2010年07月10日

D&D4版プレイレポート クイーン・サーガ 第1章『腐怨城の幽霊』

 テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム(以下 TRPG)の元祖、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』 の最新版、第4版のダンジョンマスター(以下DM)をやってきました。
 闘技祭で出会った冒険者達が、ひょんなことから一緒に冒険を始めたこのシリーズ。セッション3回目にしてようやっと長かった序章が終了し、キャンペーンタイトルがつき、第1章に到達することができました。
 それではプレイレポートです。

■過去レポはこちら→序章序章(2)





【小見出し】
・キャラクター紹介
・シーン0-1:魔道兵防衛線
・シーン0-2:魔道師の遺志
・シーン1:人面疽の少女
・シーン2:腕を高く上げろ!
・シーン3:クサリオン城
・シーン4:異形の晩餐会
・シーン5:真夜中の襲撃者
・シーン6:決戦!
・エピローグ:六つの希望



キャラクター紹介

■ホームズX(プレイヤー:Musha)……ロングトゥース・シフターの男パラディン(半犬半人の騎士)。今キャンペーンの不幸を一身に背負うつもりかと疑うほどに、冒頭より幾度も戦いに倒れ、さらには死亡第一号。今回も何度も死線をくぐりぬけることに。戦闘面では苦労しつつも、しかしロールプレイでは主に犬方面で輝きまくり。フリー・アクションで仲間をぺろぺろ舐めてマイナー・アクションでセーブを振らせるという発言は素晴らしい犬ロールでした(笑)。

■ウィジャル(プレイヤー:Wao)……前回「ウィジャール」と表記しましたが、「ウィジャル」が正式だった模様。リングアナが伸ばして呼んで以来、それがしばらく定着していたのが原因でしょう(笑)。人間ファイター男(HFO)。押したり引いたり好きなように敵を翻弄し、なかなか面白い動きで活躍中。戦闘中、ここぞという時に仲間に指示を飛ばす司令塔の一面も垣間見えておりましたな。ホームズとふたりで、ノリのいい冒険者ツートップという印象があります。

■アルトリア(プレイヤー:OTTO)……今回初参戦。フルブレードをブンまわす人間バーバリアン(女性)。ヒットポイントこそがすべてが身上で、大ダメージをくらって回復され、まだ食らっては回復されと、ガンガン上下すると快感を覚えるというちょっと困ったマゾヒスト(クレリック激怒)。しかしその破壊力はさすが一級品。今回アルトリアの参入でマスターはかなりパーティのイメージが一新されました。フィギュアはいつでも愛用の霊体フィギュア。

■アブダム(プレイヤー:Artemis)……デーヴァの男クレリック。デーヴァというのは、天使などの本来永遠の命をもつような存在が、あえて下界に降りて定命の者となった人だそうで、ああ、ようするに「天下り」かと(笑)。しかしその肌が青いからって、グールのフィギュアを使うのはいかがなものか(笑)。プレイ中何度も敵と混乱しておりました。今回の戦闘ではあちこちで昏倒するもの続出のてんてこ舞いで、頭から血を噴きそうになっておりました。

■ベッカー・リュウ(プレイヤー:DISK)……人間の男インヴォーカー。範囲攻撃が得意で、範囲内に敵がいればいるほど破壊力を増すとかいう、ザコ処理スペシャリスト。いやもう、今回もどんだけ掃除されたことか……。そういえばそろそろみんなの信仰や教義について聞いておかねばならない時期でありますな。何か決まっているのかもしれませんが、マスターはまったく聞いておりませんでした。

■ツァイト(プレイヤー:DRR)……ドラウの女ソーサラー。地底世界に生きてきたドラウ(闇エルフ?)らしく、独特な価値観のロールプレイが異彩を放っておりました。パーティ内のアンチヒーロー的存在ってとこですかね。戦闘面ではここぞというところで効果的な援護魔法が光る……のだが、普段のダイス目は安定して驚異的低さを維持。徹底してノーコンピッチャーという印象が(笑)。まぁきっと次はバシバシ当たるはずさ!



シーン0-1:魔道兵防衛線

 まずは前回の 『序章 アリーナの邂逅』 の続きから。
 これまで参加できていなかったプレイヤー OTTO にキャラクターを作成してもらい、ちゃちゃっと完成した女バーバリアン、アルトリアがここで合流。
 当プレイグループでは、もうひとつの4版キャンペーンが先に発足しており、OTTOはそちらでもバーバリアンをやっているのですが、そちらとは男女と武器などで差別化をはかっている模様。
 しかし、一貫して 『HP 至上主義&低 AC』ノーガード戦法(笑)。
 まさにキュア・スポンジ、クレリックの敵。
 クレリックのアブダムとの関係性が今後どうなってゆくのか、今からとても楽しみだったりします(超他人事w)。

 新キャラ参加にあたって何か合流するネタでもある? 聞いたところ特にないとのことでしたので、事前に考えておいたネタを使用。
 アルトリアは闘技大会に出場しようとしてヤル気マンマンで来たのに遅刻しちゃったというアイデアを使わせていただきました。

 さて今回、この第1ダンジョンは、シナリオではあと2戦闘が用意されておりました。
 ひとつめは、ラスボス戦である、ウォーフォージドの隊長率いる魔道兵部隊との戦い。
 もうひとつが、ダンジョンに逃げ込んだ脱獄囚達との戦い。
 ただしかし、今回はセッション開始時間がちょっと押してしまったということもあり、また、後半用意していたシナリオがその性質上、途中で切るよりは最後まで一気にやってしまったほうが楽しいということもあり、脱獄囚達との戦いはカットすることにしました。
 ゲーム世界の事情としては、脱獄囚たちも2日という時間をもらったおかげで脱出することができたということだと思います。
 が、まぁこれはPCたちの落ち度というわけではなく、一度目は子供救出を優先しての撤退であり、二度目は死者が出ての撤退でしたので、不可抗力みたいなもんだと思っていただければと。
 まぁそのうち彼らとどこかでぶつかり合うこともあるかもしれませんね。

