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【コミック派ネタバレ注意!】
【感想小タイトル】
■世界一のゴミ共め
■受け継がない意志
■伝説の人魚姫
■世界一のゴミ共め
漂着した船から出てきたのは、天竜人ただ一人。
どういう運命がこの船を襲ったのか、天竜人ひとりを残してみんな全滅してしまったんですねー。
この天竜人ミスガルド聖は、ジンベエの七武海入りによって魚人島に帰った元奴隷達を、たったひとりで取り戻しにきたという剛の者……あるいは本当のバカでした。
これを見た若き日のホーディ、
「殺すべきだ
世界一のゴミ共め………」
全力で頷きたくなる言葉です。
ここまで天竜人の悪行の数々を見てきたこちらとしても、こんなヤツ、今すぐ抹殺してしまえばいいじゃないかと思ってしまいます。
出てきた元奴隷達、元タイヨウの海賊団のメンバーたちも思いは一つ。
天竜人の威厳など、海上で海軍大将が出動義務を持っているというただそれだけの事に過ぎない。
ここで天竜人を殺せば、あとは目撃者は魚人島のものたちだけ。
魚人島が口をつぐめば、ただの海難事故で事は済む……。
まったくもってスジの通った、納得できる話です。
むしろ天竜人に銃を向けながらも、この元奴隷が震えているのがなんとも痛ましい。
過去に受けた心の傷が痛むのか、「ギリ」というのは歯を食いしばる歯軋りでしょうかね。
この一場面だけの登場ですが、彼にもコアラやタイガーとおなじように、頭では分かっても体が言う事を聞かない、そんなトラウマがあるのかもしれません。
このちょっとした表現もあり、私は全面的にこの魚人たちの味方になっておりました。
ところが!
■受け継がない意志
その場に飛び込み、撃ち込まれた銃弾から天竜人をかばったのは、なんとオトヒメ王妃!
そこでオトヒメ王妃が皆を止めるために発した言葉は、奇しくもフィッシャー・タイガーの遺言とも類似しているものでした。
元奴隷の皆の心の痛みは、よくわかる。
しかし、その人間達への怒り、憎しみを、子供達に伝えてはいけない。
子供達には子供達の出会いと、考える事が必要なのだから。
憎しみや差別の歴史を断ち切らなければいけないことは、誰もが頭でわかっていることだとしても、それでも断ち切れないのは、憎しみや怒りを子供達に伝えてしまうからなのではないかと。
行動はまったくの正反対でしたが、オトヒメ王妃もタイガーも実は想いは一つだったわけですか。
なるほど、そういうことだったんですねー。
彼らが見出した、負の連鎖を断ち切る方法は、「恨みを伝えない」という事だったんですね。
もちろんなにもかも伝えないという事ではないと思います。
オトヒメ王妃は地上の正しい知識を広めるために、教室を開いていたわけですし。
正しく相手の姿を学び、また、正しくこちらの姿も知ってもらうことが大切な事。
そのためにも、オトヒメ王妃は皆を地上に連れてゆこうとしてきたのでしょう。
正しくお互いがお互いを知ることこそ、一番大切な事。
そのために、最も邪魔となるのが、互いを憎む心ということなんでしょう。
だから、その憎しみの心を子供達にだけは伝えないでくれと。
それは子供達の素直に考える力を奪い、感じる心を閉ざし、未来を台無しにしてしまう事なのだと。
おそらく、そういうことなのでしょう。
しかし、それにしても相手はあの天竜人ですよ!
あの天竜人でさえも、許さねばならないと言うのですか!
