ジャンプ感想別室 PSYREN‐サイレン‐ CALL.119 “報い”: 少年、グリグリメガネを拾う

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2010年05月27日

ジャンプ感想別室 PSYREN‐サイレン‐ CALL.119 “報い”

　サイレン、週刊少年ジャンプ2010年25号収録分の感想です。

■ジャンプ本誌感想はこちら→前編、後編

【コミック派ネタバレ注意！】

　ジャンプではちょうど戦闘のインターバル中の作品が多い中、絶好調バトル中のサイレン。
　バトル描写も磨きがかかってきて非常に面白いのですが、しかしこの掲載順はよろしくないですな～。
　アンケート送るしかないですな。

感想小タイトル
■弱者のパラダイム
■爆発と粉塵
■イアン式ライズ
■新しいカブト

■弱者のパラダイム

　ヨヨの能力が判明！

　名づけて、「弱者（チキンソウル）のパラダイム」！！

　先週あれこれと妄想を働かせ、コメント欄でもにぎわったこの謎ですが、大方の予想通りと言っていいのではないでしょうか。
　“脅威（メナス）”の幻視（ヴィジョンズ）によって見える危険なオーラを、ヨヨは腕でつかみ、操ってしまうことができると。
　いやいやこれは面白い。
　考え出したら眠れなくなっちゃう系の不思議な能力なんですが、シンプルに絵で表してくれることで直感的に理解できちゃいます。

　要するに、結果に干渉することで原因を操ってしまう、因果の逆転なんでしょうね。
　たとえとしてシンプルな算数を使います。
　２＋３＝５という式で、２＋３を原因とすれば、５は結果となります。
　現実世界では、先に原因があって、あとから結果が出てくる。
　２＋３が、５を作り出すわけですね。
　ここで、カブトを２として、敵のアッシュを３とします。
　２＋３の結果として、出てくる５というのは、カブトの死ですね（ヨヨさえいなければの話です）。
　しかし、カブトにはメナスの力で、２＋３という現実を見た瞬間、一瞬後に訪れる、５、つまり自分の死が見えてしまう。
　そこでヨヨは、計算前に５を掴みとり、放り投げちゃうんですね。
　すると、放り投げられた５につられ、なぜか３までぶっ飛んで行っちゃうと。
　はい、今の計算なしねって。
　あるいは、５を掴んでマイナス１に変えちゃってるのかもしれません。
　そうすることで、計算式が逆算され、＋３が－３に変化し、ダメージは敵自身にリバースしちゃうと。
　５という結果をいじることで、２＋３という原因が変化してしまう。
　原因と結果という黄金の法則を、逆転させてしまうわけですね。

　なるほど、たしかし弱者のパラダイム。
　強者のパラダイムによって出来ている世の中を、弱者視点から逆転させてしまおうという、まさに劇的なパラダイムシフトであるわけですね～。
　いや、パラダイムシフトとか、私もよく意味わかってないんですが、たぶんそんな感じなのかなぁ～とわかってるフリして言ってみました（笑）。
　
　いやいや、これはしかし面白い。
　バトルものとして、めちゃくちゃつえ～って惚れ惚れしちゃいます。
　また、同時にとてもSF的な能力でもあるんじゃないかなぁと。
　時間を扱うサイレンという物語にもピッタリって思います。
　因果律を逆転化するこの能力。
　もしかしたら今後かなりストーリーのキーとなってくる可能性はないでしょうか。
　おおいにありうると私は思っちゃいました。
　いやいや、ほんと面白いなサイレンは。

■爆発と粉塵

　そしてさらに、今回は敵のアッシュもしっかり考えてて面白かった。
　事前にちゃんとドルキさんから情報を得て、ヴィジョンズ能力者がいることは把握していていたんですね。
　爆風を起こし、絶えず起こる爆発と粉塵によって視界を奪えば、数秒の読みしかできないヴィジョンズは手も足も出なくなるだろうと。
　うむ確かに。
　これは一本とられたと思いましたわ。
　ちょっと考えることは苦手そうなノリのキャラなのに、状況を考えて、しっかり最善の手を打ってくるじゃないですか。
　力押しで来るだけじゃない。ちゃんと敵さんも考えてるなぁ～と、ワクワクしてくるものがありました。
　頑張ってる敵というのは、それはそれで好きなんですよね（笑）。
　余裕ぶってる敵を倒すだけじゃ、やっぱり面白くないですし、何も考えてない敵を圧倒するだけでは、やっぱりカタルシスが足りなくなりがちです。
　敵は敵なりに最善をつくしているのを、それを主人公サイドがそれ以上の手を編み出して上回るからこそ、大きなカタルシスが生まれるんじゃないですかね。
　まぁ、最近のゴンさんはさらに別次元のナニカになっちゃってますが（笑）。
　

