2011年10月04日

週刊少年ジャンプ2011年43号 感想<後編>

 では後半戦。
 ワンピがないから火曜日更新だってことをすっかり忘れてましたぜーっ。

■前編の感想はこちら





 後半の感想は、

・【読切】斉木楠雄
・銀魂
・バクマン
・ぬら孫
・H×H
・ST&RS


 の6本でお送りいたします。



【読切】 斉木楠雄のΨ難

 いい加減このタイトルの前につけている【読切】の文字を取ろうかと思えてきた斉木楠雄。
 二週連続の掲載です。
 今回はどうやら新レギュラー登場回。
 読切なのに新レギュラーとはなんぞって感じですが、まぁいい加減そういうツッコミ方も飽きてきましたかね(笑)。

 しかし、常々この漫画には色気がないですね!
 出てくるヤツはむさい男かダメ男ばっかり(笑)。
 ちょっとはかわいい女の子でも出せばよいのに、そのへんもしかして麻生先生には何らかのこだわりがあるのでしょうか。
 俺は今回は萌えには頼らないぜとか、ストイックにギャグだけで人気を取るのだとギャグ漫画道に邁進するのだと誓っておられるのでしょうかね(笑)。

 と、思っていたら、今回登場した漆黒の翼こと海藤瞬こと純平はなかなかのイケメン。
 まぁ実態はやはり厨二病まっしぐらなダメ人間ですけど、見た目はこれまでで一番いけてる感じじゃないですか。
 もしや麻生先生、今回はそういうターゲット層を狙っておられるのでは!?

 この斉木楠雄シリーズは、ダメダメな人たちに斉木楠雄が心の中で冷静にツッコミを入れるというシニカルさと、それとは裏腹に実はあたたかいオチが待ってたりする人間味あるところが魅力だと思うのです。
 今回もそのパターンに漏れず、斉木楠雄は心の中でシニカルにツッコミを入れつつも、最後にはなかなか優しいところがあるじゃないかっていうオチだったわけですね。
 これが読みようによっては、そういう需要をかかえるお姉さんたちがお喜びの流れだったのではないかと、私なんかは邪推してしまったのでありました(笑)。
 なるほど、麻生先生、そう来ましたか!と。
 時代は超能力BLですかー。
 心の声がダダ漏れの状態で、いったいどんな物語が展開されるのか、なかなかに興味深いものがあるじゃないですか。

 あ、いや、一応言っておきますと、私自身にはそういうBL好きのけはないのですが、長年栗本薫世界とかに触れていたりすると、なんというかそういう系統に対する抵抗感というのがマヒしちゃってるんですかね。
 男ですが、そういうものも笑えるネタの一環として楽しめるというか……って、何を説明してるんでしょうねわたし(笑)。



銀魂

 いい映画を観るとすぐさまネタに昇華してしまう空知先生。
 以前は『SAW』をそのままハイテンションギャグにしたてあげてくれましたが、今回は『スラムドッグ$ミリオネア』をまさかのマダオ版ちょっといい話に。
 己のためではなく、むしろ己のダメさ加減に絶望し、不幸を背負った少女を救うためにこそ無心で頑張る長谷川さん。
 こまごまと挟まれるギャグに笑いつつも、スラムドッグの感動の印象とも重なってか、なかなかにジンワリ心に沁みるお話でした。
 まぁ、いつかマダオも幸せになれたらいいですね。

 しかし、このタイミングでみのもんたを使ってくる空知先生。
 鼻が利きすぎて怖すぎですわ(笑)。



バクマン。

 おおー! まさか七峰君、ここで東先生という伏兵にやられるとは思わなかった!
 てっきり連載になってジャンプ誌上で本格的な戦いになるかと思ったのに、気持ちいいくらいバッサリ決着がつきましたねー。
 遣い捨てられた作家の復讐劇としても爽快感がありますし、人の心が分からないという決着理由とも繋がっていて構造がとっても美しい。
 いい決着がつきました。

