2012年04月18日

週刊少年ジャンプ2012年20号 感想<後編>

 そいでは後半の感想にいきますよー。

■前編の感想はこちら





 後半の感想は、

・【読切】無刀ブラック
・ニセコイ
・バクマン
・いぬまる
・パジャマな彼女
・ぬら孫
・パッキー
・【終了】ST&RS

 の8本でお送りいたします。



【読切】 無刀ブラック

 春の4連ゴールデン読切シリーズ第3弾は、野々上大二郎先生による時代劇風合気アクション。
 時代劇なのに主人公が刀を使わず、あえて素手で敵を倒す。
 刀や鉄砲を持った敵を、素手で倒しちゃうというところがちょっと冒険的な作品となっていますねー。

 まぁ、こういう時代劇風の世界観にしちゃうと、時代考証、風俗考証にいろいろとツッコミが入るものなのですが、そのへんはマルッとスルーいたします。
 キリがないですしね。
 個人的には戦国時代にロボットが出てきたっていいじゃないっていうアホ万歳な考えなんで、そのへんは意図的にスルーしていきます。

 独特なのは、素手で戦うというお題目だけじゃなく、決着の方法もなかなか独特。
 とにかく敵の攻撃を「いなす」事が見せ場となっており、普通の漫画のように敵をブッ飛ばすという感じではないんですね。
 雑魚数名をやっつけたのも、相手の力を利用してそのままひょいと投げ飛ばすといった感じ。
 これ、きっと投げられた奴はたいした怪我もせずに済んでいるでしょうね。

 そして、大きな見せ場となる二つの技。
 ひとつは打ち込まれた銃弾を「いなす」という防御技。
 最後の決着をつけた技こそ攻撃的ではありますが、それもまた強烈すぎるデコピンという程度のもので、むしろ言葉の暗示による心理的衝撃のほうがメインとなっています。
 強いお灸を据えただけなんですよね。

 いやー、これはなかなか珍しい。
 悪人を全然ブッ飛ばしていないんですよ。
 それでいてちゃんとカタルシスがある。
 主人公の主張でもあると思うんですが、人を本当の意味で動かせるのは、金でも力でもないということなんでしょう。
 主人公の流儀と、この組長さんの生き様、ふたつの思想でこの漫画はそういったメッセージをちゃんと描いていると思います。

 しかし、そういったメッセージ性の部分にしろ、技の話にしろ、解説を主人公自身が全部やってしまうというのは、個人的にちょっといただけない印象がいたしました。
 やってる事、作品的な面白さは悪くはない、むしろ面白いんですが、私の目にはちょっと手前味噌過ぎるんじゃないかと思えてしまったんですよ。
 これはもう私の主観の問題なのかもしれませんが、多くを語る主人公って、あまり好きではないんですよ。
 まぁ、昭和の感覚なのかもしれませんがね(笑)。

 ま、そんな私の感覚から言いますと、やっぱり、パートナーというか、解説役、驚き役をつけたほうがよかったのではないかなぁと。
 先週はキャラが多すぎるのではと言いましたが、今週はむしろキャラが少ないんじゃないかなぁと。
 うーん、なんだか毎週勝手なことばっかり言ってますね(笑)。

 あと、蛇足ながら、今回はちょっと敵役が小者でしたねー。
 そういった意味では緊張感が目減りしていたかもしれません。
 しかし、「無刀」というモチーフをしっかり活かしており、作品のメッセージともなっていて、それでいてちゃんと娯楽性が高いという、なかなかにレベルの高い作品だったと思いますよ。



【センターカラー】 ニセコイ

 なんというエロいセンターカラー!
 本編ではなかなか目立てない小野寺さんですが、いやー、これは最高の扉をもらいましたねー。
 ぜひともこっから巻き返してもらいたい。

 とはいえ本編は絶賛千棘ルート開拓中。
 さらには今週はなにげにるりちゃんがいろんな表情を見せてくれて素晴らしい。
 舞子くんをボコりつつヤレヤレだぜな顔のるりちゃんとか、ポイント異様に高いですよ。
 これ、るりちゃん絶対確信犯で「初コイエピソード」に話を誘導してますって。

 そして、小野寺さんの爆笑百面相もなかなか良かったのですが、そのインパクトを吹き消すかのようなるりちゃんのお風呂姿。
 メガネなし、髪を下ろしたこの姿。
 この際全裸はむしろどうでもいい。いや、どうでもよくないけど。
 うーん、こういう普段では決して見る事のできないギャップと言うんですかねー。
 なんかすごいいいですよねーー。