 ということで、探索面などもろもろはぶき(宝も省略。脱獄囚が持ち逃げしました)、途中次元の不安定な狭間などを飛び越えたりしてダンジョン最深部へ。
 この次元の断層はかなり不安定で、飛び越えるのにタイミングを間違えると落下しちゃったり地形に挟まれちゃったりで大ダメージな予定でした。
 <運動>判定やら<軽業>判定やら、あるいは何か道具を使ったりといろいろ小細工を楽しんでもらうために用意したのですが、瞬間移動能力など駆使して悠々越えられてしまいました。
 肉体労働階級である前衛はしっかりジャンプしてくれたんですが、後衛まで一名のぞいて楽々越えられるとは。
 その一名もダメージはかすり傷程度でしたしね〜。
 なかなかやりおる。

 そんなわけで、セッション冒頭からラスボス戦。
 これが荒れに荒れた戦いとなりました。
 広めの通路を歩いてゆくと、でっかい部屋。
 その中央に、グレイブを持った魔道機械兵士ウォーフォージドの巨体があって、その左右を鉄の番犬アイアン・ガーディアンが守るという光景。
 ここでベッカーの<受動知覚>20 が火を噴いて、部屋入り口の床にトラップの発動スイッチがしかけられていることが判明。
 次々と前衛はこの床を飛び越え、敵に接近してゆきます。
 実はこれ、マスターの設定ミス。
 本来なら受動知覚ではわからない数値で、でも自分から振ったらわかるかもしれないという微妙なバランスに設定するつもりだったのですが、まさかベッカーの受動知覚が 20 にまで到達してようとは(笑)。
 いやまぁそこまで伸ばしていたベッカーの勝利というやつですな。

 かくしてトラップは不発に終わり、戦闘は英雄達の楽勝ムードで進むのかと思ったのですが……それがまったくさにあらず!
 まずは、部屋のすみっこにある柱の陰から、奇襲役の敵、ホムンクルスのクレイ・スカウト(泥人形のガーゴイルみたいなやつです)が3匹登場。
 これがけっこうやっかいな奴らで、対反応の遠距離攻撃という非常に当たりやすい攻撃をしてきまして、しかもこれが当たると 「幻惑状態」 という状態に陥っちゃう。
 しばらくこれを無視してとりあえず中央の敵を殲滅しにかかった一行だったのですが、ここでトラップのスイッチの効果をその場で爆発でも起こるんじゃないかと読んだベッカーが、わざとスイッチの上に敵を押し込んで大実験。
 これが裏目に。DMはニヤリ。
 これで発動したのは、爆発とか電撃とかではなく、新たな敵対存在。
 部屋の奥のふたつの角に、トーチカが出現。
 かなり痛い破壊力をもったクロスボウの魔法砲台だったのでした。

 かくして、前衛にふりそそがれる、トーチカとクレイ・スカウトの砲撃雨アラレ。
 ここでヤバイと判断したか、ホームズとアルトリアが部屋の奥の砲台やクレイ・スカウト撃破に走る。
 それも、2人が二手に分かれてという大冒険!

ウィジャル:ちょ、ま!!w
ツァイト:う”ぉい! 挟んでくれないのかよ!!(爆)


 まずはウォーフォージドや鉄犬を挟んで落としにかかろうとしていたウィジャルとツァイトの悲鳴も聞かばこそ、二人の突進は止まりません。
 いやさ止まった。
 それはいわゆるダウンという形で(笑)。
 これとタイミング的に同じあたりで、ベッカーもウォーフォージド戦線でダウン。
 クレリックのアブダムは大激怒、大爆発(笑)。
 3手に別れて3箇所でダウンが出るという大ピンチに、クレリックは一人しかいないんだぞと。
 いや〜、私にはアブダムのプレイヤー Artemis の頭からピューッと血潮が噴出するのが見えてしまいましたよ(笑)。
 3版と違い、4版の敵はたとえ1レベルのコボルドであろうとも 30 点くらいのHPを持っていたりします。
 これを一撃で倒せる破壊力は、たとえ撃破役のバーバリアンでもちょっと難しいものでして、そうなってくるとやはり4版の戦法は一転集中が強いと言えると言うのが、ここまでの感触です。
 この3方向分離作戦は、ちょいとマズかったのではないかという印象ですねぇ。
 まぁ、分離するにしても、ホームズとアルトリアがセットで、2方面作戦にしておくとかだとだいぶ違った気はしますね。
 お互い経験、勉強です。
 これから楽しみながらいろいろ言いやり方を学んでいきましょう。

 そう、勉強といえばここで私、間合いのある武器グレイヴで、機会攻撃を2マス先まで出しておりました。
 これはその場で 「ちがうんじゃない?」 という指摘は受けたものの、指摘を受ける前に攻撃を出してしまっていることもあり、それが影響して死者が出そうな雰囲気でもあり、またそれが正しいのか違うのか、ルールブックをめくってすぐ解決しそうにないテーマでもあったため、その場は 「今回はとりあえず間合いのある機会攻撃はアリで」 という措置をさせていただきました。
 マスターの今回の方針は、数分で決着のつきそうにないルール談義は途中で打ち切り、その場はひとまずマスターが決定させていただく。であります(というより、私は昔からそうです。いい加減イェー)。
 もちろんちょっとルールブックをめくれば解決するような問題であれば、「お、マスターそれ違うよ」 はまったくもって助かりますのでどんどんお願いします。
 なんですけど、「いや、それは違ったような記述をどこかで見た気がするなぁ〜。ネットのQ&Fだったかも」 とかだと難しいです。
 ルールブックをペラペラめくりながら長時間そういった談義をしていたりすると、ルールブックを持っていないプレイヤーはとてもダレますし、ムードも損なわれかねず、プレイ時間も圧迫してゆきます。
 ただし、そこで出したマスターの臨時裁定はあくまで臨時のものとして、次のセッションまでにはちゃんとした答えを出しましょう。
 そうやってルールをゆっくり覚えてゆくのでよいのではないかと私は考えております。
 もしその臨時裁定で英雄達が不利益をこうむっていたことが分かった場合には(今回の場合ですねw)、なんらかの形でお応えさせていただきたいなと思っております。ま、今回はキルカナーデ・ボックス(後述)1個でいいかな?(笑)