 しかしなるほど、キーワードは心でしたか。
 金でも知恵でもなく、大事なのは心なんだと。
 これはおおいに納得。
 なるほど、そのためにこそベテラン勢の起用の流れがあり、首切りの流れがあったわけですか。
 綺麗にまとまったものです。

 あとは七峰君、マーケティング調査不足すぎやしませんか?
 ジャンプの読者の好みを考えず、ジャンプ読者層とかけはなれた趣味趣向をもったモニターを揃えたら、そりゃー負けて当然でしょう。
 ちょっとそのへんはこれまで明かされていない欠点でしたので、明かされてしまえばあまりにあまりな状態で拍子抜け。

 まぁ今回は七峰君のこれまでの方向性がさらにモニターの目を曇らせたという納得の理由付けはありましたが、そういったところも含めてマネージメントを考えられる部署を整えていなかったところがダメだったとも解釈できます。
 要するに、七峰君の今回のシステムは、心がないことはもちろんの事、知恵の面でもまったく足りてなかったという事ですよ。

 ああ、もしかすると、これまではまったく口出ししなかったのに、今回だけすべてを七峰君が仕切ったってところが悪かったのかもしれません。
 七峰システムは、七峰君がいなければ上手く動いていたじゃないですか。
 七峰君が動き出したらすべてがダメになってしまったわけですからね。
 これはえらい皮肉ですが、逆説的に七峰君は自分のシステムが傑作であることを証明したのかもしれませんよ。
 今回否定されたのは、あくまで七峰君の人格部分であり、その人格部分に引っぱられて悪影響を受けた七峰システムの脆弱性です。
 七峰システムは、運用さえ間違わなければ上手く行くんですよ。
 七峰くん自身はいっさい手を出さず、金さえ出してればよかったんですって(笑)。
 そしたら、たとえば東先生あたりがもしかしたら亜城木コンビにも勝てたかもしれないじゃないですか〜。

 ところで、今回1位をとったのは正義の三肩なんですね!
 凄いなー高浜さん!
 正直、現在の実力は亜城木コンビ以上と認めざるをえません。
 こう言ってはなんですが、あの港浦さんを担当にしてのこの成績ですからねっ!(笑)
 亜城木コンビがふたりがかりで、あの優秀な服部さんの担当の力もありつつ、今回はさらに編集長からのさりげない援護射撃も得て、いろんな人たちの有形無形の力を借りて、それでようやく2位ですからねー。
 それに対して、まさに孤立無援の状態で1位を勝ち取った高浜さんには、本当に心からの賛辞を送りたい。
 どうしても作品中では不遇な扱い、演出になってしまうちょっと地味な高浜さんですが、最近の大活躍は本当に素晴らしいですよー。



ぬらりひょんの孫

 トリマキコンビの窮地にかけつけたリクオ、ちょーカッコイイ〜。
 鳥居さんはすっかりお姫様ポジションが安定してきましたねー。
 なんてのん気なことを考えてたら、なんと既に鳥居さんは妖怪にされていた!!
 まさに悪魔の所業。
 あっという間に巨大な滝夜叉姫の姿に変わり果て、リクオに襲い掛かってくる鳥居さん。
 ぬおー、そう来てしまったかー。
 泣き叫ぶ巻の悲鳴がなんとも悲痛。
 対峙するリクオと滝夜叉姫のバックに太鼓の音色が鳴り響き、まるで舞台劇の一場面のようです。

 友を変わり果てた姿にされたリクオは珍しいくらいにブチキレ。
 そりゃーそうでしょうとも。
 友達をこんなことにされてブチ切れなかったらヒーローじゃない。
 しかしそんなリクオに平然と、これまで斬ってきた妖怪だって街の女の子なんだぜと言ってのける鏡斎。
 知らず知らずに斬っていたと知らされたリクオ、愕然!
 うわー、なんという絶望感。
 この鏡斎、まさに悪!
 これほどまでに卑劣な悪がこれまでぬら孫世界にいたでしょうか。
 なんとも憎たらしいったらありゃーしない!

