作品は、あまたあるガンダムの中でもテレビシリーズとしては最新にあたる、2007年から2008年にかけて放送されたシリーズ。
ファーストシーズン25話、セカンドシーズン25話の合計50話で、他のタイトルシリーズとは独立して完結している物語です。
今年は映画化もされるそうですね。
とりあえずファーストシーズンを観終わったので、ここでひとまず現在の感想を書いておこうかと思います。
私としては、筋金入りってほどじゃないけどファーストガンダムからずっとガンダムを愛してきた身として、面白いのかどうなのか。
ちょっとドキドキしながら観始めたのですが……
STORY
西暦2307年。
化石燃料は枯渇したが、人類はそれに代わる新たなエネルギーを手に入れていた。3本の巨大な軌道エレベーターと、それに伴う大規模な太陽光発電システム。しかし、このシステムの恩恵を得られるのは、一部の大国とその同盟国だけだった。
3つの軌道エレベーターを所有する3つの超大国群。アメリカ合衆国を中心とした『ユニオン』。中国、ロシア、インドを中心とした『人類革新連盟』。ヨーロッパを中心とした『AEU』。各超大国群は己の威信と繁栄のため、大いなるゼロサム・ゲームを続ける。そう、24世紀になっても、人類は未だ一つになりきれずにいたのだ……。
そんな終わりのない戦いの世界で、「武力による戦争の根絶」を掲げる私設武装組織が現れる。モビルスーツ「ガンダム」を所有する彼らの名は、ソレスタルビーイング。
ガンダムによる全戦争行為への武力介入がはじまる。(公式より)
ガンダムシリーズとしては初となる西暦の時代が舞台。
そこで全戦争行為への武力介入を行うガンダム軍団が登場。
はたして、圧倒的な武力によって戦争を根絶することができるのか、という挑発的な合言葉が話題となった作品ですね。
って、話題となったのは私の周囲だけでしょうか?(笑)
私としては、現実の世界史や国際政治、世界情勢なんかにも興味があるもんですから、そういったテーマにはとても興味があったのですね〜。
『武力にる戦争の根絶』
普通に考えて、荒唐無稽に過ぎますね。
頓挫することが目に見えているそんな無謀かつ無意味なことをやる、言ってしまえばテロリストを主人公にして、いったいこの作品はどこへ僕らを導いてくれるのだろうと、興味はつきせぬって感じです。
その挫折の向こうにどんな光を見せてくれるのか、そこに興味がわく訳です。
また、西暦の世界を舞台とし、アメリカや中国といった現実の国名を出すことで、現実の政治情勢とも絡めた話が可能となるわけですから、これはけっこう刺激的な話になるよなぁと。
危険すぎるところまでは踏み込めないとしても、そういった現代の問題をどのくらい視聴者にわかりやすくまとめてくれるのか。
また、政治ドラマとして、いろいろ問題提起する社会派の作品としながら、どのくらいエンターテインメントしてくれるのか、この辺にも期待して観始めたわけです。
結果から言ってしまうと、『武力による戦争の根絶』 のほうは、これはまぁまだ物語の途中ですから当然結論が出ていません。
ただ、どうも想像とはちょっと違うことになりそうかな? という予感はありますね〜。
どうやら制作者側には、政治的なイデオロギーや理想、メッセージはなく、ただひたすら困難な状況にあってそれを若者達がどう克服して行くか、その人生観というか、心のドラマ、成長のドラマを描きたいんじゃないかという気がしてきました。
つまり、希望をみつけだしたり己の進む道を選択していったりする過程のドラマなんじゃないかと。
まぁ、これはセカンドシーズンを観てみないことには、ですよね。
とりあえず期待してます。
一方政治ドラマとしてですが、はい、これは私の期待の仕方が間違ってました(爆)。
いや、作品が間違っていると言っているのではなく、私の観方がどうやら小難しいほうに考え過ぎていたようなんですね。
政治描写は最低限のものです。
その政治面も、やや都合よくまとめられたなという感もなくはなし。
見るからに、そこは“主眼”ではないのだな〜と思いました。
ああ、ただ第4話 「対外折衝」 は、そんななかでも政治ドラマとしてかなりの緊張感、刺激的な展開を見せてくれましたね〜。
ここはなかなか見応えがありました。
第4話を観た段階では、おお、これはいい政治ドラマだと思ったんですが、それ以後そういう話はだんだんなくなっていき、ファーストシーズン最終話で、ああ、やっぱり違ったのかと。
現在の政治情勢と見比べてしまうと、そこはちょっとなぁと思ってしまうところがいくつか出てきてしまうんですね。