 さて戦闘ですが、3名のダウン者を出しながらも、ダウン者が出たことでみんなのギアが一気にトップに入り、フル稼働。
 1日毎パワーなどの連続投入が決まったりして一挙に立て直しが成功。死者は出さずに済みました。
 凄いなぁ〜と思ったのは、アブダムの爆発的な回復力でしたね〜。
 3マス以内(?)の味方全員のHPを10点回復し、さらに走ってって部屋の奥で昏倒中のホームズに<応急手当>というのはまさに八面六臂でありました。
 ホームズの死亡判定は2回失敗しており、この3回失敗しちゃうと本当に死亡というギリ状況での救出劇という見事さもありましたね。
 ちなみに、この3回失敗しちゃうと死亡っていう判定をツァイトが 「2ストライク!」 とカウントしてたのには的確すぎて笑いました。
 うむ、たしかにストライクカウントだわと(笑)。
 これは定着しそうな習慣ですね〜。



シーン0-2:魔道師の遺志

 部屋の奥の大扉は、彫刻の彫りこまれた石製のもので、そこにはアイウーン(知識、技能、予言の神)の巨大な紋章。
 明けると円形の部屋で、中央には慌てて描かれたような魔法陣があり、その中で半身に切断された魔法使いの老人の死体が倒れている。
 その死体から出てきた魔法使いの幽霊が、英雄達に勝手に語り始め、勝手にアイテムを預けて勝手に使命を授け、勝手に成仏していくという無理矢理な展開です。

 仕掛けとしましては、この魔法使いのゴーストはなかば成仏しかかっており、あの世とこの世のはざまを遠ざかりつつあり、そのためかどのためかPCたちの声がまったく聞き取れないという、ウソか本当か分からないギミックですね。
 おかげでPCらのブーイングや拒否はまったくもって華麗にスルーされ、ポジティブシンキングな魔法使いに 「そうかそうか、喜んでやってくれるか」 と勝手に使命を授かるという按配。いや、もしかしてこの魔法使い、わざとやってないか?(笑)
 そんな魔法使いの名前がゾンナー・カッテナーというあたりでお察しいただければと思います。

 一応ここで出てきた情報をまとめておきましょう。

 魔道師ゾンナー・カッテナーは、魔道宰相ワルーインという者の手先が探索していた《悪魔の破片》、《悪魔の目玉》と呼ばれる黒い石(プレイヤー通称ベヘリットw)を、彼らが入手する前か後かはわからないが、その探索を阻止し、横取りした。
 それがワルーインの手に渡れば、「暗黒の時代が到来する」
 ゾンナーは石をゲットしたまではよかったが、そのせいでワルーインに《ホーム》を発見され、追い詰められてしまった。
 急遽ゾンナーは転送で逃げようとしたが、転送先すべてに罠をはられてしまう。
 完全に追い詰められたゾンナーは慌てて魔方陣を描きなおし(これが失敗)、あてもなく転送で逃げようとする。
 が、これが大失敗。
 次元の大破壊を引き起こしてしまい、あちこちの地形を巻き込んでこの村の地下にグチャグチャに繋がったダンジョンを現出させてしまった。
 そのエネルギーの中、自分もバラバラになって死亡。
 そこへ通りかかった有望な星を持つ(とゾンナーは言う)英雄達に望みを託したい。
 《悪魔の目玉》をどうかワルーインの手に渡さないで欲しい。
 安全なところに確保するか、あるいはできるものなら破壊して欲しい。
 そのために、210 日間、ワルーインの《目》から隠れることができる守りを、PCたちに付与。
 
 とまぁ、長い長い今わの際のセリフを一方的に吐き、ゾンナーは成仏していきましたとさ。
 真っ黒い石を、ホームズの手に残して。
 「報酬をくれよ! 報酬!」 と手を差し出すホームズに、「おおそうか、喜んでやってくれるか」 と黒い石を渡した時はマスター内心大笑いでありました(笑)。

 おまけとして、ここでキルカナーデ・ボックスが登場。
 これはオリジナルのマジックアイテムで、これはまぁ実際にまだ開けられてないので詳細は説明できませんが、望んだものが半々の確率で出てくるという魔法の小箱です。
 魔法のアイテムも出てくるのですが、ただし、『高望みは認めてくれぬ箱』ということなのでご注意を。
 収入の分配でどう扱うかは、プレイヤー側で決めてくださいませ。

 その後、《悪魔の目玉》の破壊を試す一行ですが、それはまったく効果なし。
 かすり傷ひとつつかず。
 ベッカーが溶岩の中に投げ入れた時は 「おお、まさかそういう行動に出るとはなぁ」 とびっくりしたものですが、おかげで黒い石が溶岩からポンと飛び出てくる不思議現象が発動。
 ベッカーは 「凄い石ってより、凄い溶岩だな」 と言ってましたが、マスターとしては 「凄いことするプレイヤーだなぁ」 でした(笑)。

 また、石には金の鎖がつけられており、首にかけられるようになっていたので誰がつけようか、つけまいかでちょっと皆が思案。
 結局、寝ている隙をみはからってホームズがアルトリアにかけてしまいました。
 これもまた、マスターとしてはちょいと驚きの挙動でしたね。
 謎のアイテムをろくに調べもせずにかける。しかも自分にかけるんじゃなく、他人にかけるって(笑)。
 今日知り合ったばかりの女性の寝室に忍び込み、怪しげな首飾りを無理矢理かけちゃうとは、おちゃめなパラディンもいたものです(笑)。

 このへんはしかし、私ももうちょっと皆さんに確認するべきだったかもですね〜。
 本当にその行動を、まわりのみんなもさせるのかい? ってね。
 そうしていたら、ちょっとは違ったのかもしれません。
 少々時間を気にして巻きで処理した弊害かもですね〜。