 この窮地、どう乗り越えるのかと思ったらリクオ、おお、ここで畏を断ち切る技を習得しましたか!
 なるほど、今回はそのための試練だったわけですねー。
 以前から祢々切丸の力で妖の畏を断ち切ることはできたリクオですが、現在祢々切丸は修復中。
 どうするのかと思えば、自力で祢々切丸の力を体現いたしましたか。
 そしてさりげなくイタクのほうも渋谷の女の子達を救出成功。
 いやー安心安心。
 さすがに一般人を斬り殺した前科を持つというのは、ハンター×ハンターとかならまだしも、リクオには荷が重過ぎますものねー。
 地獄絵図は一変、これで万事解決の光が見えてきたというものです。

 しかし、鏡斎はまだ諦めていなかった。
 むしろここからが本番か?
 「九相図」という次なる術で、リクオの体を直接攻撃してきたようです。
 さてさて、体の自由が奪われた様子のリクオ、どう戦うのでしょうか。
 やっぱりここで清継くんやカナちゃんたちの活躍がキーとなってくるんでしょうかね?
 みんなの友情がリクオを助ける事になるのでしょうか。
 いやー、とっても楽しみです。

 ところで、毛倡妓のほうがなにやら謎めいた展開をしてますねー。
 毛倡妓を助けてくれたのははたして誰なのか。
 首無を討ちにいったと思われた偽毛倡妓は、ではいったいどこへ行ったのか。
 ふむふむ。



HUNTER×HUNTER

 パームの涙が示された事で読者の中にはある程度高いハードルが設定されたと思うんです。
 おいおい、先に登場人物が泣いちゃったらこっちが泣きにくいじゃんとか、あると思うんですよね。
 それがどうですか。
 この真っ暗ななかで描かれた、ささやかな最期の語らいのひととき。
 もう、涙ナシには読めませんでした。

 視覚情報がないのはコムギの「視点」も描いたということもあるでしょう。
 また、人と蟻という外見の違いを取り払い、ふたつの純粋な魂の触れ合いようを伝えるためでもあるでしょう。
 余計な情報が取り払われた事で、読者の私は想像力を極度に刺激されました。
 真っ暗な画面の向こう、ふたりの繋ぐ手と手のぬくもりが、不思議と私にも伝わってきました。
 かすれがちなささやき声が、かすかに聞こえてきました。
 メルエムの、コムギの、互いを思いやる温かな気持ち、互いを求める寂しい心が痛いほど伝わってきました。
 2人の心情に過剰に感情移入し、こみ上げてくるものを抑えられなくなってしまいましたよ。

 手を握り合い、眠りにつく2人。
 なんと安らぎにみちたコムギの表情か。
 しかし、何も恨み言を言わず、すべて満足そうな二人の様子に、たまらないやりきれなさを覚えました。
 これで、よかったんでしょうか。
 これがベストだったんでしょうか。
 2人はある意味で最高の幸せを掴みとりました。
 生まれて来たことの意味。
 それはよき理解者、よき伴侶を得ること。
 メルエムとコムギはそう悟って眠りについたことでしょう。 

 でも、人のありようって、これが本当にいいのでしょうか。
 これでは、悲しすぎではないでしょうか。 
 命って、なんて悲しい存在なんでしょうね。
 存在の本質は孤独なのかもしれません。

 こういう幸せを掴んだ2人に、本当によかったねと祝福を送りたくなるのと同時に、なんでこうならざるを得なかったんだろうと、こんな悲劇を生むことになる世の中ってなんなんだろうと、たまらなくやり場のない何かが胸の中で渦巻いてしょうがないのです。
 壮絶かつ壮大な物語の中に、数々の感動と衝撃を展開してくれた今回の一大長編キメラ=アント編ですが、そのラストも実に素晴らしい、胸をえぐるような結末となってくれました。
 やっぱり凄いなぁ冨樫先生は。
 少年漫画の娯楽作品で、よくぞここまで作家性を押し出して作品作りに当たれるものだと、今回は本当に舌を巻きましたよ。