ま、私の知識なんて素人ですから、かなりいい加減なものですが、もしこれが政治ドラマを“主眼”としたものであったら、そういう私の素人知識くらい捻じ伏せて欲しいって思っちゃうんですね。
で、どうもこれは違うなと。
たぶん狙っているポイントが違うぞと。
まぁ当然と言えば当然といったところでしょうか。
大衆向けの娯楽アニメで、国際政治やらなんやらを批評できないっすもんね〜。
人類革新連盟の指導者なんて、どう見ても胡錦濤さんだし(笑)。
なかなかできますまい。
それにあんまディープに描いたら子供が見られない作品になっちゃいますね。
スリランカのLTTE(タミル・イーラム解放の虎)なんて名前が出てきても、おお! なんて刺激を受けず、そういう名前の別物として観たほうがよいようです。
そのあたり、富野監督だったら力いっぱい難しくやっちゃうんでしょうけど(それはそれで私は大好きなんですが、だから監督はいつも商業的には失敗しちゃうんじゃないかな〜なんて、これは富野愛が言わせるタワゴトですかねw)。
この00は、もっと気楽に、というか、「世界」 なんていう大仰なものはあくまで舞台装置であり、組織と個人というスケールで、その中のしがらみや、戦う男達、女達のドラマをメインとして観たほうがよいんだなと、だんだん気づいたわけですね。
メインはあくまで、戦いの中での群像劇なんじゃろうな〜と。
で、その若者達のドラマ部分なんですが、これがさすがに魅力的なキャラが揃ってます。
私が気に入ったのは、まずは第一話で主人公・刹那のガンダムエクシアにボッコボコにされるコーラ・サワー(これ、名前ねw)。
その後もたびたび交戦してはあっけなくやられて、でも運よく生き延びてを繰り返す、とことんネアカな能天気ヤロー。
深刻な顔した人物が多いこのドラマで、たったひとりでギャグ枠を死守している道化役なんですが、コイツがどうにも憎めないのですわ。
つーか、しまいに哀愁すら感じてきて、愛らしくすら思えてくるからアラ不思議。
コーラ・サワー、こういうキャラでも富野カントクならなんなくヒネリ殺しますが、こちらの監督さんはどうでしょう。
生き延びて欲しいキャラでもあり、でもこういうギャグキャラが死ぬと、ドラマって逆に凄く悲哀が出てくるからそういう期待もしたくもあり。
どうなるか楽しみです。
主人公チームの4人の中では、ロックオン・ストラトスがダントツにかっこいいですね〜。
主人公チームが各自問題をかかえて精神的にも揺れまくるなか、こいつだけは安定感バツグン。
チームのムードメーカーでもあり引き締め役でもあり、フォロー役でもアリ。
女の子にもモテるし男からも信頼される。
まさにパーフェクト超人。
そんなロックオンがいいトコ持って行きまくるファーストシーズン最終回付近はわたくしの大好きなエピソード群です。
かっこよすぎだぜアンタ!
そして悪役好き、ライバル好きの私として、この人は譲れない。
アリー・アル・サーシェス!
もうひとりライバルとしてはグラハムという男が出てきますが、私は断然こっち。
刹那をテロリストの少年兵に仕立て上げた挙句、捨て去り、各地の戦いで数々の裏切りを繰り返し、今は傭兵としてモビルスーツを操る一匹狼。
暗殺、要人誘拐もお手の物で、雇い主すら容赦なく殺す酷薄さ。
国家騒乱を引き起こすことすら商売の一つに過ぎなかったり。
気づけば世界を左右する戦いの渦のど真ん中で戦闘に狂喜していたりする。
こいつにとっては戦うことが人生のすべて。
まさに戦闘のために生まれてきたような戦闘狂。
この世界で一番狂っている人物と言っていいでしょう。
しかし、これがまた実に魅力的なんですな。
圧倒的な強さ、戦闘の勘、駆け引きの絶妙さもそうですが、人を小バカにしたような斜に構えた物言いといい、なにもかもを楽しんでいるって感じがかっこいいんですね〜。
全部まるっとわきまえていて、その上で狂っている感じでしょうか。
うすっぺらいヤツじゃねーぞ? という雰囲気がこいつにはあります。
お気に入りは、第22話 「トランザム」 。
世界の混乱を引き起こすその元凶に単身乗り込んでおきながら、あの大胆さ!
サ:「スポンサーから、あんたらをバックアップするよう頼まれて来たんだ」
男:「スポーサー? ○○か?」
サ:「あ? ○○? ああ、やっこさん死んだよ」
男:「な、なんだと!」
サ:「俺が殺した」
男:「…てめえ!!」
銃を引き抜く男。
轟く銃声。
一瞬後、倒れる男。
サ:「ご臨終だ」(すべてうろ覚え)
カッコヨスギル!!
