いや〜なんか忙しくて後回しにしていたのはありますが、正直言って今回はひじょーに感想の描き難い巻であったってのも、感想がのびのびになっちゃった理由でもあったりして……なんていいわけはよくないですな(汗)。
表紙は海の男時代のカメロン先生。
やっぱカコエエなぁ〜この先生は。
でも今のこの巻でこの表紙だと、過去を懐かしんでいる哀愁のほうを感じちゃうんだなぁ〜。
過去感想→115 , 116 , 117 , 118 , 119 , 120 , 121 , 122 , 123
外伝感想→21
【ネタバレ注意!】
まずはようやっと帰国することができたブランの報告。
カメロンにとってはオドロキの情報の連続でも、読者にとっては新情報は特にナシ。
カメロンがこの情報を得て、ではどう事態が変容していくかに興味が行くわけですが、そこは老練で慎重なカメロンのこと、イシュトヴァーンにすら情報を遮断して事態を見に入ったってのはちょっと予想外でした。
現在パロを平和裏に併呑することを考えているイシュトですから、そのパロにスーティがいるかもしれないと分かった時点で相当に危うい政治情勢なのに、さすがカメロンですね。
まったく慌てた様子もなく、自分ひとりにその秘密をかかえこんでスパイを各国にって展開はさすが、と安心できるものがあります。
かくしてケイロニアにもパロにもスーティ親子の姿はなく、ヤガへむけて出立したっぽいことを突き止めて、すぐさまブランを派遣と。
卒のない動きで、これはもう何の障害もなくブランはフロリー・スーティ母子を捕まえちゃいそうですね。
それこそさんざん匂わせているミロク教の異変でもない限りですが。
ではイシュタールにふたりが連れて来られたら、では今度はどうなるのか。
ドリアン王子とスーティ王子、ふたりの関係はいったい? とか、もう思いははせるばかりです。
ところで、その本筋は私にはかなりどうでもいい……といっては言いすぎですが、それが大事なのは分かるのですが、それよりメチャクチャ大事なことがあるだろう!と今回はこのへんを読みながらずっとツッコんでいたことがあるのですが。
そいつはグインの記憶喪失問題!
なんでブランはそれをカメロンに報告しないんでしょう!
グインに例え心酔し、剣の誓いまで捧げたとはいえ、だからといってブランはグインの情報をカメロンに秘匿するような男ではないはずですよ。
グインへの心酔よりも、カメロンとの主従の絆のほうが古く絶対であるからこそ、イシュタールに帰ってきたブランなのですから。
なんでまたブランはその情報を出さず、ヤガへ出立してしまった(いや、まだ出立の描写はありませんが)のでしょう。
この記憶喪失という謎さえカメロンに伝われば、あのルードの森での事件から、イシュトヴァーンに深手を負わせたあの一連のくだりもだいぶ納得のいくものとなると思います。
あの頃のグインにはケイロニア王としての政治的意図はなく、個人としてたちまわっていたのだという想像が容易につくでしょう。
と、同時に、それを逆手にとって今回の交渉ごとを有利に進める事だってできるかもしれません。
実際、グインが記憶喪失だったことが分かったところで、それをゴーラとしてどれだけ利用できるかはたかが知れているとは思います。
その当時失っていたグインの記憶領域と、現在グインが失っている記憶領域が違うってのも、決定的に話を食い違わせることにもなりかねませんし、そしてまだその食い違いの事実をゴーラ側は入手していないのですからね。
しかしブランが報告する価値はちゃんとあると思うんですがね。
むしろ報告しないことがひどく不自然であるようにも感じます。
なんでまたブランは言わなかったんでしょうかね〜。
もしかしてブラン、下剤を盛られたのと同時に、ちょこっと記憶もいじられた、なんてことはないでしょうね?
パロの魔道士団はそのくらいやっちゃいますかね?
