2011年01月26日

週刊少年ジャンプ2011年08号 感想<後編>

 ほいさ、後半感想いっきまーす。

■前編の感想はこちら




 後半の感想は、

・【読切】改造人間ロギィ
・バクマン
・保健室の死神
・逢魔ヶ刻
・いぬまる
・ぬら孫
・【読切】となりのマサミちゃん
・めだかボックス
・ライトウィング

 の9本でお送りいたします。



【読切】 改造人間ロギィ

 18 歳の新人・三木有先生の、2010年ジャンプトレジャー新人漫画賞5月期準入選をはたした読切。
 これで 18 歳なのかと、信じられない絵の上手さ。
 お話もこなれている感じがして、これって年齢詐称なんじゃないのー?と思ってしまうくらい(笑)。

 大筋は特殊能力バトルものなのですが、その基本設定として、命を永らえるための禁じられた改造手術が、副作用として特殊能力を患者に与えてしまうという悲哀があって、これがなかなかいい働きをしています。
 いわば、永遠の命を得るために人であることを捨ててしまう吸血鬼の悲しみと、人を超越しながらも人から偏見と迫害を受けてしまうフランケンシュタインの哀愁を兼ねているというか、ね。
 なかなかお題がいいじゃないですか。

 また、お姉ちゃんと弟の心温まる絆エピソードもなかなか素敵。
 こういう感動ドラマが描けて、またバトルもできる。
 18 とは思えない引き出しの多さじゃないですか。
 これはなかなか末恐ろしいというか、将来が楽しみな作家さんが出てきました。

 まあでも、新人さんを褒めちぎってばかりっていうのも作家さんのためにならないと思いますので、何点か気づいたところをば。

 ひとつは、主人公ロギィのインパクトの弱さ。
 見た目は怖いし言動も粗暴な感じで第一印象は悪いけど、でも実は……という、王道のテンプレートなのですが、ここにもうワンアクセントが欲しかったところではないかと思うのです。
 特に、これという特徴が見当たらず、印象がちょいと薄い感じがしてしまいました。
 たとえば、これもありがちなところではありますが、かっこいいキメ台詞であるとか、突飛な性格であるとか、奇抜な趣味であるとか、なにか人とは違う、キャラクターを際立たせるところが欲しかったところかなぁと思いましたね。

 あともう一点。
 それは、とても重要なことなのですが、それはエロスです(笑)。
 おねえちゃんの裸をばんばん出してきたところは、お、先生がんばってるなーと思ったのですが、いかんせんこの女体が健全タイプなんですよねー。
 エロさがあまり感じられない。
 いや、なんか私間違ったこと言ってるかもしれませんが、もうちょっと、なんというか、ニオイたつような、というかね!
 お肌の柔らかさであったり、体温であったり、そういったものを感じたいんですわ。
 このおねえちゃんのお肌を見たときに、なんかちょっと寒そうだなーって思っちゃったんですよねー。
 何がどう足りないのかよくわかりませんし、どう描いたらよいのかも私はよくわかりませんが、頑張っていただきたいところです(笑)。<ホントかよ

 あと、気になったんですけど、なんでロギィは人間なのに、あんなに強いんでしょうか。
 作品中でそれに対するフォローってありましたっけ?
 なんか読み落しましたかねー。
 最後に、そこがちょっとひっかかってしまいました。

 しかし、実はタイトルがウソをついているってところは、これは面白いなーと思いましたね。



バクマン。

 七峰透、なかなかアクの強いのと同時に、とても魅力的なヤツが出てきましたね〜。
 確信犯でやっているのか、それとも悪気がない世間知らずなだけなのかわかりませんが、タブーを恐れないこのバイタリティの高さ。
 ある意味、亜城木コンビの正当な血統を受け継いでいるとも言えるのではないでしょうか(笑)。
 これまでサイコー&シュージンも、いろいろスレスレのラインを存分にやってきましたものねー。

 それと、編集を介さず、ネットを通じて作家と受け手が直接触れ合うことができるという、まさに今表面化している時代の変化も物語に取り入れていて。
 さすがバクマンは動きが素早いですよ。
 今回はそんなところに感心してしまいました。