 それはそうとしかし、男女がフスマをはさんで隣部屋って、いくらなんでもこの学校フリーダムすぎだろう!(笑)



バクマン。

 コミックスの売り上げでも新妻エイジを抜き、ついにジャンプの一番作家に輝いた亜城木コンビ。
 編集部での新妻エイジとの宣戦布告合戦。
 その後のライバルたちの動向。
 そしてこれまで影ながら応援してきてくれた香耶ちゃんへのお礼。
 いよいよ最終回間近って感じになってきましたねー。

 どうやらサイコーは、おじさんが「できなかったこと」をなしとげる決意のようですが、いったいどんなプロポーズになるんでしょうね。
 あのおじさんの事だから、好きな漫画のセリフとかなんじゃないかと思うんですが、昔の人気漫画でプロポーズって言ったら何がありましたっけね。
 あしたのジョーじゃ、そんなシーンはなかったですし……(笑)。



いぬまるだしっ

 なるほどね!
 いぬまるくんが連れてくる不思議な人たちも、みーんな芸能関係だったんですねー。
 いやー、すべてがシュールというか異次元のパワーで出来ているように思えていたいぬまるくん像が、一変してごくごく普通の子供のように見えてくるから衝撃です。
 そうかー、いぬまるくん、お父さん大好きっ子だったんだー。
 いろんな奇行も、結局はお父さんとすっごい仲がいいからこそっていう結論が、なんというかハートフルに突き刺さりました。

 しかし、こうなってくると、今度はいぬまるくんのお母さんがどんな人なのか気になってきますねー。



パジャマな彼女。

 拉致られ少女その3、白井雪姫先輩。
 いやー、ほんと今週はいろんな女の子が拉致られて笑っちゃいました。
 しまいにヒメコと白雪先輩が、ほとんどネタかぶっちゃってますしね!
 ジャンプではこういう不思議な共鳴現象がよくありますが、今週はまた見事な共鳴現象でありました。

 しかし、ほんとこういうクズが出てくると不愉快になりますねー。
 漫画とはいえ、読んでいて実に不愉快です。
 そういう不愉快なネタがかぶってきたので、今週はなんだか理不尽な怒りを覚えてしまいました。
 いやまぁ、作品はべつに悪くなくって、普通にこの共鳴現象が悪いだけなんですけどね(笑)。

 それはさておきですが、まくらが今週もまたたまらぬ魅力でありました。
 計佑を翻弄する白井先輩も魅力的なのですが、自分の想いに揺れまくったり、指の傷の不気味な痛みに不安になったり、これはなかなか素晴らしい。

 特にこの、指の痛みに座り込んでいるコマ。
 まくらを小さく描いて、周りの空間を広くすることで表現されている冷たい孤独感。
 計佑との距離と、この不思議な謎の傷。
 二つの不安要素が重なって、孤独感を絶望的なものにしています。
 この漫画のこういう表現力が私は好きですよー。



ぬらりひょんの孫

 うはー!
 玉章の新技は、なんと毒薬でした!
 赤く染まるっていうから炎系の技かと思いきや、沸騰して飛び散った血で染まるというオチ。
 なかなかやってくれるじゃないですか玉章。
 ハンター×ハンターのメルエムすら倒した貧者の薔薇のように、強力な毒はどんなバトルをも制する力となり得ますからねー。

「だけどボクには野心がある」

 という言葉も心強い。
 今はリクオに協力しているが、いずれは……って事なんでしょうねー。
 いやー、油断も隙もあったもんじゃないですが、しかし仲間としては実に頼もしい。

 一方、九州のバトルではゆらさんが式神と融合合体。
 どーんと髪が伸びてパワーアップしちゃいました。
 一瞬つららかと思っちゃいましたが、必殺の矢の一撃で大蛇を消滅させる大威力。
 ゆらさん、成長速度ハンパないですなー。

 しかし、今週は回想のゆらさんもなかなかでしたな。
 昼リクオに対するちょっとやさしげなゆらさんと、夜リクオに対するツンケンしたゆらさん(笑)。
 同じリクオに対して完全に掌を返したようなこの態度、妙に可笑しかったです。



めだかボックス

 漆黒宴の参加メンバーとしてめだかが選んだのは、まさにオールジョーカー。
 不知火半袖に球磨川禊、不知火半纏、安心院なじみって。
 もしここに都城が加わればラスボスオールスターって感じじゃないですか(笑)。

 対する敵は、これまた飛び切りの変態揃い。
 相変わらず、こういう突飛なキャラでインパクトを出すのも上手い漫画でありますねー。

 しかし、こうなってくるとやはり気になるのは、これまでラスボスだったメンバーたち、特に安心院なじみがいかに格を落とさず戦ってくれるかというところ。
 これまでのことを思えばそう簡単に負けては欲しくないんだけれども、楽勝すぎては話が面白くない。
 そのへんの処理がうまいのは、これまでのめだかボックスを見ていれば分かっていることなのですが、じゃあ今度はどんな手でぼくらを楽しませてくれるのかなと。
 ひじょーに楽しみです。

 あ、でも舞台はついに学園じゃなくなったんですね。
 これはちょっと驚きました。
 他のキャラクターはしらばくまったくのシャットアウトということになるんですかね?



