2018年08月29日

週刊少年ジャンプ2018年39号 感想<後編>

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 ではでは後半戦〜。

■前編の感想はこちら

 後編の感想は、

・ハイキュー
・【金未来杯】仄見える少年
・ブラクロ
・アクタージュ
・火ノ丸相撲
・ゆらぎ荘

 の 6 本でお送りいたします。



ハイキュー!!

 カスんのかーーーい!(笑)
 先週あれだけ興奮させられた日向の「ドン」のジャンプでしたが、まさかのカス当たりにめっちゃズッコケ。
 でもなんとか点に繋がってホッってところですが、でもこういうところがいつものハイキュー感溢れてます。

 そして今週もさらに強気に「オープン!」と、日向のドンのジャンプを要求する影山。
 勇気を出していこうっていう烏養コーチのあの言葉は、まだ確実ではない日向の新ジャンプを押し出してゆこうっていうことだったんですねー。

 これに日向、怖じ気づくどころか、遊んでもらえる仔犬みたいにめっちゃ喜んじゃってるのが日向らしい。
 思い出されるのは、まだ日向の中学時代、バレー部がなかった苦難の時代。
 日向にとって、ただただトスが上がるということが何よりも嬉しかった初心の時代ですね〜。
 三話目あたりで、影山が思わずって感じで初めて日向にトスを上げた、あの瞬間の日向の輝くような表情がフラッシュバックしてきます。
 いやー、このドンジャンプ解禁のこのタイミングで、この回想と表情を重ねてきますか〜。
 思わずこみあげてくるアツさがありました。
 実に絶妙な構成です。

 技術的に見ても、たくさんの人の色んなトスを打ってきた日向にとっては、研磨の読みの「高いトス苦手な人ってけっこう居るよね?」は全然違ったってことなんですねー。
 あのまさに「苦節」って感じの下積み経験が、見事に今に繋がったんだってのはほんっと嬉しい事ですわ。

 そして長い滞空時間を活かし、今度こそ見事に決まったドンジャンプアタック。
 いっやーー、熱いし、カッコイイし、シビレルし。
 ここ最近苦しい展開が長く続いていただけに、めっちゃくちゃに気持ちいい場面でした。
 ほんっと読ませてくれますよハイキュー。

 しかし相手もさるもの、さすがは音駒。
 このジャンプにもあっという間に対策を練ってきちゃいますか。
 それもここで、あの犬岡くん!
 日向の最初のライバルです!
 リエーフにレギュラーを追われてからはめっきり活躍場面がありませんでしたが、ここで出番とは!
 敵ながら、なんだかめっちゃ嬉しいです(笑)。
 日向対犬岡くんの、すこぶる元気な対決がここから見物になりそうです!



金未来杯エントリーNo.1 仄見える少年

 さー、今年もはじまりました毎年恒例の金未来杯。
 優勝を獲得し、連載枠獲得にこぎつけるのは果たしてどの作品か。
 いつもは楽しさ重視であんまり批判的な事は言わない私ですが、この金未来杯についてはいつも若干キビシメの目で見ていっておりますのでそこのところはご了承いただければと思います。
 ではではさっそく。

 最初の作品は、原作・後藤冬吾先生、漫画・松浦健人先生による怪異ホラー系。
 顔が膨れ上がる黒い化け猫のイメージがいいですねー。
 最後、主人公少年の体中に手形が発生し、力が解放される場面も印象的でした。
 映像的にセンスがあるのはホラー向きの才能だと思います。

 また、不気味だけどすっごい頼りになりそうなお姉さんの存在感もなかなかグッド。
 漫画に便利な水先案内人でありながら、作品の雰囲気をグッと引き締めているような感じがありました。
 主人公よりもキャラが強めで、いっそ主人公のキャラを食ってた感すら受けました(笑)。

 ただ難点もいくつかあり、まずは構成がいたって普通という点でしょうか。
 ピンチの少女が特別な力を持った少年に依頼をして、一緒に事件を解決しておしまいという、これまで何百何千とジャンプの読切で繰り返されてきた構成で、展開事態に特筆すべき点が見当たらないのが弱いところかと。

 また伏線を張らずにビックリ展開をやったり、チグハグな描写も多いために置いてけぼりをくらう読者も多そうな作品です。
 女の子はなぜ 8 回も帰り道に黒猫に遭った事を、行きの道だと勘違いしたのか。
 ここがまったく触れられてないので、読者視点では「起承転結」の「転」を起こすために都合よく女の子が忘れてただけと見えてしまいかねません。

 また黒猫はなんで女の子を守っていたのか。
 さらに最後、黒猫は女の子を守ると言うよりも、通せんぼする形で出現し、女の子がろくろ首に襲われやすくしてしまっているのもおかしなところ。
 男の子の結界をろくろ首がなにごともなく踏み越えて女の子を襲っていることも解せません。
 そして、黒猫じゃなくて真犯人はもう一人いたと突然言われても、伏線がなければ「ああそうですか」と読者はなりかねません。
 ここはもっと序盤から違和感やもう一人の存在のヒントを示しておくべきところだったかと思います。