このジレンマは、なかなかに大きな衝撃でした。
だってあの天竜人ですからねー。
ここまで、どう考えたって諸悪の根源として描かれてきた天竜人に対する感情ですら、伝えてはいけないと言うのですね。
なるほど、そこまでの覚悟なのかと、あらためてその重さを感じ取りました。
もしかすると、これまでの物語で一貫して天竜人を悪し様に描いてきた事の意味は、人の大きな憎しみを読者が疑似体験できるようにするためだったのかもしれません。
いや、ちょっと不思議に思っていたのですよ。
尾田先生は、悪人でもどこか魅力的に、救いを持たせるような描き方をされる作家さんだと思うんですが、なぜ天竜人だけはとことん救いようのないクズとして描くのだろうと。
ここだけ、かなり極端な存在として描いているフシがあるなぁ〜と前から感じていたのですね。
なるほど、やはりこれはわざとなんだろうなと。
ともすると客観的になってしまう読者という立ち居地でも、本当に憎たらしいと思えるように、漫画世界の住人の憎しみがわかりやすいように、あえて戯画的に誇張した悪人として描いてきたのかもしれませんね。
さぁ、ここまで憎いヤツでも、本当に許さなければいけないんだろうかと。
憎しみを我慢しなければいけない人々の辛さは、いかばかりだろうかと。
なるほど、私もついさっきまで、こんな天竜人なんて本当にやっちまえばいいのにと思っていただけに、これは非常にわかりやすいエピソードでした。
差別を消し去るためには、こんなに憎く思える相手でも、なんとかわかりあわなければいけないんだぜと。
それほどにツライ、簡単にはいかないことなんだぜと。
そういうことなのかもしれませんねー。
いやー、これは大変な困難だと、改めて思い知らされた気分です。
なんかもう、こんな天竜人と和解するなんて、ほんと無理なんじゃなかろうかと思ってしまいましたもの。
■伝説の人魚姫
おっとー!
これは不意打ち!
ここでまさかのしらほし姫、イヤボーン炸裂ッ!!
天竜人に銃を向けられたオトヒメ王妃を見たしらほし姫(6歳)が叫ぶと、なんと出現したのは超巨大な海王類ッ!!
なんとしらほし姫は海王類を操れる伝説の人魚姫だったことが発覚したのでありました。
そして、バンダー・デッケンの目的が、しらほし姫への恋心でもなんでもなく、その伝説の力だったことも発覚ッ!
くそっ、見損なったぜバンダー・デッケン!!
天下のロリコン悪魔だと思ってたら、そんな野望のためだったとは!!
いや、ロリコン悪魔でもダメですが、純粋な分だけまだいいじゃないかと思ってたんですよ(笑)。
それがどうだ、自分の野望のためにしらほし姫を利用しようとして、その結果として10年も閉じ込められた生活を強いたとあっちゃあ、そりゃあ許せるもんじゃあありませんって!
しかしちょっと気になるのがここのデッケンの言葉。
「この伝説の真意は
我が一族だギャラ知っているのだ!!!
――のハズだ」
伝説だけならわかるんですが、その「真意」というのはなんなんでしょう。
しらほし姫のこの力に、使われるべきなんらかの目的があるんでしょうか。
そもそもなんでデッケンの先祖、初代バンダー・デッケンは人魚姫の伝説を追い始めたのか。
ナゾがナゾを呼びます。
さて、それから数週間。
天竜人に同行したオトヒメ王妃はどうやら和平条約かなにかを結ぶ事に成功したようですが……。
なにやら、このオトヒメ王妃の笑顔に悲劇のニオイを感じずにはいられません。
次号、いよいよ例の『白昼の暗殺事件』が起きてしまうのでしょうか……。
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部下は一人も残っておらず、なのに自分は偉いから他のものは自分のいう事を聞いて当たり前、という感覚がたまらなく悪だと思いました。
さあ、そして今回の天竜人の一件で無事に帰ってくる事ができたオトヒメ王妃ですが、
来週は一体どうなってしまうんでしょうか。
正直今回の話最後のコマを見た時は、無事に帰ってこれた安堵感と、これから起こってしまう事の悲劇に対する悲しみが心に来ました。果たして希望の紙の内容とは、そしてオトヒメ王妃の最期とは。辛いながらも続きが気になります。
本当に最後の最後までクズの役割を担うために出てきたのか、それとも最後には実は違った一面を垣間見せてくれたりもするんでしょうか。
あまりにも酷い奴らすぎて、その異彩さにちょっとそんなことを考えてしまいます。
さぁ、来週あたり過去編のクライマックスでしょうか…。