2012年01月30日

週刊少年ジャンプ2012年号 【新人読切シリーズ第2弾 『恋染紅葉』掲載号】 感想<前編>

 いやはやどうも、先週はやたらめったら忙しくて感想もかなりテキトーな感じになってしまいましたが、今日はなんとか定時で帰ることが出来ました。
 そんなわけで、今日はしっかり感想やっていきたいと思っております……って、いつもテキトーじゃないかって?
 これは痛いところを突かれましたな……(笑)。

 まぁそんな感じで、いつも通り感想行きまっしょー。





 前半の感想は、

・トリコ
・ワンピ
・銀魂
・バクマン
・ナルト
・スケダン
・ニセコイ

 の7本でお送りいたします。



【巻頭カラー】 トリコ

 トリコという漫画が始まった時から私はちょっと疑問に思っていた事があるのですが、現実世界で環境問題や食糧不足、水不足が深刻に叫ばれるこの時代に、飽食のグルメを題材とする漫画を描くことは、時代性とマッチしないのではないかという事なのです。
 これは確か、トリコの読切の時か、第一話あたりで同じような事を書いたかもしれません。

 一昔前のバブルの頃ならともかくです。
 今は、子供でも環境問題に深く関心を持ったり、世界には沢山の飢餓に苦しむ人々がいることを意識しているような時代ですからね。
 そんな時代に、いわば大量消費、高級消費嗜好の漫画はマッチするのだろうかと。

 そう考えていたのですが、やはりトリコはこういうところを押さえてくるんですよね。
 センチュリースープ編のマッチのエピソードでもそうでしたが、たびたび貧困にあえぐスラム街の子供たちに、最高のグルメを届ける話を描いているんです。

 しかしこれまたなかなか上手いなーと私が感じるのは、これが単なる食糧支援になっていないところなんですね。
 餓えた子供たちに、毎日食料を送る食糧支援ではないんです。
 あえてしっかり政治的理由で補佐しつつ、グルメを届けられるのは年一回としてしまっているんです。
 ここが上手い。
 子供たちが満腹になれるのは、そのたった年一回だけのこと。
 これでは、食糧支援どころのレベルじゃない。

 これけっしてケチでそうしているわけではないと思うんですよ。
 ケチではないし、ましてや善人ぶった自己満足の支援ごっこでもないんですよね。

 よく難民支援活動などで言われるのは、ずっと支援し続けてしまうと、支援を受ける側はそれに悪い意味で慣れてしまって、自助努力を怠ってしまうということらしいのです。
 食料を毎日届けてもらってばかりいては、自分でそれを手に入れようとする、努力しようという気持ちが湧いてこないということですね。
 だから大切なのは、緊急的な支援と同時に、その状態から脱するための手助けをする事。
 自立するために必要な事はなんなのか、一緒に考え、それを後押しして、最後はしっかり独立できるように、そこまで気を使う事なのだそうです。
 大切なのは、自立しようという自らの内から出てくるパワー。
 自ら生きようとする事を伝える事なのかもしれません。

 トリコたちIGOのしていることは、まさにそういう事なのではないでしょうかね。
 もちろん、作品中ではそこまでの描写はありません。
 しかし、この子供たちの喜びようを見ると、ただ単に餓えていた腹を満たせただけの表情とは思えないんですよね。
 生きる希望を失っていた子供たちに、明日を信じ、夢見る心を取り戻させたのではないかと、そう思いました。
 「また盗ってくるから」と言っていた子供は、盗みではなくしっかりと働く事を学び始めるのではないかと、ね。

 生きることと食べることがイコールなグルメ時代において、食こそが生きる希望を再生させる最高の近道なのかもしれないなーと、そんなことを思わされた一話でした。

 ところで、テリーの成長がなんだか凄いことになってるっぽいですねー。
 いったい、捕獲レベルいくつになっているんだか。
 次はテリーメインのエピソードになるのかな?



