2014年10月12日

ジャンプ感想別室 ONE PIECE(ワンピース) 第763話 “人間宣言”

 週刊少年ジャンプ 2014 年 46 号掲載分の感想です。

■ジャンプ本誌の感想はこちら→前編

【コミック派ネタバレ注意!】





【感想小タイトル】
■人間宣言
■ドフラの見た悪夢
■隠し名



■人間宣言

 いやー、衝撃でした。
 とにかく今週は衝撃でした。
 冒頭から、磔にされた子供ドフラ家族というショッキングな場面からスタート。
 これまでのうらみつらみを爆発させた民衆が、悲しくも、なんともおぞましいものにすら見えてきました。
 たしかに彼らがこれまで長年受けてきた不条理、無残な仕打ちは語るに余りあるものがあるのでしょう。
 しかし、タガが外れて暴徒化した民衆の怒りは、時に限度を越えて残酷なことをしでかしてしまうのかもしれませんね。
 それは天竜人がやってきた外道と、いったいどちらが酷いことなのか。
 酷いことをされたなら、お返しにどんな酷いことをやってもいいものなのか。
 そういったことを問いかけてきている場面ともとることができます。

 そんな場面は、実は若かりしドフラの夢の中。
 ハッと飛び起きたドフラは脂汗を浮かべていたりして。
 いつも余裕シャクシャク顔のドフラも、こういう悪夢にうなされるトラウマをかかえていたんですねぇ。
 心に大きな傷を負い、酒に逃げて酒瓶を割る。実に人間らしい弱弱しさではないですか。



■ドフラの見た悪夢

 場面戻って 33 年前。
 ドフラのお父さんとお母さんが登場。
 いつも描かれる天竜人とはずいぶんちがう、なんとも朗らかでいい人そうな人たちです。
 彼らは天竜人も人間なんだという信念の下、人間らしく暮らすんだと一念発起しちゃったんですね。
 決意した人間の、すがすがしさがありますよ。

 でも、彼らは民衆の恨みがどれほどのものか、自分たち天竜人がどれだけのことをしてきて、どれだけ民衆を傷つけてきたのか、それを知らなかったんでしょうね。
 あっという間に民衆に見つかり、屋敷を焼かれ、追いかけられるドフラたち。

 この、彼らが天竜人だと発覚するキッカケがまた悲しすぎる。
 大人しく町外れで、屋敷の中だけでひっそりと生活していれば、まだよかったものを。
 街中に出て行ったドフラが、自分から天竜人だと喧伝しちゃったんですものね。
 子供の無知がさせたこととはいえ……いやむしろ、その子供の無知がさせたからこそ、なんだか胸をかきむしられるようなものがあります。
 やるせなさすぎますよ。

 まぁでも、ドフラがこういうことをやらなくても、遠からずバレちゃったことかなぁ。
 だし、ドフラばかりを責めるわけにもいかないでしょうね。
 このお父さんがしっかり自覚して、ドフラをちゃんと教育していればよかったことで。

 このあたり、今のドフラはどういう風に考えているんでしょうね。
 たぶん、自分が失敗したとはカケラも思ってないんじゃないかな。
 悪いのは、すべて父親だと、そういう風に思わないと、母親が死ぬ遠因を自分が作ったってことになっちゃいますものね。

 そんなこんなで始まる貧乏逃避行。
 初めて知る、痛み、苦しみ、空腹。
 そして母の死。
 ドフラにとっては、すべてが驚天動地の衝撃だったでことしょう。

 でも、その衝撃、すべての原因が「父」だと考えてしまったのが少年ドフラだったんですね。
 この思考回路の方向が、またなんともやるせない。
 ここまでの地獄を味わいながらも、まだなんでそこまでの悪意が自分たちに向けられるのか、そのあたりのことを露ほども理解できないんですよね。
 天竜人がどんなことをしてきたのかを、まったくわかってない。
 いやむしろ、そういうことをして当然だと思っているんじゃないでしょうか。

 本当に、天竜人という存在の抱えた「病」は、恐ろしいものがありますよ。
 彼らは生まれながらに“天竜人”であり、生まれながらに根深くその「病」を抱えているってことなんですよね。
 ここまでの惨劇を味わいながらも、その「病」から脱することができないんです。
 たとえば、突然変異的に「病」から脱することができたドフラの両親も、その「病」から出た無知さゆえに、これだけの惨劇から逃れられなかったんですものね。
 ほんとうに、恐ろしいことです。