 終始こういったかたちで少々伏線不足、チグハグな描写が目立つ、荒削りな脚本だなーというのが印象でした。
 他にも序盤、上の階から笑い声が聞こえることに女の子がビビりますが、そりゃ学校なんだから上の階から笑い声くらい聞こえるっしょってなっちゃいます。
 なぜそれが普通じゃないと感じたのか、ホラーなわけですからちゃんと説明すべきところではないでしょうか。
 でないと読者も一緒に怖がれません。

 あと一点、主人公が重要アイテムである鍵を行使するためには、いくつもの条件を整えなければいけないわけですが、条件が整ってからそれを説明しているのがもったいない構成です。
 そのため、あまり今回の漫画上の面白さに貢献していない死にギミックになっていると思うんですよねー。
 もっと前段階から条件を説明しておいて、「判明してないのはあと一つだけなんだが」と読者と一緒に悩んだり、もうダメだー!となったところで主人公が逆転の発想で解き明かしたり、あるいは女の子のなにげない一言が意外性のあるヒントになったり、そういう漫画的に盛り上げられるギミックだったんじゃないでしょうか。
 まぁ、よくあるパターンですけどね(笑)。

 主人公に憑りついている「あれ」が忌み名を教えてくれるというのも、あとから説明されても「ふーん」となってしまいます。
 そもそも忌み名が必要なことすら読者は解決してから知ったわけですし、そのうえ忌み名がなんなのかの説明もありません。
 漫画的にはこのあたりはストーリーに活かされてない、死にギミックになってしまっていると思うんですよねー。

 そもそも鍵を行使するために必要な条件のひとつを鍵自体が満たしてくれるなら、その条件は今回不要だったんじゃないでしょうか。
 このあたり、もうちょっとヒネリが必要だったかと思います。

 また、女の子に対する男の子の対応には違和感が多かったかなーと。
 序盤まったく取り合おうとしないわりに説明好き……なあたりは、まぁ好意的に解釈できるところかもですが、黒猫の話を聞いた途端に手のひらを返したところは印象がよろしくなかった点でした。
 つまりそれまで男の子は勝手な判断で女の子を軽んじて、どうせたいしたことない話だろ?と、タカをくくっていたように見えたんですね。
 ことが女の子の命にかかわっていたわけですから、まさに致命的な判断ミスだったわけですが、そのあとでこのミスと非礼を謝ることもないというのも印象のちょっとよろしくないところでした。
 特殊な境遇のために他人と関わることを避けていた少年が、関わってしまった以上は絶対助けなきゃと頑張っちゃう、そういう人間らしい熱いところのある少年の心の物語を目指していた作品だと思われますが、そのあたりの心の動きが、あんまり綺麗に形にならなかったといったところでしょうか。

 絵や映像的な演出面についてはレベルが高く、見やすく、わかりやすく、かつかっこよく、なかなか魅力的な世界が描けていたと思います。
 一点だけ気になった演出としては、クライマックスの「もう掴まれてる」のシーン。
 ここ、右ページは少年視点でろくろ首を描いて、左ページでもう一度女の子視点で描きなおしているんですが、少年視点で全体像を描いてしまっているために、女の子視点で徐々に見えてくるろくろ首の怖さが半減してしまっているんですよねー。
 これ、逆の順番のほうがよかったんじゃないでしょうか。
 徐々に徐々に見えてくるっていうのは、ホラーでは最大の見せどころのひとつだと思うんですよね。

 まとめとしては、やりたいことはけっこう伝わってくるけど、まだまだおおいに荒削りというのが印象の強い作品でした。
 丁寧に伏線を張り、丁寧に順番を追って情報を開示する。
 作者だけの都合で作品を作ろうとせず、読者と一緒にハラハラし、読者と一緒に悩み、読者と一緒に痛快な場面を楽しむ。
 そういう読者視点を自分の中に持つことが、まずは大切なポイントではないでしょうか。

 あとはストーリーに直接必要ない設定は大胆に削り、ストーリーのためにこそ設定を作るってことかなーと。
 もしかすると原作担当の後藤先生は「設定好き」なんじゃないかなー。
 私も同じ設定好きのタイプで、ひたすら設定を作りまくるのが大好きで、設定を説明しまくることについつい快感を覚えるタイプなんですが、同じ感じになっちゃってるんじゃないかなーと思いますねー。
 後藤先生的には、あえて設定ありきからは物語を作らず、物語から求められる設定を逆算する、という方法がいいんじゃないかと私の経験からはそう思います。
 
 てなわけで、わたしの正直な感想としましては、仄見える少年は今すぐ連載にこぎつけるのはまだまだ時期尚早ではないかなーという感覚でした。
 物語としての漫画を作る技術力に、修行がもうちょっと必要じゃないのかのーと思います。


 かくして始まった今年の金未来杯。
 さーて、今年はここからどんな作品が出てくるんでしょうかね〜。
 たとえ荒削りでも、それを補って余りあるほどの魅力ある作品に出てきて欲しいって私なんかは思っちゃうんですが。
 期待してますよー。



ブラック・クローバー

 おー! なんとあの人たちが!
 裏切者のゲルドルさんに、あの鎖のレブチが脱獄&大暴れ!