 ちなみに《悪魔の目玉》を首にかけた人は、顔は青ざめ、目はキョロキョロ、挙動不審になり、戦闘中は常に敵に戦術的優位を与えるというものでした。
 しかも自分からは《悪魔の目玉》を外したいとは思わなくなるというもの。
 ってことで慌ててホームズがアルトリアから取り外しておりました。
 ちなみに持っているだけではそうはなりません。

 ということで、前述の、分かっているトラップをわざと発動させちゃった事も含め、このパーティには 「しでかし屋型」 のプレイヤーが二名いることが発覚した次第でした(笑)。
 「しでかし屋型」 というのは、ダンジョン・マスターズ・ガイドに載っているプレイヤーのいくつかの類型のひとつであります。
 停滞した事態を爆発的に進展させる可能性を秘めた熱量の高いプレイヤーであり、後々まで語り草になるような伝説の名珍場面を作り出す存在なのだそうです。
 うーん、それがダブルか。怖い怖い(笑)。



シーン1:人面疽の少女

 かくしてダンジョンの謎を解き明かし、怪物もすべて排除してミッションクリア。
 村長や神殿から報酬が出て、ここでタイトルが入ります。

 
かれらは運命の神によって動かされていた。しかしかれら自身は自らが運命(さだめ)の糸の上にあることを、未だ知らなかった。
――『イロン写本』より


 遥か昔、神々の時代のこと。
 創造の女神であり、女王と呼ばれるクリモートによって、ひとつの星が作られた。
 クリモートはその星に大地を産み、山を産み、風を産み、雲を産み、海を産み、森を産み、川を産み、人を産み、獣達を産み、鳥や魚たちを産み、ありとあらゆるものを産んでいった。
 ひたすらに産み続けたクリモートはしかし、ある日突然、燃え尽きるようにその命を終えた。
 だが、創造の女神にして女王クリモートの創造は、それで終わりではなかった。
 クリモートの崩れた身体がよこたわると、遺骸は大地となり、背骨は山脈となり、血潮は湖や河となり、そうしてひとつの大陸が産まれた。
 それが、ここ、クイーン大陸。
 クイーン大陸は、この星でもっとも栄える地となった。
 この地には、数多くの英雄達の霊気が集ると言われている。
 数多(あまた)の英雄達がここで生まれ、育ち、そして死んでいった。
 これは、クイーン大陸の命運をかけた、英雄達の戦いの物語である。


『QUEEN SAGA ―クイーン・サーガ―』


 ということで、グイン・サーガパロであります(ガンダム分も若干混じってますがw)。
 まさか3話目まで突入するハメになるとは思いもしませんでしたが、ようやっとここで導入終了。
 ここからが本編、 『第一章』 であります(分かりやすくするため、今後シナリオの一本一本は 『章』 で表記し、セッション回数は 『回』 で表記します)。
 同じくグイン読者のツァイト・プレイヤーからは 「後半セリフがとんでもなく長くなるから気をつけろ」 とか冗談が飛んでたのに笑いましたが、いやいや、最初からゾンナーのセリフとか長くなっておりますよ(笑)。
 今後が楽しみですなっ! ハハハ!(遠い目)


 さて本編。
 PCらのたむろしている宿にレイナー神殿から巫女さんの使いがやってきて、仕事の依頼があるという知らせが来ます。
 神殿に向かうと、司祭長の部屋にふたりの客人。
 ひとりは、ほっそりとした17〜8の女性で、かなりやつれてゲッソリしているんだけど胸だけは異様に大きい。平民風の服を着ているが、高貴な出を思わせる気配。
 もう一人はその護衛風の無骨な男。
 聞くと、この女性(サンディと名乗る)は重い病気にかかっていて、あちこちの神殿をまわったがまったく治せなかった。
 このレイナー神殿も色々試したが結局ダメで、司祭長が言うには、もしかしたらこの国一番の魔道師だったら治し方を知っているかもしれない。
 ということで、英雄達に、その魔道師《見者》ミエールの住む山奥の塔まで連れて行って欲しいというクエストが発生しました。

 まずは詳しいことを教えてくれとあれこれ聞く英雄達。
 女性の病気というのは、いわゆる“人面疽”と言うヤツで、胸一面を覆う症状。
 片方の乳房が完全に人面……というか醜いヒキガエルのようになっていて、そこから腕が伸びてもう片方の乳房をがっしり掴んでいるように見える。
 しかもしれが微妙に動いているというグロテスクさ。

ツァイト:エリア・Bは見える?
DM:エリア・B? なんぞ?
ツァイト:いや、チク・ビーってやつで(笑)。
ウィジャル:いや、そんなん略さんでええわ〜!(笑)


 男性陣を部屋の外に除外してこれを観察したりしつつ、これまで司祭長が試してきた治療法も確認。
 まず、病気を治すキュア・ディジーズはまったく効かず。
 呪いを疑った司祭長はリムーブ・アフリクションを試してみたが、これは一時的にはよくなるものの、すぐに再発してしまうとのこと。

アブダム:よし、患者をそこに寝かせろ! 術式を開始する!

 急にここでスイッチの入ったアブダムには笑いました。
 いやまぁ、ブラック・ジャック先生が好きだったら、そして人面疽と聞いちゃったら興奮しますわなぁ(笑)。

 また、護衛するからにはそちらの事情も知りたいとかなんとかで、一行は少女らの正体も聞き出します。
 どうやら彼女は隣国リングランドの王家の血を引く傍流の貴族で、しかし先代で没落してしまって今は政界から退き、田舎でひっそりと暮らすような没落貴族の娘らしいとのこと。
 このたびめでたく結婚が決まったのだが、そんな折、人面疽が発生。
 祖父の意思で、リングランド国内で治療しては噂が立ち、家名に関わるという危惧から、名前を隠し、隣国で治療するようにと、なけなしの騎士数名をつけられこの旅に。
 ところが、老人ばかりの騎士たちは次々と道中倒れ、残ったのはたったひとり、若い従騎士のキンゲンだけ。
 そうやってあちこち苦労してまわり、ようやっとこのレイナー神殿にたどり着いたのだということ。
 ちなみに、彼女の家名も本当のファーストネームもまだ明かしてなかった筈です。
 そういったいきさつなので、英雄達としても 「サンディ」 は偽名と言う認識で構いません。

 ということで、翌日一同出発。
 ちなみにここでマスターよりカレンダーがプレイヤーに手渡され、日数の経過を管理するようお願いいたしました。
 もちろんこれは 210 日というゾンナーの守りの期限を管理するものですが、同時に、日記風にでも出来事を書いてもらって、冒険に面白みを添えようという算段でもあります。
 で、もちろんこれをこのプレイレポートに反映させようと思っていたのですが、荷物を探ってみたところこのカレンダーがない!(笑)
 もしかして、日記係のホームズが持ち帰ってしまったのかもですな。
 ちょっと残念ナリ。
 毎度不幸な目に合っているホームズだけに、どういう事を書いていたのかけっこう楽しみにしてたんですけどね〜。
 ま、次回の楽しみにしておきます。



シーン2:腕を高く上げろ!

