超大河ヒロイックファンタジーアニメ、グイン・サーガの第8話。
おとといの晩、原作者・栗本薫さんが亡くなられました。
56歳。膵臓癌でした。
正直、とても辛いです。
先生を失って受けたあまりのショックの大きさに、これほどまで自分が先生に心酔し、グインの世界に、栗本薫の世界に惚れ込んでいたのかと、あらためて痛感する思いで今います。
ついに未完となってしまったグイン・サーガですが、今思うと、こうやってアニメという次の派生作品として言わばバトンタッチされていたのも、ヤーンのおぼしめしであったのかもしれないなと、そう思います。
これからはアニメを楽しむとともに、自分がグインと出会い、栗本世界にどっぷりつかってからこれまでの、数々の思い出を噛み締め直すよいよすがともなるのではないかと、そう思っております。
では、感想いきましょう。
感想は、あんまりしめっぽいのもどうかと思いますので、気持ちを切り替えて純粋にアニメとして楽しくいきますね。
過去感想 → 1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 , 7
【ネタバレ注意!(原作ネタバレは避けています)】
あらすじ
グインの思いもよらぬ作戦により戦局を転換させたセム族であったが、モンゴール軍をノスフェラスから撤退させることはできず、敵も次の好機を窺っていた。グインは圧倒的な戦力差の先に待つものを感じ、セム達に問いかける。「俺を信じて四日だけ持ちこたえてみせるか?」。グインはセム族と同じノスフェラスの民でありその住処の知れない「幻の巨人族」ラゴンを捜し出し、彼らに味方になってもらうよう頼みに行くと告白する。(公式より)
今回は前回から一転、静かなインターバルへ。
普通の 30 分アニメは、1話の中に発端があり、それを受けた話が描かれて盛り上がりがあって結末があるものですが、ことグインの場合は元が100巻を超えるような長編小説だけに、そういうわけにはいきません。
もっともっと長いスパンでの起承転結の回転が行われますから、見るほうもそういう姿勢で見たほうがいいのでしょう。
それでもここまで、できるだけ1話1話に盛り上がりを入れようとしている制作スタッフの姿勢は頭が下がります。
■イシュトヴァーン、モンゴール軍に潜入!
青騎士に身をやつし、うまいことモンゴール軍に忍び込んだイシュトヴァーン。
先週のあの大混乱も、実はイシュトヴァーンを潜入させるためのオトリ作戦という意味があったのかもしれませんね。
しかし、アルゴンのエクとやら、なかなか味のあるいいヤツですね〜。
なにもそんなに高いところに腰をかけて酒(あるいはただの水?)を楽しまなくってもという気もしますが、あ〜あ、可哀想に、突き落とされちゃった。
「やれやれだぜ」
応用力高いなぁ(笑)。
さらにイシュト、うまいことやってマルス伯のお側づきに。
モンゴール首脳部がグインの正体を気にしていると知り、それを即座に口からでまかせで利用するあたり、さすがは歴戦の傭兵の勘の良さ。
これは元からそう打ち合わせてあったのでしょうけど、飛んできたセムの毒矢を切り払い、いいところを見せましたが、これって凄い反射ですよね〜。
グインにはるかに及ばないアストリアスに負けたイシュトですが、かといってへなちょこというわけではないですね。
RPG的に言うならば、グイン100レベル、マルス伯90レベル、アストリアス80レベル、イシュト70レベルってところでしょうか。
一般兵の10〜20レベルに比べたら段違いに強いんでしょう。・・・きっとね。
しかしこの、イシュトのモンゴール兵演技がすごくいやらしいなぁ。
いや、浅沼さんの演技のことじゃなくって、イシュトが演じているその演じ方というのが、すこぶるイシュトらしくないすがすがしさというか(笑)。
いかにも若々しい、実直な高感度バツグンの若者って感じで、それをわざとイシュトがやってるってことを考えると、イシュトてめ〜いやらしいなぁと。
すっかり騙されて、「息子に似ている」とか惚れこんじゃってるマルス伯が可哀想になってきた。
この人、警戒心がないのかなぁ。
いや、まさか豹頭の戦士が率いるセム族と戦ってるときに、人間のスパイがいるとは思いもしませんものね。
これはこれでしょうがないのか。