 それはそうと、今週一番気になったのは、審査会議での編集たちの会話。
 いまのジャンプの読者平均年齢って、18 歳くらいだったんですね。
 これは驚きました。
 たしかに大学生とかでも読んでいる人は多いわけですし、私みたいな学校出てけっこうたってる人間でも今じゃ当たり前みたいに読んでいるわけです。
 でもそれはあくまで例外で、メイン読者層はやっぱり小中高生だとばかり思ってたんですけどねー。
 そうですかー。
 これはちょっとオドロキでした。
 これはつまり、作品の連載寿命が長期化してきて、小学生時代に読み始めた作品がなかなか終わらないから、それでずーっと読み続ける人が多いという事が影響しているのでしょうか。
 それとも、たんに日本人の精神年齢が低年齢化しているということなのでしょうか(笑)。
 いや、もちろんジャンプは幾つになっても面白いというのが一番の理由だと思いますとも。



保健室の死神

 おおっ、これは面白いヤツらがいきなり出てきました。
 これはいわゆるライバル組織の登場といったところでしょうか。
 病魔を退治するのではなく、それを有効活用して人の役に立てようというのでしょうかね。
 あるいは、そういっている彼ら自身がどこか狂っていて、結果的に人を混乱に陥れてしまうんでしょうか。
 なんか、そんな雰囲気も感じられます。

 なにはともあれ、組織だったライバル軍団の登場というのは、少年漫画を熱くさせるものですねー。
 ここからいきなりバトル漫画への変身が始まってしまうのでしょうか。

 ところでこの、荊真理也というヤツ、なんとなくいけすかない感じがしますねー。

「僕は人間を救いたいんです」

 と、一見いい事を言っているように見えますが、そこであえて 「人間を」 という言葉を選んでいるところにひっかかりを覚えてしまいます。
 では、お前は人間ではないのか? と。
 普通、そこは 「人を救いたいんです」 と言うものではないですかね。
 これが 「人間」 と言う場合、ふたつの可能性があると思います。
 ひとつは、この真理也はすでに、人間ではない……もしかすると病魔そのものとなってしまっている存在である場合。
 もうひとつの可能性としては、こいつは人を完全に見下していて、自分のことをもっと高次元の存在だと思い上がっている場合。
 どちらにしても、なんだかとてもいけすかない感じがします。

 まぁでもなにはさておき、急に緊張感が高まってきて強く惹きつけられてしまいました。
 さてさて、いったいどんな展開が始まるんでしょうか。



逢魔ヶ刻動物園

 おー、そういえば華ちゃんには、究極のドジ属性、役立たず属性がついてたんですよね!
 初期設定のことをすっかり忘れておりました。

 でも、それはやっぱり、これまでの大活躍のおかげなんですよね。
 頭脳労働タイプの大活躍のせいで、華ちゃんには、「機転のきく」「物知りの」「頼れる」「一生懸命な」 女の子という、いい印象がすごく強くなっているんですよ〜。
 最近では、とても頼れる、自信に満ちた堂々とした感じにすら見えます。
 改めて考えてみると、以前のあの、オドオドした、頼りなさは、そういえばどこへやらって思いますもの。
 動物園での活躍が、知らず知らずのうちに華ちゃんの大きな自信につながっていたのかもしれませんね。
 やっぱり人間、適材適所が幸せなんだよなぁとつくづく思います。

 さて、お次はサーカス団の動物のようですが、これまたバトル編となるのでしょうか?



いぬまるだしっ

 『内水記念病院』『とおるくん』 で、胸に 『アグリッパ』『SQ19』 って(笑)。
 どこまで内水先生と仲がいいんですか!
 もー、あいかわらずラブラブなお二人ですねー(笑)。

 しかし、ちんこくんって……。
 まぁ世の中、まりもっこりとか、ちんすこ坊やとかもあるわけで、ありえない、とは言い切れないかもですが(笑)。

子宝ちんこすこう


 ちなみにこの、ちんすこ坊やというのは、『子宝ちんすこう』 というまんまな沖縄のお菓子のイメージキャラ。
 パッケージには 「ちんことわざカルタ」 がオマケで入ってます。
 ちんことわざは、全135種類もあるそうで、たとえば、「あたま隠してちんこ隠さず」 とか、「出るちんこは打たれる」 とか、さらには 「ちんこに真珠」 なんていうカオス過ぎるものまで。
 遊び心もここまで行けば立派と言うもの。
 沖縄に行った際には、ぜひ買ってみてください(笑)。
 ……って、いつのまに宣伝ページになってるんだろう。



ぬらりひょんの孫

 切り裂き魔 VS. リクオ&猩影。
 顔を切り取られた女の子達の群れがいいかんじに異空間演出してますねー。
 しかも切り取った顔をマントの下にコレクションって、お前はパーフェクト超人か!
 リンゴの皮むきとかしちゃいますか!……って、またお若い人にはさっぱりなことを言っちゃいましたが(笑)。