 目指すはここ、コラー・クエンの村から北東へ5日ほどいったところにあるという緑竜山。
 まずは街道を東へ3日ほどゆき、狼河と呼ばれる河を渡り、北へ2日ほどゆけば緑竜山に入れるとのこと。
 ところが出発当初より雨が酷い。
 季節は秋から冬にはいろうかという頃合で、これがヒジョーに寒い。
 ということで、病身のサンディの病身かつ健気演出+従騎士キンゲンの忠臣演出なども加えつつ3日、一向は狼河に渡された石橋を中心に栄えるボージンの町に到着。
 ついてみるとなにやら大騒ぎ。
 それもそのはず、河はこの数日の大雨で増水し、土石流となって橋を押し流していたのでした。
 まぁ、このへんの展開は見え見えだったんじゃないでしょうか(笑)。
 河を渡る+大雨と来れば定番の展開ですからね〜。
 かくして一行は宿を取りに走ったり色々したりしている中、ホームズは橋の袂に集まった野次馬たちに混じり、迂回方法がないかどうか聞いてまわったり。
 と、その袖を引くものがいる。
 何者? と思い振り向くと、そこにはひとりのせむし男(差別的表現ですが、ファンタジー世界という時代的背景を考え使用させていただきます)。

ホームズ:お? もしかして迂回方法を知っているのか?
DM:うぇっ。うぇ〜っ(卑屈に媚びた笑いをしつつ、手を差し出し、お金をくれたら情報出すぜのしぐさ)。
ホームズ:ん〜? もっと少し高く手を上げてみろ!
一同爆笑。
DM:300 かよ!(爆)「す、すいません、これ以上上がらないですだ〜」(笑)


 などという映画 300 パロディでおおいに盛り上がっちゃったりしたわけですが、迂回路の情報を得るためなんだかんだで5gpも男に渡してしまったホームズは凄いヤツだと感心しました。デフレ気味でみんなまだ苦しいでしょうにね〜。
 えらいえらい。

 とまぁそんなわけで、ホームズは迂回路の情報をゲット。
 どうやらここまできた道を1時間ほど戻ると、そこに北に別れる旧道があるらしい。
 その昔、大帝ダラクサンドロスが軍隊を通すために作った街道で、そこを行くと大帝が作った堅牢な石橋が狼河に懸かっているとのこと。
 ただしその付近の森はとても危険らしく、そのあたりにいって帰ってこない者が多いらしい。
 怪しげな男がもたらした情報で信憑性はないのですが、ここでキンゲンに確認を取ったところ、サンディの容態は悪くなる一方なので、少しでも急ぐためにその道に賭けてみようとのこと。
 一行はボージンの町で一泊をとり、翌日その道をゆくことにしたのでした。



シーン3:クサリオン城

 翌日もひたすら雨。
 そんななかを一日山道を登ってゆきます。
 夕刻ごろ、天気は嵐になってきて、雷が閃き、雨は土砂降り。
 そんななか、サンディが発熱して落馬してしまいます。
 慌てて助け起こしたキンゲンは、サンディが高熱を出していることに気づきます。
 これはいかんということで、どうにか雨宿りできる場所を探してくれないかとキンゲン。
 誰かテントを買ってないかなとマスターとしては思っていたのですが、誰も買ってなかったのが「幸いでした」。
 ま、買っていたとしてもそれは安物の中古品で、穴だらけで使い物になりませんでしたというオチを考えていたんですけどね(笑)。
 そういうのはちょっと強引すぎるので、あんまり使いたくないんですよね〜。

 かくしてあたりを探索したウィジャルから、近くに古城を発見の報。
 そういえばそんな城があるという噂も聞いたぞとか言いつつ、古城に接近すると、なにやら始まるオドロオドロ演出。
 BGMをグイン・サーガ・イメージアルバムの 『イリスの石』 に変更し、マスターとしても語り口を切り替えます。
 そこは見るからにお化け屋敷じみた廃墟のお城。
 ところが近づいてゆくと、一階部分に明かりがついている。
 雷が閃き、城を照らす。
 すると、尖塔のてっぺんの小さな窓に、人影が映し出される。
 それは目のところに包帯をした、ひとりの老人。
 老人はしかし明らかに目が見えているようにこちらを見下ろし、その歯のない洞窟のような口で大きく笑う。
 だが、次に雷が閃いた時、その窓のなかに人影は無かった……。

 とまぁそんな感じでしたね。
 実は、今回のシナリオのここまでのシーンは、以前別のキャンペーンで使用した展開の、ほとんどコピペだったのです。
 準備時間がほとんどなかったのでやった苦肉の策だったのですが、まぁ、ただそのままやるのでは面白くないし、その時の参加者はつまらなくなるだろうと思い、逆にそのプレイヤーをひっかけるような仕掛けにしてやろうと、そう考えてここからまったく違う展開を用意したのですね〜。
 ところが、あとで聞いてみたらまったく気づかなかったよと、その二人に言われたのには思いっきりズッコケました(笑)。
 ぬーん、せつねぇぜ(笑)。

 そんなわけで、雨に降られるより多少あやしげでも剣と魔法の効く敵のほうがなんぼも楽だろうとかなんとか言いながら正面の大扉を開くと、あらわれたのは執事風の老人。
 執事は 「これはこれは大変でしたな」 とか言って中に通そうとしますが、ツァイトはしっかりと泊めてもらう対価を確認。
 「伯爵様のご無柳をお慰めするため、晩餐に陪席いただき、冒険譚などご披露いただければ」 と執事が言い、それに納得した一行は泊めてもらう事に。
 ところが、しばらくここでお待ちくださいと言われたっきり、入り口のホールになかば閉じ込められ、一時間ほど放置される一行。
 DMとしては、誰かここで動き出すかな? と思ったのですが、誰も動きませんでしたね。
 あきらかに妖しい相手ですが、不用意に動いて相手方を刺激するまではないと判断したのかな?