このへん、戦いの中でイシュトの存在を一切印象付けなかったグインの作戦勝ちと言ったところかも知れませんね。
まぁ、アストリアスが報告しておけばよかったはずなんですが(笑)。
くそ、つかえねぇなアストリアス!(笑)
■グイン、旅立ち
場面はセム族のオアシスへ。
これがノスフェラスかというほどのふんだんな水量をほこるオアシスにびっくり。
まるで天国じゃないですか。
もっとションボリしたものをしか想像してませんでしたわ。
でもたしかに、あれだけ巨大な肉食獣をささえる生態系を維持するためには、このくらいのオアシスがそこらへんに点在していないとダメですもんね。
水辺ではしゃぐセムの子たちがのどかでいい。
お手伝いするレムス。
そうか、「オシメ」 ってのは誉め言葉だったんだ(笑)。
照れてるレムスがとってもいい子。
グインはここで、作戦をすべてセム族たちに任せ、自分は幻の巨人族ラゴンに応援を頼みに行くと言い出しました。
戦いは現在こう着状態。
セム族のゲリラ戦法、奇襲戦法は功を奏しているものの、圧倒的な数の差、装備の差はいかんともしがたく、決定打を与えられる手立てはなかった。
今はじりじりと相手をかくらんできているものの、いつかは手痛い被害をこうむることは必定。
ならば、ここでグインは早いうちに乾坤一擲の手を打たなければならない。
それはよくわかります。
しかし、いくらゲリラ作戦がうまく行っているとはいえ、それはグインがいるからこそなのではないかと、どうしても思ってしまいますよね。
そもそも、仲の悪いセム族がこうして一緒に結束しているのだって、それはグインがいるからこそ。
セムたちもよくまぁグインの言う事を納得してくれたものですよ。
もしかしてこいつ、俺たちを見捨てて逃げ出すんじゃないだろうな〜とか、よくまぁ誰も言わなかったものだと(笑)。
■夢の中へ
グイン、リンダの予言(?)にしたがって、ドッグヘッドを目指して東へ。
その夜、女の声がしてきて、まどろんだ夢の中、グインは不思議な異次元空間のような世界に迷い込んでしまいました。
来ました来ました。
グイン、記憶の秘密に迫ります。
さて、どこへ行ったものか、コインで決めてみようと取り出したそのコイン。
それはなんと、あのイメージのコイン!
ドーン!と衝撃的に画面に出る間がよくって、これはドッキリさせられました。
表には、豹頭の刻印があり、その周りのルーン文字には、
「双面のヤヌスの名により、大王に宣せられる」
裏には、女性の横顔があり、
「ヤーンの導きにより、グイン王の王妃となる」
と、これでグインがどこかの王であったこと。
王妃がいたことが分かりました。
(あるいはこれは未来の予知なのでしょうか)
そうか〜、こんなに早くこんな重要な描写があったのか〜と改めてびっくり。
超長編なのに、サービス精神旺盛です。
歩き続けると、聞こえてくる老人の声は、これはヤーン神の声なのか。
「自らの道を行くがよい
三人の女がお前を導くであろう」
おっと、チャングム?とか思っちゃいましたが、そういえばそんな言葉があったなぁと(笑)。
三人の女性のイメージのうち、まんなかはどう見てもリンダですね〜。
リンダは今回だって予言でグインをラゴンのもとへと導いてますし、リンダがグインの導き手となるというのにはまったく異議なし。
となると、あとの二人は?となるわけですよね〜。
うふふふふ〜。<気持ち悪いw
しばし、グインは老人の声と問答。
「人が何者であるか知ることなしに、どうして己の道を行くことができようか」
「お前には出来るだろう。なぜならお前は人ではないからだ」
「人でないなら、なぜ俺に人の生を与えた」
「では言い直そう。三人の女に出会って自分自身になるがよい」
人ではないとは、どういうことなのか。
三人の女とは誰なのか。
自分自身になるとは、どういうことなのか。
グインが元王であること、あるいは未来の王であることが示されたその鼻先で、余計に気になる伏線が張られまくっちゃいました。
いや〜意地悪だけど、面白いなぁ〜と改めて思っちゃいますよ。
そして、飛び去る女のイメージはリンダそのもの。
それとも、もしかしてグインの王妃というのはリンダそっくりの女性だったのでしょうか。
コインのレリーフはあまり似ていませんでしたが、髪を変えたら似ているかもしれませんしね。
駆け寄り、手を掴んで振り向かせたグインが見たものは・・・!!
