2010年01月02日

映画感想 ONE PIECE FILM STRONG WORLD/ワンピース劇場版ストロングワールド

満足度99点ワーナー・マイカル・シネマズ板橋にて)

 観て参りました〜!
 モンスターヒットを飛ばすワンピース劇場版第10弾、ストロングワールド!
 原作者・尾田栄一郎先生の製作総指揮や、劇場版限定のオマケコミック 「第0巻」、朝日新聞をドドッとジャックした驚きの宣伝などなど、呼び込み効果も抜群なこの作品ですが、そもそもその中身が面白くなければここまでの人気は出ません。
 男の子のハートをググッと掴みまくる最高の熱さ!
 いや〜面白かった!

【ネタバレ注意!】




 20年前、あの脱出不可能の大監獄インペルダウンからたったひとりで脱獄した伝説の男“金獅子のシキ”が今、20年の歳月をかけた計画をもって世界を転覆させようとしていた。
 その計画の一端として、優れた航海士としてさらわれてしまうナミ。
 ルフィ一行はナミを取り戻すため、シキが作った天空の島々を舞台に、大冒険をくりひろげるのであった。
 といった感じですね。

 物語は、ルフィたちがスリラーバークでブルックと合流後、シャボンディ諸島でバラバラになるその間のサイドエピソード。
 サイドエピソードとはしかし名ばかりで、シキは、かのゴールド・ロジャーや白ひげなどと覇を競い合った伝説の海賊であり、歴史上の重要人物中の重要人物。
 このあたりはオマケの第0巻で詳しいのですが、今ちょうど原作やアニメを大戦争で盛り上げてくれている“白ひげ”も絡んだ人物とあっては、そのスケールのでかさは恐怖に値するわけです。
 ルフィがこれまで戦ってきたライバルたちとは、明らかに格が違いまくるわけですよ。
 観に行くワンピファンの期待も高まりまくります。
 

 冒頭から、ドギモを抜く大迫力のシーンの連続。
 海軍本部マリンフォードの上空に突如現れるシキの空中海賊船。
 フワフワと持ち上げられた海軍の船が次々と突き落とされ、大被害。
 そして場面変わって今度は天空の島々で繰り広げられるルフィと怪物たちの織り成す怒涛のアクション。
 原始的なリズムのBGMがこれまた最高で、無条件でこちらもエンジンに火がつきます。
 尾田先生が 「映画は冒頭です」 と言い張ったそうですが、言うだけはある、これはさすがの見ごたえでした。

 全般アクションの見ごたえはさすがの出来で、とにかく見栄えがいい、カッコイイ。
 バトルの駆け引きとか小ざかしいことは二の次で、大事なのはどれだけ子供達を引き込むかっこよさを演出できるか。
 そこを追求しまくったというのがよくわかります。
 麦わらの一味それぞれが持ち味を発揮し、ちゃんとそれぞれが一番輝けるアクションになっているんですよね〜。
 個人的に気に入ったのは、電撃鳥ビリーに乗ったルフィと、シキの空中戦。
 ギア2を発動したルフィの体が赤い光の尾を2条引き、キリモミしながら夜の空をかける姿が実に美しい。
 こういうのはアニメならではの映像美なんだよなぁ〜と感心させられました。


 お笑い面もバッチリ。
 とかくシリアスになりがちなストーリーの各所に、これでもかと笑いがちりばめられていて、小さなお子さんも大満足。
 というか大きなお友達も大爆笑。
 終始会場では笑いの渦がまきおこっておりました。
 ツボがしっかり尾田っちしてるんですよね〜。
 やってることはお決まりの、たとえばゾロが道に迷うとか、サンジが 「ナミさーーん!」 って叫ぶとか、ブルックさんがスカルジョーク飛ばすとか完全なテンプレートでも、その呼吸がちゃんと尾田っちなんですね。
 こういうのって、なかなか余人では真似できないものがあると思うのですよ。
 製作総指揮・尾田栄一郎の威力を一番感じたのはこういうところかもしれません。
 個人的にヒットは、

ゾロ:「おい、オマエの毛皮貸してやれよ」

チョッパー:「ああ、そうだな……って脱げるかオイ!!」


(以下、セリフはすべてうろ覚え…)


