2010年11月25日

ジャンプ感想別室 PSYREN‐サイレン‐ CALL.144 “生きろ”

 サイレン、週刊少年ジャンプ2010年51号収録分の感想です。

■ジャンプ本誌感想はこちら→前編後編

【コミック派ネタバレ注意!】




【感想小タイトル】
■決着
■生きて世界を見届けろ
■撤退
■本当によかった



■決着

 最終戦、決着!
 弥勒の援護を受け、アゲハのノヴァ・暴王モードが炸裂。
 見事ミスラを、完膚なきまでに喰い尽くしました。
 これはいいですね〜。
 初めてアゲハが暴王の月を暴走させたときにも似た、あの真っ黒い球体の嵐。
 あの時の、すべてのものを削り取るような暗黒の狂気を、アゲハはついに完全にモノにしたということだったんですね〜。
 最初にこれを見たときも惚れ惚れしましたが、いやぁ、やっぱりこの描写、最高にカッコイイです。
 
 かくして、力尽きたアゲハはノヴァも解け、鼻血をたらしてがっくりとへたり込む。


(いいんだ これで――…)


 やることは全てやった。
 もう、悔いはない。
 目から光がうせてゆくアゲハ。
 急速に命が抜け落ちてゆくような、そんな様子にゾクリとしたものを覚えます。

 駆け寄る雨宮さん。
 離れろ、と言うアゲハに対し、

「いやだ!!

 どうしていつも夜科が辛い役を引き受けるの…!!

 私も一緒にいるから…

 もう離れない…!!」


 と、必死にしがみつく。
 悲痛な叫びです。
 雨宮さんの心細さが、痛いほどに伝わってくる。
 でもね、アゲハは雨宮さんを守るためにこそ戦ったのですよ。
 だから危険な傍にはいて欲しくないのですよ。
 でも、雨宮さんとしてはそんな自己犠牲なんてして欲しくない。
 男のエゴ、自負と、女の愛との戦いでもあるわけですね。
 それぞれが相手のことを思わばこそなのです。
 自分のことよりも、互いが互いを思わばこそなのです。
 純粋な二人ですよ。
 本当に、涙が出てくるくらいいじらしい、いとおしい二人ですよ。

 

■生きて世界を見届けろ

 ウロボロス計画を失い、ある意味で全てを失ったかに見える弥勒たち。
 さぁ、これからどうするのかと思ったら、まだまだ諦めてませんでしたか。

「…再び一からやり直すとしよう

 新たなサイキッカーの世界を作る為に…」


 ある意味、世間のサイキッカーに対する差別を作り出すことにもなったであろう今回の弥勒たちの作戦ですが、それでもあえてその志を貫くというのですか。

 しかし、これは私の推測に過ぎませんが、ウロボロス計画のような人類皆殺し計画は、もう二度と組まないのではないでしょうかね。
 もちろん人を殺すことには未だにためらいはないでしょうし、ダーティな手段はいくらでも使うでしょうけれど、もっと小規模の活動にとどまるのではないでしょうか。
 たとえば、サイキッカー数百人を集めて、人知れず暮らせる隠れ里のようなところを作るとか。
 あるいは、どこぞの独裁国家を乗っ取り、新たに君臨するメルエムのようになるか。
 そういった方向にシフトしていくのではないでしょうかね。

 弥勒はもう、自分が地球を滅ぼした結果を知ってしまったわけですし、なにより、姉の愛を知ることが出来たわけですし。
 前ほど殺戮には突進しないと思うのです。
 弥勒が極端に走ってしまった原因としては、自分が姉と決別してしまったと、そう思い込んでしまったことが大なり小なりあったと思うのです。
 いや、本来変わったのは弥勒が先で、姉はそのころ既に感情を失っていて、そんな弥勒を冷徹に拒絶してしまっただけなんでしょうけど。
 ところがしかし、実は姉は文明崩壊後もずっと自分のことを思ってくれていた。
 世界が滅びてまで、自分のためにメッセージを送ってくれた。
 その愛を感じることができた今、弥勒はすでに前の弥勒ではないと思うんですよね。
 少なくとも、世界は自分を中心に回っている、というような、視野の狭さは改善されたのではないかと思うのです。
 どうでしょう。希望的観測に過ぎませんけれどもね〜。

 いずれにせよ、弥勒の進む道は困難を極めることでしょう。
 世界のサイキッカーを集めて、どんな事をするのか。
 とりあえず、夢喰島にいるであろう姉さんを助けに行かないとですよ。
 また拒絶されるかもしれませんが、でも、一度顔を合わせに行かないとって思います。
 そして、ありがとうって言わないと。

 あとは利用できそうなコマとして、島原で王国作りにいそしんでいるであろう碓氷さんにでも接触するんでしょうかね(笑)。
 碓氷さんが、未来で自分が殺されたとも知らず、まんまと利用されたりしたら面白いのですが。
 あ、いや、碓氷さんは過去の体験が読めるんでしたね。
 弥勒の記憶を読んですんごい青ざめちゃったりして(笑)。

