2015年11月04日

週刊少年ジャンプ2015年49号 感想<後編>

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 ではでは後半戦。

■前編の感想はこちら





 後編の感想は、

・【読切】カンフーマスター
・斉木楠雄のΨ難
・ブラック・クローバー
・ものの歩
・火ノ丸相撲
・銀魂
・左門くんはサモナー
・カガミガミ
・磯部磯兵衛

 の 9 本でお送りいたします。



【読切】 KUNG-FU MASTER(カンフーマスター)

 以前将棋の読切作品『うるし』が本誌に掲載された那波歩才先生によるカンフーアクション読切。
 カンフーの達人がキョンシーを倒すのかと思ったら、実は主人公もキョンシーでしたというオチ。
 吸血鬼ものの作品であったりするパターンですが、こういうのって男子のハートをグッと掴んだりするんですよねー。
 陰の気にとらわれたらキョンシーに堕ちちゃうから、だから陽の気を保とうとして戦いを嫌い、平和を愛する。
 そしてその自分を守るための巨大な陽の気が、敵キョンシーを倒す最大の武器にもなる。
 なかなかいいモチーフだったと思います。

 ただし、ちょっと気になった点もいくつか。
 なぜグイ少年は、一目見ただけで子供ふたりをカンフーマスターだと思ってしまったのか。
 ちょっとここは唐突感か、ご都合感があったように思います。
 屋根の間をポンポン飛び回ったことでそう思ったのかもしれませんが、それほど凄いアクションだという印象は伝わってこなかったんですよねー。
 この世界なら、このくらいのことができる人はそこそこいるんじゃないかっていう、ただの思い込みかもしれませんが(笑)。

 仕事はしないって言われているのに試させて頂きたいというのもハテナマークでありました。
 いや、だから試したところで仕事しないんだってばーって思ったのですが、そこで仕方ない、働くかと受けて立ったのもチンプンカンプン。
 お互い何を考えているのかよくわからないんですよね。

 キョンシーを倒し終わった後、グイ少年が突然フェードアウトして、代わりに語り部的ばあちゃんが話を〆たのも不思議でした。
 グイ少年の心は父親と「再会」したことでどうなったのかとか、自分が原因で村人を何人か死なせたらしいのに、そのへんの罪滅ぼしとかはどうしたのー?とか。
 そのあたりが描かれないままばあちゃんが〆てしまったので、あれれ?って思ってしまいました。

 全体の印象として、やりたいシーンや言わせたいセリフが先にあって、それをツギハギのように溶接していった作品という印象なんですねー。
 たしかにラストシーンとか、なかなか情緒を感じさせるいい雰囲気です。
 手合わせしたシーンも、お茶を持ちながらの組み手だったりしてなかなか面白かったと思います。
 要素要素はいいと思うんですよ。
 でもその要素の継ぎ目がまだ粗いように思うのです。
 このあたりを、どうにかしていったほうがよいかと思いますねー。

 個人的には白雲のキャラはなかなか気に入りました。
 「カッコつけてみたヨ! 意味はないネ!」とか、これはちょっとやられたなーと(笑)。
 この子が一番人間らしくイキイキとしてたように見えました。



斉木楠雄のΨ難

 出っ歯とアゴが合成されたのか!(笑)
 実に分かりやすい親切設計!



【センターカラー】 ブラック・クローバー

 意味ありげな生命の樹の石碑が出てきて、さらに敵ボスらしき光の魔法使いが出てきてお仲間回収。
 なるほど、そういうことでしたか。
 あれだけ濃そうな敵たちが出てきて一瞬で消されてしまうのはちょっともったいないなと思っていただけに、これは納得の流れでありました。
 戦いの本番は、また今度ってことですねー。

 王都に戻ってきた魔法帝、フエゴレオンさんの状態を見て迷いだす。

(王都を離れるべきではなかったか…)

 ということですが、あれだけの無双っぷりを披露して、さらには諜報活動で敵アジトまで簡単に見つけ出し、王都のこともだいたい把握しちゃってますよーという完璧超人っぷりだっただけに、こういう人間らしさが描かれるとちょっとホッとするものがあります。
 どれだけ偉大な人間も、迷ったり後悔したりってこととはなかなか縁が切れないようで。
 そんなところも、この魔法帝ユリウスの人間的な魅力って思える気がします。
 あんまりなんでもパーフェクトな人間って、わたしは魅力感じないんですよねー。

 ラスト、「オマエは一体誰だァァーー!?」なアスタにも笑わせていただきました。
 うん、確かにね!
 最近すっかりメインメンバーな顔をしているレオさんですが、だいたいの読者としてはまだほとんどキャラを掴めてない段階だと思いますもの。
 そういう読者の気分をアスタがバシッと代弁してくれたような、そんな謎の痛快さを感じてしまいました(笑)。



