■前編の感想はこちら。
後編の感想は、
・【読切】オニゴロキ
・【読切】エルドライブ
・銀魂
・ワールドトリガー
・【打切】スポーティングソルト
の 5 本でお送りいたします。
【読切】 オニゴロキ
工藤篤大先生による、現代に蘇った鬼たちのサバイバルバトル。
画力はまだまだというか、まだ描き始めたばかりという感じですが、ところどころノリが楽しくていい雰囲気を感じました。
冒頭、家宝の角から鬼が蘇って女子高生とおじいちゃんがドタバタやるこのニギヤカさ、このあたりは、これから面白いことが始まりそうだぞっていう空気が作れてますねー。
しかし、そこからはやや内容が薄味。
バトルにしても、300 年前の女の子との約束にしても、特にこれといったインパクトを出すことなくテンプレのままで終わってしまった感じでした。
もちろんこういうお気楽系ノリの作風ですと、あまり重いドラマやら、複雑な展開やら、緊迫の駆け引きやら、大迫力のバトル……等々は必要ない、むしろ作風的に逆方向ではあるでしょう。
それにしても、どこか一点くらいはドーンとテンプレからはみ出す部分がないと、読切として読者の記憶にもあまり残らないと思うんですよねー。
どこが一番プッシュしたい場面だったのか。
そこをもっともっとプッシュする工夫が必要だったんではないでしょうかね。
そして、お気楽なノリだとしても、もうちょっと読者にやさしく説明することを心がけるとよいかもしれません。
パンツを知らない 300 年前の鬼が、なんで「よろぴく」とか「Yeah!!!」とか「JK」なんて言っちゃうのか。
それまで反撃もできず一方的にやられてた主人公が、なんで女の子がからむと雷能力を使えるのか。
むしろなんで一方的にやられてたのか。
角が伸びることにどんな意味があるのか。
鬼が角を取られて死ぬと、なんで着ていた服(おそらく人間から奪ったもの)が綺麗に畳まれるのか。
強さとかあまり関心がなさそうだった主人公の鬼が、なんで最後いきなり「強さの証」と言い出すのか。
「責任」とは 300 年前の女の子に対するものなのか、それとも鬼全体に対する責任みたいなものをこいつは持っているのか。
いろいろと謎だらけでありました。
いろんなものが投げっぱなし、読者を置いてけぼりという印象が強かったです。
もちろん全部を説明する必要はないですけどね。
それとなく裏を匂わすだけだったり、何を言ってるのコイツ、みたいに女子高生がツッコむだけでもよかったりするでしょうし。
もうちょっと、読者に「こういうふうに受け取っておいてね」っていう、受け取り方を助けるフォローがあったほうがよかったかと思います。
いろいろと、裏設定は考えてあるんでしょうけどね。
しかし、あまり読者へのフォローがないと、作者がそういう細かいところを考えていなくて、雰囲気だけで「こういう絵とか、こういうセリフ言わせたりするとカッコイイでしょ?」っていうノリだけで描いた、うすっぺらい作品と受け取られてしまう、そういう可能性もあると思うんですよねー。
絵もそうですが、話作りももっともっと丁寧に、と心がけていただけるとよいかもしれせん。
【出張読切】 エルドライブ
ジャンプ+から、天野明先生のエルドライブが出張読切として登場。
最近ジャンプ界隈ではめずらしくなってきている SF もの……というか、宇宙刑事ギャバン的宇宙刑事もの。
ジャンプ+のほうでは読んでないのですが、天野先生らしさが生きた、魅力的なキャラ満載で賑やかそうな、楽しそうな新作ですねー。
今回は出張読切ということで、作品のおおまかな説明をしつつ、主人公達をザッと紹介し、かつ一話の読切として起承転結をつけているわけで。
まぁ全体にちょっとした急ぎ足となっていましたが、それでも綺麗にまとめきっているのが長期連載経験者の強みというところでしょうか。
おそらく今回のみの主人公と思われる灘くんの苦悩をなぞっていくことで、本来の主人公である九ノ瀬君が越えてきた苦悩も想像させるという凝った構造になっていましたねー。
この構造ですと、主人公が過去越えてきたものをもう一度描きつつ(たぶんね)、同時に成長後の主人公のかっこよさも描けるというわけで、つまりは作品の美味しいとこどりになってるんですね。
コンパクトにまとめなければいけない読切として、なるほどこういう手法があったんだなーと勉強になりました。
しかし、今回はあまり描かれませんでしたが、かわいい女の子の戦闘要員っぽいのが何人もいるんですねー。
リボーンでは、せっかくかわいいヒロインが二人もいるのに、バトルになるとからっきし出番がなかったのがヒジョーにもったいないと思っておりました。
本作品では、こういう頑張るヒロインたちも堪能できそうですな。
銀魂
喜々公、わざわざ敗北者をなじって楽しみに来ちゃいましたか。
とことんゲスですねー。
むかっ腹であります。
しかし、こうやってわざわざ負け犬負け犬ーなんてほざきにやってくる分、小者臭もきつく臭ってくるものなんですよね。
本当に恐ろしい大物は、負けた者なんて興味なしですよ。
一度勝ったらどんどん天高く上っていって、敗者のまったく手の届かないところで世の中をあっというまに席巻していっちゃうのが、一番恐ろしいタイプの敵でしょうからね。
そして、なにやら、近藤さんが救出される気配もにおってまいりました。
近藤さんの処刑まで、あと 5 日なんて刻限が設定されて、さらに主人公サイドの敗者ムードがここまで強調されてきますと、逆にリベンジの流れか!ってなってきますもんねー。
さー、どうなるんでしょう。
史実なんかブッ飛ばして、銀さんたち、一挙に逆襲に出てくれるんでしょうか。
いやー、面白いわー。
まるで「史実」と銀さんたちとの対決のように思えてまいりましたわ。
ワールドトリガー
ついに決着!
