篤姫と関わったたくさんの登場人物が、それぞれの結末を迎えてゆくという最終回。
なかなかに味わい深いものがありました。
劇的な展開や壮大なロマンとは程遠い大河ではありましたが、女性を主人公とした大河らしい、細やかで愛情豊かなシリーズでしたね。
そしてそれにふさわしい終わり方だったと思います。
ドラマ展開としては、家定死去と、それに伴うごたごたが収まってからは若干パワーダウンの感もありましたが、それでも最後まで観てしまう魅力がありました。
ひとえに、役者さん達の力がとても大きかったと思います。
前半を大きく盛り上げたのは、篤姫の宮崎あおいはもちろん、家定役の堺雅人、本寿院さまの高畑淳子、幾島の松坂慶子のこの四人でしょう。
家定の奇行と、その影にかくれた本当の姿を演じ分けた堺雅人さんは本当に素晴らしい演技でした。
家定が出てくるたびに笑いが絶えず、あるいは涙なしには観られないというありさまでした。
本寿院さまの憎みきれないキャラクターも素晴らしかったですし、幾島のあの裂帛の気合は画面が引き締まるようでした。
そして、家定が死に、幾島が帰郷し、本寿院さまがあまり出なくなってきてからは、今度はこれまであまり活躍しなかった面々が魅力を発揮しはじめました。
私が気に入ったのは、桜田門外の変で殺された井伊直弼(中村梅雀)。
なんといってもあの、
「恐れ入りましてござりまする「恐れ入りましてござりま「恐れ入りましござ「恐れ入りまし「恐れ入り…」
のラップかよ! っていう傲岸不遜な名シーンが忘れられません。
あれはシビレた。
そしてその顔の裏に隠した、「茶の心は一期一会」 という哲人じみたギャップもすばらしかった。
その言葉に影響をうけて、「ブログの心は一期一会」 だと、そんな心構えを持つようにもなりましたっけか(笑)。
ドラマとしても、それまで彼を嫌われ者として演出しておいて、あそこで篤姫と心を通じさせ、そして桜田門につなげるっていう、あの演出はなかなか憎いものがありましたね。
そして後半急浮上したのは、まぁそうなるだろうなとは思っていましたが、吉之助どんこと西郷隆盛(小澤征悦)。
あの、幾島の説得に涙を流しながら江戸城攻めを曲げない西郷さんは熱かった!
「誰かが! やらねばいかんのでごす!」
と、血を吐くように嗚咽するように言う姿が、私にはシャアに見えてしまったのです!(笑)
「江戸城に住む者は、自分達のことしか考えていない。だから、抹殺すると宣言した!」
「人が人に罰を与えるなどと……!」
「日本が持たんときが来ているのだ。誰かが、日本人の業を背負わねばならん時が来ているのだ。それを分かるのだよ、幾島!!」
いや、幾島がアムロって無理ありすぎですが(笑)。
私には、このシーンで 「そうだったのか! 西郷さんは日本のシャアだったんだ!」 と、一発で惚れ込んでしまいました(笑)。
そして最後には大きく出世していった正助どんこと大久保利通(原田泰造)。
ドラマ出演経験こそありますが、芸人・原田泰造が大河をどこまでやれるんだろうと思っていたところ、予想を上回る堂々たる演じっぷりでした。
屈辱から鬼に目覚め、めきめきと実力を溜めて大出世をとげ、しかし最後は道半ばにして凶刃に倒れるという悲劇。
そういうキャラクターを演じつつ、泰造さん本人の味のあるキャラクターがよくあわさって醸成されていったような印象が強かったです。
これからいい役者さんになるんじゃないでしょうか。
泰造さんの味は好きだなぁ〜。
一年間、なかなかに面白いドラマを楽しめました。
歴史を追ってゆくというよりは、そこに居合わせた人物の心のドラマ、ホームドラマ的な味付けですから、歴史大河としての食い応えはまったくありませんでしたが、まぁこういう大河もよいのではないでしょうか。
個人的には 『徳川家康』 とか、『独眼竜正宗』 とか、ああいうゴッツイのが好きなんですけどね(笑)。
さぁ、次の大河 『天地人』 は、直江兼次が主役だそうです。
戦国時代が好きな人でないと、まず 「誰だそれ!?」 って人だと思いますが(笑)。
なんか 「愛」 の兜ばっかり宣伝されてますが、私がものの本で読んで知ってる限り、そんなロマンティックな人じゃないですね〜。
もっと反骨精神の塊のような、ブッ太い人です。
戦国時代の最終勝者寸前まで行っている王者・徳川家康に、北の中堅国家・上杉から挑発しまくりの手紙を送り、家康を激怒させたと言います。
今ではその手紙の真偽も疑われているそうですが、そういったところをどのように描いてくれるのか、とても楽しみです。
どんな大河になってくれるでしょうね。
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