 一時間後現れた執事に案内されつつ、会食場所の大広間に行く前にびしょびしょの服を着替えるようにと言われる一行。
 ここでのメインイベントは、サンディとキンゲンの印象の違いを演出することでした。
 貴族の服に着替えたサンディはいかにもといった感じでピッタリ似合っているのですが、キンゲンはどうにも似合わない、庶民丸出しという印象。
 キンゲンも貴族の出だろうと思っていたプレイヤーにはちょっと意外だったのではないでしょうか。
 今回は、NPCの個性や存在感を、ストーリーに絡めつついかに押し出してゆけるかというところにチャレンジしてみました。そんなシーンのひとつですね。

 また、この着替えのシーンでは数名が隠れて自前の食事を取っていた様子。
 「伯爵様との晩餐会」 というものに皆かなり戦々恐々としていたようです。
 まぁ、このお化け屋敷シチュではそうですよね(笑)。



シーン4:異形の晩餐会

 ということで、こういうシナリオでは定番とも言えるのではないかってな感じの、おどろおどろしい晩餐会がスタート。
 ところせましと料理やきらびやかな燭台が並べられた長テーブルに全員がつき、待っていると現れる伯爵様。
 車椅子に座り、黒ローブを着てフードを深々と下ろし、顔をベールで隠した見るからに怪しい老人で、枯れ木のような手をふって挨拶。声は出ない。
 車椅子を押していた女性がその口元に耳を寄せ、かわりに挨拶をします。
 この老人がクサリオン伯爵で、その介護をするのが伯爵の自称“妻”であるグローラ。
 グローラは妖艶な美女で、豊満なスタイルと白い肌が実に蠱惑的だが、年齢不詳の不気味さがある。とまぁそんな感じ。
 プレイヤーの一部はあきらかに吸血鬼を警戒したようです(笑)。

 ここで、イベントとしては三種類の食べ物、「肉料理」「スープ」「ワイン」 のどれを食べ、どれを食べないかを決めてもらいました。
 ドロウの文化としてこういうものはいただけないのだと断るツァイトが面白かったですが、けっこうみんな食べてくれましたね。
 ほぼノータイムで 「全部食う」 と言ってのけたウィジャルは本当の英雄だと思います(笑)。

 食事のさなか、ちょいと事件。
 伯爵の膝になにかがボトリと落ち、グローラがそれをサッとナプキンで包みました。
 目ざといアブダムとベッカーは、それがまぎれもなく伯爵の鼻だったことを目撃しちゃったりもしましたが、晩餐は特にこともなく終了。
 んまぁ、鼻が落ちるだけで充分ホラーな気もしますが、ホラーの緊張感というものは決定的な瞬間をひきのばし、焦らすのが極意であると考えております(笑)。



シーン5:真夜中の襲撃者

 食事も終え、離れに案内される一行。
 離れは城の裏手にあるということで、手渡された外套をまとって雨の庭をちょっと小走りに離れ(3階建てくらいの小塔)に向かう。
 すると、荒れ果てて雑草ぼうぼうの庭の奥から、いくつもの視線がキラーン。

アブダム:犬かな?
DM:そうだね、たくさんの犬のシルエットが見えるね。「防犯のため、番犬を飼っておるのです」と執事が言うよ。
ホームズ:この飼いども犬め! 本当の犬といものを見せてやる! 離れの壁にマーキングします(笑)。
ウィジャル:アホか!(笑)
ツァイト:そのマーキングはやめろ!www
DM:そこまで犬プレイせんでも!www


 いや〜、徹底した犬ロール。
 感服つかまつりまする(笑)。

 さて、3階の二部屋を割り当てられた一行。
 執事は狭いほうを女性3名で使い、広いほうを残りの男性でお使いくださいといいますが、一行は執事のいなくなったあとで作戦会議。
 とりあえず一部屋に全員あつまるとして、誰がどこで見張りをするか、どのベッドを誰が使うかで話し合います。
 ここでまず、DMから先程の食事の結果を発表。
 「スープ」 と 「ワイン」 に眠り薬が入っていて、回復力を1回消費しないと深い眠りに落ちてしまうというトラップでした。
 肉はただの腐った肉で、胡椒や調味料をふんだんに使って味を誤魔化していたシロモノだったわけですが、ツァイトのプレイヤーである DRR のレポを見てみるともっと恐ろしい事実が隠されていた可能性もあるのかもしれません。
 いやいや、世の中には知らなくってよいことというものもあるのでしょう(笑)。

 かくして全員強制睡眠だけは避けつつ、扉にしっかり鍵をかけ、窓にも注意しつつ、数名の不寝番をおいて休息に入ります。
 その夜中、はい、お待ち兼ねの事件です。

 一行が使わなかった女性用の小部屋で、ガタン、と音が。
 しばらくすると、扉がギギーッと開き、さらに廊下をズルリ、ズルリと歩く音……。
 その足音は、次第にこちら側の部屋の前に近づいてきて、そして扉の前でピタリと止まります。
 扉には小さいのぞき窓があるのですが、そこに現れる、この世のものとは思えない、青白い不気味な顔。
 白濁した目がぎょろり、ぎょろりと部屋の中を見回し、しばらくじーっとしていたかと思うと、ズズズ……と去っていきます。
 ええ、去っていってしまいました(笑)。
 ちょっと拍子抜けでしたか?
 正体はワイト。
 まぁ、本来はどちらか少ないほうを襲って、あわよくばサンディでも掻っ攫おうと思っていたのですが、そしてワイトは攻撃を命中させると3マスもシフトできるなかなかそういう役にはうってつけの能力もちだったのですが、ひとかたまりになられるとさすがに無理ですね〜。
 まぁいいのです。
 メインイベントはこれではないのです。

