのが不安になってました。
本当に良かったです。
あと、えりなとの決着を付けなかったこその最終回なんで、後日談でもどっちが勝ったかは知りたくないなと滅茶苦茶な事を思ってます。

最後にソーマは好きな作品ですが、裸+料理はソーマの先駆者がいます。ヤングジャンプの『華麗なる食卓』という漫画がリアクションのうち一部ではありますが、エロチックなイメージを取ってます。
そもそもリアクションは激しくない漫画でしたが。ただ49巻という大長編のカバー裏が全部女性の裸という徹底ぶりな一面ありましたが。

ストーン>ウンコの臭いは嫌ですね。
世界一臭い食べ物と言われるシュールストレミングとかでも平気そうな貞塚(ソーマのゲテモノ料理人)とかソーマとかならペロリかも。

キン肉マン>良かったんですが、気になったのが「前の読み切りも引退の話だったろ」って事ですね。
連載中の本編は昔の勢いを殺さないまま計算されたモノが追加され凄まじい面白さになってます。ただ情勢が複雑なんで話も長くはなりますが。
Posted by 太郎丸 at 2019年06月23日 21:18
>太郎丸さん
>ソーマ最終回
 創真とえりなは短期的には勝ったり負けたり勝敗がつくことはあたとしても、長い料理人人生における「彼らの歩み方」「ふたりの立ち位置」は変わらず今回の結末の姿ってことなのだろうなーと想像させられました。
 そしてそれこそが食戟のソーマが描き切った料理に挑む者たちの、「ひとつの理想の姿」であると、そういうことなのかもしれないなと。
 いろいろ感じさせてくれる素敵な結末だったと思います。

 BLUE編は残念ながら巻きが入ってしまったせいか構成がボヤけて見えてしまった面も私もあるかと思いますが、終わり良ければ総て良しって感かなーと。
 
>キン肉マン
 たしか前はキン肉ハウスを舞台にドタバタやった記憶がわたしもボンヤリと(笑)。
 現在連載中のキン肉マンもなにかとネットで話題になってますし(アタルと誰々がタッグを組んだ―!とかw)、最近読みたい熱がどんどん上がってきています(笑)。
Posted by BOSS at 2019年06月30日 21:35
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