 さてさてしかし、物語は早くも次なる展開へ。
 ネテロ会長の次の会長を決めるべく、ハンター全員による投票を行うに際し、ハンター協会の役員と思われる“十二支”が召集されました。
 どいつもこいつも一癖も二癖もありそうな連中ですが、いったいどんな展開が始まるのでしょうか。
 できたらひさびさにクラピカやレオリオが出てくる展開だといいんですけどねー。
 どうでしょう。



ST&RS−スターズ−

 今週も巻末で絶望したーーっ!!
 って最初は思ったんですけど、作者コメントのところを読むと作画担当のミヨカワ先生がどうやらお風邪をひかれてしまったようですね〜。
 そのせいで原稿が押してしまってギリギリの掲載ということになったのだとしたら、いやもちろんミヨカワ先生のお身体のほうは心配なんですけれども、人気がガタ落ちしてこの危機ということでないのだとしたらよいのだけどなーと思ってしまいます。
 いやでもやっぱり心配だなぁ。
 いくら風邪でも二週連続というのはちょっとヤバいと思いますし。

 さて本編ですが、無事入学した白舟たち。
 まぁそうでなくっちゃ話にならないので当然といえば当然なのですが、しかしいざ入学が決定してしまうと白舟や宙地くんはまだしもめぐるや土神くんまでがしっかり合格できているのが不思議ですねー(笑)。
 彼らにはそれほど活躍場面があったとは思えないのですが。
 まだまだ明かされていない才能があるってことなのかもですね。

 そしてここで新キャラ登場。
 ちょっとぼんやりしたところのある関西系の女の子。
 しゃべりかたが要領をえないのでなんだかよくわかりませんが、もしやこの子も白舟と同じくメッセージを聞いた子供なんでしょうか。
 呼ばれたというのは、試験を受けたのではなくって特別に招待されたってことなんですかねー?
 これまでは白舟がひたすら特別な才能で輝いていた印象でしたが、ここからはもしかしたらそういう特別な才能をもった子供がどんどん出てきたりして、そんなに特別なものではなくなってゆくのでしょうか。
 それはそれで面白くなってきそうなんですが、そうするとちょっと嵐くんや宙地くんの影が薄くなってしまいますかね?

 たぶんこのほかにもわんさと新キャラが出てくるのではないかと思うのですが、はてさて、宇宙学校編はどんな転回になってゆくんでしょうか。
 新生活の始まりに期待と不安がよぎります。
 そしてなにより、連載はどうなるのか!
 いろんな意味でスリリングな展開であります。



感想後記

 ということで43号の感想はここまで。

 次号44号は土曜発売ということでしっかり心に留めておきたいわけですが、その44号でなんと、あの『賢い犬リリエンタール』葦原大介先生が復活!!
 読切作品『実力はエリート迅』が掲載されます!!
 うわーーーい、待ってましたよー葦原先生ー!!
 あのなんとも言えない、他にないハートフルさが胸を打ちまくるリリエンタールは、まぎれもなくジャンプの隠れた名作でありました。
 しかしこの、なんとも緊張感のないゆるそうなお兄さんはどうでしょう(笑)。
 てつこのお兄さんをちょっと大きくしたような、そんな感じがしますねー。
 いったいどんな漫画なんでしょう。
 絵を見る限り、ギャグ系なんですかね?
 一年半近い沈黙を破っての捲土重来。
 葦原先生がどんなふうに腕を磨いて帰っていらしたか、楽しみでしょうがないです。
 とりあえずこの踊りだしちゃいそうな気持ちを鎮めるためにも、リリエンタールを読み返しておこうかしらんと(笑)。



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