2010年12月16日

週刊少年ジャンプ2011年02号 感想<後編>

 さて後半戦です。
 なんかちょっと今日も残業ぎみでちょこ〜っと駆け足気味になるかもしれないのですが、ガツンと気合で行きましょう〜。

■前編の感想はこちら





 後半の感想は、

・【読切】サジタリ
・スケダン
・いぬまる
・めだかボックス
・こち亀
・ぬら孫
・逢魔ヶ刻
・ライトウィング

 の8本でお送りいたします。



【読切】 サジタリ

 ジャンプ本気印の漫画カーニバル第2弾。
 野々上大二郎先生による弓道もの。
 これはまた珍しいジャンルを持ってきましたねー。

 中学時代に野球で挫折を経験した少年が、弓道のなかで自分を見つめ、再出発をするまでを描くなかなか爽やかな作品でした。
 絵もうまいし、表現もいろいろしっかり工夫されていて、新人としてのレベルは高い印象。
 キャラクターの性格設定がよく練られていて、特に弓道部主将がかっこいい。
 昔の漫画なんかにはありがちかもしれませんが、こういう男臭いキャラクターは逆に今の時代光るかもしれませんねー。
 ちょっと気に入りました。

 気になったのは、主役の少年が勝負のなか、唐突にボロボロ泣き出してしまうシーン。
 物語の大きなクライマックスであり、一番重要なところだと思うのですが、やや突然感を覚えました。
 あれ? なんでここで泣き出してんの? と、置いてけぼり感があったんですねー。
 もちろんストーリーがそこへ向かっていっていることは最初から分かっていることなのですが、分かっているからこそ、そこまでのプロセスを楽しみに読んでいたわけです。
 ところが、期待していたプロセスがなんだったのかわからないうちに、このシーンに到着してしまう。
 ペラリとめくってびっくりのシーンというのは漫画の基本と言いますが、この場合はびっくりさせるのではなく、読者を感情移入させたほうがよかったのではないかと思うのですよ。
 じっくりと少年と読者の距離を縮める過程を描写することが必要だったんじゃないでしょうかねぇ。

 現在の構成は、「本当はわかってたんだ」⇒「泣く」⇒「自分のせいだったんだと告白」⇒「元メンバーたちの告白」となってます。
 たとえばこれを、「本当はわかってたんだ」⇒回想で真相描写⇒「自分のせいだったんだと告白し、泣く」⇒「元メンバーたちの告白」とすると、だいぶよいのではないでしょうかね。
 もちろん読者をびっくりさせたいのであればこの構成でよいのですが、だとすると物語がシンプルですから、オドロキにはちょっと物足らないということになりますよねー。
 物語のどこをクライマックスとして盛り上げるか。
 読者の感情をどう揺らし、感動に引っぱり上げるか。
 読者を乗せて、感情移入させ、泣かせるテクニックってやつの研究が必要なのではないかと思います。

 さて、あと個人的にとても気になったのですが、主人公はなんで最後弓道を選んだんでしょう。
 ここがちょっと腑に落ちませんでしたねー。
 先ほど言ったことは、演出技法のお話ですから、ストーリーとしてはちゃんと腑に落ちて、おお、いい話じゃのーとなったわけですが、
 
 自分と見詰め合って認めるというプロセスはクリアされたわけですから、弓道をやる必然性はもうなくなったわけです。
 顧問の先生も、きっとこのために弓道部を薦めたのであって、ずっとこれから弓道をやれとは言わないでしょう。
 私はてっきり野球の仲間達と仲直りできて、そのまま野球を始めるものとばかり思ってたんですが。
 野球への情熱や仲間達との友情は、弓道への興味に遠く及ばなかったということでしょうか?