しかしまぁ、ブランが報告しようとすまいと、カメロンの優秀なスパイ団なら、グインの記憶喪失の事実くらいそのうち嗅ぎ付けそうな気もしますね。
ごく上層部の一部のみとはいえ、パロでもケイロニアでも、グインが記憶を失っていたというのは周知の事実なのではないでしょうか。
ちょっと私も記憶が曖昧で、パロでどれだけの人間がグインの記憶喪失に関わっていたのか覚えてないのですが、ヴァレリウスやヨナや医師団のみがそれを把握していただけだとしても、現在のパロは統制が緩みきっていますから、それゆえに情報が漏洩してしまうかもしれません。
またケイロニアにおいてはグイン自身が上層部に対して公言しておりますから、パロよりも記憶喪失を把握している人間は多いはずです。
こちらのほうがかぎつける確率はたかいかもしれませんね。
またケイロニア側のほうが最新の情報でもありますし、有益なのはケイロニア情報ですね。
まぁ今回のこれは、グイン世界でよく言われます、「情報こそが一番大切」 ってのがとてもよくわかるエピソードではありますね。
情報を知らないものは世界の重要時から蚊帳の外の扱いを受けますし、知らないで動くものが思い切ったことをして大きな変化を生むことは出来ても、最終的な主導権を握ることが出来るのはやっぱり 「情報を握るもの」 なんですよね。
なんというか、パロにばっかり魔道士団を独占させてないで、はよケイロニアもゴーラもおかかえ魔道士団を編成したほうがいいと思うんですけどね〜。
やっぱり民衆の偏見とか文化的背景とかあって、出来ないんでしょうかね〜。
そして、中盤からは、ヨナさん、ぶらり草原の旅。
ムツゴロウを髣髴とさせるダネインの陸棲魚、ジャッパオの料理とか、ダネイン大湿原の壮大な景色とか、なかなかに旅情豊か。
ミロク教徒のオラス団一行とののんびりした交流もあったりで、旅の行程こそけっこう厳しいものなんでしょうけど、これまでの物語から一転、ちょっと一休み的な、そんな感じですね。
うえつ方の苦悩や闘争や野望から視点を変えて、たまにこうやって民衆や世界を描くことで、グイン・サーガはそのたびに世界を広げなおしているんだなぁ〜と、そんなような印象をあらためて受けました。
しかし長い!(爆)
そしてズバリと言ってしまいますが、ゴメン! 退屈だ!!(爆)
いや、まぁそれがまた逆に草原らしくていいんだけども!
ラストの惨劇までののんびり旅情編が異様に長く退屈に感じてしまうのは、やっぱりヨナというキャラクターが基本的に面白みのあるタイプではないからじゃないでしょうか(笑)。
ヨナファン御免なさい!
頭脳労働がとりえで、思索にふけったり洞察に優れたところを見せたり、今ではナリス二世?って片鱗をみせつつあるヨナではありますが、でもこういう旅情編にはちょっと向かない生真面目すぎるヤツではありますわなぁと。
ヨナが旅路で出来ることといったら、想い出にひたって、ああ、ランがこのジャッパオを好きだったなぁ〜とか、レティシアはどうしてるかな〜とか、ナリスさまにこの光景を見せてあげたかったなぁ〜とか、そういうクソ真面目(失礼!)なことばっかりですもんね〜。
いやもうヨナはヴァレリウスとの陰険漫才をやっていてこそのキャラなんだなぁとつくづく思い知りました。
けっこう私も好きなキャラなんだけどなぁ〜。
栗本先生もそこは自覚してらっしゃって、どうにかしてこのヨナの長い長い旅路をちょっとでも面白く見せようと、オラス団の中で女の戦いを始めさせたりなんだったりとさせているんですが、それでもやっぱりヨナですからね〜、盛り上がりようってのも限界があります。
さらに同行者がみんな基本的に朴訥な田舎のミロク教徒ではねぇ。
ちょっくら一休み、茶でも飲みますか〜ってなのん気すぎるノリに、若い読者はケツがむずむずしてしょうがなかったはずですね(笑)。
