2010年12月27日

スティール・ボール・ラン感想 #66 新たな世界(2)

 ウルトラジャンプ2011年1月号掲載。
 ジョジョの奇妙な冒険 Part7
 SBR #66 新たな世界(2)
 の感想です。

【コミック派ネタバレ注意!】





 先月号、驚愕の再登場を果たした Dio。
 その興奮も冷めやらぬまま、激突シーンから今月号はスタート!
 
 時の止まった世界のなかで、爪弾の弾道をゆうゆうとナイフで曲げる Dio が憎い。
 コンッと叩いてグググッてやると、なぜか曲がっちゃうもんなんですね〜(笑)。 
 物理的には理解できなくても、こうやって絵で表現されることで漫画的リアルに納得させられてしまう。
 これぞ荒木イズム(今造ったw)。
 しかしこの、弾道をナイフでコンコン叩きながら余裕綽々(ちょっと神経質っぽい?)しゃべってる Dio が本当に“DIO様”らしくて素晴らしいですわ。


 ここでまずは、Dio 復活劇の種明かし。
 なるほど、私は大統領が行ったり来たりしているのを見たパラレルの Dio が、勝手に便乗してこちらに来たんじゃないかと思ってたのですが、なるほど、大統領のほうから誘いをかけたのでしたか。
 たしかに、パラレル Dio は 「基本世界」「聖なる遺体」 の事は知らないはずですし、ましてや大統領の地下シェルターのことも知らなかったハズですから、そうでないと辻褄が合わなかったわけですね。
 おおいに納得。

 また大統領が Dio に目をつけたのも、その強烈な野心ゆえというのも納得が行きました。
 Dio は本来イギリス人ですが、大統領の交渉にマンハッタン島の支配権を要求したりと、強烈な上昇志向はイギリスにこだわらず、むしろこのアメリカでのし上がろうと言っている様なものでした。
 まさにそれこそアメリカンドリームかもしれません。
 大統領としては、そんな Dio だからこそ、逆に信頼ができたのかもしれませんねー。

 いかにも故郷に持って帰って、アメリカのためになど間違っても使いそうにないジョニィではだめなんでしょう。
 大統領としては、その使用法がどうであろうとも、国を強大にしてくれる“独裁者”にこそ、遺体を受け継いで欲しかったのでしょう。

 大統領と Dio という、とても意外な線が結びついたわけですが、なにやら運命的な絆のようなものも感じます。
 一度は命ギリギリまで追い詰めあい、そして決着のついた二人が、こうしてまた手を結ぶ(一方はパラレルですが、その魂は間違いなく同じ色でしょう)。
 恐るべき絆です。
 彼らを“悪の枢軸”と切り捨ててしまっては、なんだかもったいないような気がします。
 彼らは彼らで、世に言う“善”ではなくとも、それぞれが確信している価値観のために猛進し、命を賭けて戦っているんだよなぁと思うんですよね。
 その情熱が結びつけた絆だったのかもなぁと。


 さて、場面戻って、試合再開!
 動き出した時間のなか、無数のナイフに襲われるジョニィですが、これをなんとかタスクと腕で凌ぎきる!
 血まみれで落馬しつつも、ここからのジョニィの反撃も凄まじかったですねー。
 攻撃から一転、逃走に入った Dio の背中に、二発のタスクを打ち込む。
 タスクは、電信柱に当たるも、今度は折れた電信柱の上下に弾痕が移動し、一発は地面を、もう一発は倒れる電信柱から電線をつたって Dio に猛然と迫る。
 いや〜、あらためてタスクすげぇ〜と思わされる、とんでもない追尾能力です。
 しかし、それも Dio は時間停止で凌ぎきる。
 ジョニィの凄さを再認識するとともに、ジョニィにとっては Dio の能力をほぼ確信させる意味もある一瞬の攻防だったのでしょう。
 いやー、それにしても迫力が凄い。



 かくして、第8ステージがついに終了。
 いやー、とんでもないステージでした。
 一時は、これがクライマックスだと信じきっていた第8ステージ。
 まずは、大統領と、そしてジャイロの魂に、祈りを捧げたい。
 
 そして、ここまでの集計結果が出ました。
 おおおーー!
 なんと、見事に上位4人が並んでいます!
 トップのポコロコから、4位のジョニィまでが 53 ポイント差。
 この壮大な物語のラストに相応しい、なんともドラマチックなお膳立てじゃないですか。
 いやー、お見事ですよ荒木先生。
 よくぞこれだけの物語、緻密に計算されてきましたねー。

 決戦の舞台は、マンハッタン島へ。
 そこまでは汽船で2時間の小休憩。
 係員とのやり取りがコミカル、かつジョニィの切迫感をあらわしていていいですねー(笑)。

「冗談だよ ウソ…

 落ち着けよ……

 そう… 落ち着けって……

 ……僕のほうがな…」


 はやる馬をなだめるようなジョニィの独り言がツボでした(笑)。
 人を舐めたような感じは昔ながらですが、でもちゃんと自制心がついているんですね。
 こんなギリギリの状況ですから、一秒でも早く敵に飛び掛りたいでしょうに、それをグッと堪える。
 強烈な自制心を必要とすることでしょう。
 そんじょそこらの事じゃ、耐えられないと思います。
 最初の頃の、傲慢な、なんにでもつっかかるようなジョニィとは大きく違います。
 ジョニィの精神的な成長、本当の意味で身についた、心のタフさを感じます。

 そしてタスクで魚を獲る。
 おおー、なんて便利。
 こうやって大陸横断中も食事してきたんでしょうねー。
 サバイバル慣れしたジョニィが、とても頼もしく見えました。
 この何千キロもの旅が、ジョニィを鍛えに鍛えたんだぞって。 

 考えて見れば、これがジョニィにとっては初めての一人旅なんですが、でも、さりげなく描かれたこんな場面に、ジョニィの大きな成長のあとを感じ取れました。
 ジョニィ、立派になったのう!
 ジャイロ、天国で見てておくれよ!
 ジョニィはきっとやってくれるぜ!



