2011年04月26日

ジャンプ感想別室 ONE PIECE(ワンピース) 第622話 “タイヨウの海賊団”

 週刊少年ジャンプ2011年20・21合併号掲載分の感想です。

■ジャンプ本誌の感想はこちら→前編

【コミック派ネタバレ注意!】





【感想小タイトル】
■“人間”
■「解放」と「自由」
■てめェらの目はふし穴かァ!



■“人間”

 聖地マリージョア襲撃のその前、竜宮城でネプチューン王に謁見していたフィッシャー・タイガー。
 怒りに燃えるその目に、うつったものとは何なのか。
 “見聞色の覇気”を使う王妃オトヒメにだけは、フィッシャー・タイガーの心の悲鳴がわかったようです。
 いったい、何を見たんでしょうね。
 フィッシャー・タイガーは“人間”とだけ答えましたが、それはいったい何を意味するのでしょう。
 16年前、フィッシャー・タイガーをこれだけ駆り立てる、何があったんでしょうか。

 どちらにせよ、フィッシャー・タイガーの活躍は否応なしに魚人島の運命を変えてゆくことに。
 「世界会議(レヴェリー)」への出席は絶望的となり、その反面、魚人島内では天竜人に歯向かったフィッシャー・タイガーの人気はうなぎのぼり。
 こうなってくるとオトヒメ王妃の呼びかけはどんどん滑稽にすら見えてきてしまいます。
 現実を全く見ていないじゃないかと、そう思えてくるほどに。

 魚人街の片隅では、ホーディはじめ、後の新魚人海賊団のメンバーが血気盛んに盛り上がっていました。
 ああ、まだこのころは彼らもカワイイもんですね。
 しかし言ってることはとても物騒。
 人間なんかブッ殺せーと、いたって短絡的。
 まぁ、子供ですからね。
 でも、この子たちは導いてくれる大人もないままに、たぶんこのまんま大きくなってしまったんでしょうね。
 それで今の新魚人海賊団があるんじゃないでしょうか。
 最初は魚人の差別の歴史ありきで、その次に、たぶん子供目線で見た、痛快なタイヨウの海賊団や、アーロンたちの活躍があって。
 そこで刷り込まれたままに、今の破滅的な彼らがあるんじゃないですかね。
 彼らの行動には、政治的な目的や深謀遠慮はまるで見られないのですが、なるほど、そういうことなら納得できるなぁと。
 彼らは子供の発想のまま大人になってしまった、哀れなテロリストに過ぎないのかもしれません。
 そんなことを考えさせられた一場面でした。
 


■「解放」と「自由」

 そして、グランドラインで暴れまわるタイヨウの海賊団。
 後のアーロン一味の面々も大活躍。
 おおー、このチュウを相手にウソップが勝ったんだと思うと、ちょっと感慨もひとしおだったりします(笑)。

 そんな戦いの中で、相手は殺さず、あくまで金品を強奪するだけにとどめようとするフィッシャー・タイガー。
 しかしその制止も一味全員には届かない様子。
 軍艦の船底下に泳ぐ魚人たちは、なにやらたくらみ顔ですし、さらにアーロンは、あからさまに命令無視。
 ぬーん。
 魚人も一枚岩ではないということか。
 あるいはフィッシャー・タイガーの「殺さじ」が特異なのか。

 ガツンと殴られ、叱られているアーロンがなんだかカワイイじゃないですか(笑)。
 またアーロンだけじゃなく、ジンベエもこの頃はけっこう殺気だってるんですね。
 フィッシャー・タイガーがちょっとでも気を抜くと、このふたりはどちらもやりすぎてしまいそう。
 ああ、なるほど、魚人海賊団で肩を並べていたというのは、そういうことだったのかな?
 つまり、実力的な意味でも、役職的な意味でもなく、実は常にタイガーが目を光らせてないといけない猛犬という意味で、「肩を並べる」同格の二人だったという(笑)。

 そんな聞かん気のふたりに、タイガーはこう言ってきかせる。

「殺したら負けなんだ!!

 あいつらと同類になりてェのか!!?」


 この“あいつら”は、ただ単に「人間たち」という意味ではなく、おそらくは「天竜人」という意味ですね。
 傍点つきの“あいつら”で、この後にくるエピソードへの伏線となっています。


 復讐の連鎖の無意味を説き、自分達はただ「解放」「自由」を求めているのだと説くタイガー。
 でも、その言葉はアーロンには理解できない。
 仕返しなんかヤル気もおきないように、とことんまで恐怖を植えつけてやればいいと、これまた向こう見ずな言葉。
 あの「この世は金だ」とスレていたアーロンとは思えない短絡さ(笑)。
 まだまだ若い、本当に世間知らずな時代だったんですね。
 いやー、人に時代ありだ。
 このタイヨウの海賊団では、アーロンはほんとうに若手だったんですねー。



■てめェらの目はふし穴かァ!