ONE PIECE

 別エントリーにて。



銀魂

 照れ隠しにダマリンス!とか言ってる月詠がえらく可愛かった。
 しかしまぁ何と言うか、いつもながらではあるんですが、少年誌で吉原ネタってのはえらくギリギリ感が漂っててそれがまた楽しいですなー(笑)。



【センターカラー】 バクマン。

 おー展開はやっ!
 アニメ用のネームを描いてきた新妻エイジに対抗して、亜城木コンビもネームを描くまでするかは別としてなんらかのアクションをトライするかと思っていたのですが、編集長の采配が光る結果になりましたかー。
 まだまだ新妻エイジに届いていないからこそ、ここでリバーシをアニメとし、それにゾンビガンを対抗させる。
 予想通り燃え上がる新妻エイジ。
 これは編集長、すばらしい采配ですよー。
 燃え上がった新妻エイジがどんな手に出てくるのか。
 ワックワクものです。
 ここからの勝負が、本当に楽しみになります。

 それにしても、ついに亜城木コンビ作品がアニメ化ですか。
 あとは、亜豆がヒロインに抜擢されれば、とうとう当初の目的達成!
 見事ゴールインですもんねー。
 いやー、思えば長い道のりだったものだと、思わずこれまでの物語を振り返ってしまいます。

 しかし、それでこの漫画は終わりなのでしょうか。
 アニメ化を達成し、亜豆がヒロインとなり、そしたら、ハッピーエンドってことになるのでしょうか。
 いやー、どうなんでしょう。
 なんとなく、そうとは思えないんですよねー。
 まだまだ新妻エイジには遠く及ばないところが多く、真の意味で勝つには、これからもっともっと努力していかなければいけないのではないかと思うのですよ。
 それまでは、当分この漫画は終われないと思うのですが、果たしてどうなんでしょう。
 それとも、終生のライバルってことで、戦いはこれからだ!ってな感じで終わってしまうのでしょうか。
 うーん。
 どうなんでしょうね。



NARUTO-ナルト-

 まさに怪獣大戦争!な最近のナルト。
 五つの尾獣玉を弾き飛ばしたくだりは、最高にスペクタクルでゾクゾクきました。
 地平線が丸く見えるほどのスケールの光景のなかで、五つの着弾が並んで山々を吹き飛ばす!
 いやー、これは映像ばえしそうですよ。
 絵がまた、ひっじょーに動的なんですよねー。



SKET DANCE

 ルミの部活選びということで、さりげなく各部をまわってお馴染みの脇役さんたち再登場の回。
 ロマンは今回いつも以上にテンションが高くて笑わせてくれましたし、オカ研ではなぜかボッスンもルミも儀式に組み込まれてて、異様な必死さで大笑いさせてくれました。
 なんなんでしょうか、今週のテンションの高さはちょっと異常です(笑)。

 なかでも今週ヒットだったのは最初の文芸部の作りこみで、3人の部員のそれぞれのキャラクター性にはなんとも気圧されるものがありました。
 この、それぞれがまくしたてる文学性ってのが、それらしさが出ているんだけれども大いにチープさが同居してたりして、そこがまた素晴らしいんですわ。

「俺の妹がこんな部に入るわけがない」

 って、それが言いたかったんでしょう篠原先生!(笑)



ニセコイ

 最近自分的に人気劇的急上昇中の宮本るりちゃん。
 ちょっと誰かに感じが似ているんだよなーと思ったら、あのPSYREN雨宮桜子さんだったのかと、ハタと気づきました。
 この華奢でクールで頼りになって、時にちょっとおっかない感じが、まさにわたしのイメージではピッタリです。
 いやいやちょっと驚いた。
 もちろん雨宮さんは雨宮さんでるりちゃんはるりちゃんですけれども、なるほど、このるりちゃんに感じていた親和性みたいなものはそこにあったのかと。
 ひとりで納得してなおさらるりちゃんに惚れ直した自分なのでした。
 ……って、なにを自己完結してるんだか(笑)。

 しかしなるほど、小野寺さんも鍵の約束の相手の事を覚えてなかったんですね。
 てっきり小野寺さんのほうはしっかりわかっててやってるのだと思ってましたから、これは意外。
 でもこれで、いい感じに三角関係がバランスよく演出できそうじゃないですか。
 こうなったら、はやいとこ千棘と楽とがもうちょっと互いに惹かれあわないとですね。



