ギリシャに迫る100万以上のペルシャ軍。
それに立ち向かうはたった300のスパルタ兵。だがそれは300の超精鋭であった!
美麗な筋肉と血と鉄の闘争絵巻。色調も秀逸だが「こいつらおかしいぜ!」と見てるこっちまでやけにハイになれるテンションの高さがすばらしい。
私のはいっているテーブルトークRPGサークルのメンバー総勢7名でぞろぞろと鑑賞に行き、鑑賞後その盛り上がったテンションで飲みつつ映画をネタにさらに盛り上がる。そんな場面にピッタリのすばらしいバカ映画(もちろん良い方向で)。
当然そんな風に大勢で盛り上がって話したもんだから、「あそこのあの場面が凄かった!」「あのときのあいつの台詞が最高だった!」と互いによい所探しなんかしてしまって、俄然脳内評価もうなぎのぼり。
これ、自宅DVDで1人で観てたら80点くらいかもしれんです。
間違ってもトロイやグラディエーター、ロード・オブ・ザ・リングのようなものを期待して観に行ってはいけない部類です。
重厚な人間ドラマとか、壮大な歴史ロマンとか、エキサイティングな戦略物とか、そういうところを期待してしまうと、拍子抜けしてしまうでしょう。
そういう部分は、この映画ではさして重要な部分を占めていません。
見せ場はなによりもアクション。そして主人公たち300人のスパルタ人たちの熱狂ぶりです。
アクション部分は、リアルさよりも、色調補正をかけることで、くすみがかった古代の絵画のような、出土した芸術品のような臭さがかっこいい。
鮮血がめずらしいくらい飛び散りますが、これも色調補正されてむしろくすんだ褐色っぽくなっており、アニメでよくある衝撃波表現か、アクションゲームのダメージ描写のようで、非常に美しく見えてグロテスクには感じません。残酷感を感じずに単純に爽快。
スローと早回しを交互に使ってメリハリをつけてアクションを盛り上げるのも効果的です。
元来スパルタ兵は重装歩兵で、全身ガチガチに鎧を着込んでいるはずですが、それをほとんど裸にしてピチピチパンツに真っ赤なマントを羽織らせたのは大正解。
ボディ・ビルダーばりの筋肉マンたちが、血と汗をしぶかせながら縦横無尽に敵を叩き伏せてゆく姿は一種快感です。
主人公レオニダス王もそうですが、スパルタ人みんながテンション高め。これがだんだん快感になってくる。
援軍にやってきたアルカディアの民兵が、なんてスパルタは少数なんだと文句を言うのに対し、
「お前の職業はなんだ?」
と、レオニダス王がアルカディア兵の何人かに聞いていく
「陶器職人です」「鍛冶屋です」
と、数名が返事をすると、レオニダス王、今度は背後のスパルタ兵に聞く「お前たちの職業はなんだ!?」
すると、「ウォオオオオオオオオオオオオオ!!」と一斉にあがるときの声。
「戦士の数では、お前らよりも多い」と満足げに言うレオニダス王。
うはぁ〜、これがかっこいい。
アルカディア兵ひきまくりでしょうきっとコレ。
「あちゃ〜、やっちゃた。とんでもないバカの援軍にきちゃったよ〜」って思ってますね。
でもスパルタ人そんなこと気にしません。
アルカディア兵なんてハナから当てにしてないのです。
この彼らの戦争バカっぷりがどんどん快感になっていく。
個人的には最終場面近く、議会の老人たちがめいめいに「あるモノ」を手に掴んで叫びを上げ始める場面がツボでした。
それまでおとなしかった彼らの、モウレツなテンションの上げっぷりに、あぁこのひとたちもスパルタ人なんだなぁと嬉しくなります。
悲壮なストーリーとか、夫婦の愛とか、裏切りとか屈服をよしとしない苛烈な精神とか、いろいろありますが、とにかく何も難しいことを考えずにテンション上げて楽しめる、そんなすばらしい映画でしたよ。
むしろ王妃のストーリー短めにカットして戦争シーンもう1つくらい追加してくれてもよかったくらいか。
エンディング・テロップで席を立つ人が多かったですが、このエンディング・アニメーションがまた秀逸。
立体構造の影絵のような、シルエットと鮮血だけのアニメなんですが、これのセンスがすばらしい。むしろオープニングに使ってくれてもよかったかもしれない。
この映画が気に入ったら、エンディング・テロップもしっかり堪能しましょう。