今回は、長門とナルトの至った結論について、我流の精神分析でこじつけ的な解釈を行っております。
いや、私別にそういう専門家でもないし、心理学を専攻したわけでもないんですけどね!
お手数ですが、これを読む前に前回のNARUTO感想を読んでいただけると、より分かりやすくなるかと思われます。
【コミック派ネタバレ注意!】
先週の感想で、「長門はシャアである」 なんていい加減な精神分析をしました。
乱暴に要約しますと、長門は保護者を奪われたことでトラウマを持ってしまい、そのトラウマに突き動かされた形で今回の暴挙に出ているという分析でした。
その長門に、「殺さない」 という返答をしたナルトの真意は、前回だけではよく分からなかったわけですが、今週の説明は実に興味深い、というか私的には最高の形で返答が出たなと。
これでこそナルトよと、そう思わされる回でした。
ということで、今週もいいかげんな持論を展開させていただきます(笑)。
ナルトが長門に見せたのは、長門が否定していたはずの自来也の著書 『ド根性忍伝』 。
そこにあったのは、自来也と、長門の絆であり、長門が最初信じていたものを自来也が受け取って本にし、長門に、そしてナルトにたくした 「平和への信念」 でした。
「いつかオレがこの呪いを解いてみせます
平和ってのがあるならオレがそれを掴み取ってみせます!
方法より大切な事…要はそれを信じる力です!」
この頃の長門は、ナルトと全く同じように信じることが出来ていたんですね。
そして、自来也と同じように平和を求めて歩もうとしていた。
そのことを、長門は回想のときにはすっかり忘れていたのではないでしょうか。
回想ではただ、弥彦と小南を守ることだけを考えているようでしたからね。
自来也の平和論を幻想だと否定するあまり、その頃自分が抱いていた信念すら忘れていたのではないでしょうか。
今、その思いをやっと思い出せたのでしょう。
そして、小説に描かれた、長門を投影したような主人公の名前がナルトに受け継がれたことを知った長門。
「だからオレの名前はエロ仙人からもらった大切な形見だ!
オレが諦めて師匠の形見に傷をつける訳にはいかねェ!
オレは火影になる!
そんでもって雨隠れも平和にしてみせる!
オレを信じてくれ!」
大事なことは信じること。
長門から自来也へ、自来也からナルトへ。
同じ思いが受け継がれて今、そのナルトが目の前にいる。
そのことに、長門は大きく心を揺さぶられ、長門はナルトを信じる気持ちになりました。
長門はナルトに最初の自分を見たのかもしれません。
このあたり、おそらく方々から批判を浴びるんじゃないでしょうか。
ここまで平和論、戦争論をぶつけあっておいて、最後は 「信念」 っておかしいんじゃないのかと。
そんな単純な答えで、これまでの破壊活動や舌戦に、どうして結論がつけられてしまうのだと。
安易ではないのかと。
しかし、ここはちょっと分かりにくくなっているのですが、長門にとって大切なのは平和論じゃないんですね。
この一冊の本が思い起こさせてくれたのは、自分の 「初心の平和論」 ではなく、「自来也との絆」 のほうであり、心を動かしたのは 「自分とナルトの絆」 なのです。
前回説明したように、長門の持論は弥彦の持論を受け継いだものに過ぎません。
長門は、失われた両親の傷を埋めるものとして弥彦との絆を求めていたため、失われた弥彦の持論を受け継ぐことで、両親を取り戻そうとするという、とても婉曲な代替行動をとっていたにすぎません。
平和とか憎しみとか痛みとか言っていたのは、トラウマによって突き動かされ、悪夢にうなされた者の口から出てくる“うわごと”に過ぎないのです。
長門の心が本当に求めているのは、“平和”ではなく、トラウマを埋める“保護者”です。
ナルトが本当に対処すべきだったのは、“うわごと”への返答ではなく、「トラウマそのものへの返答」 だったわけです。