現存!古代生物史パッキー

 ひぃー!
 タケル父がどんどん凄いことになって来たー。
 タイムマシンが作れるうえに時空間を操ってステルスって(笑)。

 しかし、このネタのためにちゃんとバック・トゥ・ザ・フューチャーを見直すレツ先生がなにげに可愛いと思うのであった(笑)。



【最終回】 ST&RS−スターズ−

 ということで、これにてスターズ大団円。
 急に話が飛んで火星に出発したあたりで打ち切りが決定されたんだろうなと思っていましたが、そこからけっこう長いスパンで、しっかりエンディングまで描くことができましたねー。
 最近のジャンプは、以前のような無惨な斬り方をあまりしないんですね。
 作者もこうやって作品を丁寧に終わらせる事ができて、結果的に打ち切り作品というよりは、このくらいの長さの作品という形にも見えてきます。
 よい傾向だと思いますよー。

 個人的に、このスターズは宇宙という私の大好きなジャンルということもあるんですが、ほんわかした暖かい雰囲気がとても好きでした。
 嫌な人、悪い人はほとんど登場せず、皆が目標に向かって前向きに突き進んでいる。
 敵はむしろ、挫折しそうになる自分自身だったりするってところとかですね。
 そういう漫画がひとつくらいあったっていいじゃないって思っておりました。

 娯楽作品として、危機感を煽るような、ピンチでもって読者の心を引き、その後の解決でカタルシスを楽しませるというような、わかりやすいエンターテインメントという感じではなかったですが、低年齢向けの空想科学物語として、なかなか面白い作風だったと思います。

 ともあれ、竹内先生、ミヨカワ先生、お疲れ様でした!



感想後記

 ということで、20号の感想はここまで。
 スターズが終了し、バクマンも次回にも終わりそうな感じになってきて、今回の読切シリーズが終わったらまたまた新連載の季節がやってきそうですねー。
 前回の新連載2作品(ハイキューとパジャマな彼女)はどちらも連載経験者の先生でしたから、今度は完全新人がチャンスを与えられるターンですかね?
 バトル、スポーツ、ギャグ、ラブコメと、最近のジャンプはなかなかの作品が揃ってきているだけに、このなかにどんな作品が切り込んでゆくのか。
 ちょっと気が早いかもしれませんが、今から楽しみです。



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posted by BOSS at 23:09| Comment(4) | TrackBack(0) | ジャンプ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも拝読。ありがとうです。

あの、あの、いぬまるくんのお母さんは、
たまこ先生では?!
どういう経緯で、たまこ先生を
焼き肉店に連れ出すのか!!
と、たのしみしているざんすが、
いかがでせうか?
Posted by か〜らから at 2012年04月19日 18:24
 あ、将来のお母さんという意味でいぬまるくんが「お母さん」って言ったってことかな?
 うーん、そうだといいなぁーって私も思いますねー。
 今着々と浅野さんとのフラグが立てられ続けているわけで、将来的にはそういうこともおおいにありうるのかな?って思えてきましたが、何より、いぬまる君がたまこ先生のこと、ほんとうに大好きですからね。
 浅野さんとたまこ先生が、というより、いぬまるくんとたまこ先生が家族になれたらハッピーだなぁってつくづく思います。
Posted by BOSS at 2012年04月22日 18:03
始めましてBOSSの兄貴。
いつもジャンプ愛のあふれる作品ごとの褒めての感想にとても感心しながら拝見させてもらっています。私は歳も歳なので(笑)、なんかめだかボックスが肌に合うジャンプ読みです。これからも兄貴の感想を楽しみにさせていただきますよ。
Posted by 中年少年 at 2012年04月22日 23:35
 兄貴と呼ばれたのは初めてだ(笑)。

 ども! 読んでいただけているようで、ありがとうございます。
 こういう応援メッセージをいただけると、明日からも頑張ろうっていう元気とヤル気がむんむん出てきます。
 これからも、よろしくお願いいたします!
Posted by BOSS at 2012年04月26日 23:06
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