「ぬぉわぁああああッ!!」 って(笑)。
グインがこんなに恐怖におびえているようなのって、それが驚きですが、いったい何を見ちゃったんでしょうか。
リンダだと思ったらイシュトだったら、そりゃ驚きますよね(笑)。
ババーン!(笑)
ところで、原作だとここで物凄い異質な存在とグインは対面しているのですが、それが思いっきり省かれたのはちょっと驚き。
かなり重要な伏線だと思っていたのですが、まぁ考えてみるとその後も対面する機会がありますし、そもそも考えてみれば対面してなくったって大筋まったく影響ないのかと(笑)。
「ほう、思い切りのよい監督だな」 と、ランバ・ラルの気持ちでした。<なんのこっちゃ
■狼王との出会い
目覚めたグイン、なんとドッグヘッドのてっぺんに!
こりゃびびる。
何がびびるって、今更ワープしたことには驚きゃしませんが、もし自分の寝相が悪かったら一巻の終わりだったのかと思うと、オゾゾゾゾッってきますわ(笑)。
しかし、リンダに 「グインを守ってね」 って言われた馬さんは力いっぱい置き去りにされたのが憐れ(笑)。
憐れイドの餌ですね。
ところでこのあとグイン、どうやっててっぺんから降りたんだろう。
まぁでもグインならどんなオーバーハングでもへっちゃらでクライミングしちゃうか。
降りたところで砂漠オオカミと遭遇。
この狼たち、ちっさいおっさんがいっぱいいるみたいでちょっとカワイイ(笑)。
今週唯一のバトルシーンでしたが、正直もうちょっと堪能したかったな〜。
ひさびさの 「埋めちゃったパンチ」 もせっかく出ましたし、並み居るオオカミたちを相手に終わらない戦いを見てみたかった。
あっさりと終わってしまったものだから、「このままではいずれやられる」 って感じがあまりしなかったんですよね。
素敵に剣も抜かず素手で相手しているくらいだし、けっこう余裕で全滅させちゃうんじゃね?って思っちゃいました。
ちょっと残念。
まぁ、今週はなにげにけっこう消化しているエピソード数が多いので、しょうがないと言えばしょうがないところですか。
そのかわり、来週はお待ちかねの昭和プロレス編っぽいですからね(笑)。
そっちが凄い楽しみ。
グインの危ないところを救う形で狼王が登場
で、今週のおおいなるツッコミどころ。
グインがしきりに 「お? もしかして俺を助けてくれたの?」 とか 「道を案内してくれるんだな」 とか、「案内はここまでか。ありがとう」 とか言ってますが、これ、なんか狼王のことをグインが勝手に解釈してしまっているようで、妙に笑えてしまいました。
狼王、そんなそぶりまったく見せてないじゃんと(笑)。
ただ狼王は、寝てたら配下がうるさくしてたから黙らせて、ちょっと塩が舐めたくなって散歩してただけだったかもしれないじゃんと(笑)。
鳥をグインに上げたのだって、あとで食べようととってきたのをグインが勝手に食べちゃったのじゃないかと(笑)。
なんかこう、狼王の目なりそぶりなり、そういう演技がいっさいなかったものだから思わずね、そういうツッコミ精神が働いちゃいました。
いやまぁ、グインは心と心で通じ合ったんでしょうし、あと、セム族とも普通に話せたグインだけに、もしかすると狼語的なボディランゲージもなんとなくわかっちゃうのかもしれませんね。
「人間バウリンガル」 みたいな(笑)。
■塩の谷
ドッグヘッドを越え、塩の谷へ。
おおお、いい光景。
巨大な塩の塊が塔のようにそびえ立ち、光が透けて幻想的。
またここで流れる BGM もいい。
いよいよサントラ欲しくなるなぁ。
さてそこで問題が。
グイン、白い塊を舐めてみて 「塩だ」 と言ってますが、ウオッ!今アナタ、舌で舐めましたね!?
その舌、本物だったんだ!!