 もちろんこれが長編漫画の第一話であれば、弓道部に入らないと話が始まりません。
 しかし読切である以上、最後は野球部に戻ったほうがスッキリしたと思うのですよ。
 友情、努力、勝利の友情を捨ててはジャンプじゃなくなってしまいます。

 このあたり、野球を続けたくても絶対に続けられないなんらかの事情とか、あるいは主人公が弓道部に入部しなければ何か大変な事が起こるとか、そういった設定でも置いておけば整理できたと思うのです。
 いかんせん最後これでよかったのかなぁという疑問が残って、なんだかモヤモヤが残ってしまいました。
 いやー、難しいですねぇ漫画って。



SKET DANCE

 スケット団新部室お披露目。
 いったいどんな感じに変わっているのかと、ボッスンたちと同じように期待していたら、見た目はほとんど変化なし。
 アニメ版と設定をあわせたなんて裏事情まで明かされて、なあんだとちょっと肩透かしに思っていたら……!
 なんですかこの怒涛のバカ設定!!
 まずはしょっぱなからボッスン射出で盛大に噴きました(笑)。
 なにやっとんねーんと(笑)。
 さらに次々明かされる秘密兵器的バカネタ。
 ページをめくると左にまったく同じ「ドーン」の文字が3連続。
 いやー、理事長いいキャラしてますなー。
 スケット団は素晴らしいバカ部室を手に入れたのと同時に、素晴らしいパトロンも手に入れたのではないでしょうか(笑)。

 そして数日後、見事にすべての機能を使いこなしているスケット団の面々。
 定点カメラは顔を隠して相談できる出張相談所となり、ヒメコは暴れる際にコスチューム使用(って、このカッコで町中出たのかと思うとかなり萌えるw)。
 温泉シャワーは普通に役立ちますし、ガレージもスイッチには願ったりかなったりの研究所になった様子。
 そりゃもう、部室の広さが一気に7倍になったようなもんですしね!
 そしてボッスンはといえば、一番使い道に困りそうな緊急発進装置を見事に使って郵便局へ(笑)。
 これ、町で噂になってないですかね。
 頭から二本の角を生やした少年が空を飛ぶって。
 都市伝説があらたに誕生していそうです(笑)。

 いやー面白いじゃないですか新部室。
 なんか妙にワクワクしちゃいました(笑)。
 これからこの機能をどんなふうに活用していくんでしょうね。



いぬまるだしっ

 最後、これはキューンって来ちゃいますねー。
 演出が実に上手い。
 いぬまるくんが珍しく見せる子供らしい寂しさ、悲しさを、本人の顔は見せず、たまこせんせいの表情と3コマの動きで見せる。
 上手すぎです。
 なんかもうたまらず切なくなってしまいました。
 これはやられましたねー。
 たまこ先生がまたいい表情してる。
 ギャグの中にごくたまにあるこういう回が、私は結構好きですねー。



【センターカラー】 めだかボックス

 江迎さんのラフレシアに、まさかこんな使い道があったとは。
 土を腐らせ、植物を極度に活性化。さらに植物を意のままに操るとは。
 どうやって操ってるのかまでは理解できませんが、大地を栄養たっぷりにして植物に刺激を与え、過剰に成長させたってのは非常に分かりやすい。
 科学的ではないですが、男塾的な意味で非常に科学的です(←最高に誉めてますw)。

 しかしこうなってくると、意外とマイナスも役に立ちますね。
 決して人生においてプラスに転化できないのがマイナスの能力だとばかり思っていたんですが、こうやって制御し始めると、けっこう役に立つじゃないですか。
 江迎さんは農業に、球磨川は医者に、志布志さんはビル破壊業にでも利用すれば、人類未踏の粋に達することもたやすいでしょう。
 マイナスがマイナスであるゆえんはその能力では決してなく、原因は性格にあるというのがよくわかった気がします。
 いかに有益な能力でも、使うものが歪んでいてはしょうがないですものね。

 なるほど、これは彼らを更正させれば、ちゃんと役に立つプラス能力になるというわけか。
 あるいは逆に、このような元からプラスになりうる能力を持っているという事は、彼らが自分達をマイナスと言っていることも実は勘違いで、本当はプラスの人間だということの表れなんじゃないでしょうかね。
 悪魔超人が、仮面の下に実は涙もろい素顔を持っていたように。
 彼らが、いつかめだかたちと肩を並べる日がくるのかもなぁという、予感のようなものを今回は覚えました。



こちら葛飾区亀有公園前派出所

 団地でゴルフとはなんて危険な! とは思いつつも、こういうトンデモルールのスポーツ漫画って楽しいですよねー。
 ここまでとはいいませんが、『ライジングインパクト』 でぜひこういうトンデモゴルフを見てみたかった……。
 あの漫画ならそのくらいでちょうどいいと思ってたんですよ〜。
 鈴木央先生、次はなに描くのかなぁ。