 ってノリツッコミのチョッパーですね(笑)。
 あと愛のあまりに何か違うものに生まれ変わりそうなサンジの爆裂具合も最高でした。
 それと、ブルックさんのスカルジョークも絶好調。
 あれは声優・チョーさんのアドリブなのだそうで、顔が骨で適当なことしゃべりやすいのをいい事に、好き勝手その場で言っちゃってるんだそうです(笑)。
 
 あと、これはギャグシーンじゃないのですが、サンジとルフィのやりとりが最高にかっこよかった。
 サンジがあわやシキにやられそうなところをルフィが助けたのですが、

ルフィ:「お? なんか話してんの邪魔したか?」

サンジ:「いや、別に…(タバコすぱーっ)」


 ってのがクール過ぎて逝きかけました(笑)。 
 あっけらかんとやってくれるハードボイルド。
 これですよね〜。
 ワンピのこういう“あっけらかんクール”が大好きです。

 
 ストーリー面では、シキという大悪党の魅力と、ナミを助けるという二本の筋が柱。
 まずはシキが、悪党として実に魅力的。
 やってることはとんでもない悪事ですが、オバカなギャグ面の魅力で小さな子供達のハートをガッシと掴み、なおかつ海賊王ロジャーへのコンプレックスという人間味を匂わすことで大人のハートもガッシと掴む商売のうまさ。
 竹中直人さんという名俳優がこの複雑なキャラクターを見事に演じきってくれたのも、シキの魅力を大きく引き立ててくれました。
 もっとこう、竹中節を前面に出してくるのかと思ってたのですが、それが意外や意外、さほど竹中さん臭さが出てなかったのもよかったですね。
 アニメ映画って、どんなに名優をつかってもその名優の顔がスクリーンに浮かんできちゃったらもう集中できないんですよ。
 さすがは竹中さん。
 しっかりシキという複雑で魅力的な男を演じ切ってくれました。

 また、わかりやすい悪党をブッ倒すというテーマとともに、ナミというヒロインを救い出すという、とてもわかりやすいテーマをもってきたのもこの映画が成功したひとつの要因でしょう。
 やっぱり、あのアーロンパーク編は最高でしたからね〜。
 あの最高のテーマ、ふたたびです。
 これが面白くないわけがない。
 アーロンパークの名場面、「ルフィ、たすけて」「当たり前だぁあ!!」 も、ちょっと捻った形で踏襲されているのもファンのハートをがっちり掴みます。

 全編通してナミさんが実に魅力的なヒロインを演じてくれているのも、この映画最大の魅力の一つ。
 冒頭のプールシーンの実に長いこと(笑)。
 じっくりたっぷりナミさんの遊泳シーンをご堪能くださいと言わんばかりです。
 お色直しもやたらと多く、そのたびごとにナミさんが最高にキュート。
 ロビンちゃんも今回コスチュームで男性陣の目を奪いまくりますが、総合得点的にナミさんの勝利。
 特にラストシーンのあの衣装は監督たってのお願いで実現したらしいのですが、グッジョブ境監督!!
 これは是非劇場へ足を運んでその目で見てほしいところです(笑)。


 ラストへ向かい、忠臣蔵の討ち入りよろしくシキの居城の大広間への突入シーンは圧巻のひとこと。
 文句なしに最高に盛り上がるシーンのひとつでしょう。
 ルフィたちの衣装はいつものものではなく、しっかり黒いスーツ姿で目を引きます。
 これが実にカッコイイ。

 そしてルフィのキメ台詞が最高にアツい!

ルフィ:「オマエは何も分かってねぇ!」

シキ:「ああん?」

ルフィ:「ナミは、自己犠牲なんかでここへ来たんじゃねぇ!

 あいつは、一人で戦うためにここへ来たんだ!

 そして おれたちが 本隊だァ!!!!!」


 なんという陶酔感!
 アツい! アツすぎる!!

