2009年10月03日

アニメ感想 グイン・サーガ 最終回 第26話 「旅立ち」

グインとイシュト

 グイン・サーガ、感動のフィナーレ!
 男と男のぶつかりあいに、君は刻の涙を見る……。

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【ネタバレ注意!(原作ネタバレは避けています)】




あらすじ
かくて物語(ものがたり)は紡(つむ)がれる
永(なが)き時の舞台を巡(めぐ)り、神々の意思を織(お)り込(こ)みながら
忘れえぬ激動の記憶
そう、これは始まりの物語(サーガ)

クリスタルは新王となるレムスの帰還を出迎えるパロ国民で溢れ返っていた。しかし多くの歓声はナリスやリンダに向けられ、孤独の色を強めるレムス。その歓声の影でグインは一人その場を静かに立ち去る。そしてパロに新しい歴史を刻む戴冠式の日が来た。その日、一人荒野を北に向うグインの前にイシュトヴァ−ンが現われる。ヤーンはいかなる運命の物語をそれぞれに紡ぐのか。感動の最終話。(公式ページより)


■パロへの帰還

 フィナーレ。
 人々はそれぞれ、運命の変転を経て、物語のはじまりとはまったく違う境遇を得ることになる最終回。
 境遇だけではなく、人によっては自分でも予想もしなかったような心境、想い、野望を抱き、そして思いもよらなかった道へと歩みだすことになったわけで。
 運命とは何か、ジーンと考えさせられる、とてもグイン・サーガらしいいい終わり方を魅せてくれました。
 演出面もすばらしいじゃないですか。
 今回は初回と同様、監督自ら演出を担当されたようで、カメラワーク、音楽の入り方、総じてキレてましたね〜。
 最終回のフィナーレにむけて、なかなかの盛り上がりを見せてくれて、こちらもググッと引き込まれてしまいました。

 まずは、オリジナル展開として、パロに帰還したリンダが、グインをナリスに紹介しようとすると、グインはすでに旅立った後という、ね、このベタなノリ。
 やっぱヒーローはこうじゃなくっちゃっていうカッコよさで、これはかなり気に入りました。
 なにげにナリスはグインに対して興味津々だったりしますし、余計に興味を惹かれちゃったことでしょうね(笑)。
 うおー、もうちょいで会えるところだったんじゃん!っていう、焦らし具合がたまりません。


 そして、個人的にかなり惚れ直したのが、何を隠そうアムネリス!
 フロリー相手に、素敵に饒舌な栗本節によって語られる、心境変化と決意表明。

「フロリー。今の私は、もはや何でも出来る気がする。

 どんな汚いことも恐ろしいことも、

 優しく振舞うことも、人を裏切り後ろから刺すことも……。

 正直に言おう。

 私はまだアルド・ナリスを愛している」


 いや〜、この開き直りようというか、悟りようがすがすがしい。
 今はじめてアムネリスは独り立ちというか、本当のスタート地点に立てたのだなぁという達成感のようなものがあります。
 アムネリス応援派ではないのですが、これはちょっと応援したくなりますよ。
 主に、手ごわい敵対者を見て喜ぶタチの応援のしかたではありますが。
 

 あと、最終回にしてついに喋れるようになったスニ!
 可愛かったですね〜。
 なんて素敵なモフモフなんでしょう(笑)。



■グイン対イシュト……決別!

 レムスの不吉すぎる戴冠式と同時に描かれたのは、なんとグイン対イシュト!
 いや〜これは驚きました。
 これは原作では、グインがこの後ケイロニアという北方の国に到達し、腰を落ち着けたところで発生するイベントなのですが、まさかそこまで描いちゃいますか〜と。
 いやいや、フィナーレにふさわしいすばらしいエピソードチョイスです。
 むしろこれっきゃない!って思えますもの。
 イシュトヴァーンの、焼けつく飢えと乾きのような夢と野心。
 これは感情移入せずにはいられません。
 ポリシーを枉げて土下座までしてグインに頼むイシュトの真剣さ。
 必死な説得。
 それでもダメなら力ずくでもという、火を噴くような激しさ。
 イシュトヴァーン役、浅沼晋太郎さんの熱演もあって、最高の名場面となりました。
 ここはもう、セリフのひとつひとつが最高で、思わず全部記述してしまいたくなるのですが、中でもクライマックス、 