いや〜実は今週一番驚いたのがここ。
グインの頭が仮面なのか、それとも本物なのかは今のところかなりぼかした表現になっていると思ってきたのですが、いやまぁアニメだけにかなり表情とか動かして本物らしくはなってきていましたが、それでも口の動きがぎこちなかったり、真相が曖昧になるよう気を配っているなぁと思っていたのですが。
これ、決定的に 『豹頭本物説』 が急浮上してきたですよね。
だって、もし人間の頭が豹の仮面の中に入っていたら、あの位置に舌は出ませんよ。
出たとしたら、ものすっげー舌の長い人になっちゃいますって(笑)。
いや、これは実は今まであえて黙っていたのですが、グインの頭が仮面なのか、それとも本物なのかは、実は原作本編でも未だに解けない謎なのです。
むしろ、その謎が解けた時が最終回なんじゃないのというのが通説だったかと思います。
作者がどこかでそんなことを言っていたかもしれません。
なので、アニメになった時はそのあたり、どのように描かれるものかと細かい点まで注視しちゃってたわけですが、いや〜、これは豹頭、本物ですよね〜。
どうなんだろう、監督は実は、栗本先生から真相を聞かされていたんですかね。
「ああ、あの頭は本物ですから、好きに動かしちゃっていいわよ」 なんて。
だとしたら、これ、長いグイン・サーガ史においても大いなる事態だったりするのですが!
う〜ん、どうなんでしょう。
単に作画が 「やっちゃった」 だけなのかなぁ(笑)。
そして、グインの 「ラゴンの魂とはなんだ」 の声に呼応するかのように、塩の中から何かが出現。
それは指揮棒サイズの謎の棒。
金属のような、ガラスのような、光が透けて機械構造のような内部が見えたり。
古代機械といい、謎めいたSF的要素がここでも出てまいりました。
■次回へ
さて、ラストはアムネリスが全軍に号令。
砂嵐も終わっていよいよ総攻撃が開始されるか。
セムははたしてどう対抗するのでしょうか。
イシュトヴァーンのスパイ大作戦はと、いろいろと楽しみになってきます。
一方グインは、塩の谷にて謎の大男と遭遇。これがラゴン?って感じで次回へ。
次回予告の通り、グインさんまたも捕虜となり、裸一貫昭和プロレス大会が開かれるようです。
これはめっちゃ楽しみ!
やっぱグインの肉弾戦は見ごたえたっぷりですからね!
灰色猿との戦いを越えた最高のプロレス大会を期待しちゃいます。
今週は一部で作画が乱れたようでしたが、それでもアップ時や、ここぞと言うときには作画レベルがあいかわらず高くて安心できました。
アムネリスのアップには毎回見入っちゃいますわ(笑)。
そうやって〆るべきところで〆てくれたら、テレビアニメは充分だと私は思ってます。
全部高レベルに仕上げるなんて、そうそう出来ることではないですからね。
ところで、今週はリンダとアムネリスが両方とも髪を洗うシーンがあったのは、インターバル回ゆえのサービスですかね(笑)。
なんて健康的サービス!
もっとお色気分があってもよいものなのに(笑)。
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>イシュトの演技力
外伝「ヴァラキアの少年」で実証済みです!(本が出たのはこの正篇が先ですが)
>豹頭本物説
原作では確かグインの顔から血が出たのを見たイシュトが「何とか何とかに賭けて、こいつの豹あたまは本物だぜ!」と叫んでいたような・・・
>アルゴン小隊のエク
この放送の翌日に公式HPに発表された新キャラの中にちゃんと載っていらっしゃいました。こちらもご冥福をお祈りいたします。
ところで《煙とパイプ亭》のご家族と沿海州の方々のキャラデザがまだ発表されていないのですが、まさかカットされるんじゃないでしょうね?
マ○○○とミ○○○は出てるし(二人とも超かわいい)、あと「密使」の件が大好きなので沿海州も省いてほしくないんですが・・・
って、私は職場で何をやっとんねん!!!
職場からどもです!
お昼休み終わってますよ?(笑)
>こいつの豹あたまは本物だぜ!」と叫んでいたような・・・
おっと、ネタバレはその辺でご勘弁を(笑)。
アニメでそこをやるのはもうちょっと先だと思いますし。
>公式HP
たっくさんの新キャラがアップされてましたね!
そのふたりのイメージもとてもよかったですし(つか、エピソードがカットされないようで凄く安堵!)、アルゴスの黒太子さまもなんかパイレーツオヴカリビアンのジョニー・デップみたいな色気があって惚れました。
沿海州は……このペースでいくとかなりカットされそうな予感が……。
あと14話で12冊強分ですからねぇ〜(汗)。
アンダヌスとカメロンのやりとりが超好きな私としては観てみたいのですが…。