 脅威が去り、ちょっと一息な感じなところで、ついにメインイベントが発生。
 部屋のあちこちの隠し扉が開き、次々とゾンビが出現。
 さらに床下からスルスルッとゴースト(最前みかけた目を包帯で覆った老人)が現れ、一行に迫るアンデッドたち。

DM:その手が振り上げられ、襲い掛かろうとする……その姿勢からのぉ……土下座ぁあ!!
一同:はぁああああ!?
ゴースト:『冒険者の皆様! お願いがございます! わたくしどもの願いを聞いてくだされ! 後生でございます! ってもう死んでるんですけども〜!』
ホームズ:イッツ・スカルジョーク!!(笑)
ウィジャル:ブルックさんかよ!!


 はい、というわけで、実はなんとこれが今回のシナリオの依頼人。
 主要クエストの発生です。
 サンディたちの依頼は次回に繋がるフックでありまして、次回はメインクエストとなるのですが今回は副次クエスト扱いとなりました。

 クエスト内容は、魔女退治。
 実はこの老人のゴーストこそがクサリオン城城主、クサリオン伯爵そのひと。
 伯爵は 500 年ほど前、大帝ダラクサンドロスに援軍を派遣する約定を結んでおきながら、それを臆病さから約定を破ってしまい、その罪を重荷として戦後自殺を図ろうとした。
 ところがどういうことか死ぬことができず、一緒に自決しようとした城の兵士たちもろともアンデッドとして蘇ってしまった。
 後にとある魔道師から聞いたところによると、この呪いはとある《希望》にとある《鍵》を渡すことで解くことができるとのこと。
 伯爵たちはその《希望》がやってくるまで、永遠の年月をただひたすら静かにこの城で待ち続けていたのだそうだ。
 ところが、そこにやってきたのが先程晩餐で会った女、魔女グローラ・グロテスラ
 グローラは“デス・マスターの術”とやらで彼らの同胞を支配し、あやつり、自らの軍団としてしまった。
 さらに近隣を通りかかる人々を騙して捕らえては陰惨な実験に興じているらしい。
 グローラを倒し、自分達を支配から解き放って欲しいというのがクサリオン伯爵のゴーストのお願いでした。
 グローラを倒してくれれば、自分達はまた静かに《希望》を待つ生活に戻れるでしょうと。
 報酬は、とある《鍵》以外の、城にある財宝すべて。
 金欠パーティとしてはここで士気が上がります(笑)。

 DMとしては、アンデッドからの依頼を受けるのかどうかの問答が始まると思っていたのですが、このへんで会場の残り時間が2時間となっていたこともあり、すんなり依頼は受け入れられました。
 「殺られるまえに、殺れ!」 というホームズの名言も効きましたね(笑)。
 たしかに病人をかかえたまま嵐の中に飛び出るわけにも行かず、かといってその部屋で朝まで待つとしても、その部屋が安全とはとうてい思えないわけで。
 まぁ、一応元来の依頼人であるキンゲン(サンディは発熱+スープのダブルパンチでこん睡状態)に聞き、この状態では部屋にいるのも危険すぎるだろうから、ともかくそいつを倒してしまおうという許可はゲット。
 またNPC二人は目の届かないところにいるより、PCの近くにいてもらったほうが絶対安心だということで、キンゲンにはサンディを背負っていてもらうことになりました。
 このへんはDMとしても想定内で、キンゲンにはサンディが受けたダメージを代わりに受けるようなパワーを持たせていたりしまして、たいていのことは大丈夫と考えております。

 ちなみに、アンデッドからの依頼を基本的に善である英雄達が受けていいのだろうかという疑問はあるかと思います。
 D&D 3.5 版では、ゴーストはともかくゾンビなどは存在するだけで悪、な印象がありましたからね。
 属性は 「常に中立にして悪」 でしたし。
 悪即斬でクレリックに滅却されるような感じでした。
 ところが今回は、ゴーストの属性が 「さまざま」 であることは昔ながらなのですが、ゾンビは 「無属性」 となっているんですね。 
 このあたりを見て思いついた今回のエピソードだったりします。
 まぁ、DD世界的にこれが適切なのかどうかは、議論の余地のあるところだとは思いますが。



シーン6:決戦!

 かくしてバトルモード開始。
 BGM をスリーピー・ホロウに変え、ホラーはホラーでも血湧き肉踊る系演出にギアチェンジ。
 まずは中庭でのゾンビ犬との戦闘。
 ここはマスターが想定していた以上に楽勝ムードで突破されたのですが、それもそのはず、隠れていた本命ゾンビを1体出し忘れておりました(笑)。
 いやまぁ、ここまでずっとなにがしかの敵が隠れているパターンが続いていたので、結果としては変化が出てよかったんですかね。
 しかし、今回べつにそういう意図があってやってるわけじゃないんですが、敵を編成していると必ずと言っていいほど奇襲役がどこかに隠れるっていう構成になるんですよね〜。
 これは4版がそういうゲームだからなのか、それとも私がチョイスした敵が偶然そういう傾向だったというだけなんでしょうか。
 あんまり奇襲作戦ばっかりだと、それはそれで飽きちゃいますよね。
 ここまではルールに素直にやってきましたが、まぁそろそろ戦闘のバランシングにも慣れてきた気がしますし、次回からはもっと変化をつけて行きたいなと思っております。

 次なる戦闘は、本来は城内大広間での執事ゴーストとの対決でした。
 執事の正体は、生きている老人の身体にゴーストが憑依したもの。
 グローラに支配されたアンデッド兵ではありますが、見た目はちゃんとした人間ですからあまり怪しまれずにけっこう自由に動けるという、マスターとしては便利な存在だったのですね。
 実際“憑依”能力は高レベルのゴーストしかもっていないのですが、そのあたりはマスターの都合というやつで、低レベルのゴーストのいくつかの能力を抜く代わりとしてつけさせていただきました。ま、グローラ・オリジナル・モデルということでご勘弁を(笑)。
 しかし、この戦いも時間の関係で割愛。
 非実体との初戦闘をちょっと楽しみにしていたのですが、まぁ、近いうちに試す機会もあることでしょう。