ものの歩

 お、この相良十歩とやら、いわば信歩と似たり寄ったりのヤツなんじゃないですか?
 変人の見た目や発言は作ったもので、いわば弱い心をまもるための偽りの鎧。
 その鎧の中に、寂しい孤独な自分が体育座りしていて、誰か遊んでくれー!と誰にも届かない叫びを叫んでいるって感じなんではないでしょうか。
 おおお、なんかコイツ、悪いヤツではないかも。
 信歩と同じように、思ったように人とコミュニケーションできない、対人能力ポンコツ系の同類だったりするのかもしれません。
 最初はなんかトンデモキャラが出てきたなーと身構えてしまいましたが、見た目の変人っぷりがフェイクなのだとしたら、ちょっと可愛げのあるヤツじゃないかと思えてきましたよ。

 さあ、そんな相良十歩の心の声が駒から聞こえてしまった信歩くん。
 相良の孤独を癒すことはできるのか!って感じで、なんだか熱くなってまいりました。
 信歩くんの表情が、妙に頼もしく見えてしまいましたよ(笑)。



火ノ丸相撲

 これまでとは別人のように闘志剥きだしの小関部長にホレボレ!
 土俵の下に置いて来た…!の真剣そのものの表情。
 鬼丸の頭突きを胸で止めてみせるその大迫力。
 クロスした腕で鬼丸の腕を押し上げ、もろ差しに攻めるパワーと、実は相当右ひじを痛めているはずだと分析する鋭さ!
 「本当は痛めてるんじゃないのか…?」と来て、「そんな痛めた腕でこれ以上無理はさせない!」みたいな下手な優しさに着地するのではなくて、

「ナ メ る な よ !」

 と怒りに転じたのがなんともカッコよかった。
 もうこのまま「金星」を取ってほしいってくらいのかっこよさなんですが、いやー、小関部長、本当に化けてくれました。



銀魂

 おお、ついに桂さんの本気モード!?
 桂さんの本当の力が見れるんでしょうか。

 思わずオッと乗り出してしまうヒキでしたが、今週は導入のやり取りも凄いよかった。
 名乗りが長すぎると覚えられないってのはまったくもって同感です。
 わたしも固有名詞が三つ以上続くと全部頭に入らなくなるポンコツなものでしてねー(笑)。

 しかし、最後はシンプルに名乗った猩覚なのに、それでも覚えられんのかーーい!って、これは普通に噴き出してしまいましたわ。
 桂さん、いい顔してるのがまた汚い(笑)。



左門くんはサモナー

 うわー、掲載順下がってきたなー。
 先週あれだけ面白かったのにこの順位ってのは苦しい。
 先週のアンケが反映される三週後あたりにムクッと復活してくれればいいのですが。

 さて本編。
 今週は九頭龍くんがゲストで南米虫取り回。
 こういう不思議な力で外国に行く話で「密入国」っていう発想はなかったなー(笑)。
 うん、言われてみればたしかに密入国だ。

 またキャラの掛け合いが安定して面白い。
 「こっちから順に十万、十万、あと十万」→「ヘラクレスと読んでやれ」とか、
 「お前も佃煮にしてやろうか…」→「俺に言ってんのかそれ!?」とか、
 「純粋に暑苦しいんだよ」「今してんのもっと物理的な話だよ!」とか、
 「あるんだろうな…?証拠がよぉ…?」→「鏡見ろ」とか(笑)。
 実に気持ちのよくなってくるやりとりの数々でありました。

 後半のてっしーの優しさもマジてっしー。
 「左門くん人助けする私嫌いじゃなかったっけ」と指摘しつつ「いいけど別に」と受け入れて、さらには

「肩でもどこでも好きなとこ掴めよもう!」

 という完全なる女神の包容力(笑)。
 「どこでも」ってホントにどこでもいいんですかー?なんていうよからぬ妄想がチラリとしてしまいましたが、そんな冗談すら出ないのが今週の左門くんでしたねー。
 散々ドタバタやって最後は醜い争いやって、でも〆はてっしーのおおらかな笑顔で。
 いやー、みんななんだかんだでてっしーに守られているって感じが素晴らしい。
 てっしーが笑っている、ならば今日もいい一日だったっていう、謎の満足感がありましたわ(笑)。
 てっしーは、ほんっとこの漫画の女神ですねー。
 ……ハッ! もしやこれがゲロ君の宗教なのか!?



カガミガミ

 ぬおー!マコさんたち深獄に落ちちゃったのかこれ!?
 恭介くんの必死の頑張りもあとちょっとのところで間に合わずか。
 どうなっちゃうんでしょうねー。

 それにしても、すべてが光のなかに飲み込まれていって深獄に堕ちていくこの場面。
 セリフなしで息を飲む様な圧倒されるものがありましたわー。



磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜

 見えない力に導かれるようにして野球にのめりこんでいく磯兵衛たち(笑)。
 グローブとかめっちゃ完璧だわ、「死の球」とか、たしかに「死の球」だけどもね!
 導かれっぷりのあまりの滑らかさに大笑いしてしまいましたわ(笑)。
 こういう予定調和な笑いもいいものだなー。



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