広大な草原地帯を一気にはしょって飛ぶってのも、栗本文学的にはありえない話ですし、これはヨナを主人公に選んでしまった時点できまっていた厳しい戦いだったのかもしれませぬ。
あと、意外と草原の民ってのが物騒だったのに改めて驚き。
あれ? こんな好戦的な戦闘民族だったっけ? って。
考えてみれば、10 巻近辺で草原が描かれ、その後ちょこちょこと描かれてからもうとんでもない月日が経っているんですものね〜。
草原の記憶がなくなっていても当然でした。
モンゴルの遊牧民族みたいなのを想像していたのですが、遊牧民は遊牧民としてちゃんといるけど、騎馬の民はそれとは別に居て、遊牧民とは完全に別な戦闘民族として暮らしているのだってのはちょっと衝撃的でした。
そんな略奪とか戦争ばっかりやっていてよく暮らしていけるな〜と。
いわば部族的なゲリラ、民族として成立してしまっている盗賊団ですもんね。
すげー物騒な文化もあったもんです。
古代のモンゴルも、そんな民族がいたのかもしれませんね〜。
モンゴル遊牧民っていうと、私なんかはパソゲーのチンギスハーン蒼き狼なんちゃらしか思い浮かばないんですが(笑)。
オルドオルドオルド!<ドアホ!!
しかし、ヨナに影ながら魔道士護衛のひとりもつけておかなかったってのは、パロの疲弊ッぷりのあまりの凄さにちょっと唖然とさせられましたよ。
どこまで余裕がなくなっちゃってるんでしょうね〜。
そして、期待通りやってきてくれました! スカール大将!!
危ないときにはすぐ駆けつけてくれます!
それも計ったように巻末で(笑)。
なんつーか、この月光仮面モードは最近のスカールさんにはすっかり板についてきちゃいましたね!(笑)
なんとまぁタイミングのいい出会いですこと!
こりゃもうそういう星の下に生まれてきたとしか思えませんなぁ。
とりあえずこれでヨナ先生は安全にヤガまで行けそうですね。
スカール先生は、まさかヤガまでついてこないでしょうから、もしかして護衛のためだけの登場?
まぁそれでもいいか。
可能性は低そうですが、ひょっとするとブラン部隊と衝突ってこともあるかもしれませんね。
さぁ次はいよいよ、最近煽りに煽っているミロク教総本山、ヤガ編でしょうか。
いったいどんな変化が起きているのか、それによってこれからのグイン・サーガはどのように変動してゆく宿命となるのか。
ここから新たなでかい章が始まるんじゃないかって予感で期待も膨らみます。
さて、アニメのほうですが、脚本も最終話まで完成し、主要5人のキャラクター・デザインも発表され、1月7日には第1話のアフレコが行われたそうです。
順風満帆、着々と制作が進んでいるようですね〜。
キャラクターを見ましたが、私的にはみんなちゃんと納得のいく感じで安心しました。
グインが意外とがっしりしてるな〜と思いましたが、これも充分アリですね。
私としてはもっと足の長い、筋肉隆々ではあってもスラーッとした野性の美のようなものを感じるスタイルと想像していたんですが、格闘家っぽいこういう体つきのほうがリアルにアクションが映えるかもしれませんね。
いい意味でアニメーション的だと思いました。
イシュトはまんま想像通り。
リンダもレムスも変に萌えに走らず、硬派な大河らしい格調を備えつつ、ちゃんと可愛いらしさもキープしていて、このバランス感覚は皇先生ならではだなぁと。
で、なによりスニがめっちゃカワエエ!(笑)
まさかこんな可愛いスニが拝めるとは!
わたしゃ今まで、ただのお猿さんしか想像してなかったんですが(爆)、そうか、スニってこんな可愛かったんだと!
いや〜凄い、いっぺんでスニのイメージが入れ替わっちゃいました。
アニメの力って凄いなぁ〜と、今回もっとも大きく感じた絵でしたよ。
植松さんのインタビューもアップされましたが、サントラの発売はいつですかね!<気が早ッ!!
めっちゃ楽しみです。
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