 一方、マリンフォード「海軍本部」では、黄猿(この頃はまだ中将)のもとに、さきほどの軍艦が撃沈されたとの報が届く。
 って、この報告に来た将校、なんて頭してるんだwwwww
 しかし黄猿、「厄介だねェ〜」なんて言いつつ、なにやらたくらんでいるように見えたのは私だけ?
 ジンベエさんを七武海に引き抜いたのは、もしかするとこの黄猿だったのかもしれませんねー。

 洋上。
 次々襲い掛かってくる海軍や海賊相手の戦いの日々。
 タイガーもジンベエも賞金は跳ね上がる一方、あれ? そういえばアーロンは?(笑)

「人間共

 てめェらの目はふし穴かァ!!!」


 激怒のアーロン、かわゆすぎる!(笑)
 なるほど、最初から賞金額が不遇な宿命だったんですね!
 海軍将校も言ってましたが、もともとの活躍場所が海中だったため、戦闘能力をはかりかねてたと。
 そして、洋上で戦うようになってからは、傍に強い奴がいすぎるってのもあるんじゃないでしょうか。
 あのタイガーやジンベエさんが横にいては、そりゃあなかなか目立った活躍はできないでしょうとも(笑)。
 まぁでも、この時点のアーロンはほんとうに若手のチンピラっていう臭いがぷんぷんしてて、実力もそこそこなんじゃないかなぁ〜って思っちゃうんですけどね。
 いや、本当のところはどうかわかりませんが。
 
 ところでフィッシャー・タイガーの賞金が2億3000万って、ちょっと安すぎませんかね?
 聖地マリージョアを襲撃して奴隷解放したんですから、ルフィより高いんじゃないかなと思ったんですが。
 ああでも、ルフィも相当なもんかと改めて納得。
 アラバスタ王国で七武海の一角クロコダイルを陥落させ、司法の島エニエス・ロビーを壊滅させ、シャボンディ諸島ではかの天竜人をブッ飛ばし、さらにはマリンフォードの頂上戦争であれだけ状況に関わっちゃったわけですからね。
 そりゃあ4億行きますか。
 ひょんなところで麦わら一味のクレイジーさを再確認してしまいました(笑)。


 そして、3年の月日が過ぎたある日、フィッシャー・タイガーはとある子供を拾う。
 それはマリージョアの奴隷解放によって同じく解放された奴隷の一人。
 これは……なんとまぁ痛々しい。
 始終笑っていなければ殺されるという、奴隷の生活が完全にしみついた、顔面に笑顔が張り付いたような子供。
 まるで呪われた、壊れた人形のような哀れな子供です。
 この「笑顔」のあまりの破壊っぷりにゾクリとしつつ、たまらなく胸が絞めつけられます。
 ここまで子供を壊してしまう仕打ちって、いったいどこまでの非道なのだと。
 天竜人の外道っぷりには毎度はらわたが煮えくり返る思いをさせられてきましたが、今度のはさらに強烈ですね!

 この子供(娘?)コアラを、故郷へ送り届けると、決然と宣言するフィッシャー・タイガー。
 自分達はあの“天竜人(バカども)”とは違うということを証明しようというのか。
 決意も新たに、自由と解放を求めて、新たな旅に。
 いやー、今週はもうこのコアラのあまりの壊れっぷりにガツンとやられ、またこの、ラストの涙にもメタメタにやられてしまいました。

 幸せになって欲しい、この子には。
 差別という敵は理不尽なほどに根深く、巨大すぎて、どう戦っていいかすら考えただけで絶望してしまうほどだし、目に見える敵としての天竜人はあまりにも強大な権力を握っています。
 そして、フィッシャー・タイガーの戦いが悲劇に終わってしまう事も、すでに分かっています。
 きっと彼らの旅は、夢半ばにして途絶えてしまうのでしょう。
 しかし、なんとかフィッシャー・タイガーには、ひとつでも多くの自由と解放を勝ち取って欲しい。
 我々は、蛇姫さま達が勝ち取った自由を知っていますものね。

 差別って、本当に恐ろしいことですよね。
 ここのところ、現実でも改めてそう思い知らされる事件を聞いたりして、抑え切れない怒りを覚えてます。
 尾田先生は、差別との戦いをどう描かれるおつもりなのでしょうか。
 魚人と人間という道具立てで差別問題を描いてゆこうというお考えは、きっとアーロンパーク編の頃からあったことでしょう。
 最近になって天竜人の存在が明るみに出てからは、もしかしたらワンピースの中心部分にかかわるテーマなのではないか、とも思えてきました。
 今回の魚人島編が終わっても、たぶんこの差別問題は根本的には解決しないんじゃないでしょうか。
 かなりの長期にわたって描かれてゆくテーマなのかもしれません。
 いったいどのように描かれ、そして解決が示されてゆくのか。
 私はこの点について、すごく興味がありますよ。

 海賊と言う、アウトロー側の立場で、さらに海賊のなかでも特に常識にとらわれない破天荒なルフィだからこそ、何百年にも渡って繰り返されてきた愚行を、根本からひっくりかえしてくれるんじゃないかと。
 そういう希望を、わたしはどうしてもルフィに見てしまうんですよ。

「支配なんかしねーよ

 この海で一番自由な奴が海賊王だ」


 ルフィのこの言葉に、希望をかけたくなってしまうんです。



■ジャンプ本誌の感想はこちら→前編



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