 また、その手にした武器がいつもと違い、バズーカや銃というのが素晴らしい。
 黒の正装で身をつつんだルフィたちが、ドッカンドッカン火器をぶっ放し、ヤクザっぽい海賊達をなぎ払う。
 これまでのワンピとは完全に手法を異にするシーンですが、この美しさの前には何も言うことなしです。

 舞い散る雪。
 松の廊下。
 だだっぴろい畳の間。
 ヤクザ者達の杯の契り。
 壇上にあぐらをかく暗黒社会の大立者。
 黒の正装に身をつつんだ若き反逆者たち…。

 これはもう、様式美のひとつでしょう。
 普段は絶対使えないこういう武器も、こういう完成された様式美の中でなら許されるわけです。

 また、この作戦は大人数を相手にするにあたってちゃんと利に叶ってもいるのです。
 陣営の中央を陣取られた相手にしてみれば、味方への誤射を嫌って飛び道具は使いにくい。
 しかしルフィ陣営からしてみれば、どこを撃っても敵に当たる。
 これは背水の陣ではありますが、最高に攻撃的な陣形でもあるわけですよ。


 総合的には、ワンピがこれまで積み重ねてきた面白さのノウハウが、ゴッソリ詰まった最高の出来であると見ました。
 キャラクターそれぞれのかっこよさ、面白さ、熱さ、魅力。
 アクションのかっこよさ。
 能力バトルの面白さ。
 壮大なスケールを持つ世界観。
 悪党の心意気。
 天空を駆ける爽快感。
 仲間を救うために頑張るカッコよさ。
 身を捨ててまで信じることに邁進するキャラの凄み。
 そして、培われた仲間達の結束の固さ。
 これまで10年以上かけて積み上げられてきたすべてがしっかり詰まってる、結実していると唸らされました。
 これはファン大納得の出来と言っていいでしょう。 

  
 最後に、不満点としては、今回アクション面でもストーリー面でもギャグ面でも大活躍だった名わき役・電撃鳥のビリー。
 非常に魅力的だった彼とのお別れが、さらりとスルーされてしまったのが実に心残りでした。
 最後、なんかいつの間にか別れちゃってましたよね。
 彼とルフィ、ナミとのちょっとしたシーンが挟まるだけで、この映画は文句ナシ100点になっていたと思うのですよ。
 そういったところで、99点。
 あれかな、さすがに時間が足りなかったですかね?
 子供向けの映画にして120分超って、ちょっと長かったですもんね〜。


 あ、そうそう、例の 「第0巻」 ですが、初回生産版は入手できませんでしたが、増刷版の交換券をゲットいたしました。
 なんかネットでは1冊1万とかついちゃってるって話も聞きましたが、とりあえず手に入ることが確定してホッとしました。
 交換は1月8日以降だそうで、入手がとても楽しみです。



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posted by BOSS at 23:15| Comment(5) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>ルフィたちがスリラーバークでブルックと合流後、シャボンディ諸島でバラバラになるその間のサイドエピソード

その場合、何かと矛盾が出るので違うと思います。
ブルックの初陣はトビウオライダース戦ですし…。
白ひげ戦争後か、あるいは実質的にパラレルでしょう。
Posted by bRICk at 2010年01月03日 09:04
 おおっとー、そんなところで矛盾しちゃってましたか〜。 
 たしかにブルックさんは『初陣』ってハッキリ言ってましたね。
 失念しておりました。
 ツッコミさんくすです。

 パラレルだと考えるのが一番簡単なんですが、ああ、でもあの魅力的な世界は公式であって欲しいなぁ〜と思っちゃうのも欲としてあるんですよね。
 あまりに魅力的な世界でしたから。
 ちゃんと尾田先生の精神、らしさが貫かれた世界でしたから。
 あと、インペルダウン編でシキが唯一の脱走者だと、張られた伏線がありますしね。
 
 おっしゃるように、白ひげ戦争後だとしたらいいですね。
 今の状況じゃ、あの戦争後の世界がいったいどうなるのかすらわからないんですが、ああいう世界がまた続いていると思えるのは楽しいことです。
 ルフィがまた仲間と一緒に冒険できているのを観て、ああ、やっぱこれだよなぁ〜と仲間のよさを再確認できたのも嬉しかった。
 また、あいつらと一緒に冒険したいって、切実に思っちゃいましたもの。

 しかし、とすると謎だったあのラストのテロップで映った白ひげ、エースは……遺影?
 んな不吉な!!
 シャンクスだって映ってましたしね!(笑)

 なにはともあれ、実に楽しい、わっくわくの映画でした。
Posted by BOSS at 2010年01月03日 23:20
>あの魅力的な世界は公式であって欲しい

