2009年03月08日

コミック感想 ONE PIECE 巻五十三 “王の資質”

 ルフィ! 頭が邪魔だ〜ッ!! な背表紙が目印のワンピース 53 巻。
 怒涛のシャボンディ諸島編はまさかの結末を迎え、超ドキドキワクワクの新章が幕開けです!!

過去感想→ 四十七四十八四十九五十五十一五十二
スカルジョーク集→ イッツ・スカルジョーク!!


【ネタバレ注意!】




 くま、暴れまくり!
 どうもくまは能力をつかってルフィたちの逃亡を助けているフシがあるのですが、それにしても!
 なすすべもなく飛ばされるルフィたちの屈辱を思うと、ハラワタが煮えくり返るじゃないですか。
 このへん何度読んでもムカッ腹が立ってしょうがない
 これまで幾度もピンチを乗り越え強くなってきたルフィたちが、こんなに手もなくあしらわれるなんて。
 こんなに手酷い無力感ってのもないですよ。

「……何だおれは…………!!

 ……仲間一人も…!!!

 救えな゛い゛っ……!!!」


 血反吐を吐くようなルフィの慟哭。
 これには胸を締め付けられてしまいます。
 この屈辱! 晴らさで置くべきか!
 ルフィよ、強くなれ!!
 強くなって、くまたちをバカでっかく見返してやるのだ!!

 くまとしてはフォローしたつもりでも、正真正銘、ルフィたちは 「全滅」 したのです。
 全滅と言えば、ついこの直前のエピソード、『スリラーバーク編』“全滅”をテーマに描いたのではないかと言う推測を以前私は立てていました。
 ゲッコー・モリアは新世界で全滅したことで悪夢にとりつかれ、ブルックさんは全滅してもなお希望を捨てなかった。
 そういう二つのまったく違った全滅を描くことで、ルフィたちの未来にも全滅の恐怖が待っているかもしれないんだという警告をしていたのではないかと思ったのです。
 まさかここまでの見事な全滅だとは思いもしませんでしたが、その予想が当たってしまったんですね。
 ウォーター・セブン編で仲間がバラバラになる伏線として、その直前にデービーバック・ファイトで仲間の奪い合いを描く、ということもありましたっけ。
 尾田先生は、こういう非常に長いスパンでひとつのテーマを描くんですね〜。
 そうすることで、物語の大きな流れを作って、読者に流れ行く先を予感させてくれるのかもしれません。
 だとするなら、今の潮流をナミのように読み解く事によって、次にたどりつく島を予測できるのかもしれないな〜なんて考えると、予想屋の私なんかはとってもワクワクしてしまうんですね(笑)。
 隠された意味をひとつのこらず読み解いちゃるぞ〜ッ!と気合が入っちゃいます。

 
 場面は一転。
 怒涛のシャボンディ諸島編とはガラッと変わって、エロエロ下ネタ満載 のコメディパート、『女ヶ島アマゾン・リリー編』 がスタート!
 この落差、スゴイですね(笑)。
 しかしこれがまた面白くってニヤニヤが止まらない。
 のっけから 「泡のお風呂」「キノコが抜けない」 って、尾田っちバカですか!!(笑)
 ダメです子供は寝る時間です!!
 このへんアニメでどう処理されるんだか今からドキドキワクワクなんですが(爆)。
 「キンタマとって見せて」 とかもうダメ! 笑いが止まりません!
 このへんは何度読んでも面白いですわ〜。


 で、この巻の主役とも言っていいでしょう、王下七武海の一人、蛇姫様こと海賊女帝ボア・ハンコックさま登場!
 いや〜実に魅力的!
 外見もお綺麗で高貴でツンツンで、わたしもメロメロですが(笑)、それだけじゃなくって 「見下しすぎ!」 とかコミカルなところがあったり、その反面その奥に悲痛な過去を隠していたり。
 一発でわたしは惚れ込みましたね〜。

 そしてまさかの ラブコメ!(笑)
 まさかワンピースで恋愛モノを読むことになろうとは思いもしませんでしたが!