 かくして、共闘の次は新たなる決別。
 アゲハは、弥勒を許せないと言い、弥勒は、生きてこれから自分のやることを見届けろと言う。

「俺と完全な決着をつけたいなら

 …生きろ

 生きてこの世界を見届けろ

 夜科アゲハ」


 挑発的な言葉ですが、どこか好敵手に対する励ましのようでもあり。
 不思議なさわやかさの感じられる別れでした。
 人類抹殺をなしとげたかつてない殺戮者と、それを殺そうとしてきた男の別れなのに。
 なんなんでしょうね。
 もう、すべて歴史は書き換えられたと、その安堵感が感じさせる爽やかさなのかもしれません。
 アゲハの言うとおり、到底、弥勒は許されるべきヤツではないんですけどね。



■撤退

 カブトの警告で、いち早く自衛隊のミサイル攻撃を察知。
 それを追うように、空から降ってくるミサイル群。
 おー、やるじゃないですか自衛隊。
 これを見て、退き時と判断した弥勒。
 ミサイル爆撃くらいで死ぬ弥勒たちでもないでしょうけど、だからといって面倒でないわけでもないでしょう。

 ミサイルの航跡を眺めながら、けっこう悠長に会話する弥勒とグラナがいいじゃないですか。
 グラナは、どうせ最初から気に入らない作戦だったと、憎まれ口を叩きながら半分慰めるような口ぶり。
 なんにしたって、グラナはもう弥勒についていくんでしょうね。
 そんな深い信頼と絆を感じます。
 その他の面々も、きっと納得できねーよとかブーたれることはたれるんでしょうけど、結局弥勒についてゆくのでしょうね。
 この人たちにかかっては、ミサイル群の航跡も、新たな門出を祝う祝砲です。

「世界をまわり 仲間を集め

 特異能力者達の国を造ろう

 どんなにちっぽけでも…

 草の冠から始めよう」


 未来世界の王冠は、あんなことになってしまいました。
 今度の草の冠は、いったいどんな冠となるのか。
 ぜひ見届けたいものです。



■本当によかった

 爆炎をかいくぐり、生き延びたアゲハたち。
 世が明け、静かになった、とある丘の上。
 木に寄りかからせられた、ボロボロのアゲハ。
 今にも消え入りそうな声のアゲハを、優しく抱き締める雨宮さん。
 すべては終わった。
 やるべきこと、なすべきことはすべてやった。
 守らなきゃいけない人は、しっかり守りきった。


(コイツを守ることができて

 本当によかった)



 アゲハの顔は、やりきった男の満足感と、安堵でしょうか、これまで見たこともない静かな、安らかな顔でした。
 よくやった、アゲハ。
 本当によくやったよと。
 なんかもう、泣けてくるじゃないかチクショウと。

 どんなにキツイ状況であろうとも、すべては雨宮さんの笑顔を守るためだった。
 高校で再会した時には、すでに失われてた笑顔と、壊れかけていた心を守るためだった。
 そのためにこそ、赤いテレカを電話ボックスに刺し、そしてここまで一気に駆け抜けてきたんですよね。
 ようやっと、本当にすべてやりきったんだな、アゲハ。
 よくやった。本当に良くやったと。

 あしたのジョーのように、真っ白に燃え尽きたアゲハ。
 見事な生き様、そして見事な 『最期』 でありました。
 男ならば、好きな女のためには、かくあれかしと、まさに褒め称えられるべき生き様、逝き様でした。

 でも、本当にそれでいいのだろうかと、私はあえて聞きたい。
 アゲハよ、そのままお前が死んでしまってよいのだろうかと。
 雨宮さんは、お前が死んだらきっと許さないぞと。
 雨宮さんの壊れかけた心、失われそうな記憶、二つに分裂してしまった人格を、まるっと包み込んで救えるのはお前だけじゃなかったのかと。
 ひとりぼっちで残された雨宮さんを想像すると、それはあまりにも辛くはないかと。

 そして、アゲハひとりを、自分を知るライバルだと認定した弥勒にとっても、お前は生きていてくれなくてはならない存在なのではないかと。
 帰りを待っているであろうエルモアウッドの子供達もそう。
 すべての人が、アゲハの死をノー!と言うでしょう。

 生き様は見事。
 突っ走りきったその猛烈な走りぶりは、どこの誰にも負けない輝きで、眩しいほどに真っ赤に燃え上がっておりました。
 燃えカスなんかのこりゃしない、完全燃焼で、あとには真っ白な灰だけが残るのかもしれません…………が!
 生き残ってしまったら、美しくないのかもしれませんが、でも、ここはあえて、生き残ってもらいたい!

 さぁ、次週はいよいよ大団円でしょうか。
 ぜひぜひ、ハッピーエンドとなることを祈ります。
 悲しいお別れは、したくないですよ。

 来週、病院のベッドで 「雨宮ぁ……朝からなんてハレンチなかっこしてるんだ〜い」 とか寝言言いながらパチッと目を覚まして、バチコーンと雨宮さんに殴られるアゲハを見たい!
 そしてその次のコマで、ブワッと泣き出した雨宮さんに力いっぱいギリギリと抱きつかれ、「く、苦しい…雨宮!チョークチョーク!」 とか言ってるアゲハを見たい!!
 たのむぜィアゲハ!
 今度は、雨宮さんの為に生きてくれよ!!



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