ナルトがとった行動は、長門に、深層意識の中に眠らされていた保護者として、自来也が存在していたことを思い出させました。
弥彦の平和論を推し進めるためには、対立する自来也論は圧殺するしかなかったのかもしれません。
しかし、長門は思い出すことが出来た。
そして、その保護者・自来也の想いが、ちゃんと自分の上にあったことを小説 『ド根性忍伝』 で再確認し、さらに、その想いがナルトにしっかりと受け継がれていることを名前で知った。
保護者を介して、自分の想いがナルトに受け継がれていることを認識した長門は、どれだけ嬉しかったことでしょう。
長門が求めていたのは、保護者であり、絆。
なんとそれは、自来也先生が自分に与えてくれていたではないかと。
これ以上ないくらいの、信頼と、思いの継承という形で示していてくれたのではないかと。
長門が気づいたかはわかりませんが、小説の“ナルト”はラーメンのナルトではありますが、“ナガト”のもじりでもあったでしょう。
そのナガトの名前が“ナルト”となり、今、ナルトに受け継がれている。
もしそのことに長門がまだ気づいていなかったとしても、この強い絆を、長門はひしひしと感じられたことでしょう。
これは、長門の心にポッカリあいたトラウマを埋めるのに、充分な効果を生んだはずです。
長門の求めていたものが、ピタリとはまり込んだのです。
ナルトは、驚くべきことですが、長門の求めていた 『保護者』 となったのです。
「オレは火影になる!雨隠れも平和にしてみせる!」
は、ナルトの長門に対する 「保護者宣言」 に他ならないのです。
とまぁここまで考えてきて思ったのですが、なんという ナルト菌パンデミック。
すばらしい菌じゃないですか。
ナルトがいると、なぜか周りの人はナルトを信じたくなる。
世界の不安、問題は、ナルトに任せておけばすべて大丈夫な気がしてきてしまう。
「みんな手を出すな!」
「俺たちが行けばナルトの足をひっぱるだけだ!」
「ここはナルトに任せておこう!」
そんなセリフはもう耳タコですよね。
「何でお前はナルトを信じられない!今度はナルトを信じてやれ!」
「いや、俺はナルトを信じるお前を信じるよ」
「お前のことを信じたい。そんな気に俺はなっている」
なんて素晴らしい世界。
ナルト菌が世界に蔓延すれば、少なくとも憎しみや悲しみ、誤解や嫉妬によって起こる戦争はすべて根絶されてしまうかもしれません。
これはもう最高の宗教でしょう。
あれ? 忍道って、もとは宗教だったんですよね?
つまり、ナルトは世界を救う宗教としての忍道を、本当の意味で実現してくれる存在なのではないでしょうか。
これでこそ NARUTO。
今回は NARUTO という漫画の真髄を見た気がしました。
いやまぁ、それでも権力闘争とか、欲や貧困、災害、政治力学によって発生する戦争は回避できないでしょうけど、それくらいナルト教団の世界レベルの力でどうにでもなるさ!っていうんじゃないですかね(笑)。
さぁしかし、現実の話、これはどうまとまるのでしょうか。<ここまでは現実じゃねーのかよ!www
いくらナルト菌がすごくても、木ノ葉のみんながテロリストをこのまま無罪放免してくれるとも思えませんし、実際物語としてもこれだけ破壊の限りをつくしてきた長門が裁かれずに済むというのもありえない話です。
とりあえずここは、保護者であったはずの自来也を自分お手で殺してしまった長門が、良心の呵責に耐え切れず、自分で自分に決着をつけるというラインを押しておきましょうか。
「ナルトよ、俺はこれまで償いきれない罪を重ねてきてしまった。あとは、弟弟子のお前に全て託していいか?」
「ああ、任せておけってばよ!」
「ありがとう、父さん…」
「へ!?」
「グフッ……」
ねーかな。
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