 レブチのことは完全に忘れていましたが、鎖を見て思い出しました。
 第一話(?)でユノから魔導書を奪おうとして、アスタにボッコられた最初の犠牲者でしたっけねー(笑)。

 しかしラデスたち元魔眼との共闘に加え、今度はまさかの犯罪者コンビが参戦とは。
 アスタたちの味方になったわけではありませんが、敵の敵は味方と言う事で、これはこれで強力そうなかく乱要因が誕生してくれました。
 透明化の魔法プラス、拘束した相手の魔力を封じる鎖って、なっかなかに強力なコンボ。
 せいぜいいい感じでエルフ戦力を削って欲しいものです。



【センターカラー】 アクタージュ act-age

 はー、役者さんって大変だなー。
 いわゆる「よくわからないキャラ」っていうヤツでもしっかり自分なりに掴んで演技しなけりゃいけないわけですからね〜。
 かと言って自分なりに落とし込んだ上で、それが観客に「わかりやすいキャラ」として受け取られちゃったら、それはもう「よくわからないキャラ」ではなくなっちゃうわけで。
 それだと神秘性が損なわれたりするわけですよねー。
 うーん、なんとも難しい。

 いかに感情を観客にわかりやすく伝えるかっていう問題をクリアーしたら、今度はよくわからないキャラをどう掴むかと言う問題に突き当たると。
 今回の舞台編、なかなか難題山積のようです。
 この難関を、夜凪ちゃんは阿良也と力を合わせ、たがいに足りないところを補い合ってクリアーしてゆくって感じですかね〜。
 んー、これは楽しみです。



火ノ丸相撲

 おー! まさかの大典太、草薙に大勝利!
 これはかなりの大番狂わせをやってくれましたねー。
 ここへきて大典太、ついに花開くって感じでしょうか。
 この場所は最終的に全員二敗で優勝争いになってもらわないと困りますから、ここからはこうやって意外な大金星がいくつも起こったりするのかもしれませんね〜。
 さーて、刃皇と童子切に二回土をつけるのは誰になるのか。



ゆらぎ荘の幽奈さん

 おおー!ここで幽奈さんが覚醒ですか!
 仲居さんが自分を犠牲にしてみんなを進ませようとして、そんな仲居さんを空中キャッチする幽奈さんとか、まるで主人公か!って思ってしまいましたが(笑)。
 いやー、覚醒した幽奈さん、ちょっとキリッと引き締まってて、衣装も強そうでカッコイイではないですか。
 人格も普段とはちょっと違って決然としている感じ。
 いつものふわ〜っとした幽奈さんはどうしてしまったのかってところは若干不安感にも襲われますが、ですがこの強そうな幽奈さん、いったいどんな実力を持っているのか。
 まずはそこを見てみたいと思います。
 まぁ、ここで幽奈さんが勝っちゃったら話は終わっちゃいますから、まだまだ二転三転はするとは思うんですけどね(笑)。

 しかしそれはそれとして、今週は仲居さんだけじゃなく、こゆずちゃんが船を量産してみたり、千紗希ちゃんが必死に操船頑張ってみたり、みんなで力を合わせてる感が素敵です。
 クライマックス感を感じますわ〜。

 そしてこんなシリアス中でも「義務」とばかりにおパンツを無理なく小まめに挟み込むミウラ先生。
 いやー、先生律儀ですわ〜(笑)。



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posted by BOSS at 22:55| Comment(1) | ジャンプ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ハイキュー>冷静に考えたら、今までと高さが変わる→打つ感覚も変わるので失敗は当然なんですよね。
あとは手の端を狙うとか合宿時に取り組んでいた事が出せたら最高です。

ブラクロ>相性で格下に負ける事があったという良い例。二人共、実力なら今のアスタ以上でしょうし。
ハンターのチェーンジェイル+パーフェクトプランて無敵でしょ。問題はコイツらがまた敵になりうること…

相撲>絶対、草薙、天王寺、刃皇、火ノ丸の4つ巴の優勝決定戦とばかり思ってたんですが、こんな混戦を見る限り3敗で5つ巴とかもありそうです。
優勝を経験してる、つまり刃皇に勝った事もあるのが2敗って異常事態ですよ?

ゆらぎ>流石コガラシさん展開も好きですが、皆が力を合わせてコガラシでもどうにか出来ない事態に立ち向かうのも好きです。
Posted by 太郎丸 at 2018年09月03日 00:45
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