ものすごくよく分かります!(笑)
私も戦争終了後に何とかSTRONG WORLDをねじ込んでもらえないかと、
心底期待してるクチなんですよね。
いやまあ、尾田先生が「細かいことを考えずに楽しんでもらうためにパラレルにした」と仰ればホイホイと納得しちゃうんですけど(^^;

戦前だとすると他にも疑問点がチョイチョイあって、
ルフィの腕にトレジャーマークが無いとか(たまたま外してた?)、
インペルダウン編でセンゴクがシキについて語った時点では
まだシキは「過去の伝説」扱いになっている(Byアニメ連動企画)とか、
すんなり行かないんですよね。

かといって「17歳最後の冒険」と銘打たれていながら、
戦後すぐに再集合して、魚人島にも行かず、懸賞金も上がらず、
あの冒険が入るとも考えにくいですよね…。

内容については、完璧すぎて驚きました。
少年魂をガンガン揺さぶる名作でしたね。
ヘタに大人に媚びて複雑にしたりせず、
子供達が素直に楽しめる王道作品に仕上がってるのが、
尾田先生の「少年漫画家」としてのプロ精神をそのまま表してますね。

正直、ルフィ一人での冒険になって話のスピードが活発化しましたから、
麦わらの一味が再集合すると多少テンションが落ちるのかな?と
鑑賞前は思ってたんですが、ものの見事に引き込まれました。
やっぱコイツら最高だぜ!!と(笑)

尾田先生は自分で作ったキャラだけあって適材適所が本当にうまい。
映画やアニメオリジナルの最大の欠点はキャラの表面だけ真似して
本質的な魅力がまったく再現されていないことでしたから、
生きて動いているワンピキャラが初めて見られたというだけで大満足です。

……エースと白ひげは冗談抜きで遺影だと思いました(^^;
確か白ひげとエースが先に止め絵で出て、
シャンクスだけ動いてましたよね?
その辺、意図的なのかなあと。

あれが今後の示唆でなく、単なるファンサービスだったなら、
今回はあくまで麦わら一味+ロジャー&シキが主役なんだから、
映画本編であまり語られなかったロジャーとシキの
過去の一場面でも入れて欲しかった気はしますねー。
できればあんまり見せすぎず、想像で補うような止め絵で……。
いや、やっぱり子供が人気キャラを見て喜ぶ方が大事だから正解かな(笑)

ビリーが投げっぱなしなのは唯一尺の都合での失敗かなと思いました。
あればっかりは子供でも気になっちゃいそうですもんねー。

とにかく、尾田先生の信念は映画でも100%完璧に生きてましたね。
連載休んでもいいからまたやって欲しいなあ。……無理だろうなあ。

つい熱く&長くなってしまってすいません。失礼しました。
Posted by bRICk at 2010年01月04日 01:27
こんにちは
なんでも40分もカットされたのだとか・・・
カット分込みでDVD発売してくれたら高くても絶対買うのに!
Posted by 江渡 at 2010年01月05日 11:42
>bRICkさん

 生きて動いているワンピキャラという意味では、今回尾田先生の絵に忠実な絵だったことが私はとても嬉しかったですね〜。
 残念ながら、テレビアニメの絵は私の好むところではあまりないんですよ〜。
 あの、ナミさんやロビンちゃんのスタイルは、やっぱり尾田先生の見事なボンキュッボイン♪な感じでないと……ってソコかーい!。

 いやまぁほんといろいろと尾田先生らしさが詰まってて、これぞ待ってたワンピだぜ!って感じでした。
 尾田先生はもうこんな製作総指揮なんて大変な仕事はやりたくないって言ってらっしゃうそうですが、いつかワンピが完結したその後には、またやって欲しいな〜なんて思っちゃいます。

 あ、ちなみにうちは長文歓迎のトコなのでご遠慮なくドゾです^^
 熱い感想いただくと、めちゃめちゃ嬉しいんですよ〜。
 楽しく読ませていただきました。


>江渡さん

 なんと! そんなにカットされてたのですか〜。
 まぁ尾田先生があのスケールで話を作ったら、そりゃ5時間でも収まらんだろうな〜と考えてたので、むしろその程度で済んで奇跡なのかもしれませんが……(笑)。
 もしディレクターズ・カット版が出たら絶対買いですね!
Posted by BOSS at 2010年01月09日 21:26
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