スティール・ボール・ラン感想 #58 女神の嫉妬: 少年、グリグリメガネを拾う

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2010年05月23日

スティール・ボール・ラン感想 #58 女神の嫉妬

　ウルトラジャンプ2010年6月号掲載。
　ジョジョの奇妙な冒険 Part7　SBR #58 女神の嫉妬　の感想です。
　先月に引き続き 『岸辺露伴ルーヴルへ行く』 との同時掲載。

【ネタバレ注意！】

　ふたたびの交錯！
　左半面と同じく、右半面も急激に老いて行くヴァレンタイン大統領。
　これまでのイケメン大統領は完全に消え去り、本質の底知れぬ貪欲さ、醜さがそのまま表れたかのような醜怪な姿です。
　そうですね、ヴァレンタイン大統領にはこの姿のほうがしっくり来る。
　むしろこちらのほうが本来の姿なのではないかとすら思えてきます。

　しかし、ジャイロの様子がおかしい。
　なんと、胸をザックリ切り裂かれているジャイロ。
　作戦は全てうまく行っていた。
　馬の力を手に入れた鉄球の回転は、無限回転と化して人知を超えた力となって大統領を襲ったはずだった。
　しかし、なんという皮肉か。
　ルーシーを馬に乗せていたからこそ、その光のヒビから大統領を発見できて、攻撃できたはずなのに、ルーシーを乗せていたから、その光の亀裂によって鉄球が少しだけ削られ、回転は完璧ではなくなっていたと。
　なんとも皮肉な結果ですね～。

　大地にどうと倒れるジャイロ。
　ジョニィの脳裏を駆け抜ける、これまで一緒に大陸を走ってきた記憶。
　切ねぇ～。
　ひとコマひとコマに、強烈な戦いの記憶と、懐かしさがこみ上げてきます。

　そしてジャイロが、愛馬の後ろに女性を乗せないのは、「女神」が嫉妬するからだという場面が。
　なるほど、ということは今回の結果は、皮肉な女神の嫉妬だったと。
　ネットにはじかれたボールの行方は、どちらに行くかはわからない。
　でも、そんなときに女神さえいてくれれば、どちらへ行ってくれたとしても納得は行く。
　ジャイロは以前言ってましたね。
　何より納得が大切なのだと。
　今、女神が嫉妬でそっぽを向き、ジャイロは皮肉な結果を掴まされることになってしまった。
　納得などとは程遠い、なんと残酷な運命であることか。

　ですが、ここで気になるのはジャイロの、今回冒頭のあのセリフ。

「ジョニィ！　『LESSON5』だ

　…そう…確か次は『LESSON5』だ

　オレはこのSBRレースでいつも

　最短の近道を試みたが

　『一番の近道は遠回りだった』

　『遠回りこそが俺の最短の道だった』

　この大陸を渡ってくる間ずっとそうだった

　そして　おまえがいたから

　その道を渡ってこれた」

　この、まるでこれまでの感謝とともに、別れを告げ、後は任せたと言っている様にすら聞こえるセリフ。
　しかしまた同時に、これはジャイロがジョニィに向けて示した、何らかのメッセージなのではないかと。
　『近道』とは何なのか。
　『遠回り』とは何なのか。
　ジャイロには次の一投は失敗に終わり、自分の死が分かっていたのではないでしょうか。
　そして、その死という 『遠回り』 が、実は最終的な勝利へ最も近い 『近道』 であると。そういう風に何かが見えていたのではないかと。
　そして何か、大統領に勝つ方法を見つけ、残して言ってくれたのではないかと……。
　そう思わずにいられません。
　あるいは、本当は死んでおらず、なんらかの逆転の手を打っている……とか……？
　いや、単にこのジャイロの 『死』 が無駄であって欲しくないと思う心がそう思わせているだけなのかもしれませんが。
　うーん、ともかく……なんともショッキングであります。

　さぁしかし、いよいよ本当に盛り上がってまいりました。
　まさに最終クライマックス。　
　次号、ジョニィの運命やいかに！

■外部リンク
SBR感想　#59 女神の嫉妬（＠JOJO）

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