 そんな感じで感想は後半へ続く。




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posted by BOSS at 21:52| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャンプ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今週のトリコのエピソードは今後の展開の伏線について、
言及すると同時にIGOの活動についてと一龍会長がアカシアから
受け継いだ理想についても描かれた意義の大きな話だったと思います。
高級料理や美食を描いた話は一歩間違えると一部の「持つ者」に
ばかりスポットが当たる危険性もあります。
トリコが高価な食材や飽食も描きながらも鼻につくような気取った感じが
しないのはトリコの気風のいいさっぱりした人柄や小松の人の良さに
寄るところも大きいですが、それと同時に食材の捕獲するまで、
食を獲得するまでに負けないくらい、手に入れた食を分け合うこと、
感謝し、与える事について力を入れて描かれているからだと思います。
今回トリコのした事が単なる食料支援でないのは同感です。
ただ食料を与えるだけならクリスマスにこだわる事もないし、
食料のクオリティーを下げてもっと頻度を多くしたほうが良い、
今回重要なのは、食料以上にトリコ達が子供たちに与えたかったのは
人として生きていく為の尊厳と希望なのだと思います。
生きていく為に犯罪をする子供達をただたしなめたり、
自信を持てと言うだけなら簡単ですが、寄る辺もなく
まともに食べるものも得られない子供たちには自尊心を
裏付けるものがない。自信を持てとか自分を大切にしろと
言われた所で、誰も助けてくれない自分達の一体何を
大切にしろというのか? 子供達はそう感じるのではないでしょうか?
トリコ達は年に一回だが、生きてさえいればこんなに
美味いものを食べることだってできる、
少なくとも自分たちはおまえ達との約束を守る、
だからその時まで生きていていろ。
そう言いたかった様に感じました。
この先を生きていく喜びも生きていて欲しいと願ってくれる人も
たしかにここにあるのだとそう伝えたかったように感じました。
それを伝えることで、子供たちに生きたいと思う理由と
生きていていい、生きなくちゃいけないという自信を
与えることが目的だったのだと思います。

こういう話は決して今回唐突に描かれたわけではありません。
以前、アイスヘルでマッチの部下達が言っていました。
生ゴミをあさっていた自分たちに、マッチは見たこともない
ごちそうを恵んでくれた、たった一度のごちそうでおおげさだけど
ハイエナから人間に戻れたのだと。
この話からも人が人として生きるためには自分を人として
扱ってくれる人間が必要だという事が読み取れます。

それからマッチが彼らにごちそうした理由、
自分を救ってくれた組長が「恩を返すなら、自分じゃなくて
ひもじい思いをしているスラムのガキどもに返せ」と言われた
からということでしたが、このセリフからは作者島袋氏の
前の作品「世紀末リーダー伝たけし」の劇中であった
受けた恩を、助けてくれた人に返せなくても
その優しさを別の人に返し、その人がまた他の人に優しさを伝える事
を続けていけば助けてくれた人の優しさがずっと残ることになる
という主旨のセリフが思い出されます。
島袋氏がその作品において、優しさと信頼の連鎖の素晴らしさを
描こうとする変わらぬ信念を感じて何だか嬉しく思います。
Posted by 語り部 at 2012年02月04日 23:50
>この先を生きていく喜びも生きていて欲しいと願ってくれる人も
>たしかにここにあるのだとそう伝えたかったように感じました。
>それを伝えることで、子供たちに生きたいと思う理由と
>生きていていい、生きなくちゃいけないという自信を
>与えることが目的だったのだと思います。

 そうですねー。
 私もそう思います。
 今回のエピソードはけっこう深いものがあるぞと感じさせられました。

 おっしゃるように、以前にもマッチのエピソードがあったりと、持たざるものに食をわけ与えるエピソードはあったのですが、今回はさらに深く、トリコという漫画における「食べ物を分け合うこと」の本質部分に踏み込んできたなと思います。

 それは、とりもなおさずトリコの、一龍会長の、そしてアカシアの食にかけた心と通じている事なのでしょうね。
 独り占めしようとする三虎と、一緒に食卓を囲おうとした一龍会長が思い返されます。

 しかしこうなってくると、逆に三虎のポリシーにも興味が湧いてきます。
 独り占めという、一見シンプルな欲求に見えて、トリコという漫画のことですから意外と深い真意が隠されている、な〜んて事があるのかもしれないぞと。
 ちょっと、そんな事も考えてしまいました。
Posted by BOSS at 2012年02月11日 00:00
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