 しかし、実に陰惨な話だなー。
 先週のローの話もとことん陰惨でしたが、今週のもまた、陰惨さを極めています。
 これまで、ワンピースでいくつも描かれてきた過去編の、その多くが悲惨な悲劇でありましたが、ここまで陰惨で欝で残酷な話は、ちょっとなかったようにすら思えてしまいますわ。

 そうか、何でそう感じるか、ちょっと分かった気がします。
 この話の中には、「愛」がないんですな。
 多くの過去編には、悲劇ながらも、あふれんばかりの誰かの愛があったりして、その愛を受け継いだ過去変の主人公が、現在にそれを繋げてたりするものです。
 でも、ドフラの過去には、その受け継がれている愛がない。
 お父さんの愛はあったものの、バッサリそこで切り捨てられてるんですよね。
 どんな悲劇でも、愛を受け継いでいたら少しでも希望が持てるものなんですが。
 それがないから、ここまで強烈な悲惨さに見えてくると、そういうことなのかもしれません。



■隠し名

 そして場面一転。
 今度はローの過去編に。
 コラさんは刺されたことを誰にも言わないでおいてくれたようで、ドフラはなんとここで、ローをドフラファミリーに正式に迎え入れてくれました。
 ここまでの過去編を見てくると、

「最悪の体験から生まれる

 その無類のクソみてェな目つき!!!

 お前には“素質”がある!!」


 というドフラのセリフにも、感じるものがありますねー。
 ドフラは、理不尽に民衆に狩り立てられたこの少年ローに、大きく共感するものがあったということなのでしょう。

 そんなわけでドフラファミリーに入ったローの、海賊生活ダイジェスト。
 いやー、なんだか楽しそう。
 コラさんがやたらとコケすぎなのが笑ってしまいましたが、わきあいあいととして楽しそうな回想に、なんだキミたち結構幸せだったんじゃんと思えてしまいます。
 
 そして今週の、衝撃、第二弾!
 前半パートのドフラの衝撃も最大級でしたが、こっちの衝撃も最大級でありました。

 ロー、“D”の一族であることが発覚!!!

 どぎゃーーーん!!
 衝撃でありましたーーー(笑)。

 ローの本名は

 トラファルガー・“D”・ワーテル・ロー

 ワーテルローか!とちょっと膝をたたいてしまいましたが、まさかの“D”ですもんねー!
 以前ローが、

「“D”はまた…必ず嵐を呼ぶ」

 と決めていましたが、あれってつまり、自分のことも含んで言ってたってわけなんですね。
 なんだ、ちょっと可愛いじゃないですか(笑)。

 ああでも、この時点まではローは“D”の意味について、あまり知らなかったということなんでしょうか。
 それをコラさんから教えてもらったと言う流れなんですかね?
 それとも、“D”の意味を知ってたけど、ドフラとそれとの危険な関係については、あまり知らなかったということなんでしょうか。
 “D”が天竜人と絶対的に敵対する存在だとしたら、このあたり納得する感じなのですが。
 いったいどういうことなんでしょうね。
 そしてコラさんはなぜDとドフラの危険な関係を知っていたのか。
 コラさんは“D”がどういうものか知っているのか。
 とにかくいろんなことがぐるぐる気になりまくりです。

 そしてまた、普通にしゃべれたコラさんにも驚きでしたねー。
 いったいなんでこれまでしゃべれないふりをしていたのか。
 そもそもなんでローが刺したことを黙っててくれたのか。
 この人もかなり謎な人です。
 実は、ドフラとは違ってドフラの父親タイプの人だったりして、父親を殺害したドフラを恨んでいたりするんでしょうか。
 うーん、どうなんでしょう。

 ちなみにコラソンというのも偽名で、本当はロシナンテっていうのも面白かったです。
 ロシナンテって、ドン・キホーテの馬の名前ですもんね。
 ってことは、ドフラの“馬”であることを否定する意味がこめられた名前だったと、そういうことだったりするんでしょうか?

 めちゃくちゃ衝撃的な事実が次々と発覚した今週。
 なんとも濃密過ぎる一話でありました。
 あまりにも衝撃が多すぎて、ちょっと冷静には受け止め切れませんでしたねー(笑)。
 あとあとになって冷静になって考えてみたら、さらにすごいことが「ああ、あれってああいうことなのでは!?」みたいに思い出されたりするんじゃないですかねー。
 いやー、すごい一話でした。
 来週もめっちゃ気になる!!