■イアン式ライズ

　そして、カブトの新技は“弱者のパラダイム”だけじゃなかった！
　周りの爆発から脅威を集め、作り出した結晶体。
　おおお、敵の力を利用しまくりか！
　まるでナルトの螺旋丸みたいなそれを、今度はカブトは武器として使ってしまうと！

　ここで役に立つのが、イアンから直伝された、イアン式ライズ。

　それは、「相手の生命波動を感知する」こと。「エネルギーの循環操作」。
　相手の呼吸・脈動・生命の律動に同調させること。

　おお、そういえば、それと似たようなことをイアンはヴァンにも言ってましたね。
　そうか、あれはこの伏線だったのか。
　そして、今度はそれが、生命波動のソナーとなって、カブトにアッシュの位置を知らせる。
　位置だけでなく、アッシュの呼吸・脈動・生命の波動……を知らせ、呼吸に合わせた動きで一気にカブトを敵の内懐に潜り込ませる！

「やらなきゃなんねぇ時もあるんだって…！！」

　かっちょいいなカブト！！
　ドン！と注入。
　それは、アッシュが作り出した脅威の結晶体。
　一瞬後には、オーラが炎のように燃え上がり、脅威の原因である無数の爆弾トランプがUターン。
　因果応報。
　大爆発。
　いや～痛快！
　強いぞこの能力（笑）。
　カブト、一気に猛者中の猛者になりましたな～。
　ヨヨが操作できるスピードや範囲、数には制限があると思いますから、決して万能ではないとは思いますが、かなりの範囲に対応できそうな能力だと思います。
　これまでサイレンゲームの仲間の中では飛びぬけたお荷物キャラだったカブトが、一気にスタメン選手どころか、クリーンナップ入りって感じですね～。
　イルミナスフォージ化した朧や、アゲハの暴王（PSIを吸収破壊する暴王と、PSIによって未来の脅威を取り除くヨヨは、まさに「矛盾」の諺ではないでしょうか）とぶつかったらどうなるのかよくわかりませんが、間違いなくヒリューくんは抜いたでしょう（笑）。　
　まぁ、イアン式ライズがどこまで通用するかという点には問題がありそうですね。
　たとえ相手の呼吸を読めたとしても、たぶん、影虎さんとか祭先生クラスには通用しない気がします。
　そのあたりの制限もしっかりしつつの、このスゴイ能力。
　いや～面白い。
　強烈な強さをみせつけながらも、バランスブレイカーとなるほどには強すぎず、しかもなにより見ていて面白い。
　オリジナリティのある能力ですし、さらにちゃんとサイレンの世界とマッチしている。
　うーむ、岩代先生、また腕を上げられましたなぁ～。

■新しいカブト

　また、カブトの述懐も興味深いものがありました。
　カブト、実はいじめられっこだったのですね。
　だから、いつも逃げることばかり考えていた。
　いや、カブトのことですから、殴られたりするのには、それなりの事もしでかしちゃってたんじゃないかとは思うのですが（笑）。
　まぁでも、そういう痛々しい過去があって、今のカブトがあるのだなぁと思うと、今週の勝利はちょっと感慨深いものがありました。
　暴力は、やっぱり嫌いなんでしょうね。
　だから、最初は警告を発した。
　それがカブト流なんでしょう。
　でも、やらなきゃいけないときはある。
　その時は、しょうがないからやるけど、でもあんまり気持ちのいいものじゃないよなと。
　うーん、カブトはやっぱ優しいヤツなんですね。
　普段の軽薄な言動からはそうとはなかなかわからないヤツなんですが、とても感受性が豊かで、人の痛みが分かってしまえる。
　なかなか、魅力的なヤツじゃないですか。

■ジャンプ本誌感想はこちら→前編、後編

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