ぬらりひょんの孫

 リクオの新たな修行編か、もしくは学園編でも始まるのかと思ったら、意外や意外。
 まさかの、つらら組結成秘話がスタート。
 それにしても可愛い組ですねー(笑)。
 カキ氷のガラス皿からぽこぽこ妖怪が誕生して、まるでちっちゃな人形劇みたい。
 つららに似合ってとっても微笑ましかったです。

 またこの、あたらしい組を作るっていう発想が変わってて面白い。
 リクオが若から三代目に出世したことで、その下の者が順次出世。
 組としての支配を確立するために、各自が部署をあたえられて経営をしてゆく。
 なんというか、シミュレーションゲームみたいな面白さを感じました。
 『プロ野球チームをつくろう!』 とか、『プロサッカークラブをつくろう!』 とかありますが、あんな感じですね。
 『妖怪任侠一家をつくろう』 ってところでしょうか(笑)。
 これからつららや青田坊、黒田坊たちがどんな感じで経営をし、勢力を伸ばしてゆくのか。
 これまでとはまったく目先の違う楽しみが始まったことで、とっても興味深く思えますねー。

 さてさて、まずはカキ氷軍団をひきい、つららはいかに活躍するのやら(笑)。

 あと、なにげに清継君がカナちゃんにひどいこと言われてて噴きました。

「だめだー見つからないなぁー」

 と嘆く清継君に、

(いても清継君多分気づかない…)

 って(笑)。
 わかってるなぁカナちゃん。
 清継君の対妖怪結界は、漫画内でも共通認識になりつつあるんですなァ。



逢魔ヶ刻動物園

 フカヒレマンの想いが形となったか。
 抜け落ちた歯が偶然園長のマフラーに引っかかっていたことで、逆転スタート。
 華ちゃんの助言も綺麗に決まり、王道の大逆転となりました。
 いやー気持ちのいい王道展開です。

 個人的にはその前のシャチの裏切りがグッと来ましたねー。
 裏切りながらも馴れ合いはせず。
 あくまで自分は群れぬシャチ(トラジエント)。
 強いと思っている奴にしかなびかないと。
 いやーカッコイイ。
 今後もベジータ的ポジションで活躍してくれることを期待しちゃいます。

 しかし、これにて勝利ということになりそうですが、となるとこの水族館はどうなるんでしょうねぇ。
 クジラ館長は引き続き館長を続けるんでしょうか?
 それとも椎名園長がここも合併吸収しちゃうんでしょうか。
 あるいはクジラ館長を改心させることができるんでしょうかねぇ。
 次週はどうやら、嬉しい増ページで水族館編が決着。
 どんな決着をつけてくれるのか楽しみ。



LIGHT WING(ライトウィング)

 ついに 「あの人」 のヴェールが開かれ、最悪のラスボス、リン童心亜(りんどう しあん、リンは門がまえの中に火)登場!
 名前がそのまま実に分かりやすく 「悪」 になってるんですね(笑)。
 サッカーを、公衆の面前で人の心を折る道具としてしか捉えていないという精神の捻じ曲がりっぷり。
 そのくせサッカーは最強というのだから実にタチが悪い。

 さぁ、リヒト(天使)はいかにシアン(悪魔)と戦うのか。
 さっそく決闘になりそうな按配ですが、このまま戦って突き抜けてしまうのか。
 それともこの戦いを契機に、ここから決勝に向かって駆け上がってゆくための、怒りと言う名の強烈な動力源を得ることになるのか。
 二重の意味でスリリングな展開となってまいりましたねー。



まとめて

 いや〜、今週のジャンプ感想はなんだか最後までドタバタしてしまいました。
 文章も荒れてるかもしれませんが、年末で残業が増えてるもんでお許しください(え? 荒れてるのはいつも!?www)。
 まァそんな感じで今週の感想はここまで。

 次週、今年最後のジャンプは、トリコが超超重大発表で巻頭カラー。
 おお、なんでしょうねーっ。
 ついにテレビアニメ化決定でしょうか!

 ところで、あの 『太臓もて王サーガ』大亜門先生が、ついに復活だそうです!
 来年1月13日創刊のヤングジャンプ特別増刊ミラクルジャンプに、読切が掲載されるとの事!(詳しくはこちら
 こいつぁー楽しみだーっ!!

 

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