健気で元気一杯な女の子・セイの、沖田総司への恋心を中心に、新撰組の群像劇、幕末の激動の時代を綿密な取材を元に描く少女漫画 『風光る』。
いよいよ、物語はラストスパートを迎えそうな時代に入ってまいりました。
過去感想→23 , 24 , 25
【ネタバレ注意!】
この巻は主に、近藤さんと、そのお妾さんとなった深雪太夫と新登場のお幸ちゃんの物語。
連日近藤さんを遠ざけ続ける深雪太夫の真意やいかにと、信じるべきか、疑うべきかのシーソーゲームがなかなか面白い事になってますね。
最後の最後で、結局近藤さんの元に妹のお幸ちゃんを残し、手切れ金をガッポリせしめて出てゆく深雪太夫。
しかしそれは結果的にすべては妹のため。
なかなかの役者じゃあありませんか。
男は女に騙されたいのだから、騙す女はプロとしてとことん騙すものなのだというポリシー。
騙されているほうは幸せなんだから、それでいいじゃないかというファイティングスタイル。
捨てられたほうは傷つかず、重荷にならないよう、とことん最後まで嫌われ役を演じるカッコよすぎる一貫性。
これはもう役者魂というか、ともすると、もしかして本当は近藤さんのことが好きだったからこそ、あえてこうなったのでは? とも思えてしまうあたり、よくできてるな〜と思います。
ある種好敵手を愛する気持ちだったのかもしれませんし、あるいは近藤さんもお幸も愛するがゆえに、どちらも幸せにするにはそれしかなかったということかもしれませんし。
朴念仁の私ごときには到底わかりっこないって感じはしましたが、実に深いかっこよさでありました。
歴史上ではどうだったのかは知りませんが、なかなか美しいまとめ方だったのではないでしょうか。
そしてまた、深雪太夫のカッコよさが引き立つほどに、それによって引き立てられる近藤さんの器の大きさ、かっこよさ。
皆が、この人のためなら!と思うのも頷けるってもんですよね〜。
その一方で、この巻はまたセイと沖田さんのイチャイチャっぷりもなかなかで、まぁいつもながらって感じではあるんですが、いつにも増して腹立たしい(爆)。
いや、失礼、いつにも増して初々しくて微笑ましいと言うべきか(笑)。
セイの 「おきたせんせえ…

もしもセイが島原の太夫になってたらのイフ妄想で二人同時の頭から湯気(笑)。
沖田さんがお幸ちゃんに気があるんじゃないか? という勘違いからのすれ違いドラマ。
その誤解が解けた瞬間のセイの顔のペッカー状態(笑)。
本人達はどう思ってるんだか分かりませんが、なんともまぁ幸せな時期だなぁと、見ていて微笑ましくなりますね〜。
しかし、こういう幸せそうな時期を見るにつけ、逆に切なくもなってくるわけで。
もしかすると、これが彼らふたりの最も幸せな時代、あまりにも短すぎる二人の幸福な時代なのではないかと…。
この後訪れるであろう激動の時代が、この二人の行く末をどのように翻弄するのか。
そこを考ると、どうしても切なくなってしまうんですよね〜。
クライマックスが近いだけに、どうしてもそこを考えてしまいます。
そして巻末の一章は、あの厳しい谷三十郎隊長が久々の主役で、あだ討ちをあえて受ける男らしいお話。
短いながらも、コミカルな勘違いあり、哀愁漂う谷隊長のかっこいい最期ありの、ちょっとイイ話になってましたね〜。
こういう嫌われ者のオジサンにもちゃんといい見せ場が回ってくるあたり、『風光る』 らしくって好きですね〜。
また、巻末オマケ漫画の日誌Rは、今回は蝋燭(ろうそく)について。
池波正太郎などの時代小説を読んでいるとよく、「灯りの芯を切る」 とかいう描写が出てきて、いったいどういうことなんだろうと思ってたんですが……なるほど、こういう仕組みだったわけですか〜。
絵で説明してくれるとホント分かりやすいですよね。
勉強になります。
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