荒木飛呂彦×ルーヴル美術館共同プロジェクト作品 『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の中編の感想です。
荒木先生がルーヴル美術館の企画展のために描き下ろした、123ページにもわたるフルカラー漫画を、3回に分け、ついに日本公開!
あの岸辺露伴が、ルーヴル美術館に赴き、世界で最も“黒い絵”に出会う!
そこで、露伴が遭遇した恐るべき事態とは!
特別企画のルーヴル美術館共同プロジェクト、第2話となる今回は、謎の絵画を追ってルーヴルまで来た岸辺露伴が、“使われていないはずの地下倉庫”に案内され、そこで起こる恐るべき怪異と遭遇するまで。
ミステリアスな倉庫への道程、そしてくだんの絵が所蔵されている倉庫でついに始まる怪異事件など、展開としてはオーソドックスながら、綿密な取材によって裏付けられたリアリティが独特な雰囲気、重みを生み出していてドキドキ感をさそいます。
普段は人でいっぱいのルーヴルの表の顔とはうってかわった闇の世界。
建造は200年前のナポレオンの時代までさかのぼるという歴史の重み。
無骨な造りで狭苦しい、迷路のような地下通路に、そういった重さがじんわりと折り重なって、岸辺露伴を闇の底に誘い込むかのようです。
今回、漫画のうしろについているレポート記事 「フランス取材記 荒木飛呂彦ルーヴルへ行く」 で語られているように、ひとつひとつの細かいポイントがすべて取材の再現でもあるんですね。
実はルーヴルには消防士が2名常駐していて、荒木先生が取材したときにもその2人が同行したと。
岸辺露伴に同行したメンバーは、実際荒木先生が取材した時と同じようなメンバー構成だったりするのでしょう。
ひょっとすると、キャラクターデザインも本人に似せられているのかもしれません(笑)。
地下へ潜ってゆく行程も、ひとつひとつの描写がとてもリアル。
ガランとした館内にひびく、警備員の鍵束のジャラジャラ言う音。
狭苦しくシンプルな構造のエレベーター。
小型のカートで移動する通路。
頑丈で重そうな鉄扉。
配管がはりめぐらされて、じっとりとしめってそうな古い地下道。
そして、いつの時代のものだか、とっても古そうな狭い螺旋階段。
そういう長い過程がすごく臨場感あふれているんですが、またそれと同時に、それがすべて荒木先生が実際に見た、触れたものなんだろうな〜と思うと、荒木先生のその様子を想像したりもして、二重の意味でワクワクしてくるものがあるんですね〜。
そして、ついにみつけた山村仁左右衛門の絵 『月下』 。
当然なにも起こらないワケもなく、次々と始まる怪現象。
消防士のひとりが頭を吹き飛ばされ、さらに天井まで叩きつけられ(このあたり、フルカラーで描かれた原稿を白黒に落としているのでちょっと見難かったので、ぜひ単行本収録の際に見直したいところ)。
さらに美術館責任者の男性は、まるで車に轢かれたようなタイヤ痕を体にメリこませてグシャグシャに。
物陰からは、そこにいないはずの人影がたっくさん登場。
いったいぜんたい、なにが始まろうとしているのでしょうか、というところで次回へ続く。
こんなとんでもない怪現象を引き起こす絵とは、いったいどういう絵なんでしょう。
それ自体が意志を持つ、アトム・ハート・ファーザーみたいなスタンドなんですかね。
ああでも今回はルーヴル美術館へ展示する企画ということもありますし、スタンドの概念を知らない人でも読める形になってるはずですね。
これまでの岸辺露伴ものの短編も、スタンドとは説明されてなかったと思いますし。
いやしかし、観れば観るほどカラーで読みたくなりますなぁ〜。
荒木先生の色彩センスで描かれたフルカラー漫画って、いったいどんな世界なんだろうと。
もうこちとら妄想蠢きまくっております(笑)。
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