 ラブコメとはいいつつも、背景には奴隷にされたトラウマなんていう、重いものまで抱えていて、実はけっこうシリアス。
 ワンピにしては今回珍しいほどに短い過去話は、回想編になることもなく、蛇姫さまの述懐でまとめられたわけですが、これって回想でやっちゃったらあまりに陰惨になりすぎですよね。
 短くやって大正解です。
 ちょっとこれでも私、胸が熱くなってしょうがなかったですもの。
 三姉妹が哀れで痛切でたまりません。
 でも、その重さを吹き飛ばしてくれるルフィはやっぱりスゴイ!
 天竜人をぶっ飛ばす信念はもちろん凄いんですが、ぶり返す悪夢に悶え苦しむサンダーソニアに、「おいおい!!もういいよ無理すんな いいよ話さなくてっ!!!」 と思いやりを見せるルフィがすごくあったかい。
 なんだかこのルフィの優しさにはたまらなく目頭が熱くなっちゃいます。
 そのルフィに、一発で惚れた蛇姫さまの気持は大納得。
 このラブコメ、けっして笑い事には出来ないはずなんです。
 蛇姫さまが今まで抱えてきた、押し潰されそうな孤独と恐怖に、一条の強烈な光として現われたのがルフィなんですよ。
 これ、ものすっごい救済と希望なんですよね。
 ちゃんと描けばケータイ小説も尻尾巻いて逃げる大ラブストーリーですって(笑)。
 でも 「恋はいつでもハリケーン!!」 なんて言われたら笑うしかない(爆)。
 このへん、深刻になりすぎないよう匙加減をしっかりしてるのが尾田先生の上手さなんですよね〜。
 いやもう素直に笑っとけ笑っとけ(笑)。
 わたしゃすっかり蛇姫さまの初恋応援団です。
 でも、相手があの朴念仁のルフィですからね〜。
 先行き不安でしょうがない(笑)。
 ガンバレ蛇姫さま!!


 一方のルフィ。
 今回何年ぶりというか、1巻以来ひさびさの長〜い一人旅なわけですが、あらためて魅力爆発ですね!
 冒頭のとんちんかんなコメディアンぶりも素敵すぎたんですが、蛇姫さまと出会ってからの男前度はハンパじゃありません!
 蛇姫さまの横暴にへらへら追従をならべたてる観衆に怒り、「お前 ムカツクなァ!!!」 と、蛇姫さまには人生初ショックと思われる衝撃的発言。
 この人生初のショックが蛇姫さまのハートを最初に射抜いたのは間違いないとおもうのですが、それは横に置いといてと。
 さっきまで戦っていた妹君たちの、秘密のピンチとあれば身を挺してそれを守り、「お前らが見られたくねェモンと おれとの勝負は別の話だ」 とでっかい度量は輝くばかり。
 そして蛇姫さまがルフィの性根を試そうとしてたたきつけた無理難題な二者択一では、即座に3人の石化解除を選んで土下座までして感謝してしまうまっすぐさ。
 これ、感動モノですって。
 コミックで読み返してまた少しウルッと来ちゃいましたよ。
 このドデカい器こそが王者の印です。
 “覇王色の覇気”という、とても気になる新情報もありましたが、それよりもなによりも、このルフィの男前度こそが、ルフィが王である事のなによりの証じゃないですか。
 いや〜実にかっこええ!
 これぞルフィ。
 ジャンプの看板を飾るに相応しい最高のヒーローですって。

 そういえば、この頃ちょうどジャンプではキャラクター人気投票があって、ルフィが1位に輝いたんでしたっけね。
 今回コミックス収録にあたって人気投票結果発表が入れられなかったのがちょっと残念でしたが、あらためてルフィ1位にはスゴイ納得です。
 で、もしまた投票するなら、蛇姫さまはもちろん上位ランクイン間違いなしでしょうね!


 最高潮に盛り上がったシャボンディ諸島編が終わって、ちょっとクールダウンするのかな? と思いきやさにあらず。
 この巻も最高に面白いエピソード満載でしたね〜。
 なんだかもう、ワンピの面白さはとどまる所を知りません(笑)。

 さぁ、次なる戦いの舞台は大監獄インペルダウン!
 しかし、麦わら一味の現状のほうもすっごく気になるところです。
 一味再会はいつのこと?
 次はいったいどんな話が待っているんでしょうね!



