その三国志の中で、“悪役”として描かれることの多い曹操を主人公とし、彼の型破りで強烈な魅力を放つ生涯を描ききった壮大な長編漫画 『蒼天航路』 がテレビアニメになりました。
注)原作は全巻読んでますが、一応ネタバレのないよう注意しながら書いております。
原作ダイスキーな私としては、グイン・サーガの次にこちらも期待しておりましたが、オープニングアニメでまず惚れ惚れ。
原作中の前半部分の名場面が次々と美しい映像でバババッと流れまして、これを観ているだけで興奮しちゃいますよ。
まず第一話は、プロローグとして少年曹操が盗人を殺す話と、許チョとの出会い、そして李烈との舌戦から決着まで。
ちょっとダイジェスト気味とはなりましたが、必要な部分はしっかり押さえていたように思います。
少年曹操・阿瞞の確信に満ちてキッパリとした、すがすがしい物言いとか、ダーンと斬り飛ばされた盗人の首の残酷性とか。
曹操が持つ、古い儒教精神にこりかたまった常識を憎み、信じる事をあくまで断行する精神は、この最初からはっきりと現れているんですよね。
また今回最後に時間をかけて描いた、李烈との舌戦はお見事。
漫画ではけっこう難解な文字だらけの闘いでしたが、音で聞いたほうが頭に入って来やすいんでしょうか。
やることなすこと猿真似の李烈に始皇帝を語るの資格なし!という喝破がとても爽快でしたし、すごくすんなりと理解できました。
たぶん初見の人でも大体は分かったんじゃないでしょうか。
今回はここに力が一番注がれたんでしょうね。
ただその分、この作品が持つ混沌とした、粗暴で原始的な魅力というのでしょうか、そういう肉付けの部分がそぎ落とされてしまったのはちょっとだけ残念かなと。
たとえば、許チョが曹操を釣鐘の下に閉じ込めてしまうシーンが丸々カット。
ここは釣鐘を落としたあと、曹操が死んだと思った許チョは荷車に寝転がって昼寝を楽しみ、すっかり夕方になってから石が邪魔して曹操が死んでないことを知るんですね。
で、釣鐘をよいこらしょと持ち上げてみると曹操が姿勢もよく正座していて、許チョが昼寝していたことを見抜いて叱る。
この肝の据わりっぷりがかっこいいわけですし、許チョも人を何人もブッ殺したその場で昼寝しちゃう感覚がまったく理解できなくてブッ飛んでるな〜と、そういうところに混沌とした魅力を感じちゃうわけですが、そういうところがカットされちゃったのは若干寂しかったかなと。
また盗人の首を飛ばすところでも、盗人にまず一撃を与えて、殺す前にに一旦間があるんですよね。
そこで野次馬は 「盗人もいい気味だぜ」 「これで懲りるんじゃねーの?」 「小僧よくやったぜ」 みたいに解決したものと思うんですよね。
このへんで当然おしまいだと。
しかし、阿欺はそこでさらに飛び上がって、有無を言わさず盗人の首を飛ばしちゃう。
なんだこいつは! ムチャクチャな子供だ! とね。
そここそが曹操の魅力だと思うんですが、省略のおかげでそこのところがちょっと分かりにくくなったかもしれないなァと思うのです。
しかし、なにはともあれ序章の序章。
これから始まるたくさんの名場面のためには序章くらいは駆け足で駆け抜けちゃったほうがいいのかもしれません。
楽しみはこれからたっくさん待っていますからね。
「アモーレ!」 や、裁きの話や、北門の 「ならばよし!」 とか、黄巾との闘いの 「2人の張」 とか、名場面は枚挙に暇がありません。
演出の豪快さも声優さんの演技も納得。
これなら蒼天世界を存分に描ききってくれると思えました。
来週は最初の名エピソード 「アモーレ」 ですよ。
オープニングの水晶がすっごく綺麗で目を惹きましたからね、これはとっても楽しみです。
張譲の憎たらしい演技にも期待ですね。
ところで個人的な印象ですが、許チョの黒目はもっと大きくしてください(笑)。
なんか三白眼っぽくってイメージと違いましたぜぃ。
許チョの本質は曹操いわく、鼻たれ小娘(クーニャン)なのです。
もうちょっと可愛くして欲しいのです(笑)。
それと、夏侯惇の声が草尾毅さんってのはかなり意外!
若いうちはいいですが、片目のヒゲオヤジになってからもちゃんと合うんでしょうかね。
個人的にはもっと渋いオヤジ声を想像していたのですが、どんな風になるのか興味深いところです。
さてしかし、この長い長いお話、いったいどのへんまでアニメ化されるんでしょうか。
赤壁までいけたら御の字ですかね?
でも、キリはいいかもしれないけど曹操的にそれはどうなんだ?(笑)
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