「俺は友とは戦わぬ」

「キサマと俺は友なんかじゃねえ。敵同士だ!」

「そうか……。ならばそれもよかろう…」

「これまで思いもしなかったが、敵に回すと

 あんたほど腹立たしい奴はいねぇな。

 その落ち着き、腕っ節……人を馬鹿にしてやがる!」

「…かかってこい!」


 ここの盛り上がり方は尋常じゃない!
 音楽もグインのテーマが高らかに奏でられ、そして始まる世紀の一戦!
 イシュトヴァーンのキレのいい、胸のすくような体術。
 それをはるかに上回ってしまう、グインのスケール!
 見事な投げから繰り出される、豪快な右ストレート!(ナルトばりの3段アングル!)
 つか、イシュト死んじゃう!!(笑)
 このイシュトのブッ飛ばされ方も実にお見事。
 花畑のなかを突っ切り、キリもみにゴロゴロころがって最後はバタンキュー。
 実に美しい!
 さすが若林監督。
 ナルトの神回を作っただけはある、短いシーンでありながらめちゃめちゃな濃度の見ごたえでした。

 そしてそれが、ただのアクションだけではない、グイン対イシュトという熱く運命的なドラマとしても演出がキレまくり。
 今後の世界を動かす二つの巨大な歯車がついに動き出した!という震えるような予感をも感じさせてくれました。
 いや〜熱い!
 つか、これほどの演出力と見ごたえ、人間群像の“想い”の描写力があるのなら、全話若林監督の演出で観たかった!
 まぁそれはあまりに贅沢な話とはいえ、これだけすばらしいものを見せ付けられちゃうとどうしたってそう思っちゃいますって。
 間違いなく全エピソード中、最高にハートが燃えた名シーン、最高の最終回でした。



■そして未来へ…

 そしてまた、運命の歯車は動き始め、人々はそれぞれの宿命の糸に導かれてゆく……。
 これぞグイン・サーガ!って感じの壮大なフィナーレでした。

 今振り返ってみると、26話にかなり詰め込んだ感はあったものの、最重要人物のグインやイシュト、ナリスにエピソードを絞り込み、さらにアニメならではのオリジナル展開も加えて、なかなかの綺麗なまとめっぷりでした。
 できたらもっと大軍と大軍の壮大なぶつかりあいを力いっぱい描いてくれたらなぁと思ったシーンも何度かありましたが、それはリアルな話お金の絡む問題でしょうから、欲張ったことは言えないのかなということで。
 それより、もっと頑張って欲しかったのは、キャラクターの感情面の追及ではないでしょうか。
 まぁそういった課題みたいなものは観る人それぞれだとは思うのですが、つまり、これはもう、第2部に期待するしかありますまいということで(笑)。
 今回はグインがとにかくかっこよかった。
 その所作のひとつひとつ、豪快なアクション、人によっては馬鹿にしているようにすら聞こえてしまう落ち着いた話しっぷり。
 全てが完璧に 「グイン」 でした。
 そして最後には、イシュトがめちゃめちゃかっこよかった。
 その炎のような、破滅的な、それでいてめちゃめちゃ男心をくすぐる(女心も?)野心、不満、飢えで猛り狂うようなイシュトヴァーンの魅力いっぱい。
 またグインとイシュトのみならず、最終回の、感情豊かに描かれた群像劇。
 これだけのものが作れるのだと証明してくれたからには、是非続きを!と思わざるを得ませんって。
 この勢いで是非!と、心から期待しちゃいます。
 そう、あの名作ケイロニア編を、グインのサクセス・ストーリーと初恋(!)を、熾烈なユラニア遠征を、ドロドロとしたユラニア宮廷編をアニメで観たいと思います。
 監督もプロデューサーも続編は作る気マンマンのようなので、お茶碗チンチン鳴らしながら第2部を楽しみにしていたいと思います(笑)。
 