■ WJ 連載時感想
 週刊少年ジャンプの感想を毎週やっているうちですが、ワンピースについては 53 巻のこのあたりから独立エントリーにしはじめたのでした。
 ということで、こちらにその連載当時の感想をリンクしておきます。
 そのときそのときの一番旬な感想なんで、わたしのテンションもかなり高めです。
 女ヶ島に入ってすぐに、蛇姫さまをルフィに惚れさせるしかなかろうなとか、背中の秘密が天竜人の刺青だろうと読んでいたのはまぁよく当たったなぁ〜と思いますが、覇気についての考察とか、今読んでも 「あれまぁ、よくそんな口からでまかせ並べおったなぁ〜」 と我ながら呆れるものがあります(爆)。

・ONE PIECE 感想 第516話 “海賊女帝ボア・ハンコック”
・ONE PIECE 感想 第517話 “湯浴み”
・ONE PIECE 感想 第518話 “闘技台”
・ONE PIECE 感想 第519話 “王の資質”
・ONE PIECE 感想 第520話 “ゴルゴンの目”
・ONE PIECE 感想 第521話 “天駆ける竜の蹄”
・ONE PIECE 感想 第522話 “死に至る病”



■関連記事
・ONE PIECE 新キャラ『蛇姫様』は9年前すでに登場していた!?
・YouTube 麦わら海賊団を小畑健先生風に書いてみた
・まんがのチカラ 尾田栄一郎先生インタビュー
・YouTube ワンピース×英雄【アーロン篇】
・YouTube 色んな漫画家が描いたワンピース
・ワンピ 美麗イラスト
・イッツ・スカルジョーク!!



********************************************************
よろしければランキングにご協力をお願いします。
にほんブログ村 漫画ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログ
********************************************************
posted by BOSS at 01:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この巻がワンピースの中では一番好きです。
それこそルフィの男前度に惚れましたし、傲慢で強いハンコックの弱さ、そのギャップにキュンときて…。
あぁ、自分はラブコメ好きなんだな、とBOSSさんの記事を読んで気づきました。

すごいです。
ワンピースを読んで僕などは感じるだけなのですが、
ここまで読みを深めて、さらに先をヨムなんて、ほんとにすごい。

これからもワンピースを読んだり、読み返したりするたびよらせてもらいますね♪
楽しみが増えました。

あのぉ、よかったらでいいのですが、相互リンクしてもらえませんか?
Posted by 千石弥一 at 2009年03月14日 16:01
 いらっしゃいませ^^
 ほんと、この巻は今までとまた違った方向性で楽しかったですね!
 うちのブログも楽しんでいただけたようで嬉しく思います。
 まぁ、先を読んでいるというか、強引にこじつけているのと大して変わらないレベルだと思いますが、それもひとつの楽しみ方かなと(笑)。

 相互リンクのお申し出、有難うございます。
 なんかすごく大人なブログを拝見してちょっと萎縮している小心者の私ですが、わたしなんかのちゃらんぽらんなブログでよろしければ。

 これからもどうかごひいきに^^
Posted by BOSS at 2009年03月15日 23:07
いやぁ、嬉しいです(^o^)相互リンク。
そして、楽しいです。BOSSさんのこじつけ♪

ジャンプでも読んで、コミックでも読んでいるのに、ネタバレしないように記事を書くってすごいなぁと思いました。
僕はコミックでしか読んでいないので、ほんと助かります(^o^)

これからもよろしくお願いします☆
Posted by 千石弥一 at 2009年03月18日 18:55
 相互リンク確認いたしました。
 どもです。

 ネタバレってやられちゃうとほんとショッキングですもんね。
 場合によっては読むテンションがガタ落ちしてしまうこともあったり。
 これからも、無粋なネタバレはしないよう、気をつけて書いていこうと思っております。

 こちらこそ、ヨロシクお願いします^^
Posted by BOSS at 2009年03月20日 00:15
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
【コメント欄について】 コメント入力の際には、必ずお名前(ハンドルネーム)の入力をしていただけるようお願いします。「匿名希望」や「通りすがり」のように名前入力を回避する意図のあるものは、管理人による削除の対象となる場合があります。ご理解ご協力をお願いいたします。

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。