いや、これ文章だけだと伝わらないかと思いますがね(笑)。
刹那の“憎むべき師匠”ポジションであり、いつかは乗り越えなければいけない最強の敵ってポジションもいっそう期待を高めてくれます。
現在私の最注目キャラクターですね。
アクション面も、これはかなり見応えがあって楽しいですね〜。
まず私が気に入ったのは、ちょっとマニアックなんですが、主人公機・ガンダムエクシアの武装が“実体剣”だってトコなんですよ。
私、ビームサーベルはあれはあれで好きなんですが、鋼の剣が鋼のボディを切り裂く描写って、やっぱ好きなんですよ。
ボルテスVとか好きでしたから、私(笑)。
そういう原体験がそうさせるのかもしれませんが、ビームよりも実体剣のほうが爽快感を覚えちゃうんですよ。
あの、鉄が鉄を断ち割る、ゴカーン!って感じの硬質な音がいいんですよね〜。
ビームサーベルだと、そこは溶かして斬るわけですから、もうちょっと軟質な音や電磁っぽい音になるんですね。
その違いがとても新鮮でよかったのです。
で、ひとつ気づいたのですが、彼らガンダム・マイスターたちが戦うときは、それぞれキメ台詞があるんですね。
「目標を 駆逐する!」
「狙い打つぜ!」
とか。
そうかっこよく決めて必殺の一撃を放つと、敵のモビルスーツがドーン!と、これまたかっこよく派手に散っていくわけですよ。
これは! と気づいたんですが、もしかするとこのOOガンダムは、“必殺仕事人ガンダム”なんじゃなかろうかと(笑)。
それも、イケメン役者が多用されるようになった後期必殺シリーズですね。
(〜以下妄想〜)
いい男たちが集い、かっこいいキメ台詞とともに必殺の技が繰り出され、毎週敵が退治されてゆく(ゆかないときも多いけどw)。
世間一般には世の中を混乱させる悪い奴らと思われながらも、実は世にのさばる悪いヤツを超法規的な手段で殺すため、あえて外道に身を落としているのが仕事人。
まぁそこまで悪人善人がはっきりしないのがやっぱりガンダムですが、この立場と、“キメる”感じが感覚的にすごい似てるなぁ〜と。
で、仕事人らしく仲間内でのケンカや誤解、ぶつかり合いを経ながら理解してゆき、ライバル仕事人チームとも激突したりなんかしつつ、最後は圧倒的な敵権力のもとに大ピンチに陥る。
おお、なんかピッタリあてはまる気がするぞと(笑)。
彼らガンダム・マイスターの属するソレスタル・ビーイングがまったく軍隊らしからぬ組織統制なもんで、ちょっと最初は戸惑ったんですが、ああ仕事人ならそうだよなと、そんなところで納得ちゃったんですね。
仕事人を縛るのは秘密厳守と足抜け禁止の絶対訓くらいで、あとはけっこう個人個人自由ですものね。
おしむらくは、このガンダムチームに中村主水がいないことですか(笑)。
主水さんのような渋いキャラが滋味豊かなセリフでチームを〆てくれると、話がとたんにズンとまとまるのですが、ああ、でも主水さんがいたらまとまりすぎちゃって、刹那たちが悩む余地なくなっちゃいますかね(笑)。
なるほど、今回は“主水なき必殺ガンダム”か。
まぁ勝手な解釈でなんなんですが、私はそんな感じで受け取っちゃいました。
いや、あくまで冗談ですからね?
さて、そんな感じでけっこう楽しめているファーストシーズンですが、物語はまだまだ伏線を引き終わってこれからが本番っといった雰囲気。
いったいどんな物語が待っているのか、一気にセカンドシーズンに突入するといたします。
きっとセカンドシーズン観終わったらまったく違う感想抱いているんでしょうね〜。
それが楽しみです。
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特に18話のグラハムのカッコよさは異常でしたw
数十機ものMSでもパーツ奪取すら出来なかったガンダムに対して単身で挑んで腕を切り落とす、というあのシーンは今でも覚えています。
その翌日のフラッグのプラモの売れ行きも凄かったですし。
18話のラストで初めて刹那が主人公してるように見えたのも印象に残っています。
>アリー・アル・サーシェス
確かに22話の活躍は凄かったですね。
「ファングしか使えないのかよ(笑)」としか思えなかったツヴァイが、搭乗者が変わった途端に恐ろしい存在になるなんて思ってもみませんでした。
23話のロックオンとのバトルも凄かったですし。
個人的には、前半は前半で、ガンダムの圧倒的な武力で世界がどう変わってゆくのか、その思考実験みたいなところに興味を惹かれました。
って、それが実はメインテーマではなかったっぽいってところがナニではありますが(笑)。
たしかに、ツヴァイが見違えるような強さでしたよね!
次々乗機を変えながらもそのマシンのポテンシャルをマックスに引き出すあたり、いかにも凄腕の傭兵って感じがして、そういうあたりも魅力って思っちゃいます。