 さぁそして、ついに始まった最終レース。
 ここ、マンハッタンでは、第8レースの着順に従ってトップから 15 秒間隔で一人ずつがスタート。
 5位のジョニィは、トップから1分のハンデがあるわけですね。
 しかもたとえトップを獲ったとしても得るのは100ポイント。
 もしここでポコロコが2位に食い込むとここに 50 ポイントが入って、結局ポコロコが優勝ということになってしまう。
 優勝するなら、ポコロコを3位以下にしての1位しか、可能性は残ってないわけです。
 Dio とも戦わなきゃいけないし、レースにも勝たなきゃいけない。
 両方やらなきゃいけないってのが SBR のツライところですな(笑)。

 と、ここでなんと、歩道の脇を駆け抜けるネズミの姿!
 一瞬、運命的なゾクゾク感に襲われてしまいました。
 なんと、そこにいたのは、ジョニィのお父さん!!
 目には涙。その手には、あの兄さんのブーツ!!
 涙をうかべ、ただジョニィに頷きかけるばかりのお父さん。
 それが物語っているのは、ただひとつ!
 ジョニィには、充分お父さんの想いが伝わったはずです。
 よかった。よかったなぁジョニィ。
 あれだけトラウマになっていた確執が、絶対の弱点となっていた心の傷が、今ようやっと……!
 ジョニィの目にも、思わず涙!
 しかし、一瞬で駆け抜ける。
 それで、充分でしょう!
 今は、走れ、ジョニィ!

 その背中に詫びるように、満場の観客におのれの罪を告白するお父さん。
 自分は、ずっと今まで、残酷なことをしていたと。
 やっとその事に気づけたと。
 これは泣けた!
 ここはもう、ガード不能でした!
 きっと、新聞で知って驚き、ジョニィの大活躍に心を打たれたのでしょうね。
 あのジョニィが、こんなにも頑張っていると。
 自分が憎み、辛く当たり、吐き捨てるように捨てた子が……。
 すさみきり、人生を落伍し、その末に半身不随となり、見舞いにも行かなかった、すっかり“いないもの”としていたあの子が……と。
 己の子のたくましさに、勇姿に、勇気に、心打たれない親がいますか!


「わたしの子供の名前は

 『ジョニィ・ジョースター』

 遥かなる西海岸の端から

 この大陸を横切って

 たったひとりぼっちで今! この!

 ニューヨークへやって来ました

 …………」



 滂沱とあふれる涙のなか、堂々と告白するお父さんに、次第に湧き上がってくる拍手。
 それは大きな満場の拍手に!
 感動です!
 これはもう、溢れる涙を止められるものではありません!
 いつぶりでしょう、ジョジョでこんなに胸打たれたのは。
 よかったですね、ジョニィも、お父さんも。
 和解できて、本当に良かった。
 きっとこのレースが終わったら、やっと本当の家族としてもう一度やり直すことができることでしょう。
 思えば、第一部のジョナサンとそのお父さんは、とても悲しい別れ方をしました。
 一巡した宇宙のこちら側でくらい、本当にハッピーエンドであってほしいものです。


 そしてついに、最終決戦へ。
 第一手は、まずは Dio の先攻。
 狭い街路を利用し、ワイヤートラップを張り巡らせる!
 なんと凶悪な!
 巧みに地形と能力を利用している!
 市街戦はお手の物ということか!
 この極悪さが、やっぱり Dio ですねー。恐ろしい。

 能力だけじゃない、それを最高に利用しつくす頭脳戦の冴え。
 これこそがジョジョであります。

 これをしかし、ギリギリで回避するジョニィも凄まじい。
 爪弾でワイヤーを支える一方の鉄パイプとレンガ壁を破壊し、跳ね返った壁を利用して身体をワイヤーから防御。
 このままでは落馬してかなりの時間ロスですが、しかし一瞬の判断でこれはベストでありましょう。
 いやこの判断の瞬発力は素晴らしい。

 問題は、ここからどう攻めるかですねー。
 このままでは、地形を選ぶイニシアティブは常時 Dio にあるわけで、なかなかこの有利不利の状況はひっくり返せないでしょう。
 さぁジョニィ、いかに活路を見出すのか。
 時間停止と地形トラップの網の目をかいくぐり、どうやってタスクをお見舞いするのか。
 Dio が言っていた、無限の回転を排除する 「計画」 はすでに出来ている……という言葉も気になります。
 さぁ〜、これはいったいどんな勝負になるのでしょうか。
 お互いが、達人の技と、超人の頭脳の冴えを見せまくる、凄まじいばかりのこの勝負。
 正真正銘の最終決戦に相応しい、能力戦とレースとが渾然一体となった、最高の名勝負を期待したいと思います!



■外部リンク
SBR感想 #66@JOJO



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