 それはそうとしかし、リクオも猩影もマナ先生の目の前で変身しちゃってますけど、大丈夫なの?
 猩影はまだ学校とは無関係だからいいとして、リクオの今後がちょいと困りますよねー。
 どうなっちゃうんでしょう。



【読切】 となりのマサミちゃん

 作者急病により休載のブリーチの代原でしょうか。
 黒瀬尚人先生による、心霊ラブギャグと銘打った読切。
 いやー、これは強烈(笑)。
 前編いろんな意味で黒い。
 ダーク。
 顔が怖すぎ!
 これ小学生が見たらトラウマじゃないのかと心配になるくらい、マサミちゃんの顔がマジで怖い(笑)。
 また怖いのはマサミちゃんの顔だけじゃなく、まわりの人々すべて顔が強烈。
 なにも全員こんなに濃くなくてもいいじゃないかと、とちゅうで胃もたれしちゃいそうなアクの強さ。
 いやー、これはひさびさにインパクト強烈な読切がきましたねー。

 話としてはギャグでよくある、迷惑なお助けキャラクターが主人公にまとわりつき、一生懸命主人公を助けようとするんだけどそれがかえって大変なことを起こしてゆくというタイプなんですが、それがもう、この怖い顔だけで充分完成されたネタになってます。
 いやー、凄い凄い。
 でもこれ、どれだけ子供達に受け入れられるか、かな〜り不安な作品ですよねー。
 たしかに面白いしインパクトありまくりだけど、子供泣くでしょうと!(笑)
 少なくとも夢に見るでしょうと!

 個人的にはかなり楽しかったです。
 まぁ、これを毎週読みたいかどうかと聞かれると、ちょっと、あれだ、胃を鍛えてからにさせてください……って感じですが。



めだかボックス

 ぬおー、江迎さん、漢だ!!
 まるで男塾だ!!
 その炎のような覚悟、熱く受け取ったぜー!

「よかったあ 私

 誰かの役に立ってもいいんだあ」


 の涙の笑顔。
 これはたまらんものがありました。
 なんていい子なんだ、江迎さん。
 この子には本当に幸せになって欲しいですよ。

 そして思わぬ、善吉の自覚のない、とんでもないプロポーズ(笑)。
 顔を真っ赤にしている江迎さんがかわいいったらないのですが、いやー、善吉、罪な男よのぅー。



LIGHT WING(ライトウィング)

 “巌窟王(モンテ・クリスト)”!!

 “偉大な夢(アイ・アム・ア・ドリーマー)”!!

 “影の地帯(ハイド&シーク)”!!

 “機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)”!!

 “決闘(チェンジ・ザ・ワールド)”!!


 なんだよ、もう、これ!!
 かっこよすぎでしょーー!!
 いや……おもに、厨二病的にってことでですが、でもかっこええ!!
 なんだろうなぁ〜、この神海先生にはほんと素晴らしいセンスを感じますよ。
 凡百の新人作家とはあきらかにセンスが違う。
 一段も二段もブチ抜けてますよー。

 おしむらくはこの順位。
 いやー、一気にスタンド名が出てきた時にはてっきり 「あー、今週で打ち切りだったかー」 と思ってしまいました。
 が、まさかのここで佐治くんパート!
 ほっほー。
 佐治くんがスタンドを発現することで、トランセンド・サッカーは完成するとのことですが、それってつまり全てのスタンドを統合し、制御する司令塔ってことでしょうかね。
 どんな能力なのか、期待したいです。

 そして、その佐治くんの能力を引き出してくれるのか。
 ここでライバル校、私立帝条登場。
 おー、セクシー女教師・水居先生!
 腰つきがすばらしくエロイですなー。
 荒木先生直伝の服の塗りもいい効果を生んでいます。
 いやー、これはもっと早い段階で出てきて欲しかったかもしれませんな(笑)。



まとめて

 といったところで今週も感想終了。
 今週は新人さんの読切が2本とも面白くてちょいと驚きました。
 この間の金未来杯もレベルが高かったですし、最近の新人さんはレベルが高いですねー。
 これは、もうちょっとするとジャンプに多きな波がくるのかもしれませんね。
 なんにせよ、活気のあるジャンプを期待したいです。
 バクマンじゃないですけど、たしかに今のジャンプはちょいと保守的なのかもしれませんからね。
 若い人にどんどん刺激を貰って欲しいなと思います。



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