いやー、最後まで息詰まる戦いでありましたー。
千佳ちゃん砲が決定打となるかと思いきや、そこからさらに遊真を囮として使う思い切った作戦で大勝利。
最後の最後まで、作戦を練りに練った玉狛の作戦勝ちっていう感じでしたねー。
いやー、面白かった。
東さんと古寺さんによる解説も分かりやすく、読者がもういちど面白さを再確認したり、どういうことだったのかと咀嚼する余裕も生まれてきています。
この女の子の「クガって人が強かっただけでは?」って疑問って、読者が持ちやすい疑問でもありますからね。
そういうフォローがうまい作品ですねーワルトリは。
ともあれ面白い戦いでした。
知的戦闘のワクワクがあり、なおかつ笹森くんたちの成長のようなハートフル面も熱かったり。
こういうチームバトルっていう面では、いまワルトリはジャンプで際立って輝いているんではないですかねー。
少なくとも、私はそう思いますわ。
さてさてしかし、次なる玉狛第二の相手は、鈴鳴第一と那須隊。
那須隊はちょっと記憶にないですが、鈴鳴第一の村上さんは、たしか大規模侵攻編でかなり渋い活躍をしていましたっけねー。
隊のしんがりを一人でつとめきり、太刀川さんが到着するまで新型ラービットを複数体食い止めてましたっけ。
これはかなりの強敵っぽいなー。
まぁ、そのぶん隊長さんがちょっと頼りなさそうな、そんなところが魅力的な隊でしたっけね(笑)。
おそらく那須隊のほうも実力あるチームなのしょう。
さらに、今度は玉狛第二に地形を選ぶ権利がないわけで。
さー、そういう後手に回らざるを得ない状況で、どうやって戦うのか、修たち。
今度もまた、ひじょーに楽しみです。
ことによると、玉狛第二メンバーそれぞれの「弱点」が露呈することにもなりかねませんね。
まぁでも、そこから一回修行編になるのも悪くはないのかな。
【最終回】 スポーティングソルト
といったわけで、スポーティングソルトもこれにて終了。
当初はスポーツ医学系うんちく漫画っぽく始まったこの作品でしたが、いつの間にかバトル系に方向転換。
そのまま、あれよあれよと言う間に終わっていたという感じでしょうか。
残念ながら、私はこの作品とあまり波長が合わなかったようで、どのあたりを楽しみに読めばいいのかいまひとつピンとこないままだったなーという印象です。
最初のうちは、医学系うんちくを期待していたのですが、後半はそういうのがなくなっていきましたからね。
そもそも主人公の存在感すらどんどん希薄になっていくという(笑)。
うんちくだけではアンケが振るわず、作品としていろいろと模索していた、といったところだったのかもしれないですね。
この作品のかかえていた問題点は、いろいろあると思います。
画力ひとつとっても、もっといろんな角度から人体を描けるようにしないと、スポーツものは苦しいでしょう。
人体の動きを感じさせるには、どういう風に描いたらいいのか。
そもそも人体はどういうふうに立ったり動いたりするのか。
また、スポーツごとに体格の特徴に違いもあったりしますしね。
そういう絵の基礎部分から研究する必要がありそうです。
また、舞台設定も、全国をめざす学校と銘打ちながら、その内実は強豪校どころか選手をそろえられない部活まである始末。
まったく違う部活動の選手を十把ひとからげでランキングしていましたが、そのへんも最後までルールがよくわかりませんでした。
なにをやりたいのかが、いろんなところでチグハグしている、掘り下げ不足、という印象が強かったです。
自分が描きたいキャラやシーンやテーマがあるとして、それを描くためには、どういう舞台設定が必要で、そのためにはどういうルールが必要になってくるのか。
そういうもろもろを最初から整理して用意しておく周到さ、計画性が必要だったのではないでしょうかね。
ちょっとそのへん、見切り発車だったのではないでしょうか。
私が勝手に想像するに、久保田先生は、実はアスリートやスポーツ医学というものに、興味がないのではないですかね。
アスリートそれぞれの人体の描き方をみるにつけ、そう感じました。
たぶん、久保田先生、あまりアスリートを見たことがないんじゃないかなーと。
もちろん興味がなければ描いてはいけないのかというと、そうではないです。
昔の野球漫画では、作者があまり野球を知らないで描いてて、ベースの形がヘンだったり、ピッチャーマウンドもまっ平らだったり、なんていうこともあったらしいですからね。
それでも面白ければいいんです。
最初は興味や知識がなくても、そこから興味を持って、どんどん掘り下げていけばいいという話なのですが、しかし久保田先生は、結局のところ最後まであまりスポーツに執着や愛情がもてなかったのではないですかねー。
それは不幸なことだと思うんですよ。
作者が描いてる内容に興味がないままじゃ、作品が面白くなるのは至難の技でしょうからね。
次回作こそは、本当に自分が愛せるもので勝負したほうがいいと思いますよ。
自分がよく知っている、自分の武器、自分のフィールドで勝負したほうが、地の利というものがありますからね。
感想後記
といったところで今週の感想はここまで。
そして次回はなんと!
あの PSYREN やみえるひとの岩代俊明先生がカムバーーーーック!!
うおーー、帰ってキターーー!!!
作品は、以前読切が掲載された式神バトルのようですね。
個人的にかなーりヒートアップさせていただいた PSYREN の熱き時代を、ふたたび堪能できるのかどうか。
これは楽しみでございます。
また、他にもいっぱい新連載が始まるみたいですねー。
ジャンプに新風が吹き荒れるのか。
新時代が訪れるのか。
パンチの効いた新作を期待したいところです。
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