2009年05月10日

PSYREN‐サイレン‐の謎 その03 「ニセ刑事の正体」

 週刊少年ジャンプで連載中の漫画 『PSYREN‐サイレン‐』 の謎を追跡するシリーズ第3回。
 今回は、第1話で登場した謎のニセ刑事について考える。

 現時点での最新エピソードは 「CALL.69」 であり、そこまでの情報を元に考察を試みることとする。

過去の考察→序文 , 1 , 2

【ネタバレ注意!】





PSYREN‐サイレン‐の謎 その03
碓氷と三宅、謎のニセ刑事の正体


 第1話において、アゲハを追い回してテレカを奪おうとし、結果アゲハをサイレン世界に後押しする形となったニセ刑事ふたり。
 彼らはその後ストーリー上にまったく姿を現さなくなるのだが、いったい彼らは何者だったのだろうか。
 興味深い点がいくつかある。

 以下ニセ刑事について列記。

1.碓氷と呼ばれるアイパッチの男は、アゲハが前日の夜に使っていた電話ボックスから、機械を用いずにその時の様子を、音声映像ともに克明に察知する。
2.よくできた警察手帳を所持し、白昼堂々警察を名乗って活動。
3.裏口から逃走しようとするアゲハを、さも最初から出てくる場所がわかっていたかのように先回り。
4.「独自の回線網で地域一体の公衆電話回線を全て監視しているのだ」(碓氷)
5.「金だと…? フフン…そのテレカの本当の価値も知らない若造が…!!」「サイレンとは秘密結社などではない サイレンとは…大いなる意志……!! 1つの世界なのだ…」(碓氷)
6.「服を探れ三宅 コイツのテレホンカードが目覚めてしまう前に…!!」(碓氷)


 1、3の様子から、このふたりのうち、少なくとも碓氷と名乗るアイパッチは PSI 使い、それもトランス能力者であることが分かる。
 アゲハとの戦いの様子からは肉弾戦闘はあくまで人間レベルであり、ライズは使えないことがよくわかる。

 また5と6のセリフから、碓氷はサイレン世界に非常に深いところまで関わっていることが推測される。

 4のセリフは、碓氷のサイレン情報への精通度を如実に表している。
 彼らが公衆電話回線を監視しているのは 「地域一体」 であり、全国ではない。
 つまり、彼らはすでに、現在のサイレンゲームがどの地域で行われ、新しいドリフトのスカウトがどの地域で行われる可能性が強いのかを完全に把握しているのだ。
 ドリフトからその情報を何らかの手段で得た可能性もあるが、この精通度、自身がPSI使いであることを考えれば、碓氷自身が元サイレンドリフトであると考えたほうが自然だろう。
 現役ドリフトであれば、現在実施中のゲームに参加していないことは考えられないため、元ドリフトとなる。

 彼は、サイレン世界に実際に触れ、ゲームをクリアしながらも、まだサイレンのテレカを手に入れようとしているのだ。
 その目的はまったくわからないが、もしかすると八雲祭のように、再度ドリフトとなり、未来を変えようとしているのかもしれない。


 では、彼らはなぜ警察を偽証していたのだろうか。
 警察手帳を偽造し、昼日中から堂々と活動することは実に危険な行為である。
 もしまかり間違って偽証が発覚した場合(そしてそれは結構な確率で起こることだろう)、いとも簡単に彼らは逮捕されることになる。
 彼らがライズに通じてないということは、逃走も非常に難しいという事だ。
 映画ででもなければ、警察手帳の偽造はリスクが高すぎる行為だ。
 だが、ここでヒントとなるのは、「独自の回線網」 というワードだ。
 一地域の電話回線を全て傍受できるほどの 「独自の回線網」 を、個人や企業レベルで整えられるものなのだろうか。
 筆者はそういった知識にはとんと疎い人間であるが、個人的常識からそれは難しいのではないかと推測する。
 大胆な推測になるが、彼らは国家レベルの後ろ盾を持つ組織なのではないだろうか。


 ここからは、あまりに根拠のない筆者の妄想レベルの仮説である。
 その組織は、日本政府の公にはされていない“ある機関”であり、偽の警察手帳を使用していたとしても逮捕されないだけの特権を持っている。
 一般人に対して都合の良い警察手帳という手段を使用するが、それは活動中の体裁をととのえる隠れ蓑に過ぎない。
 完全に警察手帳と寸分たがわないものを作らなかったのは、それが不可能だったからではなく、内外の関わる者に 「区別をつける目印」 が必要だったからではないだろうか。
 その組織員同士にとっては、相手が警察ではなく、事情を明かしていい身内であるとわかるように。
 本物の警察にとっては、相手が記録と照合しても出てこないニセ刑事と分かっても、なぜか逮捕してはいけないと通達を受けている、特権を持たされた謎の組織の人間であることが分かるように。
 彼らは、日本政府のごく一部の人間達によって動かされており、極秘裏にサイレン関連の調査、および実力行使をともなうサイレンテレカの回収をまかされているのだ。

 以上の仮説には、一応裏付け情報になりそうなものはある。
 未来のカイルがアゲハに説明した、「天樹の根」 のルーツだ(CALL.67)。
 天樹の根は、エルモア財団が政府共同で開発した緊急避難シェルターである。
 エルモアがこのような大掛かりなものを作らせるに際して、未来の世界がどのようになるのか、サイレンの謎について、政府上層の限られた人間に対して話した可能性は否定できない。
 むしろ説得のため、積極的に話した可能性が強いのではないか。
 政府の一部が、サイレンについて知っていた可能性があるのだ。
 その一部の人間が、元ドリフトに接触することで、あるいは自身がドリフトとなることで、碓氷や三宅が所属する組織を作ったとしても不思議ではないのである。

 だとすると、今後彼らが再度物語に登場してきた場合、どのような関わり方をしてくるのだろうか。
 敵か、それとも味方か。
 もしかするとそれが、この物語の大きなターニングポイントとなるのかもしれない。



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