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posted by BOSS at 19:50| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャンプ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ドフラ父が天竜人に人間宣言している場面で、天竜人が奴隷に乗っていたり、ドフラが奴隷を買おうといっているのを見るに、ドフラ父は善人でもなんでもないような?

ルフィの故郷みたいに天竜人が歓迎されていたり、奴隷が従順なのは、天竜人の権力を恐れているからと理解していなくて、自分二人望があるからと勘違いしていたとしか思えないんですが。

しかも、人間宣言を天竜人にしてケンカを売ったせいで、天竜人に対する恨みの強い非加盟国に送られた可能性がありますし。

結局のところ、ドフラ父は殺されても仕方ない狂人にしか思えなかったので、ドフラに対して同情しかないですね。
例えるなら、動物園の動物に懐かれたから、動物に好かれる人間だと勘違いして、猛獣の棲む未開の秘境に移住した男とその家族のお話でしょうか。
Posted by GR at 2014年10月13日 21:03
 おー、そういう見方もできるんですねー。
 面白いです。
 作品というのは受け手によっていろいろな解釈ができるものですので、これが正解ってのはなかなかないと思うのですが、なるほどドフラに感情移入して読むとそういう受け取り方の人も多いかもしれませんね。

 私はこのドフラのお父さんの立場もなんか分かる気がするんですよねー。
 なのでそこまで悪くは思えないです。

 天竜人という特殊な社会の中で、なんのきっかけがあったのかこのお父さんお母さんは人道的な意識が芽生えはしたんですが、特殊な社会ですから、当然入ってくる情報も異質で限定されたものとなります。
 民衆にここまで憎悪されていることが分からなかったとしても、それはおかしいとは思わないんですよねー。
 むしろ、そうなるべくしてなったのかなーと。

 またたった一人+奥さんでは、天竜人の社会構造を変革することまではできませんから、天竜人たちが奴隷を使っていることを辞めさせることまではできません。
 むしろ守るもの(妻や子)がある上は、そうそう手出し口出しなんてできるものでもないでしょうしね。
 目の前で奴隷に乗ってる天竜人がいたとしても、心中どういう思いがあるかまではわかりませんが、黙って見過ごすことしかできないのが彼らなのではないでしょうか。
 まぁ、そこまで彼らを擁護する必要があるかまではわかりませんが。

 ドフラが奴隷を買おうと言ったことについても、お父さんはそれを認めていたわけではなくて、ゆっくり理解させてあげようと考えていたんだと思いますよ。
 これまで教育してきた事すべてがウソだということになったわけですから、それを急に飲み込ませるのはとても難しいことです。
 ゆっくりとお父さんの新しい方針を教えて説こうと思っていたところ、それどころじゃない勢いで事態は変転していってしまったと、そういうことだったのではないしょうか。
 ドフラは、そういうゆっくりとした、親の本当の教育を受ける機会もなく、こういうことになってしまったんだと、私はそういう風に思いました。

 たしかにドフラ父は善人と言い切るには程遠い「愚かさ」だったと思います。
 人間性に目覚めたのは、天竜人としてはすごいことでした。
 奇跡といっていい「まっとう」さだったと思います。
 でも物事を見通す力も足りず、外の世界も学んではいなかった。
 その無知が、悲しいまでに「愚かさ」として働いてしまったと。

 しかしそういうのって、どんな人間でも陥るかもしれない、人間らしい敗北だと、私には見えたんですよねー。
 今回の話は、なんとも胸をえぐられるような、「人間の業」みたいなものに迫ったすごい人間描写だと私には見えましたわ。

 もちろん、この流れですとドフラの強烈な恨みを買い、殺されてしまったことは仕方のない流れだったと思います。
 そこが、やるせないほど悲しい運命だと思うんですねー。
 父も息子も、罪は背負ってしまったけれども、存在そのものが悪なのかと問われればそうではないと思うのです。
 悪いのは、「誰か」ではなく、「天竜人」という「システム」なんだなーと、今回は強く感じさせられました。
 天竜人も、もし普通の民衆社会に生まれたら、普通の人間だったでしょうからね。
 天竜人社会を、もしいずれルフィがブッ壊したとしたら、天竜人たちをまともにすることはできるのかなーと、そういうことを最近ではよく考えます。

 ああでも、動物園の例えはよかったですねー。わかりやすいです。
 そういう勘違いをさせるほど、人間を無知に陥れ歪ませてしまうのが、天竜人というシステムなんだろうなーと思うのです。
Posted by BOSS at 2014年10月17日 13:51
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