 城の奥では、伯爵の車椅子を発見。
 伯爵の身体はミイラでできた作り物で、車椅子の後ろにあるレバーをいじると腕や指がギクシャク動くというものでした。
 目の穴からムカデが出てきてカサカサカサ〜、なんてね。
 そんな演出がしたくて出したギミックでありました。

 そして本日のラスト戦闘。
 場所は城の地下の、魔女グローラの実験場。
 広い部屋にうずたかく積み上げられた死体の山。
 テーブルの上には、針で止められた昆虫のように一体の死体が釘付けにされていて、今まさにその身体が解剖真っ最中。
 グローラが老婆っぽい声で笑い、さぁ今夜は粋のいい獲物が入ったねぇ〜。楽しみだねぇ〜なんて言っている。
 そんなところに英雄達突入。
 グローラのグロテスクな口上などを聞いてから、決戦開始です。

 いや〜ここはなかなか見事な戦いでありました。
 まず、用意してあったのは、20 体のスケルトンフィギュア

skl_0002.JPG

 こちらは WARHAMMER というミニチュアウォーゲームで使用する軍隊フィギュアで、私が手塩にかけて作り上げ、丁寧にペイントした宝物であります(笑)。
 これをズラリと並べて雑魚スケルトンの群れとし、さらにガチガチに鎧を着たスケルトンの兵士役2体、およびワイトを1体(さきほど窓から覗き込んだヤツですね)。
 これに魔女グローラを加え、総勢 24 体との壮大なバトルと相成りました。

 しかし英雄達もさるもの。
 雑魚掃討を得意とする後衛陣の威力が発揮され、見る見る一掃されてゆくスケルトンたち。
 嗚呼、せっかく並べたのに(涙)。

 ところがさすがに魔女グローラの破壊力はたいしたもので、オーラによる毎ラウンドダメージなども駆使しつつ英雄達をかなり痛めつけ、数名の重傷者を出し、さらにウィジャルをあと一歩のところまで追い込みました。
 が、そこで限界、ジ・エンド。
 
グローラ:「あたしはグローラ・グロテスラだぁ! あたしは永遠に美しくぅ……」

 などと最期の言葉を残しつつ、ぐずぐずと崩れて土くれのようなものになってしまいました。



エピローグ:六つの希望

 かくして魔女グローラの支配から、アンデッドたちを解放した一行。
 グローラがためこんでいた宝をゲットしていると、そこにクサリオン伯爵のゴーストや、さっき倒したスケルトンたちが出現。
 20 体の雑魚スケルトンと 2 体の兵士スケルトンが二手に別れ、サッカーを始めて喜びを分かち合う――なんてな今でしかできないネタをやりつつ、物語の〆に入ります。

 グローラの宝のなかにあった、不思議な鍵を伯爵に見せる一行。

伯爵:「おお! 間違いない! それですじゃ! その鍵を《希望》に手渡すべく、われらは永遠の命の使命を授けられたのでございます。魔道師の予言はこうでございました。《希望とは、6つの光》《6つの光が【黒き悪魔の眼球】を持ち来たりし時、その星達に【星辰の鍵】を渡すべし。その時はじめてそなたらは安らい、天に召されることになるであろう》と。我らはその《希望の光》を待つべく、ふたたび静かに、この城にていついつまでも待つ日々に入るといたしましょう」

 この予言に顔を見合わせる一行。
 人数あわせのため、ススッと階段から姿を消すツァイトには笑いました。
 ああ、たしかにキンゲンたちを合わせると6人にはなりませんでしたね(笑)。

 ここでホームズが、もしかしてそれってこれのこと? と伯爵に《悪魔の目玉》を見せ、伯爵大歓喜。
 伯爵は星辰の鍵をホームズに手渡し、これをお持ちくださいと、これがどうお役に立つかは存じ上げませんが、きっと皆様のお役に立つことでしょうと伝え、成仏してゆきます。
 
伯爵:「皆様に幸あらん事を! 旅のご無事をお祈りしておりますぞ! ああ、光が見える……。おお、友よ! ダラクサンドロスよ……。わしを許してくれるのか……」

 光の粒子となって消えてゆく伯爵、スケルトンたち、ゾンビたち。
 こうして一つの城の呪いは解かれたのでした。
 夜が明けると、ウソのようにカラリと晴れた快晴。
 城は陰鬱な気配を綺麗に払拭し、ひなびてはいるが明るくさっぱりとした古城という風情となっておりました。

ツァイト:つまり、今回私らは城一個ゲットしたってことだな!
ホームズ:ヤッターッ!

DM:(ぬ、それはまったく考えてなかった……。ま、いっかw)




 ということで、第一章がようやっとこれにて終了。
 いや〜、なんかここまで長かった〜(笑)。

 ともあれ、私のひさびさのファンタジー・キャンペーンのスタートです。
 予定としては、行けるトコまで続けたい、ともかく長く、が目標です。
 ま、ひとまずの終わりの形というのは、定期的に考えてはいますが、
 そこでまだまだ続けられそうなら、終わらず、どんどん先へ、という形で行きたいなと。
 まぁでもとりあえず、まずはベヘリットこと《悪魔の目玉》の処分ですね。
 ともかくその流れのネタで 12 レベルくらいまで行くのが第一部であり、もしいけそうならそこから先にも行けたらなと、考えております。
 まぁ、こればっかりはやってみないとなんとも言えませんが。

 さてさて、かくして始まった奇想天外なる英雄譚クイーン・サーガ。
 彼らのゆくてには、一体どのような運命が待ち受けているのでありましょうか。
 乞うご期待!


(つづく)




■プレイヤーからのプレイレポート
ツァイト(DRR):Queen Saga #1: Haunted Keep at The Riverside / 烏賊学研究所・二号館



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