 あ、ところでここでグインとイシュトが別れちゃったってことは、グイン、イシュト、マリウスによる北方諸国遍歴はなくなっちゃったってことですよね。
 やばいじゃないですか、イシュトとマリウスが知り合えません(笑)。
 これは上手いことやらないと、先の展開がちょっと難しいことになっちゃいますぞ〜。   



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posted by BOSS at 11:36| Comment(3) | TrackBack(0) | ドラマ・アニメ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>男心をくすぐる(女心も?)
もちろんですよ!
最後の「今に世界が俺を見る〜俺はヴァラキアのイシュトヴァーン」の台詞って、外伝(ミュージカル版?)の台詞だったと思うんですけど、浅沼さんのいいお声で聞けたので感激しました。
イシュトとマリウスとの絡みも気になりますが、この決別シーンを最終回に持ってきたのは、私も大正解だと思います。

ところで、公式サイトで(厳密に言うとBIGLOBEアニメワンのサイトなんですが)人気投票が始まったのご存知ですか?アニメの公式サイトからつながってますので、是非投票してください。結果だけ見ても面白いですよw
あのお方は、やはり男女で明暗を分けておられます。。。
Posted by 原作読み子 at 2009年10月05日 09:49
最っ高の最終回でした。
ホントこれ以上いい終わらせ方があるか?ってぐらいの。

最終回で浅沼さんすげーと思いました。
グインはもう堀内さん以外考えられないですが、もうイシュトも浅沼さん以外ありえないですね。
特に「うるせえ…!×3」の辺りイシュトそのものでしたね。
BOSSさんが台詞全部覚えたいって思われたのすごくわかります。

そしてグインもシリーズ中一番かっこよかった…!
イシュトを殴り飛ばしたとき拳が震えていたのは力のあまりか、それともあの口重いグインも葛藤があった故か。
誰にも頼らないグインの、イシュトに対する友情を推し量ってしまいました。

しかし演出が見事でした。
ホントあのテーマ曲とグイン対イシュト、レムスの戴冠の構成はすばらしいとしか言い様がない。
2期を期待せざるを得ないです。
Posted by yuki at 2009年10月05日 19:00
>原作読み子さん

 いや〜、本当に心に響くいい最終回でしたね。
 浅沼さんという声優さんを知ることが出来たのも大きな収穫でした。
 今後、どこかで声を聞くことができたら、「お! イシュトだ!」って思っちゃうかもですね。

 人気投票はさっそく投票してきました^^
 女性人気はナリスに偏ってるのかな?と思いきや、なんとイシュトでしたか〜。
 アニメ版は中盤のナリスこそ輝いていましたが、序盤、終盤はとにかくイシュトが魅力的でしたもんね。
 そして、男性のグイン人気は磐石というのも納得。
 かく言う私もグインに入れてきちゃいました。
 あのかっこよさ、安定感、貫禄は惚れ惚れしましたものね〜。
 また、第二部で会えるといいなぁ。


>yukiさん

 そうですね!
 もうイシュトの声は浅沼さんで完璧にインプットされちゃいました。
 これから小説を読み返したら、浅沼さんの声で脳内再生されることでしょう。
 ぜひこの後の変転めまぐるしいイシュトを浅沼さんに演じてもらいたいです。

 なるほど、あの拳の震えには、そういう深いものがあったのかもしれませんね!
 グイン、磐石のように頼れるグインも、悩むのですよね〜。

 本当になにからなにまで最高の最終回でした。
 いや〜こんなに幸せな作品に仕上げてくれてファンとしてとても嬉しいですよ。
 できたらまた第二部で応援したいですね!
Posted by BOSS at 2009年10月09日 21:55
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